石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」 2017/5
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(8)一瞬の怖さ
投稿日時:2017/05/31(水) 06:31
5月28日は、関大との対決。チーム状態には関係なく、いつの年も気合いを入れて向かってくるライバルを相手に、ファイターズがどんな戦いをするか。けがからの回復途上にあり、今季はまだ出場機会のなかったメンバーの回復状況はどんな具合か。今季からスターターを務めるQB光藤がライバル心をむき出しにして向かってくる相手守備陣にどこまで通用するか。その前に、今季は再建途上にある下級生中心のオフェンスラインがしっかり機能するか。見所満載の試合である。
天気は晴れ、風は西から東に緩やかに流れている。夕方5時キックオフとあって、日中の暑さも多少は和らいでいる。絶好の観戦日和であり、スタンドには若い女性ファンの数が普段の多いように思える。
ファイターズのレシーブで試合開始。予想通り互いに闘志をむき出しにしたねじり合いが始まる。
自陣25ヤードからのファイターズの攻撃。最初のQBドローは進まなかったが、次のプレー、光藤からピッチされたRB高松が左サイドを駆け上がって26ヤード。一気にハーフラインまで陣地を進める。続いて光藤からWR前田へのパスで7ヤードを獲得。そこからRB山口、渡辺らのランプレーを3本続け、気がつけばゴール前25ヤード。そこで光藤からWR亀山へのTDパスがヒットする。K小川のキックも決まって7-0とファイターズがリードする。
この間、9プレー。進まなかったプレーも含めて一つとして無駄と無理のないプレーが続いた。オフェンス全体が集中力を高めて臨んだ結果だろう。
続く関大の攻撃も自陣25ヤード付近から。こちらも3年生のQBが速いテンポでパスを投げ、ぐいぐいと攻め込んでくる。光藤のリリースも速いが、関大のQBもそれに負けず劣らずの速さである。ファイターズのDB陣がカバーする前に素早いパスを投げ、合間にQBキープとRBの切れ味のよいランプレーを織り交ぜ、あっという間にファイターズのゴール前。ダウン更新まで1ヤード、ゴールまで2ヤードというところまで押し込んできた。
第4ダウンショートの勝負手はゴール右隅へ走り込んだRBへのパス。一瞬通されたかと思ったが、ボールは相手の手の内からこぼれ、攻守交代。まさに「九死に一生」という場面であり、大げさに言えば、この一瞬が勝敗を分けたようなプレーだった。
しかし、ミスは相手だけではない。続くファイターズの攻撃でも、同じような暗転場面が現われる。自陣2ヤードから始まったファイターズの攻撃シリーズは前田への短いパス、山口や渡辺らのランで陣地を進め、自陣37ヤード付近から光藤がWR松井へ50ヤードのパスをヒット。一気に相手ゴール前に迫る。一気に突き放すチャンスだったが、光藤から松井へ通そうとしたTDパスが相手に奪われ、一瞬にして攻守交代。松井の長身とジャンプ力を生かし、空中戦でパスを通そうという試みだったが、弾道が意図したよりも低く、松井が競り合う前に相手DBに奪われ、せっかくのロングドライブが得点にならなかった。これまた一つ間違えば、勝敗を分けてしまうようなプレーだった。
似たような場面は後半、第3Qになってからも続く。関大は最初からノーハドルオフェンスで攻め込んで来たが、DB小椋が値千金のインターセプトで攻守交代。これまた一瞬のうちに場面が転換した。
ハーフライン付近から始まったファイターズの攻撃は、松井へのパスや高松、渡辺らのランであっという間にゴール前10ヤードまで進む。しかし、そこからの攻めが続かず、フィールドゴールを狙う。これを相手守備陣にブロックされ、せっかくの好機が無得点。
そのショックが尾を引いたのか、次の関大の攻撃では自分たちの得意とするショベルパスをRBに簡単に通され、それをカバーする選手もいないまま80ヤードの独走TDを許してしまった。これまたフィールドゴールをブロックされたショックを残したまま守備についた面々が、一瞬の隙を見せたということだろう。一瞬の隙が得点を左右し、勝敗の分岐点になるという見本のようなプレーであり、一瞬の油断、ちょっとしたミスが場面を暗転させてしまうフットボールの怖しさといってもよい。
