石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」 2011/10
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(25)レジへ走れ!
投稿日時:2011/10/11(火) 09:33
ファイターズファンのみなさま
唐突ですが、ファイターズを応援されていて、次のような疑問を感じられたことはありませんか。
1、日本にアメフットの伝統校、強豪校はいくつもあるのに、その中でなぜ、ファイターズだけが戦後一貫して日本1を争う地位を保っているのか、それを支える背骨はどうして形成されてきたのか。
2、ファイターズはなぜ、全編英語のチームソング「Fight on, Kwansei」を持っているのか。それはいつ、誰が、どのような理由で作ったのか。このチームソングを歌うのは、ここ一番という勝負の試合に限られているが、それはどうしてか。チームソングなら、試合ごとに歌う方が自然ではないのか。
3、なぜ、毎年シーズンが終わった後の合同壮行会(かつては合同送別会と呼んでいた)で、コーチや監督は文武双方に力を発揮した部員を表彰すると同時に「アンサングヒーロー」を表彰するのか。
4、毎年、「ファイターズは4年生のチーム」と特別の意味を込めていわれるがあるが、それはどうしてか。
5、「ファイターズ・ファミリー」という言葉があり、ことあるごとにそれが強調されるのは、どういう歴史的背景があるのか。
6、ファイターズの卒業生は企業から高く評価されているが、それはどうしてか。
こういう疑問をお持ちのみなさまにとってぴったりの読み物が、関西学院大学が朝日新聞出版アエラと共同で発行するアエラムック「関西学院大学 by AERA」(A4変形判、124ページ、820円=税込み)に掲載されています。
筆者は不肖・私。縁あって、堂々8ページにわたる特集を担当させていただきました。ファイターズファンの胸に刻まれているライスボウルで優勝したときの写真や2007年の甲子園ボウルで勝った瞬間の写真など「お宝写真」も満載です。自分で宣伝するのも何ですが(宣伝しないと知っていただけない)、記事もファイターズと同様、格調高く、気合いが入っています。
この8ページを読んでいただくだけでも、820円の価値はあると思います(ここまでいうと、誇大広告、ええ加減にせい、というそしりを受けそうです)が、もちろん残りの116ページにも関西学院大学の卒業生や在校生、そして学院に関心のある方々には、読み応えのある記事が満載です。
アエラの記者がニューヨークまで出かけて取材した、国際的な舞台で活躍する卒業生の群像、社会に貢献する研究に取り組む教員、課外活動に取り組む学生らを取り上げ、関西学院大学の歴史と最新の情報を盛り込んでいます。
これを読んでいただければ、関西学院大学がなぜ「世界市民」という言葉に特別の意味を持たせているのか、関西学院大学がなぜ、世間で高く評価されるようになったのか、そういうことがおのずと分かるはずです。論より証拠。まずは手にとって読んで下さい。そして、千円札を手にレジに走って下さい。180円のおつりがあります。
読んで面白ければ、広く友人、知人にも紹介して下さい。聞けば、今週末の甲南大学戦、ファイターズのグッズを売っているテントでも販売されるそうです。今週の応援席では「アエラムック・関西学院」を手にして下さっている方が僕の「あこがれ」、ヒーローでありヒロインです。
追記
それにしても、今回の記事を書くに当たって、いろんな場面でファイターズとそれを育ててきたOBの底力を実感しました。
底力とは、例えば次のようなことです。
1、チームの過去の記録、足取りが完璧に残されており、その資料がいつでも利用できるように整備されていること。70年にわたって、資料整備を引き継いでこられた歴代のOBの努力の積み重ねに頭が下がります。これも伝統の力でしょう。
2、チームの歴史を正確な記憶力で理路整然と語れるOBが多数、健在であること。今回の取材でも米田満先生、古川明さん、武田建先生、伊角富三さんらから、貴重な話を懇切丁寧に聞かせていただきました。
3、70年に及ぶチームの姿を「鳥の目」と「虫の目」で把握、分析し、それをジャーナリストの視点で言葉にできる人材(小野宏コーチのことです)がいること。原稿を書きあぐねたとき、いつも小野さんのアドバイスが力になりました。
4、正確な校閲、資料提供をしていただいたディレクター補佐の宮本敬士、石割淳両氏のお力添えもありがたいことでした。
