石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
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(3)大きな収穫
投稿日時:2023/05/22(月) 08:27
20日は、王子スタジアムで中央大学との交流戦。今季の第3戦だが、その先発メンバーに今春、入学したばかりの1年生2人が名前を連ね、共に目を見張るような動きを見せてくれた。
一人はWRの小段天響君(大産大)。もう一人はDBのリンスコット・トバヤス君(箕面自由)。いつもの年なら、新入生はまだ基礎体力作りの段階で、チーム練習に参加できるのはほんの数人。試合に出場するのも、ある程度身体が出来てからのJV戦というのが通例だった。今季も例外ではなく、二人とも5月に入ってから練習メンバーに入ったばかり。とりわけ、リンスコット君の本職はQB。DBの練習を始めてからでは2週間にも満たない。
そんな二人が先発メンバーとして起用された。ファイターズ応援歴半世紀以上という僕も、応援仲間も、全員びっくり。「これはどういうこと。そんなに素晴らしい選手なのか」と、試合前から盛り上がる。
「第3フィールドでの練習を見ているだけだが、二人とも素晴らしい動きをしている。コーチや監督の発言からも、期待の大きさがうかがえる。僕のような素人が見ても、そのセンスの良さには目を見張る。共に高校時代から注目されてきた選手であり、度胸もありそうだ。きっと期待に応えてくれるだろう」と答えたが、共に期待に違わぬ活躍。とりわけ小段君は、先発QB星野君との相性も良く、見事なレシーブで先制点を挙げてくれた。
その場面を見て、思わず、亡くなられて久しい斎藤喜博先生の言葉を思い出した。「君の可能性」という言葉である。
新聞記者生活55年。途中、支局長とか論説委員、編集委員、さらには地方紙の編集局長とかいう名前の名刺を持って働いたが、その間、ずっと記事や論評を書き続けてきた。それを支えてきたのがこの言葉である。
先生と初めてお会いしたのは1971年の春。3年近く働いた信濃毎日新聞を辞し、朝日新聞での初任地・前橋支局でのことだ。初めて自宅を訪れた時から先生の懐に飛び込み、その教授法の勉強会にも参加した。先生の著書も読みふけり、「可能性を引き出す教育」について大きな影響を受けた。
先生に「一つのこと」という詩がある。全文を紹介しよう。
いま終わる一つのこと
いま越える一つの山
風わたる草原
ひびきあう心の歌
桑の海光る雲
人は続き道は続く
遠い道はるかな道
明日のぼる山もみさだめ
いま終わる一つのこと
この詩について、先生は次のように説明されている。
…この詩は、いま自分たちは、みんなと力をあわせて一つの仕事(学習)をやり終わった。それは、ちょうど一つの山にのぼったようなものである。山の上に立ってみると、草原にはすずしい風が吹いている。そこに立つと、いっしょに登ってきた人たちと、しみじみ心が通い合うのを感じる。そこから見ると、はるか遠くに桑畑が海のように見え、雲が美しく光っている。そしていま登ってきた道を人がつづいて登ってくるのが見える。自分たちはいま、一つの山を登り終わったが、目の前にはさらに高い山が見えているのだ。今度はあの山に登るのだ、という意味である。
学校の学習とは、こういうことをみんなと力をあわせてつぎつぎとやっていくのである。一つの山をのぼり終わると、次のより高い、よりきびしい山に向かって出発するのである。そういうことがおもしろくて楽しくてならないように、クラス全体、学校全体で力をあわせて学習していくのである。
続けて、こんな説明もある。