幸いなことにファイターズは、前半、7-0とリードした後、悔しいターンオーバーにもめげず、山口のTDと小川のフィールドゴールで得点を重ね、17-0とリードしていたから助かったが、これが僅差で競り合った試合だったらどうなっていたか。考えるだけでも恐ろしい。グラウンドで戦う選手達にとっては、一つのプレーの失敗、一球のミスの恐ろしさが身に沁みたに違いない。
試合後、鳥内監督が「準備のイメージができていない。もっとうまく、強く、賢くならなアカン」と言われていたが、まさにその通りである。
シーズン当初に比べると、一つ一つのプレーの精度は上がっている。けがで戦列を離れていた井若主将、藤木、松本副主将も戦列に戻ってきた。心配されていた下級生中心のOLも関大ディフェンスに対抗出来るぐらいにまでは仕上がった。レシーバー陣は完璧だし、RB陣も揃っている。何よりQB光藤が試合ごとに成長している。
問題はその総力をどのように結集するか。次週に対戦するパナソニックは、関大よりはるかに強力な戦力を備えている。「社会人に勝つ」を目標にしているファイターズが、そんな強敵を相手にどんな戦いをするか。残された数日間に選手一人一人が覚醒し、一瞬のプレーに全知全能をしぼってくれることを期待している。
天気は晴れ、風は西から東に緩やかに流れている。夕方5時キックオフとあって、日中の暑さも多少は和らいでいる。絶好の観戦日和であり、スタンドには若い女性ファンの数が普段の多いように思える。
ファイターズのレシーブで試合開始。予想通り互いに闘志をむき出しにしたねじり合いが始まる。
自陣25ヤードからのファイターズの攻撃。最初のQBドローは進まなかったが、次のプレー、光藤からピッチされたRB高松が左サイドを駆け上がって26ヤード。一気にハーフラインまで陣地を進める。続いて光藤からWR前田へのパスで7ヤードを獲得。そこからRB山口、渡辺らのランプレーを3本続け、気がつけばゴール前25ヤード。そこで光藤からWR亀山へのTDパスがヒットする。K小川のキックも決まって7-0とファイターズがリードする。
この間、9プレー。進まなかったプレーも含めて一つとして無駄と無理のないプレーが続いた。オフェンス全体が集中力を高めて臨んだ結果だろう。
続く関大の攻撃も自陣25ヤード付近から。こちらも3年生のQBが速いテンポでパスを投げ、ぐいぐいと攻め込んでくる。光藤のリリースも速いが、関大のQBもそれに負けず劣らずの速さである。ファイターズのDB陣がカバーする前に素早いパスを投げ、合間にQBキープとRBの切れ味のよいランプレーを織り交ぜ、あっという間にファイターズのゴール前。ダウン更新まで1ヤード、ゴールまで2ヤードというところまで押し込んできた。
第4ダウンショートの勝負手はゴール右隅へ走り込んだRBへのパス。一瞬通されたかと思ったが、ボールは相手の手の内からこぼれ、攻守交代。まさに「九死に一生」という場面であり、大げさに言えば、この一瞬が勝敗を分けたようなプレーだった。
しかし、ミスは相手だけではない。続くファイターズの攻撃でも、同じような暗転場面が現われる。自陣2ヤードから始まったファイターズの攻撃シリーズは前田への短いパス、山口や渡辺らのランで陣地を進め、自陣37ヤード付近から光藤がWR松井へ50ヤードのパスをヒット。一気に相手ゴール前に迫る。一気に突き放すチャンスだったが、光藤から松井へ通そうとしたTDパスが相手に奪われ、一瞬にして攻守交代。松井の長身とジャンプ力を生かし、空中戦でパスを通そうという試みだったが、弾道が意図したよりも低く、松井が競り合う前に相手DBに奪われ、せっかくのロングドライブが得点にならなかった。これまた一つ間違えば、勝敗を分けてしまうようなプレーだった。
似たような場面は後半、第3Qになってからも続く。関大は最初からノーハドルオフェンスで攻め込んで来たが、DB小椋が値千金のインターセプトで攻守交代。これまた一瞬のうちに場面が転換した。
ハーフライン付近から始まったファイターズの攻撃は、松井へのパスや高松、渡辺らのランであっという間にゴール前10ヤードまで進む。しかし、そこからの攻めが続かず、フィールドゴールを狙う。これを相手守備陣にブロックされ、せっかくの好機が無得点。
そのショックが尾を引いたのか、次の関大の攻撃では自分たちの得意とするショベルパスをRBに簡単に通され、それをカバーする選手もいないまま80ヤードの独走TDを許してしまった。これまたフィールドゴールをブロックされたショックを残したまま守備についた面々が、一瞬の隙を見せたということだろう。一瞬の隙が得点を左右し、勝敗の分岐点になるという見本のようなプレーであり、一瞬の油断、ちょっとしたミスが場面を暗転させてしまうフットボールの怖しさといってもよい。
