石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」 2024/5/21

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(3)期待高まるニューカマー

投稿日時:2024/05/21(火) 20:15

 19日の日曜日。今季、国内第2戦となる立教大学との試合がある日である。
 しかし、私の住む仁川の辺りは、朝から小雨が降ったり止んだりの空模様。「今日は午後からファイターズの試合がある。降るなら降るで結構。さっさと降って、午後からは晴れてくれ」と天の神様にお願いしながら、朝の散歩を続けたが、そんな勝手なお願いは届くはずもない。試合は、終始小雨が降り続ける中で行われた。
 空模様はいまひとつだったが、グラウンドには期待の下級生が続々登場。先発メンバーには2年生のWR塚本凉太(高等部)、QBリンスコット・トバヤス(箕面自由)、DL八木駿太?(花巻東)、DB永井慎太郎(佼成学園)が名を連ね、今春、入部したばかりの1年生も交代メンバーとして次々に起用された。背番号の若い順に並べて行くと、QB星野太吾(足立学園)、WR片桐太陽(大産大附)、RB平野日々輝(啓明学院)、LB永井秀(関西学院)、DL田中志門(追手門学院)。
 まだ5月。ようやく上級生との練習に加われるだけの体力が整ってきたばかりのこの季節に、選手層の厚い1軍の試合に出場させてもらえるだけでも特筆されるが、起用されたメンバーがそれぞれ見せ場を作った。
 まずはWR片桐。第1Q、ファイターズがFGで3点を先制した後、互いの守備陣が踏ん張り、迎えたファイターズの攻撃は自陣49ヤードから。その第1プレー。QBリンスコットからの長いパスを受けた片桐がそれをキャッチ、相手守備陣を振り切ってゴールに駆け込みTD。投げる方も素晴らしかったが、捕る方もさらに凄い。キャッチした瞬間にトップスピードに乗り、一気にゴールまで突っ走った。昨年のファイターズWR陣を牽引した鈴木の捕球力と衣笠のスピードを合わせ持った1年生の姿は、自軍の士気を奮い立たせた。
 自軍を奮い立たせるといえば、3Qの半ばから登場したQB星野弟も同様だ。1軍の練習に加わったのはつい先日。チームがアメリカ遠征から帰国してから。もちろん試合に出るのも初めてというのに、チームの司令塔の役割を果たした。パスも投げられるし、素早い動きで相手を交わし、一気に走る姿も兄貴とそっくりだ。1軍でのチーム練習の機会が増えれば増えるほど、切れ味が鋭くなるのではと期待が持てる。
 一方、守備で途中出場した1年生の動きは、スタンドからでは十分に見えなかったので、香山コーチに取材した。
 一番に名前が挙がったのが、DLの田中志門。「期待通りの出来映え。初めての試合というのに、相手に当たり勝っていた。後半、相手がバテていた点を割り引いても素晴らしい」という。「ほかには」と聞くと「LBとして起用した永井弟も、さすがという活躍」「二人とも、今後、大学生の当たりや動きに慣れてくれば、十分な戦力になるでしょう」などの言葉が返ってきた。
 終始、小雨の降る中での試合だったが、収穫は少なくなかったようだ。
 ここで紹介したのは、1年生が中心だが、もちろん昨年から試合に出て活躍しているメンバーは数多い。彼らの様子は、来週以降に予定されている関大や立命との戦いで見ていこう。相手はともに、昨年は同率優勝となりながら、抽選で甲子園ボウルへの出場権を逃がしたチームである。春とはいえ、厳しい戦いになるのは目に見えている。
 けれども、そういうライバルがいてこそ、チームとしての力量が付いてくる。新しい力も本物になってくる。大学構内の樹木が風雪に耐え、日に日に緑を濃くし、成長しているのと同様である。

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