…ひとりがよいものを出すことによって、それが他のみんなに影響し、より高いものになって自分のところへ返ってくるのである。それぞれがよいものを出し合い、影響しあうから、ひとりだけでは出せないような高いものを自分のものとすることができるのである。ひとりひとりの人間が、より高い、よりよいものに近づこうとするねがいを持ち、そのためにはどんなほねおりでもしようとするようになり、またどんなほねおりでもできるようになるためには、学校でのこういう経験がどうしても必要になる。(中略)そういう努力を続けていくことによって、ねばり強い心とか、困難にくじけない心とかもつくられていく。また、苦しい思いをしても、目の前にある困難を一つ一つとっぱしていくことこそ、本当に張り合いのあることであり、楽しいことだということも体験として覚えていくようになる。
そういうことこそ、もっとも大切な能力である(以下略)。
この説明は、ファイターズの活動にも、そっくり当てはまるのではないか。この日の試合で鮮烈なデビューを果たした二人の1年生だけではなく、昨年から試合に出続ける選手も、それを支える選手やスタッフも、粘り強く、困難にくじけない心と身体をつくってチームを支えていく。
その積み重ねが、有能なタレントをそろえたこの日の相手にも発揮されたのではないか。後半開始早々、96ヤードのキックオフリターンTDを決めたRBの伊丹君。相手のラン攻撃を再三、強く素早い当たりで食い止めたLBの永井君やDBの波田君、2年生DB東田君はその長身を生かして相手のパスをカットし続けた。みな日頃から目的を持った練習に励み、自らの可能性を拓いてきたからこその成果ではないか。
黙々と好守の最前列で身体を張り続けたメンバーを含め、それぞれのポジションに、そういうお手本になるようなプレーを見せてくれる選手がいるからこそ、強力なタレントをそろえた相手にもチームとして対抗できる。それがファイターズの強みであり、チームの底上げにもつながっているのではないか。
もちろん自軍の戦力や個々の選手の力量を冷静に見極めるベンチの目も鋭い。双方が相まって、好守共に優秀な能力を持ったメンバーをそろえた相手に、終始主導権を渡さず、試合を進めることができたのではないか。
高い目標に向かって出発し、チーム全体で力をあわせて学習する。高い目標を達成するためにはどんな努力もいとわず、日々、努力を続ける。そういう経験がより高いもの達成するための道を拓いてくれる。
そういう循環を生み出すことができれば、チームは必ず強くなる。そう考えると、4月に入部したばかりの新人を先発メンバーに起用し、新入生もその期待に応えたというこの日の試合は、チームにとっても大きな収穫になったに違いない。
一人はWRの小段天響君(大産大)。もう一人はDBのリンスコット・トバヤス君(箕面自由)。いつもの年なら、新入生はまだ基礎体力作りの段階で、チーム練習に参加できるのはほんの数人。試合に出場するのも、ある程度身体が出来てからのJV戦というのが通例だった。今季も例外ではなく、二人とも5月に入ってから練習メンバーに入ったばかり。とりわけ、リンスコット君の本職はQB。DBの練習を始めてからでは2週間にも満たない。
そんな二人が先発メンバーとして起用された。ファイターズ応援歴半世紀以上という僕も、応援仲間も、全員びっくり。「これはどういうこと。そんなに素晴らしい選手なのか」と、試合前から盛り上がる。
「第3フィールドでの練習を見ているだけだが、二人とも素晴らしい動きをしている。コーチや監督の発言からも、期待の大きさがうかがえる。僕のような素人が見ても、そのセンスの良さには目を見張る。共に高校時代から注目されてきた選手であり、度胸もありそうだ。きっと期待に応えてくれるだろう」と答えたが、共に期待に違わぬ活躍。とりわけ小段君は、先発QB星野君との相性も良く、見事なレシーブで先制点を挙げてくれた。
その場面を見て、思わず、亡くなられて久しい斎藤喜博先生の言葉を思い出した。「君の可能性」という言葉である。
新聞記者生活55年。途中、支局長とか論説委員、編集委員、さらには地方紙の編集局長とかいう名前の名刺を持って働いたが、その間、ずっと記事や論評を書き続けてきた。それを支えてきたのがこの言葉である。
先生と初めてお会いしたのは1971年の春。3年近く働いた信濃毎日新聞を辞し、朝日新聞での初任地・前橋支局でのことだ。初めて自宅を訪れた時から先生の懐に飛び込み、その教授法の勉強会にも参加した。先生の著書も読みふけり、「可能性を引き出す教育」について大きな影響を受けた。
