石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」 2010/6/23
(12)豪雨の試合に意地を見た
投稿日時:2010/06/23(水) 08:54
関関戦は、梅雨のまっただ中に行われるせいか、雨になることが多い。18日夕、関西大学のグラウンドで行われた試合も雨。時には激しく降る中での試合となった。
昨年秋のリーグ戦では、ファイターズが13-17で、思いもよらない敗戦。甲子園ボウルへの道を絶たれた因縁の相手である。昨年6月の関関戦でも、終始苦戦を強いられ、かろうじて終了間際に逆転勝ちしている。
そんな相手に、お互いメンバーは更新されたとはいえ、どんな戦いぶりを見せるか、興味津々で観戦した。
立ち上がりから雨は土砂降り。レシーブを選択したファイターズは自陣27ヤードからの攻撃。QB加藤からWR春日へのパス、RB稲村のランで第1ダウンを更新。続いてRB松岡、RB久司の中央突破、さらに久司への18ヤードのパス、稲村の8ヤードランが決まって、相手陣20ヤード付近まで攻撃を進める。
けれどもここからの攻撃が続かず、K大西が36ヤードのフィールドゴール(FG)で3点を挙げただけにとどまった。
続く関大の攻撃を守備陣が食い止め、再び自陣47ヤード付近からファイターズが攻撃。このシリーズも久司のランや加藤のスクランブル、WR松田へ24ヤードパスなどで、簡単に20ヤード付近まで迫る。だが、ここから前に進めない。FGを狙った大西のキックも外れ、再び関大の攻撃。
このシリーズは、守備陣の奮起で簡単に抑えたが、ファイターズの攻撃も進まない。反則やインターセプトもあって、めまぐるしく攻撃権が移り、互いに得点に繋ぐことができない。結局、前半は3-0。
後半に入っても、ファイターズの攻撃は不思議なほど敵陣20ヤード付近で止まってしまう。ランはそこそこ進むのだが、パスが通らない。意表をついたRBへのショベルパスも相手に見切られ、陣地を進めることができない。結局、第3Qは6分3秒に大西が38ヤード、10分49秒に同じく38ヤードのフィールドゴールを決めて6点を挙げたにとどまった。
第4Qになると、関大の追い上げはますます急になる。3人のRBを使い分けてゴール前17ヤードに迫ったが、そこで投じたパスを関学のDB重田がインターセプト。流れを変える。
だが、ファイターズの攻撃もフィニッシュにつながらない。加藤が自陣47ヤード付近からゴールライン近くのWR松原に必殺のロングパスを投じたが、これまたインターセプト。激しく降る雨に手元が狂ったのか、それとも相手の松原へのカバー体制が手厚かったからなのか。ファイターズには嫌な気分がつきまとう展開である。
ところが、ここで主将平澤が値千金のインターセプト。自陣42ヤード付近から相手QBが投じたパスを瞬間的にキャッチし、そのまま58ヤードを独走してタッチダウン。待望の追加点を奪った。
かさにかかったファイターズは、自陣30ヤード付近から始まった最後の攻撃シリーズも、ニーダウンで時間を流すことなく、松岡と久司の独走で陣地を進めた。最後は大西が45ヤードのFGを決めてゲームオーバー。18-0で試合を終えた。
以上、だらだらと試合経過を報告してきたが、そんな中、どうしても伝えておきたい場面が三つあった。
一つはハーフタイム。強い雨に中で、キッカー大西が何度も何度もフィールドゴールの練習をしていた場面である。前半、最初のFGは決めたが、同じような距離の2度目を失敗。40ヤードぐらいなら、確実に決める力を持っている彼にとっては、たとえ雨の中、ゴムボールという制約があっても、37ヤード付近からのFGを外したことが我慢ならなかったのだろう。スナッパー、ホールダーとともに、時間を惜しんで練習に励んでいた。それが、後半、3度のFGトライをことごとく成功に導いたのだろう。たったひと蹴りで勝敗を決する立場に置かれた選手の意地とプライドを見せつけたような場面だった。
二つ目は、後半立ち上がりのシリーズで勢いに乗って攻め込む関大の攻撃をインターセプトで断ち切ったLB村上のプレー。彼はその直前、相手のボールキャリアとすれ違って、ダウン更新を許したばかり。そのスピードと当たりを買われてDLからコンバートされてきた彼にとって、相手のランナーにタックルできなかったは屈辱的。その汚名を返上するため、直後に苦手なはずのパスカバーで殊勲を上げた。これまた意地と名誉をかけたプレーだった。
三つ目は、さきに書いた試合終了直前のファイターズ攻撃。ボールは自陣30ヤード、残り時間は1分を切った状態だったが、ファイターズはニーダウンで時間を流さず、あえて攻撃を選択。松岡と久司がロングドライブを立て続けに決め、加藤が久司へのパスも決めて、あっという間に敵陣27ヤード。ここで大西が落ち着いて45ヤードのFGを決め、試合終了。昨秋、急所でのランプレーをことごとく止められ、結果、思わぬ苦杯をなめた相手に、意地とプライドをかけて挑んだような攻撃シリーズだった。
