石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」 2014/12
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(35)明日もまた、練習ができる
投稿日時:2014/12/09(火) 00:32
ここ数年、12月に入ると、上ヶ原の第3フィールドには独特の空気が張り詰める。時間の流れも濃密になり、決戦のときがきたことがひしひしと感じられる。
似たような気配は、関西リーグの終盤にも感じるが、関西リーグを制覇する前と後では自ずから違いがある。適切な表現が見つからないが、乱暴に言い切ってしまえば、関西リーグの前は、負ければ地獄という崖っぷちに立たされた気分、甲子園ボウルの前は、やっと頂上が見えた、ここからが本当の勝負、とでもいえばよいのだろう。
選手やスタッフの表情を見ていれば、それがよく分かる。立命戦の前の、口をきくのもはばかられるような雰囲気ではなく、いまこの時期に、目標を持って練習出来ることの喜びがどの顔にも表れている。練習時間も内容も、関西リーグの終盤とはほとんど変わりがないけれども、関西リーグを勝ちきったことが自信になっているのだろう。誰もが一段、階段を上ったような表情で練習に取り組んでいる。
「練習開始10分前」「練習開始3分前」「ラストみっつ」などと叫ぶマネジャーの声には張りがあるし、ハドルへの集散も早い。やるべきこと、やらねばならないことが部員に共有されているからだろう。ハドルでの鷺野主将の発言も簡潔になっている。練習メニューは試合を想定して歯切れよく展開され、スカウトチームの動きもなめらかになる。
5年生のアシスタントコーチはもちろん、卒業して間もないOBたちが勤務の合間を縫って次々と練習に加わってくれるのもこの時期ならではの光景だ。先日は、日大の重くて速いDL陣を想定して、12年度卒業の安井君や梶原君、岸君らが顔を出し、オフェンスの相手を務めてくれた。安井君の体重は145キロ。135キロという日大の巨漢DLを想定した練習にはうってつけだった。昨年と1昨年の主将、池永君と梶原君が両サイドのエンドを務め、中央を友國君や長森君らが固めるスカウトディフェンスは強力そのもの。彼らと真っ向から対峙するのだから、現役の諸君にとっても、いい実戦練習になったに違いない。
ディフェンスの練習には、日大のパスオフェンスを想定して、ある社会人チームのエースQBが参加してくれた。彼も実戦そのものの鋭いパスを投げ、切れのよいスクランブルも披露して、守備陣を鍛えてくれた。どれもこれもが甲子園ボウルに向けた実戦的な練習であり、無駄な練習はひとつもない。
こうした練習が流れるように続くから、練習時間そのものは同じでも、グラウンドの気配が違う。それは濃密な時間、張り詰めた空気と表現するしかない。
甲子園ボウルやライスボウルの前になると毎年、第3フィールドにはこういう時間が流れ、空気が張り詰める。いわば、目的の山の頂上を見据え、最後のアタックを掛けている状態である。
取り組む選手たちは真剣だし、真剣だからこそ、プレーの精度も上がる。精度が上がれば、それは自信となり、さらに一段階上を目指して努力するエネルギーになる。交代選手やスカウトチームの選手を含め、みんなが具体的な目標を前に手応えのある練習を続けているから、上達の速度はさらに加速する。いまは1年間の、いや3年、4年と積み重ねてきた努力の成果を「収穫する」ための期間である。1日、1時間、10分の練習がすべて血となり肉となる期間と言ってもよい。
この時期、そういう濃密な練習を続けているのは東西あわせて2チームだけ。文字通り選ばれた2チームである。鷺野主将の言葉を借りれば「あすもまた練習が出来る。幸せです」。その幸せをじっくり味わい、それをエネルギーにしてほしい。そして14日、甲子園の舞台ですべてを爆発させてほしい。存分な戦いを期待している。
