石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
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(20)報告を一つ
投稿日時:2018/10/03(水) 06:46
先日、自宅に送られてきた関西学院同窓会の「母校通信」と2018年の「ファイターズイヤーブック」に、それぞれ興味深い数字が紹介されていた。
母校通信では、副学長、小菅正伸副学長と小野宏総合企画部長(ファイターズのディレクターという方が分かりやすいかもしれない)との対談の中で紹介されている「2017年度有名企業400社の就職率」(サンデー毎日調べ)にある関西学院大28.4%という数字である。大学通信の調べでは「トップは一橋大の58.9%で、関学は
全国20位。関西では阪大、京大、同志社に次いで4位」とランクされている。
これだけでも、鼻が高いのに、ファイターズのイヤーブックでは、東洋経済が調べた2018年度「人気企業300社」に就職したファイターズの卒業生は71%に達していることが紹介されている。同じ調査ではないから、単純に比較することはできないが、大学全体では日本で一番の実績を誇る一橋大よりも、ファイターズの諸君の方が人気企業への就職率が高いというのだ。
すごい!と驚かれる方も多いだろう。もっと驚くのは、こうした実績を1年や2年ではなく、毎年のように積み重ねていることである。ここ数年はずっと人気企業300社への就職率は7割前後で推移しているというから、就活に四苦八苦している一般の学生にとっては驚愕(きょうがく)という言葉しかないだろう。
今季、練習と試合の合間を縫って就活を続けてきた4年生の実績(一部、留年中の5年生を含む)の実績も素晴らしい。僕が知るところでは三井物産、東京海上日動火災、三井住友銀行、富士通にそれぞれ3人。三菱UFJ銀行、野村證券、ファーストリテーリング、ニトリに各2人。ほかにも三井住友海上、旭化成ホームズ、帝人フロンティア、三菱電機、富士フイルム、コクヨ、ソフトバンク、池田泉州銀行、キャノン、サッポロビール、第一三共、日本航空、本田技研工業、日立製作所、長瀬産業、住友電工、博報堂DYデジタル、伊藤忠、日本生命、川重商事、新日鐵住金、メタルワン、第一生命、リンクアンドモチベーションなどの人気企業から続々と内定をもらっている。
来春卒業予定の4年生は45人。うち10余人は留年し、来年の就活に挑むという。その結果、「来春に卒業を予定している全員が内定をもらっています」というから、さすがファイターズというしかない。
驚くのは、こうした実績をたたき出したのが有名選手だけでなく、マネジャーやアナライジングスタッフ、トレーナー、中高の学生コーチまでを含めた部員全員であること。選手もスタッフも関係なく、全員がファイターズの構成員として練習に励み、自覚を持って就職活動に取り組んできた成果であることが誇らしい。
一部のスター選手だけに光が当たるのではない。それぞれの部署に分かれ、責任を持ってその任務を果たす中で人間的に成長し、その姿を企業の採用担当から評価されたからこその実績である。ここにファイターズの真価がある。
もちろん、ファイターズというチームに対する高い評価が大きな力になっていることは間違いない。人気企業に勤めている先輩たちの活躍振りを通じて、ファイターズという組織の底力が評価されたという側面もあるだろうし、後輩のために何かと相談に乗って下さった先輩諸氏のご協力も大きかったに違いない。
僕も今春、新4年生が就活の準備を始める春休みに、就職希望者全員を対象に「チャーミングなエントリーシートの書き方」というテーマで、勉強会の講師を担当した。希望する部員には、エントリーシートの作成について具体的な指導や添削作業もした。
その昔、朝日新聞社で入社試験の小論文の採点委員や面接担当を何年も続けた経験と、この10数年、関西学院大学で非常勤講師を務め、「文章表現論」を担当している経験を生かして、懇切丁寧に「内定に直結するエントリーシート」の作成に協力したのである。手間のかかる仕事だが、多少は時間にゆとりのある年寄りならではの仕事でもある。その結果、僕が相談に乗った全員が希望する企業から内定を勝ち取り、僕自身も大きな喜びを手にした。