さらには、鳥内秀晃監督をはじめとする「ファイターズ・ファミリー」の全面的なご協力によって、何とか「ファイターズの栄光と軌跡」の一端を描くことができました。心から感謝します。(石)
唐突ですが、ファイターズを応援されていて、次のような疑問を感じられたことはありませんか。
1、日本にアメフットの伝統校、強豪校はいくつもあるのに、その中でなぜ、ファイターズだけが戦後一貫して日本1を争う地位を保っているのか、それを支える背骨はどうして形成されてきたのか。
2、ファイターズはなぜ、全編英語のチームソング「Fight on, Kwansei」を持っているのか。それはいつ、誰が、どのような理由で作ったのか。このチームソングを歌うのは、ここ一番という勝負の試合に限られているが、それはどうしてか。チームソングなら、試合ごとに歌う方が自然ではないのか。
3、なぜ、毎年シーズンが終わった後の合同壮行会(かつては合同送別会と呼んでいた)で、コーチや監督は文武双方に力を発揮した部員を表彰すると同時に「アンサングヒーロー」を表彰するのか。
4、毎年、「ファイターズは4年生のチーム」と特別の意味を込めていわれるがあるが、それはどうしてか。
5、「ファイターズ・ファミリー」という言葉があり、ことあるごとにそれが強調されるのは、どういう歴史的背景があるのか。
6、ファイターズの卒業生は企業から高く評価されているが、それはどうしてか。
こういう疑問をお持ちのみなさまにとってぴったりの読み物が、関西学院大学が朝日新聞出版アエラと共同で発行するアエラムック「関西学院大学 by AERA」(A4変形判、124ページ、820円=税込み)に掲載されています。
筆者は不肖・私。縁あって、堂々8ページにわたる特集を担当させていただきました。ファイターズファンの胸に刻まれているライスボウルで優勝したときの写真や2007年の甲子園ボウルで勝った瞬間の写真など「お宝写真」も満載です。自分で宣伝するのも何ですが(宣伝しないと知っていただけない)、記事もファイターズと同様、格調高く、気合いが入っています。
この8ページを読んでいただくだけでも、820円の価値はあると思います(ここまでいうと、誇大広告、ええ加減にせい、というそしりを受けそうです)が、もちろん残りの116ページにも関西学院大学の卒業生や在校生、そして学院に関心のある方々には、読み応えのある記事が満載です。
アエラの記者がニューヨークまで出かけて取材した、国際的な舞台で活躍する卒業生の群像、社会に貢献する研究に取り組む教員、課外活動に取り組む学生らを取り上げ、関西学院大学の歴史と最新の情報を盛り込んでいます。
これを読んでいただければ、関西学院大学がなぜ「世界市民」という言葉に特別の意味を持たせているのか、関西学院大学がなぜ、世間で高く評価されるようになったのか、そういうことがおのずと分かるはずです。論より証拠。まずは手にとって読んで下さい。そして、千円札を手にレジに走って下さい。180円のおつりがあります。
読んで面白ければ、広く友人、知人にも紹介して下さい。聞けば、今週末の甲南大学戦、ファイターズのグッズを売っているテントでも販売されるそうです。今週の応援席では「アエラムック・関西学院」を手にして下さっている方が僕の「あこがれ」、ヒーローでありヒロインです。
追記
それにしても、今回の記事を書くに当たって、いろんな場面でファイターズとそれを育ててきたOBの底力を実感しました。
底力とは、例えば次のようなことです。
1、チームの過去の記録、足取りが完璧に残されており、その資料がいつでも利用できるように整備されていること。70年にわたって、資料整備を引き継いでこられた歴代のOBの努力の積み重ねに頭が下がります。これも伝統の力でしょう。
2、チームの歴史を正確な記憶力で理路整然と語れるOBが多数、健在であること。今回の取材でも米田満先生、古川明さん、武田建先生、伊角富三さんらから、貴重な話を懇切丁寧に聞かせていただきました。
3、70年に及ぶチームの姿を「鳥の目」と「虫の目」で把握、分析し、それをジャーナリストの視点で言葉にできる人材(小野宏コーチのことです)がいること。原稿を書きあぐねたとき、いつも小野さんのアドバイスが力になりました。
4、正確な校閲、資料提供をしていただいたディレクター補佐の宮本敬士、石割淳両氏のお力添えもありがたいことでした。
さらには、鳥内秀晃監督をはじめとする「ファイターズ・ファミリー」の全面的なご協力によって、何とか「ファイターズの栄光と軌跡」の一端を描くことができました。心から感謝します。(石)