幸いなことにファイターズは、前半、7-0とリードした後、悔しいターンオーバーにもめげず、山口のTDと小川のフィールドゴールで得点を重ね、17-0とリードしていたから助かったが、これが僅差で競り合った試合だったらどうなっていたか。考えるだけでも恐ろしい。グラウンドで戦う選手達にとっては、一つのプレーの失敗、一球のミスの恐ろしさが身に沁みたに違いない。
試合後、鳥内監督が「準備のイメージができていない。もっとうまく、強く、賢くならなアカン」と言われていたが、まさにその通りである。
シーズン当初に比べると、一つ一つのプレーの精度は上がっている。けがで戦列を離れていた井若主将、藤木、松本副主将も戦列に戻ってきた。心配されていた下級生中心のOLも関大ディフェンスに対抗出来るぐらいにまでは仕上がった。レシーバー陣は完璧だし、RB陣も揃っている。何よりQB光藤が試合ごとに成長している。
問題はその総力をどのように結集するか。次週に対戦するパナソニックは、関大よりはるかに強力な戦力を備えている。「社会人に勝つ」を目標にしているファイターズが、そんな強敵を相手にどんな戦いをするか。残された数日間に選手一人一人が覚醒し、一瞬のプレーに全知全能をしぼってくれることを期待している。
(7)JV戦の収穫
投稿日時:2017/05/23(火) 13:23
20日の土曜日は、今季初めてのJV戦。京都産業大学との試合だった。会場の第3フィールドは、雲一つない好天。5月とは思えないほどの強い日差しが照りつける。いつも通り平郡雷太君を偲ぶ記念樹の前で観戦していたが、暑くて暑くて耐えられない。隙をみては記念樹の木陰に逃げ込んで一息入れていたが、試合後、帰宅して鏡を見れば、顔も首筋も腕も、やけどしたように赤くなっていた。
幸い甲山から心地よい風が吹いていたが、それでも人工芝のグラウンドで戦う選手達にとっては、相手と戦う前に、暑さとの戦いが大変だったろう。とりわけスタイルしているメンバーが30人ほどしかいない相手チームにとっては、攻守ともに交代メンバーを準備するだけでも大変だったに違いない。暑さでふらふらになっても、休む間もなく出場しなければならない選手が多かったことには、思わず同情してしまった。
対して、ファイターズのベンチには、多少とも日陰のある場所がある。4年生から1年生まで、各ポジションの交代メンバーにも不足はない。というより、誰も彼もが出場機会を狙ってぎらぎらしている。
そうした両軍ベンチの条件の違いが77-0というJV戦でも珍しい結果になったのだろう。とりわけ後半は、相手の主力選手がバテバテになっているのがスタンドからでもうかがえた。
だから、今回は試合展開を追ってもあまり意味はない。それよりも、これは期待が持てると思わせてくれた選手や新しく加入した1年生を中心に書いていきたい。
一番はRB中村行佑。試合が始まって2プレー目。自陣23ヤード付近から左オープンを駆け上がり、一気に77ヤードを走り切って先制のTD。その後も40ヤードの独走TDなど合計4本のTDを決める活躍振りだった。試合後の統計を見れば、ランが8回171ヤード、レシーブが1回40ヤード、合計211ヤードを獲得して、今季、Vの試合でも活躍しているのが伊達ではないところを見せた。
同じRBでは、QBから移ってきた西野も6回のキャリーで81ヤード。独走タッチダウンも決めた。彼は肩が強く、走る能力も兼ね備えたQBとして期待されてきたが、RBに移ってからは練習に対する取り組みが変わったようだ。練習中にも「今年はひと味違うぞ」と思わされる場面が何度かあり、試合前から密かにこの日の注目選手と見ていたが、期待は裏切られなかった。
注目選手と言えば、この日の先発QB百田。強肩の大型QBとして入部当時から期待されてきたが、何かと伸び悩み、なかなかチャンスがつかめなかった。しかし、JV戦とはいえ、この日は先発。同じ4年生のWR前田耕作へ立て続けに2本のTDパスを決めて非凡なところを見せた。76ヤードのTDパスを確実にキャッチした前田も、さすがはVのメンバー。スピード、コース取り、そしてキャッチングのセンス。それぞれがJV戦に出すことが「反則」と思えるほど、別格の存在に見えた。
