石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(13)アメフト探検会
先日、甲東園の駅前で、夏恒例の「アメフト探検会」が催された。KGファイターズの活動に理解を示してくださる関西学院大学の先生方の同好会である。
年に1度、春学期が終わった頃を見計らって鳥内監督やコーチ達を招き、和やかにフットボール談義をされる場といった方がよい。不肖私もファイターズの「専属コラムニスト」(勝手に僕が思っているだけです)として招待していただいた。
紀州・田辺の新聞社の仕事を早々に切り上げて西宮に向かう。自宅に車を駐め、急ぎ足で会場の料理屋に向かう。出席された先生方に読んでいただくつもりでリュックに入れた「2015年FIGHTERSの軌跡」と「水鉄砲抄2015」が重い。ともに、僕がこの1年間、ファイターズのホームページと勤め先の新聞に書いたコラムを集成して出版した本である。双方合わせて24冊。それだけ参加者、つまりファイターズの活動に心を寄せ、あれこれと応援して下さる先生が増えているということである。ありがたいことだ。
この会の長老の一人、文学部の永田先生の挨拶で開会。すぐにビールで乾杯。先生は相撲部の部長をされており、アメフト探検会というのに話題はもっぱら十両で活躍している宇良関のこと。とんとん拍子に出世しているが、それで天狗になることもなく、好感度満点の相撲を取っていることがうれしくてならないという口ぶりで、どんどん話が脱線する。
その話に絶妙の突っ込みを入れるのが文学部の後輩、鳥内監督。いつも応援してもらっている先生方の集まりとあって、日ごろ、新聞記者のインタビューに対応されているときとは雰囲気がまったく違う。先生方と監督との「掛け合い漫才」で、座が一気に盛り上がる。
出席されたメンバーの中には「ゼミでは必ず甲子園ボウルのビデオを見せます」とか「ゼミ生を連れて応援に行きます」とかいう先生がおられるし、毎年のように「野原コーチは、僕のゼミでも優秀な教え子」と自慢される先生もおられる。
理工学部で情報工学を担当されている先生は、ファイターズのために特別のソフトを次々に開発。ビデオを担当するスタッフの仕事を大いに軽減されている。ビデオ作成のスピードと効率アップだけでなく、今度は、練習や試合のビデオを部員がどれだけ熱心に見たかを計測する仕組みまで開発されたそうだ。部員が「自宅でビデオを見ていました」と自己申告しても、それが本当かどうかが、即、数字で分かるという。怠け者の部員には、やっかいな仕組みだ。
一方で「嫁さんがファイターズのファンなので、僕もつられてファンになりました」という若い先生がいるし「楽しい集まりだと聞いたから」と初めて参加された先生もいる。
共通しているのは「ファイターズを応援してやろう」「ファイターズは素晴らしいチームだ」ということで、特別に気を配って下さる先生が学部や年齢に関係なく、あちこちに存在すること。そうした先生方が年に一度、教授や助教授という肩書きとは関係なく、ファイターズが好きだ、応援しているよ、といって集まり、監督やコーチと忌憚(きたん)なく意見を交わし、放談する機会を持って下さること。
僕は、2007年のライスボウルの後、会のリーダーでもある商学部の福井先生と東京で杯を交わした(ほんの1杯だが)のが縁で親しくなり、この会にも招かれるようになったのだが、回を重ねるごとに、先生方がこういう集まりを持って下さることに感謝する気持ちが強くなっている。定年で大学を去られたメンバーも多いが、そうした人も含めて、ファイターズのことを常に気にかけ、見守って下さる先生方がいるというのは、本当に心強い。
近年、大学における課外活動の意味、役割はますます大きくなっている。それは昨年のプリンストン大学との交流でも確かめられたし、就職活動の場でも実証されている。
しかしながら、一方で、大学の先生方が課外活動を見る目が厳しくなっているのも現実である。部活動が優先され、授業に出られない部があるとか、試合に出る部員が優先され、それ以外の部員はスポイルされているとかいう話を学生から聞くこともある。僕も非常勤講師として、多少とも学生を教える立場にあるから、ほかの部で活動している教え子たちからそうした話を聞かされることがある。
そういう状況にあっても、ファイターズはなお先生方に愛されている。それは歴代の部員や指導者が営々と積み重ねてきた実践と実績があってこその話である。優勝回数やその内容だけでなく、日ごろの授業への取り組みや就職活動の実績までをトータルした実践がチームのカラーとなり、それを好ましく思っていただけているのである。現役部員への評価というより、歴代の先輩方に対する評価といった方が正確かもしれない。
ローマは一日にして成らず。ファイターズも一日にして成らず。現役の諸君も、そういう歴史的な背景をよくわきまえていただきたい。ファイターズの歴史から学ぶこと大切さがここにある。
「ファイターズの部員はいつも、多くの人に見られている」というのは、鳥内監督が常に言われる言葉である。
グラウンドでの練習や戦いだけでなく、通学途上の電車の中での振る舞いから授業を受ける態度まで、チームの評価が高くなればなるほど、その行動に責任が伴うという意味である。その意味をよく理解し、これからも先生方に支援していただけるにふさわしいチームの一員として行動していただきたい。それが自身の成長につながることは、多くの先輩が証明している。
