石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」 2012/4
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(4)視点の違いが評価を変える
投稿日時:2012/04/26(木) 22:38
21日の土曜日は、明治大学との今季開幕戦。「KG,BOWL」と名付け、新入生歓迎の意味を込めた試合だった。
木曜日に理髪店に行き、髪を切って気分を一新し、金曜日は上ヶ原のグラウンドで試合前の練習を見学。ついでに上ヶ原の八幡神社にもお参りして、勝利と選手の無事を祈願。準備万端整えて土曜日は元気よく王子スタジアムへ。
いよいよシーズンが始まる。天気は晴れ。スタジアムを取り囲む木々の若葉は一斉に芽吹き、六甲山と摩耶山から吹き下ろしてくる風は肌に心地よい。「薫風香る」という表現がぴったりの天候だ。
いつもの席に着き、いつもの観戦仲間と試合前の練習を眺めていると、それだけで身も心も高ぶってくる。自分が試合をするわけではないけれども、グラウンドに降りた選手がみな親しい身内、かわいい子どもたちのように思えるからだろう。これから来年1月3日までの長い戦いの火ぶたが切られる、と考えるだけで、気分が高揚する。
さて、試合である。先発メンバーを見て驚いた。昨年の甲子園ボウルとはがらりとメンバーが入れ替わっている。ディフェンスラインはLBから川端がディフェンスエンドに回り、残る3人は岡部、中前、国安という2、3年生のメンバー。LBの西山、DBの保宗、高も、昨年は交代メンバーだった。
オフェンスはもっと新顔が多い。甲子園ボウルでスタメンだったのはOLの友國とWR梅本だけ。残りは全員が交代メンバーだった。OLの月山やQBの斎藤はこの春、2年生になったばかり。キッカー、パンターの堀本も、昨年までは大西君の陰に隠れて、ほとんど出番のなかった選手だ。
4年生が卒業していったという事情を考慮しても、ここまで多くの新しいメンバーが先発するとは思っていなかった。意外でもあったが、同時にまた「冬場に努力したメンバーの力を試合で試してみたい」という監督やコーチの強い意志を感じた。
とはいえ、これで関東の強豪、明治大学の強力なラインと対等に戦えるのだろうか、という不安がよぎる。というのはほかでもない。前日の練習では、試合に備えたチーム練習をほとんどせず、もっぱら基本的なスキルを身につける練習に力を入れているのを見てきたばかりだったからだ。
ファイターズのキックで試合開始。立ち上がりはファイターズがDB高のファンブルリカバーやLB坂本のインターセプトなど守備陣の踏ん張りで押し気味に試合を進めた。だが、急所で反則が続出。QB斎藤からWR木戸へのTDパスをふいにしたりして、両軍とも無得点。
ところが、第2Q開始早々、ファイターズのパントが相手守備陣にブロックされ、そのままTD。思わぬ形で相手に主導権を奪われた。その後も互いにターンオーバーを繰り返す雑な攻撃が続いたが、梶原弟のファンブルリカバーで得た好機にK堀本が40ヤードのフィールドゴールを決め、ようやく試合が落ち着いた。ファイターズは前半終了間際に斎藤からWR梅本、南本、大園へのパスが次々ヒット。相手ゴール前に陣地を進め、最後はRB榎本が2ヤードを走り切ってTD。10-7で前半を折り返した。
ファイターズは後半、2度目の攻撃シリーズで、RB野々垣のランと斎藤から南本への長いパスで相手ゴール前に迫り、仕上げは斎藤からWR森本への15ヤードTDパス。その直後、明治の攻撃シリーズでTDを返されたが、ファイターズもすぐさまRB後藤が左オープンを走り切ってTD。相手の反撃をDB森岡のインターセプトで断ち切り、主導権を握ったままで試合終了。終わって見れば29-14でファイターズの勝利だった。
さて、この結果をどう評価するか。
「ライスボウルの雪辱を」「今年こそ社会人に勝って日本1に」という視点で見れば、攻守ともに物足りない点がいくつもあった。試合後のハドルでも副将の金本君が「こんな試合してて、日本1になれるんか」と大きな声で檄を飛ばしていた。梶原主将も「試合に出ているメンバーはともかく、ベンチの雰囲気が悪すぎる。チームが一丸になって戦っている姿が見えない」と厳しい表情だった。