似たような気配は、関西リーグの終盤にも感じるが、関西リーグを制覇する前と後では自ずから違いがある。適切な表現が見つからないが、乱暴に言い切ってしまえば、関西リーグの前は、負ければ地獄という崖っぷちに立たされた気分、甲子園ボウルの前は、やっと頂上が見えた、ここからが本当の勝負、とでもいえばよいのだろう。
選手やスタッフの表情を見ていれば、それがよく分かる。立命戦の前の、口をきくのもはばかられるような雰囲気ではなく、いまこの時期に、目標を持って練習出来ることの喜びがどの顔にも表れている。練習時間も内容も、関西リーグの終盤とはほとんど変わりがないけれども、関西リーグを勝ちきったことが自信になっているのだろう。誰もが一段、階段を上ったような表情で練習に取り組んでいる。
「練習開始10分前」「練習開始3分前」「ラストみっつ」などと叫ぶマネジャーの声には張りがあるし、ハドルへの集散も早い。やるべきこと、やらねばならないことが部員に共有されているからだろう。ハドルでの鷺野主将の発言も簡潔になっている。練習メニューは試合を想定して歯切れよく展開され、スカウトチームの動きもなめらかになる。
5年生のアシスタントコーチはもちろん、卒業して間もないOBたちが勤務の合間を縫って次々と練習に加わってくれるのもこの時期ならではの光景だ。先日は、日大の重くて速いDL陣を想定して、12年度卒業の安井君や梶原君、岸君らが顔を出し、オフェンスの相手を務めてくれた。安井君の体重は145キロ。135キロという日大の巨漢DLを想定した練習にはうってつけだった。昨年と1昨年の主将、池永君と梶原君が両サイドのエンドを務め、中央を友國君や長森君らが固めるスカウトディフェンスは強力そのもの。彼らと真っ向から対峙するのだから、現役の諸君にとっても、いい実戦練習になったに違いない。
ディフェンスの練習には、日大のパスオフェンスを想定して、ある社会人チームのエースQBが参加してくれた。彼も実戦そのものの鋭いパスを投げ、切れのよいスクランブルも披露して、守備陣を鍛えてくれた。どれもこれもが甲子園ボウルに向けた実戦的な練習であり、無駄な練習はひとつもない。
こうした練習が流れるように続くから、練習時間そのものは同じでも、グラウンドの気配が違う。それは濃密な時間、張り詰めた空気と表現するしかない。
甲子園ボウルやライスボウルの前になると毎年、第3フィールドにはこういう時間が流れ、空気が張り詰める。いわば、目的の山の頂上を見据え、最後のアタックを掛けている状態である。
取り組む選手たちは真剣だし、真剣だからこそ、プレーの精度も上がる。精度が上がれば、それは自信となり、さらに一段階上を目指して努力するエネルギーになる。交代選手やスカウトチームの選手を含め、みんなが具体的な目標を前に手応えのある練習を続けているから、上達の速度はさらに加速する。いまは1年間の、いや3年、4年と積み重ねてきた努力の成果を「収穫する」ための期間である。1日、1時間、10分の練習がすべて血となり肉となる期間と言ってもよい。
この時期、そういう濃密な練習を続けているのは東西あわせて2チームだけ。文字通り選ばれた2チームである。鷺野主将の言葉を借りれば「あすもまた練習が出来る。幸せです」。その幸せをじっくり味わい、それをエネルギーにしてほしい。そして14日、甲子園の舞台ですべてを爆発させてほしい。存分な戦いを期待している。
(34)フットボールの魅力
投稿日時:2014/12/02(火) 01:16
11月30日、王子スタジアムで行われた全日本大学選手権西日本地区代表校決定戦は、名城大を相手に55-0の勝利。ファイターズは4年連続で甲子園ボウルの出場を決めた。
立ち上がり、レシーブを選択したファイターズは、相手キックをゴール前10ヤード付近でキャッチしたDB田中が右サイドライン沿いを一気に駆け上がり、74ヤードのビッグリターン。HB梶原を中心にしたリターンチームの強烈なブロックと、周囲をよく見た田中の冷静でスピードのあるラッシュで、いきなり相手陣15ヤードまで攻め込んだ。
まるで先週の立命大戦のリプレイを見るような見事なリターンである。
