石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」 2016/11
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(29)練習また練習
投稿日時:2016/11/29(火) 08:36
毎年、この季節になると、週末の上ヶ原の第3フィールドには若手OBが顔を出し、練習台を務めてくれる。今年はなかなか姿が見えないなと思っていたら、先週末には東京からXリーグのリクシルで活躍しているQBの加藤翔平君、DLの平澤徹君(ともに2011年卒)、地元からエレコムのLB池田雄紀君(2014年卒)が来てくれた。
3人とも社会人チームで日本代表クラスの活躍をしているバリバリの現役。防具を着けてグラウンドに降り、スカウトチームに混じってVチームの練習相手を務めてくれた。それぞれがつい先日まで、チームの主力メンバーとしてXリーグで激戦を繰り広げていただけに、見ていてもほれぼれするような動きである。
ディフェンスエンドに入った平澤君は簡単にVチームのOL陣を突破し、平然とQBの目の前に立っている。池田君はJVチームの要として、VチームのRBを自由に走らせない。加藤君になると、まるで異次元のQBである。体がデカイし遠投力がある。ランプレーで発進すれば、一気にTDまで持っていく突進力もある。JVチームのQBとは3段階から5段階上のレベルである。
3人が3人とも、今季対戦したどのチームにもいないレベルの選手であり、Vチームのメンバーにとっては、上には上がいる、というのが正直な感想だったのではないか。
3人だけではない。昨年度の主将でアシスタントコーチを務めている橋本君は毎日、グラウンドに顔を出し、OLの練習台を務めている。自身が昨年まで引っ張ってきたチームだから、相手になる選手が成長しているかどうかの手応えは、体感で判断できる。その折々に気付いたことを身を以て指導し、1センチ単位で足の運びを注意する。
同じくOLの江川君、FBの山崎君、WRの宮崎君、DBの瀧上君、MGRの重田君も連日のようにグラウンドに顔を出し、練習の補助を務めてくれる。それぞれが先輩風を吹かして威張るのではなく、丁寧に後輩たちを指導してくれるのが、ファイターズのよき伝統である。
そういう練習を重ねて、甲子園ボウルまであと一歩の所までこぎ着けた。いよいよ今度の日曜日はその成果を発揮する立命戦である。
先日の試合は、立ち上がりに見事なパス攻撃で先制し、相手の反撃を強力な守備陣がぎりぎりのところで抑えて勝つことができた。
しかし、互いに一度、手の内をさらし、力量を見極めたうえで迎えるのが今度の試合である。それぞれが相手の弱点を突き、自分たちの強みを磨いて戦うことは目に見えている。その意味では、前回の戦い以降の2週間をどのように過ごしたか、試合までの残り時間をどう生かすかで勝敗の行方が決まる。11月20日の勝利は、その日限り。12月4日までの取り組みで、本当の勝敗が決する。
そのための準備はできているか。傑出した先輩たちの胸を借りるのもその一つの方法だし、仲間内で互いに指摘し合い、厳しく求め合ってレベルアップを図るのも、重要である。何より大切なのは、自分自身の意識を高く持ち、目の前の相手に必ず勝つ、必ず倒すという責任感をもってことに当たることだ。
そのためには、目の前の練習に全力を挙げて取り組むしかない。たとえ下級生のスカウトチームが相手でも、百発百中のプレーを自らに義務づけ、それを完遂する。たとえオールジャパン級の先輩が相手でも、一歩も引かない。自分たちのQBには一指も触れさせない。そういう強い気持ちをもって自らを奮い立たせるしかないのである。
練習また練習。今この時季に、本気で勝つための練習をしている大学チームはほんの数校である。そういう練習が大切な仲間とともに続けられることの幸せに思いをはせよう。たとえハードな練習であっても、目の前に具体的な目標を描いて取り組めば、それは喜びに変わる。その喜びが人を成長させる。そういう練習ができる時間がまだ残されている。その時間を有効に使い、プレーの精度を高め、気力を充実させてもらいたい。