(24)「しょうもない」反則
投稿日時:2011/10/04(火) 12:06
2日の神戸大戦は、今季初めての晴天。多少雲はあったが、気温も下がってさわやかな一日だった。
絶好の気候に調子を合わせたように、試合は立ち上がりからファイターズペース。ファイターズのキック、神戸大のレシーブで始まった試合は、相手ゴール前8ヤードから神戸大の攻撃。その最初のプレーで相手が反則、ゴール前4ヤードまで下がる。ここでDB村上がQBサックを決め、いきなりセーフティー。2点を先取し、攻撃権ももぎ取った。
ファイターズの最初の攻撃は、自陣48ヤードから。最初のプレーでQB畑が右サイドに切れ上がったWR和田に35ヤードのロングパスを通してダウンを更新。続いてWR木戸に9ヤードのパス。残る8ヤードをRB松岡兄が駆け抜けてTD。K大西のキックも決まってわずか3プレーで9ー0とリードを広げる。
驚いたのは、次のプレー。相手守備陣が深く位置しているのを見た大西が10ヤードほどの短いキックを転がし、そのまま自分で押さえて攻撃権を確保してしまったのである。開始早々、という場面で、相手にはまさかという油断があったのだろう。ギャンブルというよりも、そこを機敏についた頭脳的なプレー選択だった。
自陣42ヤードの好位置で始まった次のシリーズ。今度は畑からのややオーバースロー気味のパスをWR梅本が俊足を生かしてスーパーキャッチ。38ヤードを稼いで一気にゴール前19ヤードに迫る。RB鷺野のドロープレーで1ヤードを進めた後、またも松岡兄が18ヤードを駆け上がってTD。これまでの2戦、ゴール前に迫ってからなかなか決められなかったのが嘘のようなテンポの好い試合運びで16-0。試合が始まって5分にもならないうちの速攻だった。
次の神戸大の攻撃シリーズをDL池永のQBサックなどで簡単にパントに追いやったファイターズの攻撃は自陣33ヤードから。松岡のランと畑からWR小山への短いパスで1回ダウンを更新し、今度は鷺野が58ヤードの独走TD。左サイドライン際を一気に駆け上がったスピードに、目を見張らされた。
これらを含めて、驚くのはこの日の攻撃陣。第1Qにつかんだ攻撃機会をことごとくTDに結びつけ、相手につけいる隙を与えない。第2Qに入っても、WR南本、梅本、小山らへのパスが面白いように決まり、相手守備陣を翻弄する。「こんな試合、初めて見た」と観戦仲間と話していたが、好事魔多し。ファイターズは交代違反の反則で自らリズムを崩してしまう。TDのチャンスを逃がし、FGを大西のキックも外れてしまった。せっかくリズムよく攻め込みながら、不用意な反則で、相手にチャンスを与えてしまったのである。
このいやな流れを今度はキッキングチームがカバーする。相手パントをLB片桐がブロック、それをDB山本が拾って相手ゴール前23ヤード付近で攻撃権を確保。このチャンスをRB望月の突進と鷺野の小気味よい走りでTDに結びつけた。
だが、テンポよく進んだのはここまで。後はクリッピングや交代違反、フォルスタートなどの反則でリズムを崩し、なかなか攻撃の糸口がつかめない。攻守とも、メンバーを次々交代させたこともあって、第3Qでは相手にTDを奪われてしまった。
終わって見れば49-7。得点だけを見れば圧勝だが、それは立ち上がりにたたみかけた23点と2本のセーフティー、3本のQBサック、2本のインターセプトに代表される守備陣の踏ん張りがあったからこそ。反則でリズムを崩し、メンバー交代でちぐはぐなプレーを続けた後半だけを見れば、とても優勝を争うチームとは思えなかった。
試合後、記者団に囲まれた鳥内監督の言葉がその惨状を的確に表現している。「しょうもない反則ばっかり。それでリズムが崩れてしまう」「罰退は5ヤードやけど、5ヤード下がるだけではない。反則で攻撃のリズムが崩れてしまうということの深刻さを、もっと真剣に受け止めなあきません。5ヤードの反則やと思っている限り、あきませんわ」
その通りである。今季の3戦、ファイターズはすべて相手より多くの反則を記録している。普段から、細心の注意を払って練習しているにも関わらず、プレー開始時の反則や交代違反という「しょうもない」反則が続出するのはどういうことか。下級生が多いとか、交代で出場するメンバーが多いのでプレーをあわせにくい、というようなことは言い訳にはならない。
神は細部に宿る。もっともっと細部を詰めて、自滅を防ぐ手立てを考えなければならない。チームを挙げた取り組みと、試合に出る全員の「気持ち」が必要だ。「All Grit」を目標ではなく、形に表すことである。