問題はOL。JV戦とはいいながら、この日の先発メンバーは、先日の日大戦と全く同じ。右から松田、森田、光岡、松永、池田と並んだ。TEこそ三木から藤田統貴に代わったが、いわばVのメンバーで臨んだのである。Vのメンバーを駆り出さなければ、人数が揃えられないのか、それとも経験の浅いメンバーに少しでも試合経験を積ませるため、あえてJV戦でも先発で起用し、試合の中で何事かを覚えさせようとしたのか。詳しいことは分からないが、ともあれ、昨年のOLを支えたメンバーの大半が卒業し、その穴を埋めるのに苦労している現状を見せつけられた気がする。
ディフェンスもまた、多くのメンバーを卒業で失った。その穴を埋めるためにこの日は試合経験の少ない下級生を積極的に登用した。DLの今井、筒井、パング弟。LBの大竹、板敷、倉西。彼らは昨年から今季にかけて、少しずつ試合に出る機会があり、試合を重ねるたびに動きがよくなっている。再建色の強いDB陣も、慶応や日大との戦いで交代メンバーとして出ていた田中、平尾、坂本、荒川、弓岡らが活躍。それぞれに見せ場を作った。今後、試合経験を積むごとに力を発揮してくれそうな予感がする。
この日は1年生も数人、試合に出場し、それぞれ非凡なところを見せた。出番が後半、相手がバテてしまった後だから、割り引いて考えなければならないが、それでもRB田窪(追手門)のパワフルな走り、TDを挙げたRB鶴留(啓明)の切れのよいステップは、1年生離れしたところがあった。レシーバーでは高等部ではQBだった山口、林が活躍。守備ではLBの海崎(追手門)とDB井上(浪速)が出場機会を掴んだ。それぞれ、まだまだ動きはぎこちないが、それでも4月に入学してきたばかりとは思えないような元気な動きを見せていた。
今季はほかにも将来性豊かな1年生が何人もいる。ようやく半数近くがレギュラー陣の練習に交えてもらえるようになったばかりだが、次の北海道大学とのJV戦には、出場機会が増えるに違いない。今度は、そこに注目したい。
もちろん、ファンにとってもチームにとっても、その前に大きな山がある。今週末の関大戦であり、その次の社会人、パナソニックとの戦いである。多くの卒業生を送り出し、再建色の強いチームを4年生がどのようにまとめるか。下級生の中からどれだけ「孝行息子」が出てくるか。今度はそこに注目して応援しよう。試合会場は王子スタジアム、28日午後5時キックオフである。
◇ ◇
お知らせがひとつあります。今年も朝日カルチャーセンターで小野ディレクターによる公開講座「フットボールの本当の魅力」が開かれます。
日時:7月15日(土)午後6時30分
場所:アステ川西6階「アステホール」(阪急川西能勢口駅前、JR「川西池田」駅よりデッキで直結)
今年もより広く一般の関学生にも参加してもらおうと、講師の特別な配慮により、関西学院の学生(学生証の提示が必要)を対象に「特別割引価格」が用意されています。
詳細は、下記、朝日カルチャーセンターのホームページを参考にして下さい。
https://www.asahiculture.jp/kawanishi/course/73fa66a5-ced3-5b2c-6723-58f18fa7fe1b
幸い甲山から心地よい風が吹いていたが、それでも人工芝のグラウンドで戦う選手達にとっては、相手と戦う前に、暑さとの戦いが大変だったろう。とりわけスタイルしているメンバーが30人ほどしかいない相手チームにとっては、攻守ともに交代メンバーを準備するだけでも大変だったに違いない。暑さでふらふらになっても、休む間もなく出場しなければならない選手が多かったことには、思わず同情してしまった。
対して、ファイターズのベンチには、多少とも日陰のある場所がある。4年生から1年生まで、各ポジションの交代メンバーにも不足はない。というより、誰も彼もが出場機会を狙ってぎらぎらしている。
そうした両軍ベンチの条件の違いが77-0というJV戦でも珍しい結果になったのだろう。とりわけ後半は、相手の主力選手がバテバテになっているのがスタンドからでもうかがえた。
だから、今回は試合展開を追ってもあまり意味はない。それよりも、これは期待が持てると思わせてくれた選手や新しく加入した1年生を中心に書いていきたい。
一番はRB中村行佑。試合が始まって2プレー目。自陣23ヤード付近から左オープンを駆け上がり、一気に77ヤードを走り切って先制のTD。その後も40ヤードの独走TDなど合計4本のTDを決める活躍振りだった。試合後の統計を見れば、ランが8回171ヤード、レシーブが1回40ヤード、合計211ヤードを獲得して、今季、Vの試合でも活躍しているのが伊達ではないところを見せた。