先生に「一つのこと」という詩がある。全文を紹介しよう。
いま終わる一つのこと
いま越える一つの山
風わたる草原
ひびきあう心の歌
桑の海光る雲
人は続き道は続く
遠い道はるかな道
明日のぼる山もみさだめ
いま終わる一つのこと
この詩について、先生は次のように説明されている。
…この詩は、いま自分たちは、みんなと力をあわせて一つの仕事(学習)をやり終わった。それは、ちょうど一つの山にのぼったようなものである。山の上に立ってみると、草原にはすずしい風が吹いている。そこに立つと、いっしょに登ってきた人たちと、しみじみ心が通い合うのを感じる。そこから見ると、はるか遠くに桑畑が海のように見え、雲が美しく光っている。そしていま登ってきた道を人がつづいて登ってくるのが見える。自分たちはいま、一つの山を登り終わったが、目の前にはさらに高い山が見えているのだ。今度はあの山に登るのだ、という意味である。
学校の学習とは、こういうことをみんなと力をあわせてつぎつぎとやっていくのである。一つの山をのぼり終わると、次のより高い、よりきびしい山に向かって出発するのである。そういうことがおもしろくて楽しくてならないように、クラス全体、学校全体で力をあわせて学習していくのである。
続けて、こんな説明もある。
…ひとりがよいものを出すことによって、それが他のみんなに影響し、より高いものになって自分のところへ返ってくるのである。それぞれがよいものを出し合い、影響しあうから、ひとりだけでは出せないような高いものを自分のものとすることができるのである。ひとりひとりの人間が、より高い、よりよいものに近づこうとするねがいを持ち、そのためにはどんなほねおりでもしようとするようになり、またどんなほねおりでもできるようになるためには、学校でのこういう経験がどうしても必要になる。(中略)そういう努力を続けていくことによって、ねばり強い心とか、困難にくじけない心とかもつくられていく。また、苦しい思いをしても、目の前にある困難を一つ一つとっぱしていくことこそ、本当に張り合いのあることであり、楽しいことだということも体験として覚えていくようになる。
そういうことこそ、もっとも大切な能力である(以下略)。
この説明は、ファイターズの活動にも、そっくり当てはまるのではないか。この日の試合で鮮烈なデビューを果たした二人の1年生だけではなく、昨年から試合に出続ける選手も、それを支える選手やスタッフも、粘り強く、困難にくじけない心と身体をつくってチームを支えていく。
その積み重ねが、有能なタレントをそろえたこの日の相手にも発揮されたのではないか。後半開始早々、96ヤードのキックオフリターンTDを決めたRBの伊丹君。相手のラン攻撃を再三、強く素早い当たりで食い止めたLBの永井君やDBの波田君、2年生DB東田君はその長身を生かして相手のパスをカットし続けた。みな日頃から目的を持った練習に励み、自らの可能性を拓いてきたからこその成果ではないか。
黙々と好守の最前列で身体を張り続けたメンバーを含め、それぞれのポジションに、そういうお手本になるようなプレーを見せてくれる選手がいるからこそ、強力なタレントをそろえた相手にもチームとして対抗できる。それがファイターズの強みであり、チームの底上げにもつながっているのではないか。
もちろん自軍の戦力や個々の選手の力量を冷静に見極めるベンチの目も鋭い。双方が相まって、好守共に優秀な能力を持ったメンバーをそろえた相手に、終始主導権を渡さず、試合を進めることができたのではないか。
高い目標に向かって出発し、チーム全体で力をあわせて学習する。高い目標を達成するためにはどんな努力もいとわず、日々、努力を続ける。そういう経験がより高いもの達成するための道を拓いてくれる。
そういう循環を生み出すことができれば、チームは必ず強くなる。そう考えると、4月に入部したばかりの新人を先発メンバーに起用し、新入生もその期待に応えたというこの日の試合は、チームにとっても大きな収穫になったに違いない。