では、春の試合は新しい戦力を試す場という視点で見ればどうだろう。実のところ、鳥内監督や大村コーチは、試合の前日になっても「今季は試合前に特別な準備はしない。春は、普段やっていることがどこまで強い相手に通用するか、それが見たい」と話していた。
その視点で見れば、攻守とも新しい戦力の芽生えがあった。2年生に限ってもOLの月山、RB吉澤は十分使えそうだ。LBの小野と西山も動きがよいし、DBには高校時代から実績のある国吉のほか、バスケットボール部から転じてきたアスリート森岡の動きが目についた。村岡も経験を積めば使えそうだ。DLの岡部と梶原弟の高等部コンビの動きもよい。これからもどんどん試合に出て、経験を積んでほしい。
もちろん、斎藤と前田という2人のQBにも期待がかかる。昨シーズン、急速に成長した4年生の畑と比較すれば、すべてにおいて見劣りするが、経験を積み、試合の雰囲気に慣れてくれば、持っている才能をもっともっと発揮してくれるだろう。それはRB米田や松岡弟にもいえることだ。
そう考えると、初戦の結果だけで、今季のファイターズのことを判断するのは早計だ。不満もあり、期待もあるという、ニュートラルな立場で今後を見守りたい。
木曜日に理髪店に行き、髪を切って気分を一新し、金曜日は上ヶ原のグラウンドで試合前の練習を見学。ついでに上ヶ原の八幡神社にもお参りして、勝利と選手の無事を祈願。準備万端整えて土曜日は元気よく王子スタジアムへ。
いよいよシーズンが始まる。天気は晴れ。スタジアムを取り囲む木々の若葉は一斉に芽吹き、六甲山と摩耶山から吹き下ろしてくる風は肌に心地よい。「薫風香る」という表現がぴったりの天候だ。
いつもの席に着き、いつもの観戦仲間と試合前の練習を眺めていると、それだけで身も心も高ぶってくる。自分が試合をするわけではないけれども、グラウンドに降りた選手がみな親しい身内、かわいい子どもたちのように思えるからだろう。これから来年1月3日までの長い戦いの火ぶたが切られる、と考えるだけで、気分が高揚する。
さて、試合である。先発メンバーを見て驚いた。昨年の甲子園ボウルとはがらりとメンバーが入れ替わっている。ディフェンスラインはLBから川端がディフェンスエンドに回り、残る3人は岡部、中前、国安という2、3年生のメンバー。LBの西山、DBの保宗、高も、昨年は交代メンバーだった。
オフェンスはもっと新顔が多い。甲子園ボウルでスタメンだったのはOLの友國とWR梅本だけ。残りは全員が交代メンバーだった。OLの月山やQBの斎藤はこの春、2年生になったばかり。キッカー、パンターの堀本も、昨年までは大西君の陰に隠れて、ほとんど出番のなかった選手だ。
4年生が卒業していったという事情を考慮しても、ここまで多くの新しいメンバーが先発するとは思っていなかった。意外でもあったが、同時にまた「冬場に努力したメンバーの力を試合で試してみたい」という監督やコーチの強い意志を感じた。
とはいえ、これで関東の強豪、明治大学の強力なラインと対等に戦えるのだろうか、という不安がよぎる。というのはほかでもない。前日の練習では、試合に備えたチーム練習をほとんどせず、もっぱら基本的なスキルを身につける練習に力を入れているのを見てきたばかりだったからだ。
ファイターズのキックで試合開始。立ち上がりはファイターズがDB高のファンブルリカバーやLB坂本のインターセプトなど守備陣の踏ん張りで押し気味に試合を進めた。だが、急所で反則が続出。QB斎藤からWR木戸へのTDパスをふいにしたりして、両軍とも無得点。
ところが、第2Q開始早々、ファイターズのパントが相手守備陣にブロックされ、そのままTD。思わぬ形で相手に主導権を奪われた。その後も互いにターンオーバーを繰り返す雑な攻撃が続いたが、梶原弟のファンブルリカバーで得た好機にK堀本が40ヤードのフィールドゴールを決め、ようやく試合が落ち着いた。ファイターズは前半終了間際に斎藤からWR梅本、南本、大園へのパスが次々ヒット。相手ゴール前に陣地を進め、最後はRB榎本が2ヤードを走り切ってTD。10-7で前半を折り返した。
