石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(30)信じられない数字
強いのか、弱いのか。スタンドから見ているだけでは、まったく分からない試合だった。7日の関大戦。試合が終わった時には、ファイターズが33-7で勝っていたから、数字の上では圧勝である。
実際、試合後のスタッツを見ても、すべてにファイターズが上回っている。第1ダウンの獲得数は24回と13回。総獲得ヤードは442ヤード対232ヤード。ランでもパスでもほぼ相手の2倍の距離を稼いでいる。関大には2回の反則があり、15ヤード陣地を下げられているが、ファイターズはゼロ。
こういう数字を見た人は、ファイターズが終始、主導権を握って試合を進めたと思われるに違いない。けれども、とてもとてもそんな「お気楽な」気分で観戦できる状態ではなかった。
立ち上がり、関大陣18ヤードから始まった相手の攻撃を3&アウトで抑えたところまでは、いい感じだった。続くファイターズの攻撃は自陣46ヤードからの好位置。まずはQB伊豆からWR木下へのパスがヒットして19ヤードの前進。そこからRB野々垣と橋本が交互にボールを持ち、第4ダウンインチの攻撃も成功させてダウンを更新。次は野々垣が10ヤードを獲得してゴール前10ヤード。
しかし、ここからの攻撃が進まず、第4ダウンはフィールドゴールを選択。ところがK西岡の蹴ったボールを相手にブロックされ、関大陣28ヤードまで押し戻される。キックの弾道が低かったのか、キッカーをガードしている誰かが突破されたのか、スタンドからではよく見えなかったが「やばい。関大は徹底的に研究している」と思わせるに十分なプレーだった。
次の関大の攻撃は、一度ダウンを更新されたが、2度目はDL藤木、柴田の素晴らしいタックルで何とか抑えて攻守交代。自陣17ヤードから始まった攻撃は、伊豆から木下へのパス1本でダウンを更新。久々に復帰した副将はやはり頼りになる。次はまた伊豆からWR松井に23ヤードのパスをヒット、相手陣48ヤードに進む。
パスを2本続けた後は野々垣のランとRB山本のドロープレー。途中、WR前田への短いパスを挟んで橋本と高松のラン、野々垣へのショベルパス、さらにはFB山崎、RB橋本の突破力を生かしてゴール前1ヤード。仕上げは橋本の中央ダイブでTD。パスとランをかみ合わせた攻撃が見事に決まって7-0。
しかし、キッキングのカバーが破られ、相手はゴール前3ヤードから46ヤード地点までリターン。反撃ののろしを上げる。ここはDB山本、小池らのロスタックルで防ぎ、攻撃権を奪い返したが、次に伊豆が敵陣深く投じた長いパスが奪われ、再び関大の攻撃。関大の攻撃を断ち切ってベンチに戻った守備陣は、一息つく間もなく、再びグラウンドへ。突然の出動で、心の準備が間に合わなかったのか、相手のランとパスを組み合わせた攻撃を支えきれず、わずか7プレーで84ヤードを運ばれ、TDを奪われてしまう。
7-7。同点という数字もさることながら、目の前で相手の破壊力のあるオフェンスを見せつけられて、これはやばいぞ、という気持ちが芽生えてくる。
逆に関大は守備陣も勢いづいてくる。次のファイターズの攻撃を3&アウトに防ぎ、再び関大の攻撃。しかし今度は、心の準備ができていたのだろう。LB山岸のロスタックルなどで、ファイターズも相手を3&アウトで退ける。
自陣23ヤード、前半残り時間は2分21秒。ここからファイターズの華麗なパス攻撃が始まる。木下、松井、亀山への長短織り交ぜたパスを次々にヒットさせ、あっという間にゴール前9ヤード。前半残り時間はほとんどなかったが、伊豆が8ヤードを走り切ってTD。時計は残り3秒を指していた。