そうした時間を通じて、ファイターズの諸君が練習や試合だけでなく、就職活動にも懸命に努力する場面を何度も見せてもらった。これもまた学生スポーツ、課外活動の大事な姿であろう。
目の前の部活だけに集中するのではない。学業にも、就職活動にも全力で取り組む。今日、一つの山の頂きを極めたら、明日登る山の頂上を見定め、また一歩ずつ歩を進めていく。そうした努力を重ねることで目標の「日本1」という頂上が見えてくる。
今季、残されて時間は短い。その頂上を見定め、さらなる努力、精進を期待する。
母校通信では、副学長、小菅正伸副学長と小野宏総合企画部長(ファイターズのディレクターという方が分かりやすいかもしれない)との対談の中で紹介されている「2017年度有名企業400社の就職率」(サンデー毎日調べ)にある関西学院大28.4%という数字である。大学通信の調べでは「トップは一橋大の58.9%で、関学は
全国20位。関西では阪大、京大、同志社に次いで4位」とランクされている。
これだけでも、鼻が高いのに、ファイターズのイヤーブックでは、東洋経済が調べた2018年度「人気企業300社」に就職したファイターズの卒業生は71%に達していることが紹介されている。同じ調査ではないから、単純に比較することはできないが、大学全体では日本で一番の実績を誇る一橋大よりも、ファイターズの諸君の方が人気企業への就職率が高いというのだ。
すごい!と驚かれる方も多いだろう。もっと驚くのは、こうした実績を1年や2年ではなく、毎年のように積み重ねていることである。ここ数年はずっと人気企業300社への就職率は7割前後で推移しているというから、就活に四苦八苦している一般の学生にとっては驚愕(きょうがく)という言葉しかないだろう。
今季、練習と試合の合間を縫って就活を続けてきた4年生の実績(一部、留年中の5年生を含む)の実績も素晴らしい。僕が知るところでは三井物産、東京海上日動火災、三井住友銀行、富士通にそれぞれ3人。三菱UFJ銀行、野村證券、ファーストリテーリング、ニトリに各2人。ほかにも三井住友海上、旭化成ホームズ、帝人フロンティア、三菱電機、富士フイルム、コクヨ、ソフトバンク、池田泉州銀行、キャノン、サッポロビール、第一三共、日本航空、本田技研工業、日立製作所、長瀬産業、住友電工、博報堂DYデジタル、伊藤忠、日本生命、川重商事、新日鐵住金、メタルワン、第一生命、リンクアンドモチベーションなどの人気企業から続々と内定をもらっている。
来春卒業予定の4年生は45人。うち10余人は留年し、来年の就活に挑むという。その結果、「来春に卒業を予定している全員が内定をもらっています」というから、さすがファイターズというしかない。
驚くのは、こうした実績をたたき出したのが有名選手だけでなく、マネジャーやアナライジングスタッフ、トレーナー、中高の学生コーチまでを含めた部員全員であること。選手もスタッフも関係なく、全員がファイターズの構成員として練習に励み、自覚を持って就職活動に取り組んできた成果であることが誇らしい。
一部のスター選手だけに光が当たるのではない。それぞれの部署に分かれ、責任を持ってその任務を果たす中で人間的に成長し、その姿を企業の採用担当から評価されたからこその実績である。ここにファイターズの真価がある。
もちろん、ファイターズというチームに対する高い評価が大きな力になっていることは間違いない。人気企業に勤めている先輩たちの活躍振りを通じて、ファイターズという組織の底力が評価されたという側面もあるだろうし、後輩のために何かと相談に乗って下さった先輩諸氏のご協力も大きかったに違いない。
僕も今春、新4年生が就活の準備を始める春休みに、就職希望者全員を対象に「チャーミングなエントリーシートの書き方」というテーマで、勉強会の講師を担当した。希望する部員には、エントリーシートの作成について具体的な指導や添削作業もした。
その昔、朝日新聞社で入社試験の小論文の採点委員や面接担当を何年も続けた経験と、この10数年、関西学院大学で非常勤講師を務め、「文章表現論」を担当している経験を生かして、懇切丁寧に「内定に直結するエントリーシート」の作成に協力したのである。手間のかかる仕事だが、多少は時間にゆとりのある年寄りならではの仕事でもある。その結果、僕が相談に乗った全員が希望する企業から内定を勝ち取り、僕自身も大きな喜びを手にした。