締めくくりに、先週、練習相手を務めてくれた池田君に確かめた話を一つ披露したい。彼は今季、学生時代から慣れ親しんだ1番の背番号に代え、14番を背負ってプレーした。どうしてか、と思った瞬間、思い当たることがあった。14番は、同期の大森君が学生時代に背負っていた番号である。
「そうか。がんとの戦いに挑んでいる病床の友人を励ますために、その14番を背負ったのか」と思い当たった僕は、池田君の顔を見たときにまずそのことを確かめた。
「そうです。同期の大森が苦しい戦いをしている。ならば僕も、その戦いを背負ってやる。そう思って背番号を変更したのです」
その返事を聞いた時、何とも表現しようのない感動が走った。これがファイターズだ、同じ釜の飯を食い、同じグラウンドで汗を流し、死にものぐるいの練習をした仲間だ、そう思うと、思わず涙がにじんできた。
そういう仲間を作れるのも、グラウンドでは互いに厳しく求め合い、試合では結束して強敵に立ち向かってきた場面を共有しているからである。ファイターズの諸君も、残る試合でそういう場面を共有し、仲間との絆を固くして巣立ってほしい。そのための時間はまだ残されている。練習また練習である。
3人とも社会人チームで日本代表クラスの活躍をしているバリバリの現役。防具を着けてグラウンドに降り、スカウトチームに混じってVチームの練習相手を務めてくれた。それぞれがつい先日まで、チームの主力メンバーとしてXリーグで激戦を繰り広げていただけに、見ていてもほれぼれするような動きである。
ディフェンスエンドに入った平澤君は簡単にVチームのOL陣を突破し、平然とQBの目の前に立っている。池田君はJVチームの要として、VチームのRBを自由に走らせない。加藤君になると、まるで異次元のQBである。体がデカイし遠投力がある。ランプレーで発進すれば、一気にTDまで持っていく突進力もある。JVチームのQBとは3段階から5段階上のレベルである。
3人が3人とも、今季対戦したどのチームにもいないレベルの選手であり、Vチームのメンバーにとっては、上には上がいる、というのが正直な感想だったのではないか。
3人だけではない。昨年度の主将でアシスタントコーチを務めている橋本君は毎日、グラウンドに顔を出し、OLの練習台を務めている。自身が昨年まで引っ張ってきたチームだから、相手になる選手が成長しているかどうかの手応えは、体感で判断できる。その折々に気付いたことを身を以て指導し、1センチ単位で足の運びを注意する。
同じくOLの江川君、FBの山崎君、WRの宮崎君、DBの瀧上君、MGRの重田君も連日のようにグラウンドに顔を出し、練習の補助を務めてくれる。それぞれが先輩風を吹かして威張るのではなく、丁寧に後輩たちを指導してくれるのが、ファイターズのよき伝統である。
そういう練習を重ねて、甲子園ボウルまであと一歩の所までこぎ着けた。いよいよ今度の日曜日はその成果を発揮する立命戦である。
先日の試合は、立ち上がりに見事なパス攻撃で先制し、相手の反撃を強力な守備陣がぎりぎりのところで抑えて勝つことができた。
しかし、互いに一度、手の内をさらし、力量を見極めたうえで迎えるのが今度の試合である。それぞれが相手の弱点を突き、自分たちの強みを磨いて戦うことは目に見えている。その意味では、前回の戦い以降の2週間をどのように過ごしたか、試合までの残り時間をどう生かすかで勝敗の行方が決まる。11月20日の勝利は、その日限り。12月4日までの取り組みで、本当の勝敗が決する。
そのための準備はできているか。傑出した先輩たちの胸を借りるのもその一つの方法だし、仲間内で互いに指摘し合い、厳しく求め合ってレベルアップを図るのも、重要である。何より大切なのは、自分自身の意識を高く持ち、目の前の相手に必ず勝つ、必ず倒すという責任感をもってことに当たることだ。
そのためには、目の前の練習に全力を挙げて取り組むしかない。たとえ下級生のスカウトチームが相手でも、百発百中のプレーを自らに義務づけ、それを完遂する。たとえオールジャパン級の先輩が相手でも、一歩も引かない。自分たちのQBには一指も触れさせない。そういう強い気持ちをもって自らを奮い立たせるしかないのである。