(2)悔しさを糧に
投稿日時:2023/05/08(月) 23:41
7日の王子スタジアムは雨。「第1回神戸エレコムボウル」と銘打った試合の相手は、社会人のトップリーグに所属するエレコム神戸。10年近く前には、現在、ファイターズのコーチをされている香山氏が主将として活躍されていたチームであり、現在も、ファイターズの卒業生(当日の選手名簿によると、2020年卒業のOL松永、森田、22年卒業のOL朝枝、RB前田君ら)が名前を連ねている強豪である。昨年度の4年生が卒業し、メンバーが一新された2023年度ファイターズの現在地を確かめるための相手としては申し分なかろう。
朝から降り続いていた雨は、試合が進むにつれて激しさを増し、グラウンドの所々に大きな水たまりが出来ている。選手はもちろん、応援するチアリーダーや観客にとっても、最悪のコンデションだ。
グラウンドの状況が悪いと、攻める方も守る方も大きな制約を受ける。思いもよらないハプニングも起きる。それを象徴するような場面が試合早々に現れた。
立ち上がり、ファイターズの攻撃は相手の激しい動きに押され、ランも進まず、パスもままならない。一度もダウンを更新出来ないまま、攻撃権が相手に渡る。
ボールは相手ゴール前10ヤード。相手にとってはゴールポストを背負った苦しい場面だったが、好守共にメンバーのそろったラインは強力だ。右に左にと強力なラン攻撃を展開し、立て続けにダウンを更新し、あっという間にセンターラインを超えてくる。
ここは、DB波田とLB海崎の機敏な動きでなんとか食い止め、相手をパントに追いやったが、そこでとんでもないハプニングが起きた。相手がゴール際まで蹴り込んだパントが水たまりに落ちてそのまま止まってしまったのだ。タッチバックを狙ってそのボールに触れなかったリターナーをよそに、相手チームがゴール前1ヤード付近でそれを確保。そのまま相手の攻撃が続くことになったのだ。
球の勢いや落下地点から見て、必ずゴールラインを割るとみてスルーしたリターナーの判断が結果的に間違っていたのだが、当の本人を責めるのは酷な気もする場面だった。
しかし、相手にとっては思わぬご褒美。逆にファイターズはゴールを背負った苦しい位置からの攻撃を強いられる。ダウンの更新もできず、結局は相手にフィールドゴールを決められ、3点のリードを許してしまう。
第2Qに入っても、雨は激しく降り続ける。パスが投げづらいのか、互いに攻撃はランプレーが中心。ファイターズは伊丹のランを中心に陣地を進めるが、パスが機能しないから攻撃が手詰まりになる。逆に、相手は果敢にパスを投じてくる。それでもファイターズの守備陣が踏ん張り、相手に決定的なチャンスは与えない。
膠着した状況で、再びファターズにミスが出る。相手の蹴ったパントを取り損ね、ゴール前2ヤードで相手に攻撃権を与えてしまったのだ。相手にとっては思わぬプレゼントである。即座にTDに結びつけ10-0とリードを広げる。
ハーフタイムが終わっても、雨は降り続ける。雨脚はより強まり、グラウンドは水浸し。当初は双方のゴールポストの前面だけが水たまりになっていたが、後半に入ると、全面的に水が浮いている。こんなことを言っては失礼だが、スタンドで見ている当方には、試合の勝敗よりも、選手がけがなく、無事に試合を終えてくれるのを祈るような心境だ。
試合は結局、後半にもう1本のTDを決めたファイニーズが17-0で勝利。ファイターズに取っては悔いの多い敗戦となった。
試合後、ファイニーズの元主将でもある香山コーチに電話し、感想を聞いた。
最初の一言が「雨の中での試合を経験したこと、自分たちの力のない点を知ることが出来たのが今日の収穫でしょう。応援してくださるファンにとっては物足りなかったでしょうが、学生チーム相手では得られない経験をしたのだから、これを今後に生かしていかないと……」との答えが返ってきた。