ファイターズは後半、2度目の攻撃シリーズで、RB野々垣のランと斎藤から南本への長いパスで相手ゴール前に迫り、仕上げは斎藤からWR森本への15ヤードTDパス。その直後、明治の攻撃シリーズでTDを返されたが、ファイターズもすぐさまRB後藤が左オープンを走り切ってTD。相手の反撃をDB森岡のインターセプトで断ち切り、主導権を握ったままで試合終了。終わって見れば29-14でファイターズの勝利だった。
さて、この結果をどう評価するか。
「ライスボウルの雪辱を」「今年こそ社会人に勝って日本1に」という視点で見れば、攻守ともに物足りない点がいくつもあった。試合後のハドルでも副将の金本君が「こんな試合してて、日本1になれるんか」と大きな声で檄を飛ばしていた。梶原主将も「試合に出ているメンバーはともかく、ベンチの雰囲気が悪すぎる。チームが一丸になって戦っている姿が見えない」と厳しい表情だった。
では、春の試合は新しい戦力を試す場という視点で見ればどうだろう。実のところ、鳥内監督や大村コーチは、試合の前日になっても「今季は試合前に特別な準備はしない。春は、普段やっていることがどこまで強い相手に通用するか、それが見たい」と話していた。
その視点で見れば、攻守とも新しい戦力の芽生えがあった。2年生に限ってもOLの月山、RB吉澤は十分使えそうだ。LBの小野と西山も動きがよいし、DBには高校時代から実績のある国吉のほか、バスケットボール部から転じてきたアスリート森岡の動きが目についた。村岡も経験を積めば使えそうだ。DLの岡部と梶原弟の高等部コンビの動きもよい。これからもどんどん試合に出て、経験を積んでほしい。
もちろん、斎藤と前田という2人のQBにも期待がかかる。昨シーズン、急速に成長した4年生の畑と比較すれば、すべてにおいて見劣りするが、経験を積み、試合の雰囲気に慣れてくれば、持っている才能をもっともっと発揮してくれるだろう。それはRB米田や松岡弟にもいえることだ。
そう考えると、初戦の結果だけで、今季のファイターズのことを判断するのは早計だ。不満もあり、期待もあるという、ニュートラルな立場で今後を見守りたい。
(3)ファイターズ・デー
投稿日時:2012/04/18(水) 08:52
春季シーズンの開幕を前に14日、上ヶ原の第3フィールドでファイターズ・デーが開かれた。午前はファイターズの紅白戦、午後はブルーナイツ、関西学院初等部ファイターズ、中学部ファイターズ、高等部ファイターズ、OBチーム、シニアファイターズ、それにファイターズに入ったばかりのフレッシュマンのチームが参加して、フラッグフットボールとタッチフットボールの試合があった。
前夜からの雨もあがり、お目当ての紅白戦が始まるころには、初夏のような爽やかな日差し。紅白戦は2年生QB斎藤君が率いるブルーチームと、同じく2年生QB前田君がリードするホワイトチームの対戦。けがで調整中の部員や就職活動中の4年生は参加できなかったが、その分、普段の試合ではあまり見ることのできないメンバーが多数出場することができたので、観戦しているファンとしてはうれしい限りである。
前後半、各20分の2クオーター制。互いに50ヤード地点から攻撃し、激しいタックルも禁止という「安全第一」のルールだったが、そこは格闘技。試合に熱が入るにつれて、プレーも激しさを増す。前半は、ブルーチームがゴール前9ヤードからQB斎藤君が左オープンに走って先制のTD。ホワイトチームの反撃をフィールドゴール1本に抑えて7-3でリード。
後半に入るとホワイトチームも反撃。互いにTD1本を奪い合うシーソーゲームとなったが、最後はホワイトチームの前田君がWR南本君にTDパスを決め、17-14で逆転勝ち。紅白戦ならではの和やかな雰囲気の中で、新戦力の台頭と試合の楽しさを味うことができた。