練習また練習。今この時季に、本気で勝つための練習をしている大学チームはほんの数校である。そういう練習が大切な仲間とともに続けられることの幸せに思いをはせよう。たとえハードな練習であっても、目の前に具体的な目標を描いて取り組めば、それは喜びに変わる。その喜びが人を成長させる。そういう練習ができる時間がまだ残されている。その時間を有効に使い、プレーの精度を高め、気力を充実させてもらいたい。
締めくくりに、先週、練習相手を務めてくれた池田君に確かめた話を一つ披露したい。彼は今季、学生時代から慣れ親しんだ1番の背番号に代え、14番を背負ってプレーした。どうしてか、と思った瞬間、思い当たることがあった。14番は、同期の大森君が学生時代に背負っていた番号である。
「そうか。がんとの戦いに挑んでいる病床の友人を励ますために、その14番を背負ったのか」と思い当たった僕は、池田君の顔を見たときにまずそのことを確かめた。
「そうです。同期の大森が苦しい戦いをしている。ならば僕も、その戦いを背負ってやる。そう思って背番号を変更したのです」
その返事を聞いた時、何とも表現しようのない感動が走った。これがファイターズだ、同じ釜の飯を食い、同じグラウンドで汗を流し、死にものぐるいの練習をした仲間だ、そう思うと、思わず涙がにじんできた。
そういう仲間を作れるのも、グラウンドでは互いに厳しく求め合い、試合では結束して強敵に立ち向かってきた場面を共有しているからである。ファイターズの諸君も、残る試合でそういう場面を共有し、仲間との絆を固くして巣立ってほしい。そのための時間はまだ残されている。練習また練習である。
(28)これぞ「Fight Hard」
投稿日時:2016/11/22(火) 14:57
まさにチームが一体となって「Fight Hard」を体現した試合だった。
攻めてはラインが一枚の板になってQBを守り、RBに走路を開く。WRはどんな球でも捕ってやるという気迫を体全体で表し、QBは投げ、走り、身を投げ出して相手をブロックする。
守備はさらにハードである。一列目、中央の松本が核となって相手の動きを制御し、2列目は果敢にボールキャリアに襲いかかる。3列目は鋭い動きでそれをフォローし、能力の高い相手キャリアに仕事をさせない。シーズンも中盤まで、試合ごとに課題が指摘されていたキッキングチームも、この日は冷静にボールをコントロールし続けた。
関西リーグの雌雄を決する立命戦。試合前の下馬評は、大半が相手有利。攻守とも学生界では一歩抜きんでた力を持つやっかいな相手に、ファイターズの諸君がどこまで気持ちを込めて戦うか、チームの全員が相補い、助け合って試合に挑めるかが勝負のポイントだった。試合の前夜から、選手一人一人の顔を思い浮かべ、明日はとにかく闘志を表に出して戦え、激しく戦ってくれと祈るような気持ちだった。
ファイターズのレシーブで試合開始。相手のキックがサイドラインを割り、自陣35ヤードから攻撃が始まる。最初はRB野々垣のラン、2度目もランプレーだったが、相手の鋭い守りにほとんど前に進めない。予想通りの苦しいスタートだったが、3プレー目、QB伊豆からWR前田に24ヤードのパスがヒット、一気に相手陣41ヤードに攻め込む。相手守備陣の寄りつきが早く、見た目にはパスが通る状況ではなかったが、伊豆が果敢に投げ、前田が信じられないような身のこなしでそのボールを確保する。
続いて伊豆のキープで4ヤード、RB橋本の中央突破で7ヤードを稼いでダウン更新し、ゴール前30ヤード。ここで伊豆からWR松井への長いパスが通り、一気にTD。試合開始から2分1秒で待望の先取点を手にした。
こうなると、守備陣も盛り上がる。次の相手攻撃を山岸、安田の鋭い動きで3&アウトに退ける。
しかし、相手オフェンスには昨年、存分に走り回られたRBも抜群のスピードを誇る3人のレシーバーもいる。一瞬たりとも気の抜けない展開が続くが、松本、藤木、三笠を並べたDL陣が中央のランプレーをことごとく制圧し、山岸、松本、安田、松嶋のLB陣と岡本、小池、小椋、横澤のDB陣が抜群の反応で決定的な好機を作らせない。