しかし、キッキングチームは不安定なまま。この場面でもTDの後のキックをブロックされ、得点は13-7。とてもリードしているという実感は持てないまま、後半戦に入る。 第3Qは関学のレシーブ。ここはWR池永の好リターンで自陣46ヤードからの攻撃。橋本、高松のランで陣地を進め、敵陣32ヤードからまたも松井に22ヤードのパス。難しいコースだったが、余裕で確保し、ベンチを奮い立たせる。前半終了間際の緊迫した場面で、23ヤードと13ヤードのパスを確実にキャッチしたのとあわせ、スーパー1年生としての存在感を見せつけた。
ゴール前8ヤードからの攻撃はランを3度止められたが、第4ダウンの攻撃で伊豆が5ヤードを走り切ってTD。リードを広げる。しかし、この場面でもPATが蹴れず、またもや得点は6点のまま。
第3Q10分32秒にもファイターズは伊豆から前田への15ヤードのパスを通して加点したが、この場面ではキックを蹴る選択をあきらめ、野々垣のランで2点を追加した。プレーが成功したのはうれしかったが、PATを蹴るのをあきらめるというのは、まさに異常事態。長い間ファイターズの試合を見てきたが、過去にも例のないことだった。
結局、この日はゴール前5ヤードからのフィールドゴールを1回試みて失敗。PATのキックも4回のうち3回失敗している。相手チームが十分に研究してきていることは割り引いても、理解に苦しむ状況である。キッカーの状態が悪かった、ということだけではなく、システムや習熟度に問題があったとしか考えられない。その証拠に、キックオフカバーも、終始不安定だった。この数年間、卓越したキッキングゲームで相手を圧倒してきたファイターズを見てきた人間としては、目の前の惨状が信じられなかった。
得点は33-7。圧勝だが、まったく勝った気がしないというのは、ここに原因がある。この点にどうメスを入れるか。シーズンが終盤になったいまでは、できることは限られているだろうが、何とか手を打ってもらいたい。
次の立命は、攻守とも関大をさらに上回るメンバーを揃えている。打倒関学、に燃える気概も並々ならぬものがあると聞いている。そういう難敵に対するに、不安を抱えたままでは戦えない。何とかしてくれ、と祈るばかりである。
実際、試合後のスタッツを見ても、すべてにファイターズが上回っている。第1ダウンの獲得数は24回と13回。総獲得ヤードは442ヤード対232ヤード。ランでもパスでもほぼ相手の2倍の距離を稼いでいる。関大には2回の反則があり、15ヤード陣地を下げられているが、ファイターズはゼロ。
こういう数字を見た人は、ファイターズが終始、主導権を握って試合を進めたと思われるに違いない。けれども、とてもとてもそんな「お気楽な」気分で観戦できる状態ではなかった。
立ち上がり、関大陣18ヤードから始まった相手の攻撃を3&アウトで抑えたところまでは、いい感じだった。続くファイターズの攻撃は自陣46ヤードからの好位置。まずはQB伊豆からWR木下へのパスがヒットして19ヤードの前進。そこからRB野々垣と橋本が交互にボールを持ち、第4ダウンインチの攻撃も成功させてダウンを更新。次は野々垣が10ヤードを獲得してゴール前10ヤード。
しかし、ここからの攻撃が進まず、第4ダウンはフィールドゴールを選択。ところがK西岡の蹴ったボールを相手にブロックされ、関大陣28ヤードまで押し戻される。キックの弾道が低かったのか、キッカーをガードしている誰かが突破されたのか、スタンドからではよく見えなかったが「やばい。関大は徹底的に研究している」と思わせるに十分なプレーだった。
次の関大の攻撃は、一度ダウンを更新されたが、2度目はDL藤木、柴田の素晴らしいタックルで何とか抑えて攻守交代。自陣17ヤードから始まった攻撃は、伊豆から木下へのパス1本でダウンを更新。久々に復帰した副将はやはり頼りになる。次はまた伊豆からWR松井に23ヤードのパスをヒット、相手陣48ヤードに進む。