絶好の気候に調子を合わせたように、試合は立ち上がりからファイターズペース。ファイターズのキック、神戸大のレシーブで始まった試合は、相手ゴール前8ヤードから神戸大の攻撃。その最初のプレーで相手が反則、ゴール前4ヤードまで下がる。ここでDB村上がQBサックを決め、いきなりセーフティー。2点を先取し、攻撃権ももぎ取った。
ファイターズの最初の攻撃は、自陣48ヤードから。最初のプレーでQB畑が右サイドに切れ上がったWR和田に35ヤードのロングパスを通してダウンを更新。続いてWR木戸に9ヤードのパス。残る8ヤードをRB松岡兄が駆け抜けてTD。K大西のキックも決まってわずか3プレーで9ー0とリードを広げる。
驚いたのは、次のプレー。相手守備陣が深く位置しているのを見た大西が10ヤードほどの短いキックを転がし、そのまま自分で押さえて攻撃権を確保してしまったのである。開始早々、という場面で、相手にはまさかという油断があったのだろう。ギャンブルというよりも、そこを機敏についた頭脳的なプレー選択だった。
自陣42ヤードの好位置で始まった次のシリーズ。今度は畑からのややオーバースロー気味のパスをWR梅本が俊足を生かしてスーパーキャッチ。38ヤードを稼いで一気にゴール前19ヤードに迫る。RB鷺野のドロープレーで1ヤードを進めた後、またも松岡兄が18ヤードを駆け上がってTD。これまでの2戦、ゴール前に迫ってからなかなか決められなかったのが嘘のようなテンポの好い試合運びで16-0。試合が始まって5分にもならないうちの速攻だった。
次の神戸大の攻撃シリーズをDL池永のQBサックなどで簡単にパントに追いやったファイターズの攻撃は自陣33ヤードから。松岡のランと畑からWR小山への短いパスで1回ダウンを更新し、今度は鷺野が58ヤードの独走TD。左サイドライン際を一気に駆け上がったスピードに、目を見張らされた。
これらを含めて、驚くのはこの日の攻撃陣。第1Qにつかんだ攻撃機会をことごとくTDに結びつけ、相手につけいる隙を与えない。第2Qに入っても、WR南本、梅本、小山らへのパスが面白いように決まり、相手守備陣を翻弄する。「こんな試合、初めて見た」と観戦仲間と話していたが、好事魔多し。ファイターズは交代違反の反則で自らリズムを崩してしまう。TDのチャンスを逃がし、FGを大西のキックも外れてしまった。せっかくリズムよく攻め込みながら、不用意な反則で、相手にチャンスを与えてしまったのである。
このいやな流れを今度はキッキングチームがカバーする。相手パントをLB片桐がブロック、それをDB山本が拾って相手ゴール前23ヤード付近で攻撃権を確保。このチャンスをRB望月の突進と鷺野の小気味よい走りでTDに結びつけた。
だが、テンポよく進んだのはここまで。後はクリッピングや交代違反、フォルスタートなどの反則でリズムを崩し、なかなか攻撃の糸口がつかめない。攻守とも、メンバーを次々交代させたこともあって、第3Qでは相手にTDを奪われてしまった。
終わって見れば49-7。得点だけを見れば圧勝だが、それは立ち上がりにたたみかけた23点と2本のセーフティー、3本のQBサック、2本のインターセプトに代表される守備陣の踏ん張りがあったからこそ。反則でリズムを崩し、メンバー交代でちぐはぐなプレーを続けた後半だけを見れば、とても優勝を争うチームとは思えなかった。
試合後、記者団に囲まれた鳥内監督の言葉がその惨状を的確に表現している。「しょうもない反則ばっかり。それでリズムが崩れてしまう」「罰退は5ヤードやけど、5ヤード下がるだけではない。反則で攻撃のリズムが崩れてしまうということの深刻さを、もっと真剣に受け止めなあきません。5ヤードの反則やと思っている限り、あきませんわ」
その通りである。今季の3戦、ファイターズはすべて相手より多くの反則を記録している。普段から、細心の注意を払って練習しているにも関わらず、プレー開始時の反則や交代違反という「しょうもない」反則が続出するのはどういうことか。下級生が多いとか、交代で出場するメンバーが多いのでプレーをあわせにくい、というようなことは言い訳にはならない。
神は細部に宿る。もっともっと細部を詰めて、自滅を防ぐ手立てを考えなければならない。チームを挙げた取り組みと、試合に出る全員の「気持ち」が必要だ。「All Grit」を目標ではなく、形に表すことである。
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