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堀本大輔、スリランカを行く(青年海外協力隊レポート)
2014/03/31
ファイターズ2013卒で2013シーズンの途中まで5年生としてアシスタントコーチを務めた堀本 大輔(現役時#27、K/P)が、関西学院大学のグローバル人材育成推進事業のプログラムで、海外青年協力隊としてスリランカに5ヶ月間滞在してきました。
本人から研修報告が届きましたので、このホームページで紹介させていただきます。
「青年海外協力隊スリランカ研修報告」
堀本 大輔 <経済学部2014年卒>
(ファイターズ2013年卒 現役時K/P、#27)
私はアメリカンフットボール部を引退した5年目の2013年、就職活動を終えた後、関西学院大学「実践型"世界市民"育成プログラム」の一環として国際協力機構(JICA)の「青年海外協力隊」で10月から5か月間、スリランカでボランティア活動に取り組んできました。
私の夢は、アフリカのシエラレオネであったような少年兵を無くすことです。純粋な子供たちが大人の手によって薬物中毒となり少年兵にされ、家族が殺される。そんな状況がある限り、人間の未来は明るくならないと考えます。スリランカは2008年まで紛争地域であったこともあり、今回の派遣で途上国をこの目で見て現状をしっかりと把握し、今後の人生に活かしていきたいという思いから応募しました。また、今後商社で仕事するので日本と世界を繋ぐ人間となりたいし、、平和推進国として日本を世界にアピールしたいと思っていました。
スリランカには体育教師の職種で配属され、教育省の下で活動しました。同国は勉学に力を入れていて、気温が暑く熱中症により死亡事故あることもあり、体育科目は基本的に座学が中心です。また、保健省の調査結果で学齢期の子供の20%が成人病予備軍であるとの報告から、その対策として2012年度より始まった朝の体操をスリランカ全土に拡大・推進することと、6種類のスポーツ指導を行うというのが同国からの要請内容でした。
私が派遣された街はクルネーガラ(コロンボ首都圏からは北東に94 km)で、主に現地のシンハラ語での活動になりました。五つの学校を巡回し、朝の体操の指導、体育の授業、放課後に各スポーツの指導を行いました。日本から来た先生で、ままならないシンハラ語でもありながら、スリランカは親日国でもあり、みなさんが歓迎してくれました。
スリランカでの活動は、言葉は勿論、文化・宗教すべてが日本とは異なる環境で、日本で当たり前だと考えていたものが通用せず、何度も壁にぶつかることがありました。体操を教える時間をもらうために、現地の校長先生、体育の先生を納得させる必要がありましたが、言語能力が乏しいことからうまく意思疎通ができませんでした。体操の練習を行うことをお願いをしましたが、朝の体操を必要と考えていない先生が多いために、子供が好きな体育の授業をしてくれと言われて、いきなり生徒200人がグラウンドに出てきて体育の授業を行ったこともありました。子供たちは整列の習慣があまりないことから、何を行うにも難しく、未知なる体験でした。
このような困難を乗り越えて、私の想いを共有してもらうために、毎日学校の先生に電話をし、一緒にいる時間を増やし、同時にシンハラ語も教えてもらい、徐々に意志疎通が出来るようになってきました。
各スポーツの指導においては、午前6時から朝の練習に行き、陸上、ラグビー、サッカーの指導をしてきました。そして学校時間に体操の練習、学校後にもスポーツ指導をしたり、街の現地サッカーチームに所属して毎日サッカーをしたりしていました。
学校外での活動として、体育の先生のトレーニングキャンプに参加して、新たなトレーニング、ストレッチの講義、紹介を、独自に作成したムービーを参照しながら行いました。DVDにそのデータを焼いて配布し、持続的効果を得られるよう心がけてみました。また、各スポーツのナショナルチームのトレーニングキャンプに参加したり、自らスポーツ環境の整っていない学校に出向きサッカー教室を行ったり、自分なりに仕事の幅を広げていきました。JICAのメンバーと一緒に日本の文化を伝える折り紙教室や縄跳び教室、習字のイベントに参加する機会もあり、様々な分野で活動ができて大変素晴らしい時間を過ごすことが出来ました。
そしてもっとスリランカ人を知りたいという想いと、夢について考える機会を子供たちに作りたいという想いから、学校の校長に許可を取りアンケート調査を行いました。この背景として、勉学熱心ではあるが、大学が全国に17校しかないため進学がとても難しく、就業率も低いので、勉強の意味と夢や将来について考える機会を与え、仲間同士刺激し合える関係を作ってほしいと考えたからです。
スリランカでの生活では、服はまだ手洗いが多く、食べ物に関してはどの料理もカレー味でとても辛いです。その反面、スイーツや紅茶に関してはとても甘く、砂糖と唐辛子が必須の国です。道路には牛や猿、リスが多く非常に自然的な環境でフルーツが美味しいです。
発展途中の国として物乞いをしてくる人や窃盗が多く、私もその被害者で活動期間中にクレジットカードや電子機器等、多くの被害に合ってしまい、現地人からお金を借りたこともありました。現地での床屋は日本円で200円もあれば切ることが可能なのですが、そのお金すら節約せざる得ない状況もあり、自分で髪の毛を切っていました。しかし、帰国間際にその犯人が捕まり、私自ら犯人と対面し、代理人を雇い裁判に出廷し、いくつかのものは取り戻すことが出来ました。なにからなにまで多くの経験をしました。
活動を行っていく中で、文化、習慣、言語、宗教等の違いから、求めていることとは違う答えが来たり、伝えたいことが伝わらなかったり、日々困難の連続ではありましたが、ある日伝わらなかったことが伝わるようになり、多くの人から理解を得て共感してもらえるようになったときは、これほど嬉しいことはありません。体操の必要性を簡単なシンハラ語で各教室で伝えていくと、先生を始めとし、生徒にも少しずつ思いが理解され、楽しそうに体操をしてくれるようになったときなどです。
国際ボランティアは普段と違う環境に身を置くことにより自己の学びを多く得ることが出来ると同時、自分の頑張りによって仕事の幅が大きく変わり、そして世界をフィールドに挑戦することができるため、とてもやりがいのある活動です。そして留学とは違い、途上国での草の根レベルでの活動、現地レベルでの生活を行うことで、本当の意味で相手の目線になって物事を考え、多くの発見を得ることが出来ます。
日本でも仲間に想いを伝えきることは本当に難しいですが、国境を越えて、宗教も違う中で、想いを伝える、という経験を学生の間にできる、これほどの幸せはないと考えます。同時に日本の想い、関学の想いを背負い活動が出来る大変やりがいのある責任のある活動です。
今回の活動が少しでも今後のスリランカの教育に貢献できていればうれしく思います。
※活動ダイジェストがJICAのHPに掲載されています(http://globalchallengers.jica.go.jp/digest.php?id=288)
※活動紹介動画(http://youtu.be/GAG3AnlWVPg) ※パソコンのみ閲覧可
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