パスを2本続けた後は野々垣のランとRB山本のドロープレー。途中、WR前田への短いパスを挟んで橋本と高松のラン、野々垣へのショベルパス、さらにはFB山崎、RB橋本の突破力を生かしてゴール前1ヤード。仕上げは橋本の中央ダイブでTD。パスとランをかみ合わせた攻撃が見事に決まって7-0。
しかし、キッキングのカバーが破られ、相手はゴール前3ヤードから46ヤード地点までリターン。反撃ののろしを上げる。ここはDB山本、小池らのロスタックルで防ぎ、攻撃権を奪い返したが、次に伊豆が敵陣深く投じた長いパスが奪われ、再び関大の攻撃。関大の攻撃を断ち切ってベンチに戻った守備陣は、一息つく間もなく、再びグラウンドへ。突然の出動で、心の準備が間に合わなかったのか、相手のランとパスを組み合わせた攻撃を支えきれず、わずか7プレーで84ヤードを運ばれ、TDを奪われてしまう。
7-7。同点という数字もさることながら、目の前で相手の破壊力のあるオフェンスを見せつけられて、これはやばいぞ、という気持ちが芽生えてくる。
逆に関大は守備陣も勢いづいてくる。次のファイターズの攻撃を3&アウトに防ぎ、再び関大の攻撃。しかし今度は、心の準備ができていたのだろう。LB山岸のロスタックルなどで、ファイターズも相手を3&アウトで退ける。
自陣23ヤード、前半残り時間は2分21秒。ここからファイターズの華麗なパス攻撃が始まる。木下、松井、亀山への長短織り交ぜたパスを次々にヒットさせ、あっという間にゴール前9ヤード。前半残り時間はほとんどなかったが、伊豆が8ヤードを走り切ってTD。時計は残り3秒を指していた。
しかし、キッキングチームは不安定なまま。この場面でもTDの後のキックをブロックされ、得点は13-7。とてもリードしているという実感は持てないまま、後半戦に入る。 第3Qは関学のレシーブ。ここはWR池永の好リターンで自陣46ヤードからの攻撃。橋本、高松のランで陣地を進め、敵陣32ヤードからまたも松井に22ヤードのパス。難しいコースだったが、余裕で確保し、ベンチを奮い立たせる。前半終了間際の緊迫した場面で、23ヤードと13ヤードのパスを確実にキャッチしたのとあわせ、スーパー1年生としての存在感を見せつけた。
ゴール前8ヤードからの攻撃はランを3度止められたが、第4ダウンの攻撃で伊豆が5ヤードを走り切ってTD。リードを広げる。しかし、この場面でもPATが蹴れず、またもや得点は6点のまま。
第3Q10分32秒にもファイターズは伊豆から前田への15ヤードのパスを通して加点したが、この場面ではキックを蹴る選択をあきらめ、野々垣のランで2点を追加した。プレーが成功したのはうれしかったが、PATを蹴るのをあきらめるというのは、まさに異常事態。長い間ファイターズの試合を見てきたが、過去にも例のないことだった。
結局、この日はゴール前5ヤードからのフィールドゴールを1回試みて失敗。PATのキックも4回のうち3回失敗している。相手チームが十分に研究してきていることは割り引いても、理解に苦しむ状況である。キッカーの状態が悪かった、ということだけではなく、システムや習熟度に問題があったとしか考えられない。その証拠に、キックオフカバーも、終始不安定だった。この数年間、卓越したキッキングゲームで相手を圧倒してきたファイターズを見てきた人間としては、目の前の惨状が信じられなかった。
得点は33-7。圧勝だが、まったく勝った気がしないというのは、ここに原因がある。この点にどうメスを入れるか。シーズンが終盤になったいまでは、できることは限られているだろうが、何とか手を打ってもらいたい。
次の立命は、攻守とも関大をさらに上回るメンバーを揃えている。打倒関学、に燃える気概も並々ならぬものがあると聞いている。そういう難敵に対するに、不安を抱えたままでは戦えない。何とかしてくれ、と祈るばかりである。
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