同じRBでは、QBから移ってきた西野も6回のキャリーで81ヤード。独走タッチダウンも決めた。彼は肩が強く、走る能力も兼ね備えたQBとして期待されてきたが、RBに移ってからは練習に対する取り組みが変わったようだ。練習中にも「今年はひと味違うぞ」と思わされる場面が何度かあり、試合前から密かにこの日の注目選手と見ていたが、期待は裏切られなかった。
注目選手と言えば、この日の先発QB百田。強肩の大型QBとして入部当時から期待されてきたが、何かと伸び悩み、なかなかチャンスがつかめなかった。しかし、JV戦とはいえ、この日は先発。同じ4年生のWR前田耕作へ立て続けに2本のTDパスを決めて非凡なところを見せた。76ヤードのTDパスを確実にキャッチした前田も、さすがはVのメンバー。スピード、コース取り、そしてキャッチングのセンス。それぞれがJV戦に出すことが「反則」と思えるほど、別格の存在に見えた。
問題はOL。JV戦とはいいながら、この日の先発メンバーは、先日の日大戦と全く同じ。右から松田、森田、光岡、松永、池田と並んだ。TEこそ三木から藤田統貴に代わったが、いわばVのメンバーで臨んだのである。Vのメンバーを駆り出さなければ、人数が揃えられないのか、それとも経験の浅いメンバーに少しでも試合経験を積ませるため、あえてJV戦でも先発で起用し、試合の中で何事かを覚えさせようとしたのか。詳しいことは分からないが、ともあれ、昨年のOLを支えたメンバーの大半が卒業し、その穴を埋めるのに苦労している現状を見せつけられた気がする。
ディフェンスもまた、多くのメンバーを卒業で失った。その穴を埋めるためにこの日は試合経験の少ない下級生を積極的に登用した。DLの今井、筒井、パング弟。LBの大竹、板敷、倉西。彼らは昨年から今季にかけて、少しずつ試合に出る機会があり、試合を重ねるたびに動きがよくなっている。再建色の強いDB陣も、慶応や日大との戦いで交代メンバーとして出ていた田中、平尾、坂本、荒川、弓岡らが活躍。それぞれに見せ場を作った。今後、試合経験を積むごとに力を発揮してくれそうな予感がする。
この日は1年生も数人、試合に出場し、それぞれ非凡なところを見せた。出番が後半、相手がバテてしまった後だから、割り引いて考えなければならないが、それでもRB田窪(追手門)のパワフルな走り、TDを挙げたRB鶴留(啓明)の切れのよいステップは、1年生離れしたところがあった。レシーバーでは高等部ではQBだった山口、林が活躍。守備ではLBの海崎(追手門)とDB井上(浪速)が出場機会を掴んだ。それぞれ、まだまだ動きはぎこちないが、それでも4月に入学してきたばかりとは思えないような元気な動きを見せていた。
今季はほかにも将来性豊かな1年生が何人もいる。ようやく半数近くがレギュラー陣の練習に交えてもらえるようになったばかりだが、次の北海道大学とのJV戦には、出場機会が増えるに違いない。今度は、そこに注目したい。
もちろん、ファンにとってもチームにとっても、その前に大きな山がある。今週末の関大戦であり、その次の社会人、パナソニックとの戦いである。多くの卒業生を送り出し、再建色の強いチームを4年生がどのようにまとめるか。下級生の中からどれだけ「孝行息子」が出てくるか。今度はそこに注目して応援しよう。試合会場は王子スタジアム、28日午後5時キックオフである。
◇ ◇
お知らせがひとつあります。今年も朝日カルチャーセンターで小野ディレクターによる公開講座「フットボールの本当の魅力」が開かれます。
日時:7月15日(土)午後6時30分
場所:アステ川西6階「アステホール」(阪急川西能勢口駅前、JR「川西池田」駅よりデッキで直結)
今年もより広く一般の関学生にも参加してもらおうと、講師の特別な配慮により、関西学院の学生(学生証の提示が必要)を対象に「特別割引価格」が用意されています。
詳細は、下記、朝日カルチャーセンターのホームページを参考にして下さい。
https://www.asahiculture.jp/kawanishi/course/73fa66a5-ced3-5b2c-6723-58f18fa7fe1b
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