膠着したままの試合展開を破ったのは主将山岸。第2Qの半ば、自陣25ヤード付近で相手ボールキャリアに激しいタックルを見舞ってボールをはじき出し、それを松嶋がカバーしてターンオーバー。最低でもフィールドゴールの3点を覚悟しなければならない状況で飛び出した値千金のタックルでありカバーである。
このプレーに、今度は攻撃陣が奮起する。RB山口、橋本のランとWR前田、亀山、松井、池永へのパスを組合わせてダウンの更新を重ね、ついにゴール前まで3ヤード。昨年は、ここからの攻めをことごとく跳ね返されたが、今年は違う。橋本が見事に中央のダイブプレーを決めてTD。待望の追加点である。ファイターズが先制した後、次にどちらが点を取るかで勝負が決まると読んでいた僕にとっては、本当に、本当に欲しかった追加点である。ベンチはもちろん、スタンドを満員にしたファイターズファンの思いを乗せたエースRBのダイブであった。
この場面の写真がチームのホームページでもアップされている。それを注意深く眺めてほしい。OL陣全員が身を挺して相手守備陣を押し込み、橋本の飛び込むスペースを確保していることが鮮明に写し出されている。これが2016年ファイターズの「Fight Hard」を象徴する場面である。
後半もファイターズの守りは堅い。一列目の藤木や三笠が素早いラッシュで相手バックに襲いかかり、小池がナイスタックルを決める。これに攻撃陣が呼応する。3Qに入って2度目の攻撃シリーズは自陣20ヤードから。まずは、伊豆の素早いランで陣地を進め、次は池永へのリバースプレー。それが見事に決まって69ヤードのTD。走り切った池永も素晴らしかったが、相手守備陣を渾身のブロックで倒した伊豆、スピードに乗って走路を開いた松井らのブロックもお見事。まさに攻撃陣が一丸となって獲得した追加点だった。
このように試合を振り返ってみれば、攻守ともにグラウンドに立つ11人の選手が一丸となって戦っている場面ばかりが目に浮かぶ。今季では初めてのことであり、ここまで気迫のこもった試合を見たのも今季では初めてのことだ。
チームは全員で「Fight Hard」を体現し、見事に関西リーグを制覇した。しかし、今季は甲子園ボウルへの出場権をかけた試合が12月4日に予定されている。それに勝たないことには、話は前に進まない。
その試合は間違いなく立命との再戦になる。
この試合こそが本当の決戦である。相手は捨て身になって挑んでくるだろう。まったく異なる相手と闘うと考えた方がいい。ひょとしたらもともと2試合目に焦点を絞っている可能性すらある。勝ったイメージを捨て去って挑戦者に徹しなければ逆の結果になることだってあるのだ。
もう一度、昨年の敗戦の原点に立ち返って再戦に向けた準備をしてほしい。勝っておごらず、ひたすら練習
に励むことから活路は開ける。甲子園ボウルまでもう1試合。悔いなく戦うために汗を流してもらいたい。
攻めてはラインが一枚の板になってQBを守り、RBに走路を開く。WRはどんな球でも捕ってやるという気迫を体全体で表し、QBは投げ、走り、身を投げ出して相手をブロックする。
守備はさらにハードである。一列目、中央の松本が核となって相手の動きを制御し、2列目は果敢にボールキャリアに襲いかかる。3列目は鋭い動きでそれをフォローし、能力の高い相手キャリアに仕事をさせない。シーズンも中盤まで、試合ごとに課題が指摘されていたキッキングチームも、この日は冷静にボールをコントロールし続けた。
関西リーグの雌雄を決する立命戦。試合前の下馬評は、大半が相手有利。攻守とも学生界では一歩抜きんでた力を持つやっかいな相手に、ファイターズの諸君がどこまで気持ちを込めて戦うか、チームの全員が相補い、助け合って試合に挑めるかが勝負のポイントだった。試合の前夜から、選手一人一人の顔を思い浮かべ、明日はとにかく闘志を表に出して戦え、激しく戦ってくれと祈るような気持ちだった。