このチャンスをRB飯田の9ヤードラン、同じくRB加藤の6ヤードランでTD。K三輪のキックも決まって、わずか2プレー、49秒で先手をとった。
次は名城大の攻撃シリーズ。ゴール前13ヤードから強烈なランプレーでぐいぐいと陣地を進めてくる。ダウンを2度更新され、ファイターズ自慢の守備陣もたじたじだった。ここを何とか踏ん張り、相手は第4ダウンでパント。これをLB山岸(多分。遠くて詳細は見えなかった)がブロック、こぼれたボールをLB作道が拾い上げ、そのまま72ヤードを走り切って2本目のTD。立ち上がりのわずか3分少々で14-0。ファイターズが主導権を握った。
その後も三輪のFG、QB伊豆からTE松島へのTDパス、RB加藤の2本目のTDで前半だけで31-0。第2Q途中からは攻守とも交代メンバーを次々と繰り出す余裕の采配で、終わって見れば55-0。得点経過を見れば、ファイターズの圧勝だった。
さて、ここからが本題である。スタジアムで観戦されていた方々は、前半、第1Qから第2Qの相手攻撃をみて、両者のチーム力をどのように評価されただろうか。両チームの選手の個々の能力に、この点差ほどの開きがあったと思われた方は、むしろ少数派だったのではないか。デフェンスラインを突破してぐいぐいと突進するランナーの動きを見ているだけでも、これは油断ならない、と思った人が多かったと思う。
実際、当日の記録を見ても、攻撃時間はファイターズが20分51秒、名城が27分9秒。獲得ヤードは489ヤード対259ヤード。1stダウン獲得回数は23対12。ファイターズが2Qの半ばから次々と交代メンバーを投入したことを考慮しても、点差ほどの開きがあるチームとはとうてい思えない。
これは、先週戦った立命戦、その前の関大戦、そしてその前の京大戦や龍谷大戦でも感じたことだが、関西リーグの1部で戦うチームの戦力は年々向上している。個々の選手を見ても、当たりが強くて早く走れる選手、パスキャッチが得意な選手、恐ろしいほど強いランナーがどのチームにもいる。立命には大柄な選手を並べたオフェンスラインを筆頭に、攻撃に高い能力を持ったタレントが何人もいた。守備陣にもDL、LB、DBともに、いつもボールキャリアに絡む強力な選手がいた。関大にも、ひとつ対応を誤れば、そのままTDに持ち込まれてしまいそうなスピードランナーがいたし、スクランブル能力に優れた2人のQBは脅威だった。
そういうチームを相手に、ファイターズは終始先手をとり、危うげなく勝ち続けた。その理由は何か。どこに勝者と敗者を分けるポイントがあったのか。
僕はファイターズしか見ていないので、他のチームについては論評出来ない。もちろん双方の優劣を比較する能力もないし、資格もない。論評出来るのは、ファイターズというチームの素顔というか、たたずまいを報告することぐらいである。
このことについては、折りに触れてこのコラムでも書いている。しかし、シーズンが大詰めに近づいてくるにつれて、毎年、これぞファイターズ、と思わされる事例が増えてくる。そうした事例が積み重なるにつれて、だからフットボールは面白い、最高のチームスポーツだと思わされる。
例えば、対戦相手ごとの戦術の立案と習熟訓練、そして実行力。試合の始まる1年も前から戦術を練り、それを試合で成功させるために、繰り返し繰り返し習熟練習をする。キーとなる選手やパートには、コーチが付きっきりになり、納得いくまで指導を続ける。そうした指導の際には、基本的に相手選手を想定したメンバーを張り付け、実戦と同じ状況を作って、その練度と精度を上げていく。
戦術を練るためには、相手チームの分析が欠かせない。ファイターズは、理工学部の先生や学生の協力で独自のビデオ編集装置を開発し、それを利用して、より早く、より効率よく相手を分析する仕組みを作り上げた。その仕組みを利用して相手チームを「丸裸」にするのは、分析室に詰めっきりの分析スタッフである。彼らの貢献度も年々上がっている。
本場アメリカの最新の戦術に接し、その中からチームにとって必要な情報を取捨選択することも重要だ。チームは毎年のように、短期間ではあるがコーチをアメリカに送り、現地のコーチから学ばせている。その成果の一端が毎年、相手チームを驚かせる「とっておきのプレー」として披露される。それが成功したとき、勝利への道が開かれる。