降りしきる雨の中、三者がそれぞれの持ち場で見せた意地とプライド。これこそ、この日一番の収穫だったと僕は見た。この意地とプライドが彼らだけでなく、ファイターズのすべての選手、スタッフに共有されたとき、チームは一段高いところに登るに違いない。
昨年秋のリーグ戦では、ファイターズが13-17で、思いもよらない敗戦。甲子園ボウルへの道を絶たれた因縁の相手である。昨年6月の関関戦でも、終始苦戦を強いられ、かろうじて終了間際に逆転勝ちしている。
そんな相手に、お互いメンバーは更新されたとはいえ、どんな戦いぶりを見せるか、興味津々で観戦した。
立ち上がりから雨は土砂降り。レシーブを選択したファイターズは自陣27ヤードからの攻撃。QB加藤からWR春日へのパス、RB稲村のランで第1ダウンを更新。続いてRB松岡、RB久司の中央突破、さらに久司への18ヤードのパス、稲村の8ヤードランが決まって、相手陣20ヤード付近まで攻撃を進める。
けれどもここからの攻撃が続かず、K大西が36ヤードのフィールドゴール(FG)で3点を挙げただけにとどまった。
続く関大の攻撃を守備陣が食い止め、再び自陣47ヤード付近からファイターズが攻撃。このシリーズも久司のランや加藤のスクランブル、WR松田へ24ヤードパスなどで、簡単に20ヤード付近まで迫る。だが、ここから前に進めない。FGを狙った大西のキックも外れ、再び関大の攻撃。
このシリーズは、守備陣の奮起で簡単に抑えたが、ファイターズの攻撃も進まない。反則やインターセプトもあって、めまぐるしく攻撃権が移り、互いに得点に繋ぐことができない。結局、前半は3-0。
後半に入っても、ファイターズの攻撃は不思議なほど敵陣20ヤード付近で止まってしまう。ランはそこそこ進むのだが、パスが通らない。意表をついたRBへのショベルパスも相手に見切られ、陣地を進めることができない。結局、第3Qは6分3秒に大西が38ヤード、10分49秒に同じく38ヤードのフィールドゴールを決めて6点を挙げたにとどまった。
第4Qになると、関大の追い上げはますます急になる。3人のRBを使い分けてゴール前17ヤードに迫ったが、そこで投じたパスを関学のDB重田がインターセプト。流れを変える。
だが、ファイターズの攻撃もフィニッシュにつながらない。加藤が自陣47ヤード付近からゴールライン近くのWR松原に必殺のロングパスを投じたが、これまたインターセプト。激しく降る雨に手元が狂ったのか、それとも相手の松原へのカバー体制が手厚かったからなのか。ファイターズには嫌な気分がつきまとう展開である。
ところが、ここで主将平澤が値千金のインターセプト。自陣42ヤード付近から相手QBが投じたパスを瞬間的にキャッチし、そのまま58ヤードを独走してタッチダウン。待望の追加点を奪った。
かさにかかったファイターズは、自陣30ヤード付近から始まった最後の攻撃シリーズも、ニーダウンで時間を流すことなく、松岡と久司の独走で陣地を進めた。最後は大西が45ヤードのFGを決めてゲームオーバー。18-0で試合を終えた。
以上、だらだらと試合経過を報告してきたが、そんな中、どうしても伝えておきたい場面が三つあった。
一つはハーフタイム。強い雨に中で、キッカー大西が何度も何度もフィールドゴールの練習をしていた場面である。前半、最初のFGは決めたが、同じような距離の2度目を失敗。40ヤードぐらいなら、確実に決める力を持っている彼にとっては、たとえ雨の中、ゴムボールという制約があっても、37ヤード付近からのFGを外したことが我慢ならなかったのだろう。スナッパー、ホールダーとともに、時間を惜しんで練習に励んでいた。それが、後半、3度のFGトライをことごとく成功に導いたのだろう。たったひと蹴りで勝敗を決する立場に置かれた選手の意地とプライドを見せつけたような場面だった。
二つ目は、後半立ち上がりのシリーズで勢いに乗って攻め込む関大の攻撃をインターセプトで断ち切ったLB村上のプレー。彼はその直前、相手のボールキャリアとすれ違って、ダウン更新を許したばかり。そのスピードと当たりを買われてDLからコンバートされてきた彼にとって、相手のランナーにタックルできなかったは屈辱的。その汚名を返上するため、直後に苦手なはずのパスカバーで殊勲を上げた。これまた意地と名誉をかけたプレーだった。
三つ目は、さきに書いた試合終了直前のファイターズ攻撃。ボールは自陣30ヤード、残り時間は1分を切った状態だったが、ファイターズはニーダウンで時間を流さず、あえて攻撃を選択。松岡と久司がロングドライブを立て続けに決め、加藤が久司へのパスも決めて、あっという間に敵陣27ヤード。ここで大西が落ち着いて45ヤードのFGを決め、試合終了。昨秋、急所でのランプレーをことごとく止められ、結果、思わぬ苦杯をなめた相手に、意地とプライドをかけて挑んだような攻撃シリーズだった。
降りしきる雨の中、三者がそれぞれの持ち場で見せた意地とプライド。これこそ、この日一番の収穫だったと僕は見た。この意地とプライドが彼らだけでなく、ファイターズのすべての選手、スタッフに共有されたとき、チームは一段高いところに登るに違いない。
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