午後のタッチフットとフラッグフットの試合は、さらに和やかな雰囲気。シニアファイターズチームでは、小野コーチがQBとして出場、びしばしと正確なパスを決める場面があったし、フレッシュマンチームでは、期待の新人が次々に登場。日頃の練習とはひと味違う楽しげな表情で伸び伸びとプレーしていた。ともにKGファミリーが一堂に会し、フットボールを楽しむファイターズ・デーならではの場面。選手の素顔を見ようと駆けつけたファンクラブの人たちも満足げな様子だった。
本当はその模様を、もっと詳しくお伝えしたいのだが、実は試合の様子をほとんど見ていない。スタンドのいすに腰掛け、主将の梶原君や副将の川端君らと、延々2時間近く話込んでいたからだ。普段、練習を見る機会は多いが、彼らは練習に身を入れている。当然、ゆっくり話す時間はない。けれども、この日は紅白戦の後は、選手たちも比較的手が空いている。そこで、タッチフットの試合を見ながら、今季のチームの運営やリーダーとしての心構えなどについて、彼らの話をじっくりと聞いていたのだ。
彼らとの話の内容は、チーム内部のことなので、ここでは省略。
代わりに夕方から、今春チームを巣立っていった前主将の松岡君とDBリーダーだった香山君と会食しながら話したことの一端をご紹介しよう。
彼らとはこの1年、グラウンドとスタンドとの違いはあっても、互いに熱中してフットボールに打ち込んだ。昨年のチーム作りについての思い出話から、それぞれの成長のきっかけ、リーダーとして心に決めたことやプレーの回顧談。同じ場面を共有したものが同じ関心を持ってフットボールのことを話すだから、どんな前置きも説明も必要ない。いきなり本題に入れる。
例えば、立命のエースQB谷口君とファイターズの突貫RB望月君の当たりの強さの違いを説明する香山君の話。彼は、二人に本気でぶつかった当事者のみが表現できる言葉で、その強さの違いを説明してくれた。そして、そんなに強い相手に真正面からぶつかって負けなかった自らの修練、そこに至る道筋を話してくれた。
松岡君は、昨年の夏合宿で練習中に意識を失いかけた時の心境について、これまた当事者ならではの言葉で語ってくれた。
具体的な言葉は、あえて省略させていただくが、ともに「俺がチームを引き受ける」という責任感があって初めて口にすることのできる表現だった。そういう表現が自然に口から出てくるところに、彼らのこの1年間の取り組みの真実が垣間見えた。その取り組みが二人を成長させたことが実感できた。
ほんの数時間前、これからの1年、ファイターズをどのようにリードしていこうかと悩み、苦しんでいる新しい幹部たちと話したばかり。新幹部の意気込みとそれに付随する戸惑い、悩みを耳にしたばかりとあって、1年間の重責を果たし、その苦しさを糧に成長し、卒業していく二人の言葉がとりわけ胸にしみた。ファイターズの4年生の背負う荷物の重さを知り、またそれを背負いきったときの果実の大きさを知ることができた。
新しい4年生もまた、この1年間の重い任務を果たし、来年のいまごろには、松岡君や香山君のような言葉を口にするようになっているに違いない。なぜなら、上ヶ原のグラウンドには、人を人として成長させる磁場があるからだ。
梶原君、川端君、そして金本君。リーダーの責任は重いけど、それぞれのやり方、手法で壁を突破し、目標を完遂してほしい。その責任を果たしてほしい。どんなに苦しくても、それを自分の力で突破したとき、諸君の前には新たな世界が広がるだろう。松岡、香山の両先輩がそれを証明している。
前夜からの雨もあがり、お目当ての紅白戦が始まるころには、初夏のような爽やかな日差し。紅白戦は2年生QB斎藤君が率いるブルーチームと、同じく2年生QB前田君がリードするホワイトチームの対戦。けがで調整中の部員や就職活動中の4年生は参加できなかったが、その分、普段の試合ではあまり見ることのできないメンバーが多数出場することができたので、観戦しているファンとしてはうれしい限りである。
前後半、各20分の2クオーター制。互いに50ヤード地点から攻撃し、激しいタックルも禁止という「安全第一」のルールだったが、そこは格闘技。試合に熱が入るにつれて、プレーも激しさを増す。前半は、ブルーチームがゴール前9ヤードからQB斎藤君が左オープンに走って先制のTD。ホワイトチームの反撃をフィールドゴール1本に抑えて7-3でリード。