そうした時間を通じて、ファイターズの諸君が練習や試合だけでなく、就職活動にも懸命に努力する場面を何度も見せてもらった。これもまた学生スポーツ、課外活動の大事な姿であろう。
目の前の部活だけに集中するのではない。学業にも、就職活動にも全力で取り組む。今日、一つの山の頂きを極めたら、明日登る山の頂上を見定め、また一歩ずつ歩を進めていく。そうした努力を重ねることで目標の「日本1」という頂上が見えてくる。
今季、残されて時間は短い。その頂上を見定め、さらなる努力、精進を期待する。
(19)試行錯誤
投稿日時:2018/09/25(火) 08:20
試行錯誤という言葉がある。手元の辞書は「課題が困難なとき、何回もやってみて、失敗を重ねながらも段々と目的に迫っていくやり方」と説明している。
関西リーグの第3戦、龍谷大学との試合を観戦しながら、思わずこの言葉が脳裏に浮かんだ。
「失敗を重ねながらも」「何回もやってみて」という点ではその通りだった。初戦から指摘されてきたつまらない反則が出ていたし、パスもなかなか通らない。ランプレーが思うように進まない場面があったし、レシーバーが手の届く範囲のパスを落とす場面もあった。交代メンバーが出場してからは、ラインが割られる場面も何度か見掛けた。
前半から大きくリードしていたこと、守備陣が終始安定していたこと、そして相手ディフェンスの動きのよかったことなどを割り引いても、正直にいえば「これで上位チーム、とりわけ立命に通用するのだろうか」と心配になるような内容だった。
もちろん、個々のプレーでは見るべき点がいくつもあった。立ち上がり、いきなりロングリターンを決め、相手守備陣を驚かせたWR小田の快走。そこでつかんだチャンスにきっちり44ヤードのFGを成功させたK安藤の安定感。相手の攻撃を立て続けに3&アウトに仕留めた守備陣の活躍。一気に左サイドを駆け上がってTDを決めたRB渡邊の快足。さらにはゴール前ショートの場面で、3回連続でTDを奪ったRB中村のすばしこい動き。
レシーバー陣では小田と阿部がスピードとセンスの良さを見せつけたキャッチを重ね、いまひとつ球筋の定まらないQB西野を大いに助けた。1、2戦目で不安定な場面を見せたOLも、この日はしっかり前に押し込んでいた。久々にパントのリターナーに入ったWR尾崎も思い切りのよいプレーで陣地を進めた。
ディフェンスでは1列目の寺岡、青木、藤本、板敷が安定した動きを見せ、2列目、3列目も相手にロングゲインを許さなかった。1年生のDL青木、LB赤倉、DB北川らもはつらつとした動きを見せた。
このように書いていけば、どこが「試行錯誤」だ、どこが「失敗を重ねながらも」だ、といわれるかもしれない。
けれども、現場で観戦している僕の目は、この日の対戦相手の向こうに立命や関大、京大を見ている。強力な立命の守備陣を相手に同じようなプレーが成功するのか、立命のオフェンスを向こうに回して、守備陣はこの日のように自由自在に動けるのだろうかと考えている。一つのミス、一つの反則が命取りになるのではないかと怖れている。
そういう視点で見ると、得点は38-0、総獲得ヤードは406ヤード対101ヤードと、ともにファイターズが相手を凌駕(りょうが)していても、まったく気持ちが落ち着かない。不要な反則が3回、ファンブルも3回(そのうち攻撃権を失ったのが2回)という数字が、その不安に拍車をかける。「失敗を重ねながら」という言葉そのものではないかと思ってしまうのである。
問題は「失敗を重ねながらも」「段々と目的に向かっている」かどうかという点にある。初戦で出た反省点が生かされているか。2戦目で出た反省点はクリアできたか。先発で出場したメンバーだけでなく、交代メンバーの力はどこまで上がっているのか。勝敗の行方が見えてからのプレーではなく、攻撃も守備も、拮抗した場面でどこまで力を出し切れたか。そうした点を自分に問い掛けながら、「段々と目的に向かっているかどうか」をチェックしなければならないと考えているのである。
僕にはまだ、その答えは見えてこない。これからの練習への取り組みと、4戦目、5戦目と続く試合の中で見ていくしかないと考えている。
その意味では、選手、スタッフはリーグ戦3戦目までの戦い振りを丁寧に分析し、良い点、悪い点、改良すべき点をすべて洗い出すしかない。評価すべき点は評価し、改良すべき点は改良していかなければならない。それができるかどうかによって、今後の命運が決まる。勝っておごらず、失敗にくじけず、目の前にある問題点を一つ一つ乗り越えていくしかないのだ。