ファイターズのレシーブで試合開始。相手のキックがサイドラインを割り、自陣35ヤードから攻撃が始まる。最初はRB野々垣のラン、2度目もランプレーだったが、相手の鋭い守りにほとんど前に進めない。予想通りの苦しいスタートだったが、3プレー目、QB伊豆からWR前田に24ヤードのパスがヒット、一気に相手陣41ヤードに攻め込む。相手守備陣の寄りつきが早く、見た目にはパスが通る状況ではなかったが、伊豆が果敢に投げ、前田が信じられないような身のこなしでそのボールを確保する。
続いて伊豆のキープで4ヤード、RB橋本の中央突破で7ヤードを稼いでダウン更新し、ゴール前30ヤード。ここで伊豆からWR松井への長いパスが通り、一気にTD。試合開始から2分1秒で待望の先取点を手にした。
こうなると、守備陣も盛り上がる。次の相手攻撃を山岸、安田の鋭い動きで3&アウトに退ける。
しかし、相手オフェンスには昨年、存分に走り回られたRBも抜群のスピードを誇る3人のレシーバーもいる。一瞬たりとも気の抜けない展開が続くが、松本、藤木、三笠を並べたDL陣が中央のランプレーをことごとく制圧し、山岸、松本、安田、松嶋のLB陣と岡本、小池、小椋、横澤のDB陣が抜群の反応で決定的な好機を作らせない。
膠着したままの試合展開を破ったのは主将山岸。第2Qの半ば、自陣25ヤード付近で相手ボールキャリアに激しいタックルを見舞ってボールをはじき出し、それを松嶋がカバーしてターンオーバー。最低でもフィールドゴールの3点を覚悟しなければならない状況で飛び出した値千金のタックルでありカバーである。
このプレーに、今度は攻撃陣が奮起する。RB山口、橋本のランとWR前田、亀山、松井、池永へのパスを組合わせてダウンの更新を重ね、ついにゴール前まで3ヤード。昨年は、ここからの攻めをことごとく跳ね返されたが、今年は違う。橋本が見事に中央のダイブプレーを決めてTD。待望の追加点である。ファイターズが先制した後、次にどちらが点を取るかで勝負が決まると読んでいた僕にとっては、本当に、本当に欲しかった追加点である。ベンチはもちろん、スタンドを満員にしたファイターズファンの思いを乗せたエースRBのダイブであった。
この場面の写真がチームのホームページでもアップされている。それを注意深く眺めてほしい。OL陣全員が身を挺して相手守備陣を押し込み、橋本の飛び込むスペースを確保していることが鮮明に写し出されている。これが2016年ファイターズの「Fight Hard」を象徴する場面である。
後半もファイターズの守りは堅い。一列目の藤木や三笠が素早いラッシュで相手バックに襲いかかり、小池がナイスタックルを決める。これに攻撃陣が呼応する。3Qに入って2度目の攻撃シリーズは自陣20ヤードから。まずは、伊豆の素早いランで陣地を進め、次は池永へのリバースプレー。それが見事に決まって69ヤードのTD。走り切った池永も素晴らしかったが、相手守備陣を渾身のブロックで倒した伊豆、スピードに乗って走路を開いた松井らのブロックもお見事。まさに攻撃陣が一丸となって獲得した追加点だった。
このように試合を振り返ってみれば、攻守ともにグラウンドに立つ11人の選手が一丸となって戦っている場面ばかりが目に浮かぶ。今季では初めてのことであり、ここまで気迫のこもった試合を見たのも今季では初めてのことだ。
チームは全員で「Fight Hard」を体現し、見事に関西リーグを制覇した。しかし、今季は甲子園ボウルへの出場権をかけた試合が12月4日に予定されている。それに勝たないことには、話は前に進まない。
その試合は間違いなく立命との再戦になる。
この試合こそが本当の決戦である。相手は捨て身になって挑んでくるだろう。まったく異なる相手と闘うと考えた方がいい。ひょとしたらもともと2試合目に焦点を絞っている可能性すらある。勝ったイメージを捨て去って挑戦者に徹しなければ逆の結果になることだってあるのだ。
もう一度、昨年の敗戦の原点に立ち返って再戦に向けた準備をしてほしい。勝っておごらず、ひたすら練習
に励むことから活路は開ける。甲子園ボウルまでもう1試合。悔いなく戦うために汗を流してもらいたい。
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