その通りである。どんな相手であっても、どんな状況に置かれても、それを言い訳にせず、日々の練習に必死懸命に取り組んでこそ道は開ける。そういう意味では、雨の中、思い通りに進まなかった攻撃陣も、相手のパワーとスピードに押された守備陣も、この日の悔しい経験から学ぶことはいくつもあるはずだ。今季の開幕早々に、こうした経験が出来たことを糧として、チームに名を連ねる全員がさらなる努力を続けてくれることを期待したい。
朝から降り続いていた雨は、試合が進むにつれて激しさを増し、グラウンドの所々に大きな水たまりが出来ている。選手はもちろん、応援するチアリーダーや観客にとっても、最悪のコンデションだ。
グラウンドの状況が悪いと、攻める方も守る方も大きな制約を受ける。思いもよらないハプニングも起きる。それを象徴するような場面が試合早々に現れた。
立ち上がり、ファイターズの攻撃は相手の激しい動きに押され、ランも進まず、パスもままならない。一度もダウンを更新出来ないまま、攻撃権が相手に渡る。
ボールは相手ゴール前10ヤード。相手にとってはゴールポストを背負った苦しい場面だったが、好守共にメンバーのそろったラインは強力だ。右に左にと強力なラン攻撃を展開し、立て続けにダウンを更新し、あっという間にセンターラインを超えてくる。
ここは、DB波田とLB海崎の機敏な動きでなんとか食い止め、相手をパントに追いやったが、そこでとんでもないハプニングが起きた。相手がゴール際まで蹴り込んだパントが水たまりに落ちてそのまま止まってしまったのだ。タッチバックを狙ってそのボールに触れなかったリターナーをよそに、相手チームがゴール前1ヤード付近でそれを確保。そのまま相手の攻撃が続くことになったのだ。
球の勢いや落下地点から見て、必ずゴールラインを割るとみてスルーしたリターナーの判断が結果的に間違っていたのだが、当の本人を責めるのは酷な気もする場面だった。
しかし、相手にとっては思わぬご褒美。逆にファイターズはゴールを背負った苦しい位置からの攻撃を強いられる。ダウンの更新もできず、結局は相手にフィールドゴールを決められ、3点のリードを許してしまう。
第2Qに入っても、雨は激しく降り続ける。パスが投げづらいのか、互いに攻撃はランプレーが中心。ファイターズは伊丹のランを中心に陣地を進めるが、パスが機能しないから攻撃が手詰まりになる。逆に、相手は果敢にパスを投じてくる。それでもファイターズの守備陣が踏ん張り、相手に決定的なチャンスは与えない。
膠着した状況で、再びファターズにミスが出る。相手の蹴ったパントを取り損ね、ゴール前2ヤードで相手に攻撃権を与えてしまったのだ。相手にとっては思わぬプレゼントである。即座にTDに結びつけ10-0とリードを広げる。
ハーフタイムが終わっても、雨は降り続ける。雨脚はより強まり、グラウンドは水浸し。当初は双方のゴールポストの前面だけが水たまりになっていたが、後半に入ると、全面的に水が浮いている。こんなことを言っては失礼だが、スタンドで見ている当方には、試合の勝敗よりも、選手がけがなく、無事に試合を終えてくれるのを祈るような心境だ。
試合は結局、後半にもう1本のTDを決めたファイニーズが17-0で勝利。ファイターズに取っては悔いの多い敗戦となった。
試合後、ファイニーズの元主将でもある香山コーチに電話し、感想を聞いた。
最初の一言が「雨の中での試合を経験したこと、自分たちの力のない点を知ることが出来たのが今日の収穫でしょう。応援してくださるファンにとっては物足りなかったでしょうが、学生チーム相手では得られない経験をしたのだから、これを今後に生かしていかないと……」との答えが返ってきた。
その通りである。どんな相手であっても、どんな状況に置かれても、それを言い訳にせず、日々の練習に必死懸命に取り組んでこそ道は開ける。そういう意味では、雨の中、思い通りに進まなかった攻撃陣も、相手のパワーとスピードに押された守備陣も、この日の悔しい経験から学ぶことはいくつもあるはずだ。今季の開幕早々に、こうした経験が出来たことを糧として、チームに名を連ねる全員がさらなる努力を続けてくれることを期待したい。
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