そうすることで初めて「段々と目的地に向かっていける」。がんばろう。もう1段も2段も上のステージを目指し、努力を続けようではないか。
関西リーグの第3戦、龍谷大学との試合を観戦しながら、思わずこの言葉が脳裏に浮かんだ。
「失敗を重ねながらも」「何回もやってみて」という点ではその通りだった。初戦から指摘されてきたつまらない反則が出ていたし、パスもなかなか通らない。ランプレーが思うように進まない場面があったし、レシーバーが手の届く範囲のパスを落とす場面もあった。交代メンバーが出場してからは、ラインが割られる場面も何度か見掛けた。
前半から大きくリードしていたこと、守備陣が終始安定していたこと、そして相手ディフェンスの動きのよかったことなどを割り引いても、正直にいえば「これで上位チーム、とりわけ立命に通用するのだろうか」と心配になるような内容だった。
もちろん、個々のプレーでは見るべき点がいくつもあった。立ち上がり、いきなりロングリターンを決め、相手守備陣を驚かせたWR小田の快走。そこでつかんだチャンスにきっちり44ヤードのFGを成功させたK安藤の安定感。相手の攻撃を立て続けに3&アウトに仕留めた守備陣の活躍。一気に左サイドを駆け上がってTDを決めたRB渡邊の快足。さらにはゴール前ショートの場面で、3回連続でTDを奪ったRB中村のすばしこい動き。
レシーバー陣では小田と阿部がスピードとセンスの良さを見せつけたキャッチを重ね、いまひとつ球筋の定まらないQB西野を大いに助けた。1、2戦目で不安定な場面を見せたOLも、この日はしっかり前に押し込んでいた。久々にパントのリターナーに入ったWR尾崎も思い切りのよいプレーで陣地を進めた。
ディフェンスでは1列目の寺岡、青木、藤本、板敷が安定した動きを見せ、2列目、3列目も相手にロングゲインを許さなかった。1年生のDL青木、LB赤倉、DB北川らもはつらつとした動きを見せた。
このように書いていけば、どこが「試行錯誤」だ、どこが「失敗を重ねながらも」だ、といわれるかもしれない。
けれども、現場で観戦している僕の目は、この日の対戦相手の向こうに立命や関大、京大を見ている。強力な立命の守備陣を相手に同じようなプレーが成功するのか、立命のオフェンスを向こうに回して、守備陣はこの日のように自由自在に動けるのだろうかと考えている。一つのミス、一つの反則が命取りになるのではないかと怖れている。
そういう視点で見ると、得点は38-0、総獲得ヤードは406ヤード対101ヤードと、ともにファイターズが相手を凌駕(りょうが)していても、まったく気持ちが落ち着かない。不要な反則が3回、ファンブルも3回(そのうち攻撃権を失ったのが2回)という数字が、その不安に拍車をかける。「失敗を重ねながら」という言葉そのものではないかと思ってしまうのである。
問題は「失敗を重ねながらも」「段々と目的に向かっている」かどうかという点にある。初戦で出た反省点が生かされているか。2戦目で出た反省点はクリアできたか。先発で出場したメンバーだけでなく、交代メンバーの力はどこまで上がっているのか。勝敗の行方が見えてからのプレーではなく、攻撃も守備も、拮抗した場面でどこまで力を出し切れたか。そうした点を自分に問い掛けながら、「段々と目的に向かっているかどうか」をチェックしなければならないと考えているのである。
僕にはまだ、その答えは見えてこない。これからの練習への取り組みと、4戦目、5戦目と続く試合の中で見ていくしかないと考えている。
その意味では、選手、スタッフはリーグ戦3戦目までの戦い振りを丁寧に分析し、良い点、悪い点、改良すべき点をすべて洗い出すしかない。評価すべき点は評価し、改良すべき点は改良していかなければならない。それができるかどうかによって、今後の命運が決まる。勝っておごらず、失敗にくじけず、目の前にある問題点を一つ一つ乗り越えていくしかないのだ。
そうすることで初めて「段々と目的地に向かっていける」。がんばろう。もう1段も2段も上のステージを目指し、努力を続けようではないか。
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