戦術だけではない。チームを育て、発展させていくための戦略も監督やコーチ、そしてフットボールを熟知したディレクターやアシスタントディレクターを中心に、いろんな方向から練り上げている。その一端は、先日、タッチダウン誌(14年8月号)でも紹介されたが、多彩な部活動に必要な資金集めから、部員のリクルート活動、学生を育てるためのコーチング体制の構築。さらには栄養指導や授業のサポート体制の充実まで、驚くほど多岐にわたる。チームの機密に関することが多く、その内容を細かく報告出来ないのは残念だが、実態を知れば知るほど、このチームの奥の深さが見えてくる。
来年3月21日には、チームが主宰し、関西学院大学が協力して、アイビーリーグの強豪、プリンストン大学を招待。大阪で日米大学交流戦を実施するが、これもまた、長期的な視野に立ったチーム作りの戦略のひとつである。
こうしたチーム作りの戦略と、ライバルとの戦いを見据えた戦術。双方がかみ合い、トータルとして、ライバルチームを少しばかり上回ったことが関西リーグ5連覇、4年連続甲子園ボウル出場という結果につながったのではないか。もちろん、選手やスタッフが「日本1にチャレンジする」という高い目標を掲げ、この1年間、日夜努力した結果であることは論を待たない。
フットボールには、試合会場でコイントスをする前段に、こうした戦略や戦術の戦い、もっといえばチーム作りの哲学が存在する。そのトータルが試合結果として現出する。これがフットボールが最高のチームスポーツだと断定する由縁である。
立ち上がり、レシーブを選択したファイターズは、相手キックをゴール前10ヤード付近でキャッチしたDB田中が右サイドライン沿いを一気に駆け上がり、74ヤードのビッグリターン。HB梶原を中心にしたリターンチームの強烈なブロックと、周囲をよく見た田中の冷静でスピードのあるラッシュで、いきなり相手陣15ヤードまで攻め込んだ。
まるで先週の立命大戦のリプレイを見るような見事なリターンである。
このチャンスをRB飯田の9ヤードラン、同じくRB加藤の6ヤードランでTD。K三輪のキックも決まって、わずか2プレー、49秒で先手をとった。
次は名城大の攻撃シリーズ。ゴール前13ヤードから強烈なランプレーでぐいぐいと陣地を進めてくる。ダウンを2度更新され、ファイターズ自慢の守備陣もたじたじだった。ここを何とか踏ん張り、相手は第4ダウンでパント。これをLB山岸(多分。遠くて詳細は見えなかった)がブロック、こぼれたボールをLB作道が拾い上げ、そのまま72ヤードを走り切って2本目のTD。立ち上がりのわずか3分少々で14-0。ファイターズが主導権を握った。
その後も三輪のFG、QB伊豆からTE松島へのTDパス、RB加藤の2本目のTDで前半だけで31-0。第2Q途中からは攻守とも交代メンバーを次々と繰り出す余裕の采配で、終わって見れば55-0。得点経過を見れば、ファイターズの圧勝だった。
さて、ここからが本題である。スタジアムで観戦されていた方々は、前半、第1Qから第2Qの相手攻撃をみて、両者のチーム力をどのように評価されただろうか。両チームの選手の個々の能力に、この点差ほどの開きがあったと思われた方は、むしろ少数派だったのではないか。デフェンスラインを突破してぐいぐいと突進するランナーの動きを見ているだけでも、これは油断ならない、と思った人が多かったと思う。
実際、当日の記録を見ても、攻撃時間はファイターズが20分51秒、名城が27分9秒。獲得ヤードは489ヤード対259ヤード。1stダウン獲得回数は23対12。ファイターズが2Qの半ばから次々と交代メンバーを投入したことを考慮しても、点差ほどの開きがあるチームとはとうてい思えない。