後半に入るとホワイトチームも反撃。互いにTD1本を奪い合うシーソーゲームとなったが、最後はホワイトチームの前田君がWR南本君にTDパスを決め、17-14で逆転勝ち。紅白戦ならではの和やかな雰囲気の中で、新戦力の台頭と試合の楽しさを味うことができた。
午後のタッチフットとフラッグフットの試合は、さらに和やかな雰囲気。シニアファイターズチームでは、小野コーチがQBとして出場、びしばしと正確なパスを決める場面があったし、フレッシュマンチームでは、期待の新人が次々に登場。日頃の練習とはひと味違う楽しげな表情で伸び伸びとプレーしていた。ともにKGファミリーが一堂に会し、フットボールを楽しむファイターズ・デーならではの場面。選手の素顔を見ようと駆けつけたファンクラブの人たちも満足げな様子だった。
本当はその模様を、もっと詳しくお伝えしたいのだが、実は試合の様子をほとんど見ていない。スタンドのいすに腰掛け、主将の梶原君や副将の川端君らと、延々2時間近く話込んでいたからだ。普段、練習を見る機会は多いが、彼らは練習に身を入れている。当然、ゆっくり話す時間はない。けれども、この日は紅白戦の後は、選手たちも比較的手が空いている。そこで、タッチフットの試合を見ながら、今季のチームの運営やリーダーとしての心構えなどについて、彼らの話をじっくりと聞いていたのだ。
彼らとの話の内容は、チーム内部のことなので、ここでは省略。
代わりに夕方から、今春チームを巣立っていった前主将の松岡君とDBリーダーだった香山君と会食しながら話したことの一端をご紹介しよう。
彼らとはこの1年、グラウンドとスタンドとの違いはあっても、互いに熱中してフットボールに打ち込んだ。昨年のチーム作りについての思い出話から、それぞれの成長のきっかけ、リーダーとして心に決めたことやプレーの回顧談。同じ場面を共有したものが同じ関心を持ってフットボールのことを話すだから、どんな前置きも説明も必要ない。いきなり本題に入れる。
例えば、立命のエースQB谷口君とファイターズの突貫RB望月君の当たりの強さの違いを説明する香山君の話。彼は、二人に本気でぶつかった当事者のみが表現できる言葉で、その強さの違いを説明してくれた。そして、そんなに強い相手に真正面からぶつかって負けなかった自らの修練、そこに至る道筋を話してくれた。
松岡君は、昨年の夏合宿で練習中に意識を失いかけた時の心境について、これまた当事者ならではの言葉で語ってくれた。
具体的な言葉は、あえて省略させていただくが、ともに「俺がチームを引き受ける」という責任感があって初めて口にすることのできる表現だった。そういう表現が自然に口から出てくるところに、彼らのこの1年間の取り組みの真実が垣間見えた。その取り組みが二人を成長させたことが実感できた。
ほんの数時間前、これからの1年、ファイターズをどのようにリードしていこうかと悩み、苦しんでいる新しい幹部たちと話したばかり。新幹部の意気込みとそれに付随する戸惑い、悩みを耳にしたばかりとあって、1年間の重責を果たし、その苦しさを糧に成長し、卒業していく二人の言葉がとりわけ胸にしみた。ファイターズの4年生の背負う荷物の重さを知り、またそれを背負いきったときの果実の大きさを知ることができた。
新しい4年生もまた、この1年間の重い任務を果たし、来年のいまごろには、松岡君や香山君のような言葉を口にするようになっているに違いない。なぜなら、上ヶ原のグラウンドには、人を人として成長させる磁場があるからだ。
梶原君、川端君、そして金本君。リーダーの責任は重いけど、それぞれのやり方、手法で壁を突破し、目標を完遂してほしい。その責任を果たしてほしい。どんなに苦しくても、それを自分の力で突破したとき、諸君の前には新たな世界が広がるだろう。松岡、香山の両先輩がそれを証明している。
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