石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(27)大学祭から遠く離れて
上ケ原のキャンパスで、10月30日の午後から大学祭が始まった。中央芝生の特設ステージではにぎやかなバンドの演奏が続き、学内のちょっとした空き地には、びっしり売店や屋台が並ぶ。
とにかく大変なにぎわいである。どこにこんなに学生がいたのかと思うほど多くの学生がつめかけ、銀座通りなどは人で一杯。新型インフルエンザの患者がいれば、一気に感染が広がってしまいそう、と余計な心配もしたくなるほどだ。
聞けば、11月3日の後夜祭を終えて4日の後かたづけまで「日本で一番期間が長い」大学祭だという。この祭りの準備から当日のイベントまで、各種サークルや団体が注ぎ込んできたエネルギーのことを考えると、参加したメンバーが高揚した気持ちになるのも分かる気がする。
けれども、大学祭は秋の数日間。いくら準備に時間をかけ、盛り上がっても、祭りが終われば、おしまいである。後かたづけが終われば、メンバーはまた授業に戻り、大学生としての日常生活が始まる。
ところが、ファイターズはそうではない。たとえ試合で苦杯をなめようが、リーグ戦が終わろうが、この組織に所属している限り、ずっと勝つための戦い、日本1になるための鍛錬が続く。入部したその日から、卒業する日まで、毎日が「祭りの準備」であり、勝利までの「長い道のり」である。常住坐臥、どんな場面にあっても、高いモラルを求められる生活が続くのである。
大学祭でにぎわうキャンパスと第3フィールドは、距離にして500メートル弱。歩いて5分もかからない。だが、その活動内容、置かれた境遇には、気の遠くなるような隔たりがある。
「だからこそ、ファイターズなんだ」「だからこそ、社会が高く評価してくれるんだ」「はるかに遠く離れている、という点にこそ意味があるんだ」
そんなことを考えながら、祭りの人込みを縫い、上ケ原の八幡さんの前を通って第3フィールドに足を運ぶと、いつものようにファイターズが練習をしている。30日から1日までは、恒例の京大戦前の合宿。ミーティングに練習に、朝から晩まで、アメフット漬けの生活である。
コーチも全員が顔をそろえ、練習の雰囲気も締まってきた。週末ということで、普段、なかなか顔を出す機会のない若手OBの姿も見える。
圧巻は、佐岡(04年度)早川(08年度)という二人の主将が練習台に入ったディフェンスライン。これに現役の先発メンバー平澤、梶原などが加わり、鳥内監督をして「立命のラインより強力ですよ」という豪華な布陣が整った。
こういう「早くて強い」相手だと、オフェンスの練習も効果が上がる。1プレーごとに真剣味が増し、グラウンドの空気が張りつめてくる。本気度が見ている方にも伝わってくる。実際に体をぶつけ合っている選手にすれば、1プレーごとに練習の成果が実感されるのではないか。
こういう練習に、少しでも多く時間を割いてほしい。
もちろん、チームの内部で日ごろからオフェンスとディフェンスが本気になって練習し、互いに高めあうことが基本である。けれども、時にはチームのメンバーが経験したことのないほど高度な技術、スピード、強い当たりなどを、自らの体で体験することがあってもいいだろう。そういう刺激があれば、日ごろの練習に対する取り組みも、より深くなってくるはずだ。
そのためには、技術と経験をもった若手OBに、なるだけ多くグラウンドに顔を出してもらいたい。社会人になったばかりで、毎日、自分の仕事をこなすことに追われていることはよく分かる。それでも、グラウンドに顔を出し、練習台となって後輩を本気にさせてもらいたい。そういうファミリーとしての結束の強さが、ファイターズの伝統であり、財産でもあるはずだ。
とにかく大変なにぎわいである。どこにこんなに学生がいたのかと思うほど多くの学生がつめかけ、銀座通りなどは人で一杯。新型インフルエンザの患者がいれば、一気に感染が広がってしまいそう、と余計な心配もしたくなるほどだ。
聞けば、11月3日の後夜祭を終えて4日の後かたづけまで「日本で一番期間が長い」大学祭だという。この祭りの準備から当日のイベントまで、各種サークルや団体が注ぎ込んできたエネルギーのことを考えると、参加したメンバーが高揚した気持ちになるのも分かる気がする。
けれども、大学祭は秋の数日間。いくら準備に時間をかけ、盛り上がっても、祭りが終われば、おしまいである。後かたづけが終われば、メンバーはまた授業に戻り、大学生としての日常生活が始まる。
ところが、ファイターズはそうではない。たとえ試合で苦杯をなめようが、リーグ戦が終わろうが、この組織に所属している限り、ずっと勝つための戦い、日本1になるための鍛錬が続く。入部したその日から、卒業する日まで、毎日が「祭りの準備」であり、勝利までの「長い道のり」である。常住坐臥、どんな場面にあっても、高いモラルを求められる生活が続くのである。
大学祭でにぎわうキャンパスと第3フィールドは、距離にして500メートル弱。歩いて5分もかからない。だが、その活動内容、置かれた境遇には、気の遠くなるような隔たりがある。
「だからこそ、ファイターズなんだ」「だからこそ、社会が高く評価してくれるんだ」「はるかに遠く離れている、という点にこそ意味があるんだ」
そんなことを考えながら、祭りの人込みを縫い、上ケ原の八幡さんの前を通って第3フィールドに足を運ぶと、いつものようにファイターズが練習をしている。30日から1日までは、恒例の京大戦前の合宿。ミーティングに練習に、朝から晩まで、アメフット漬けの生活である。
コーチも全員が顔をそろえ、練習の雰囲気も締まってきた。週末ということで、普段、なかなか顔を出す機会のない若手OBの姿も見える。
圧巻は、佐岡(04年度)早川(08年度)という二人の主将が練習台に入ったディフェンスライン。これに現役の先発メンバー平澤、梶原などが加わり、鳥内監督をして「立命のラインより強力ですよ」という豪華な布陣が整った。
こういう「早くて強い」相手だと、オフェンスの練習も効果が上がる。1プレーごとに真剣味が増し、グラウンドの空気が張りつめてくる。本気度が見ている方にも伝わってくる。実際に体をぶつけ合っている選手にすれば、1プレーごとに練習の成果が実感されるのではないか。
こういう練習に、少しでも多く時間を割いてほしい。
もちろん、チームの内部で日ごろからオフェンスとディフェンスが本気になって練習し、互いに高めあうことが基本である。けれども、時にはチームのメンバーが経験したことのないほど高度な技術、スピード、強い当たりなどを、自らの体で体験することがあってもいいだろう。そういう刺激があれば、日ごろの練習に対する取り組みも、より深くなってくるはずだ。
そのためには、技術と経験をもった若手OBに、なるだけ多くグラウンドに顔を出してもらいたい。社会人になったばかりで、毎日、自分の仕事をこなすことに追われていることはよく分かる。それでも、グラウンドに顔を出し、練習台となって後輩を本気にさせてもらいたい。そういうファミリーとしての結束の強さが、ファイターズの伝統であり、財産でもあるはずだ。
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