これは、先週戦った立命戦、その前の関大戦、そしてその前の京大戦や龍谷大戦でも感じたことだが、関西リーグの1部で戦うチームの戦力は年々向上している。個々の選手を見ても、当たりが強くて早く走れる選手、パスキャッチが得意な選手、恐ろしいほど強いランナーがどのチームにもいる。立命には大柄な選手を並べたオフェンスラインを筆頭に、攻撃に高い能力を持ったタレントが何人もいた。守備陣にもDL、LB、DBともに、いつもボールキャリアに絡む強力な選手がいた。関大にも、ひとつ対応を誤れば、そのままTDに持ち込まれてしまいそうなスピードランナーがいたし、スクランブル能力に優れた2人のQBは脅威だった。
そういうチームを相手に、ファイターズは終始先手をとり、危うげなく勝ち続けた。その理由は何か。どこに勝者と敗者を分けるポイントがあったのか。
僕はファイターズしか見ていないので、他のチームについては論評出来ない。もちろん双方の優劣を比較する能力もないし、資格もない。論評出来るのは、ファイターズというチームの素顔というか、たたずまいを報告することぐらいである。
このことについては、折りに触れてこのコラムでも書いている。しかし、シーズンが大詰めに近づいてくるにつれて、毎年、これぞファイターズ、と思わされる事例が増えてくる。そうした事例が積み重なるにつれて、だからフットボールは面白い、最高のチームスポーツだと思わされる。
例えば、対戦相手ごとの戦術の立案と習熟訓練、そして実行力。試合の始まる1年も前から戦術を練り、それを試合で成功させるために、繰り返し繰り返し習熟練習をする。キーとなる選手やパートには、コーチが付きっきりになり、納得いくまで指導を続ける。そうした指導の際には、基本的に相手選手を想定したメンバーを張り付け、実戦と同じ状況を作って、その練度と精度を上げていく。
戦術を練るためには、相手チームの分析が欠かせない。ファイターズは、理工学部の先生や学生の協力で独自のビデオ編集装置を開発し、それを利用して、より早く、より効率よく相手を分析する仕組みを作り上げた。その仕組みを利用して相手チームを「丸裸」にするのは、分析室に詰めっきりの分析スタッフである。彼らの貢献度も年々上がっている。
本場アメリカの最新の戦術に接し、その中からチームにとって必要な情報を取捨選択することも重要だ。チームは毎年のように、短期間ではあるがコーチをアメリカに送り、現地のコーチから学ばせている。その成果の一端が毎年、相手チームを驚かせる「とっておきのプレー」として披露される。それが成功したとき、勝利への道が開かれる。
戦術だけではない。チームを育て、発展させていくための戦略も監督やコーチ、そしてフットボールを熟知したディレクターやアシスタントディレクターを中心に、いろんな方向から練り上げている。その一端は、先日、タッチダウン誌(14年8月号)でも紹介されたが、多彩な部活動に必要な資金集めから、部員のリクルート活動、学生を育てるためのコーチング体制の構築。さらには栄養指導や授業のサポート体制の充実まで、驚くほど多岐にわたる。チームの機密に関することが多く、その内容を細かく報告出来ないのは残念だが、実態を知れば知るほど、このチームの奥の深さが見えてくる。
来年3月21日には、チームが主宰し、関西学院大学が協力して、アイビーリーグの強豪、プリンストン大学を招待。大阪で日米大学交流戦を実施するが、これもまた、長期的な視野に立ったチーム作りの戦略のひとつである。
こうしたチーム作りの戦略と、ライバルとの戦いを見据えた戦術。双方がかみ合い、トータルとして、ライバルチームを少しばかり上回ったことが関西リーグ5連覇、4年連続甲子園ボウル出場という結果につながったのではないか。もちろん、選手やスタッフが「日本1にチャレンジする」という高い目標を掲げ、この1年間、日夜努力した結果であることは論を待たない。
フットボールには、試合会場でコイントスをする前段に、こうした戦略や戦術の戦い、もっといえばチーム作りの哲学が存在する。そのトータルが試合結果として現出する。これがフットボールが最高のチームスポーツだと断定する由縁である。
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