年に1度、春学期が終わった頃を見計らって鳥内監督やコーチ達を招き、和やかにフットボール談義をされる場といった方がよい。不肖私もファイターズの「専属コラムニスト」(勝手に僕が思っているだけです)として招待していただいた。
紀州・田辺の新聞社の仕事を早々に切り上げて西宮に向かう。自宅に車を駐め、急ぎ足で会場の料理屋に向かう。出席された先生方に読んでいただくつもりでリュックに入れた「2015年FIGHTERSの軌跡」と「水鉄砲抄2015」が重い。ともに、僕がこの1年間、ファイターズのホームページと勤め先の新聞に書いたコラムを集成して出版した本である。双方合わせて24冊。それだけ参加者、つまりファイターズの活動に心を寄せ、あれこれと応援して下さる先生が増えているということである。ありがたいことだ。
この会の長老の一人、文学部の永田先生の挨拶で開会。すぐにビールで乾杯。先生は相撲部の部長をされており、アメフト探検会というのに話題はもっぱら十両で活躍している宇良関のこと。とんとん拍子に出世しているが、それで天狗になることもなく、好感度満点の相撲を取っていることがうれしくてならないという口ぶりで、どんどん話が脱線する。
その話に絶妙の突っ込みを入れるのが文学部の後輩、鳥内監督。いつも応援してもらっている先生方の集まりとあって、日ごろ、新聞記者のインタビューに対応されているときとは雰囲気がまったく違う。先生方と監督との「掛け合い漫才」で、座が一気に盛り上がる。
出席されたメンバーの中には「ゼミでは必ず甲子園ボウルのビデオを見せます」とか「ゼミ生を連れて応援に行きます」とかいう先生がおられるし、毎年のように「野原コーチは、僕のゼミでも優秀な教え子」と自慢される先生もおられる。
理工学部で情報工学を担当されている先生は、ファイターズのために特別のソフトを次々に開発。ビデオを担当するスタッフの仕事を大いに軽減されている。ビデオ作成のスピードと効率アップだけでなく、今度は、練習や試合のビデオを部員がどれだけ熱心に見たかを計測する仕組みまで開発されたそうだ。部員が「自宅でビデオを見ていました」と自己申告しても、それが本当かどうかが、即、数字で分かるという。怠け者の部員には、やっかいな仕組みだ。
一方で「嫁さんがファイターズのファンなので、僕もつられてファンになりました」という若い先生がいるし「楽しい集まりだと聞いたから」と初めて参加された先生もいる。
共通しているのは「ファイターズを応援してやろう」「ファイターズは素晴らしいチームだ」ということで、特別に気を配って下さる先生が学部や年齢に関係なく、あちこちに存在すること。そうした先生方が年に一度、教授や助教授という肩書きとは関係なく、ファイターズが好きだ、応援しているよ、といって集まり、監督やコーチと忌憚(きたん)なく意見を交わし、放談する機会を持って下さること。
僕は、2007年のライスボウルの後、会のリーダーでもある商学部の福井先生と東京で杯を交わした(ほんの1杯だが)のが縁で親しくなり、この会にも招かれるようになったのだが、回を重ねるごとに、先生方がこういう集まりを持って下さることに感謝する気持ちが強くなっている。定年で大学を去られたメンバーも多いが、そうした人も含めて、ファイターズのことを常に気にかけ、見守って下さる先生方がいるというのは、本当に心強い。
近年、大学における課外活動の意味、役割はますます大きくなっている。それは昨年のプリンストン大学との交流でも確かめられたし、就職活動の場でも実証されている。
しかしながら、一方で、大学の先生方が課外活動を見る目が厳しくなっているのも現実である。部活動が優先され、授業に出られない部があるとか、試合に出る部員が優先され、それ以外の部員はスポイルされているとかいう話を学生から聞くこともある。僕も非常勤講師として、多少とも学生を教える立場にあるから、ほかの部で活動している教え子たちからそうした話を聞かされることがある。
そういう状況にあっても、ファイターズはなお先生方に愛されている。それは歴代の部員や指導者が営々と積み重ねてきた実践と実績があってこその話である。優勝回数やその内容だけでなく、日ごろの授業への取り組みや就職活動の実績までをトータルした実践がチームのカラーとなり、それを好ましく思っていただけているのである。現役部員への評価というより、歴代の先輩方に対する評価といった方が正確かもしれない。
ローマは一日にして成らず。ファイターズも一日にして成らず。現役の諸君も、そういう歴史的な背景をよくわきまえていただきたい。ファイターズの歴史から学ぶこと大切さがここにある。
「ファイターズの部員はいつも、多くの人に見られている」というのは、鳥内監督が常に言われる言葉である。
グラウンドでの練習や戦いだけでなく、通学途上の電車の中での振る舞いから授業を受ける態度まで、チームの評価が高くなればなるほど、その行動に責任が伴うという意味である。その意味をよく理解し、これからも先生方に支援していただけるにふさわしいチームの一員として行動していただきたい。それが自身の成長につながることは、多くの先輩が証明している。
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