石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(28)手応えあり
25日の日曜日。関西リーグ第5節の相手は近大。前半の4試合は、下位チームを相手に1勝3敗と今ひとつ波に乗り切れていないが、実績のあるRBを中心に才能を感じさせる選手が少なくない。後ろに控える関大、立命との戦いを前に、すっきりと勝って勢いを付けたい相手だった。
試合は関学がレシーブを選択。それを計算したように、近大はいきなりのオンサイドキック。両軍がもみ合い、近大がボールを確保したかに見えたが、審判の判定は10ヤード転がる前に手を触れたということで、相手陣43ヤードからファイターズの攻撃。
第1プレーはQB伊豆がRB野々垣にハンドオフしたが、その瞬間、近大デフェンスに突っ込まれてマイナス3ヤード。最初のオンサイドキックといい、このプレーといい、近大が周到に準備したことがうかがえるプレーが二つも続いて、スタンドがざわつく。
しかし、伊豆はあくまで冷静。第2ダウン13ヤードからWR亀山にヒッチパス。それを確保した亀山が右サイドを駆け上がり、23ヤードのゲイン。続いて左サイドのWR前田泰に9ヤードのパス。残る14ヤードをRB高松が走り抜けてTD。わずか4プレー、1分少々の鮮やかな攻撃だった。西岡のKも決まって7-0。試合の主導権をがっちり確保する。
攻撃にリズムが出ると、守備も集中する。相手陣17ヤードから始まった近大の3プレー目のパスをLB松本和がインターセプトし、14ヤードを走って攻守交代。ゴール前12ヤードからの攻撃を野々垣のランで2ヤード。次は伊豆がゴール左隅に浮かせたパスを長身のWR松井がキャッチしたが、わずかにラインを超えて失敗。しかし、残る8ヤードを伊豆のキープと高松のランであっさりTDに結び付け14-0。試合開始から4分も経たない間の速攻だった。
こうなると守備陣も調子づく。DL小川のQBサックなどでまたも相手を完封。自陣46ヤードからファイターズの攻撃につなげる。
ファイターズ3回目のオフェンスは、パス、パス、パス。亀山、松井、TE山本に短いパスを3本続けて通し、ゴール前17ヤード。仕上げは野々垣が中央を走り抜けてTD。近大陣46ヤードから始まった4回目のオフェンスも伊豆からWR藤原へのパス、RB山口のランの2プレーでゴール前6ヤードに迫る。ここでホールディングの反則があったが、高松が委細構わず15ヤードを走り切って4本目のTD。
この間、時間にして11分少々。まだ第1Qも終わっていないのに得点は28-0。グラウンドはファイターズ祭りの様相である。
第2Qに入ってもファイターズの攻守はかみ合う。近大陣36ヤードから始まったファイターズの第5シリーズは、いきなり伊豆から松井に35ヤードのパスが決まり、ゴール前1ヤード。ここは山口が簡単に走り込み、わずか2回の攻撃でTD。ここでQBを控えの中根に交代させたが、その中根も自陣34ヤードからWR水野にスクリーンパスをヒットさせる。ボールを確保した水野が抜群のスピードで左サイドを走りきってまたまたTD。
試合開始から15分少々。オフェンスのプレー数は合計22回。わずかそれだけのプレーで6本のTDを奪取。西岡もキックをことごとく決めて42-0。守備もその間、一度も相手にファーストダウンを与えない健闘だった。
長い歳月、ファイターズの試合を見ているが、攻守ともここまで完璧な試合は見たことがない。試合開始の第1プレー。練りに練ったオンサイドキックが不成功になって、一瞬動揺した相手の隙を突いてたたみかけたとはいえ、6回の攻撃シリーズを短い時間でことごとくTDに結び付けたオフェンス。1列目と2列目、そして3列目が有機的に連携し、アリ一匹通さないような守備を続けたデフェンス。ともに素晴らしい内容だった。ベンチも選手も、次に控える関大、立命戦を前に「手応え有り」と確信したのではないか。
しかし、この試合の前日に戦われた立命と関大の試合を見た人によると、立命の守備陣がすごいそうだ。攻撃でも「異次元」のRBが縦横に走っており、とてもとてもやっかいな相手らしい。
その前に戦わなければならない関大も、立命相手には攻撃がちぐはぐだったというが、捲土重来、ファイターズ相手には何を仕掛けてくるか分からない。元々力のあるタレントが揃っているうえ、ファイターズを破れば優勝の可能性が残る。当然、死にものぐるいの戦いになるのは目に見えている。
そんな二つの強敵にどう挑むか。これからの1分、1秒が勝負である。近大との戦いでつかんだ「手応え」に、さらに磨きをかけ、存分に戦ってもらいたい。これからの試合に焦点を当て、長いリハビリ生活を続けてきた選手たちを含め、まだまだ、時間は残されている。
試合は関学がレシーブを選択。それを計算したように、近大はいきなりのオンサイドキック。両軍がもみ合い、近大がボールを確保したかに見えたが、審判の判定は10ヤード転がる前に手を触れたということで、相手陣43ヤードからファイターズの攻撃。
第1プレーはQB伊豆がRB野々垣にハンドオフしたが、その瞬間、近大デフェンスに突っ込まれてマイナス3ヤード。最初のオンサイドキックといい、このプレーといい、近大が周到に準備したことがうかがえるプレーが二つも続いて、スタンドがざわつく。
しかし、伊豆はあくまで冷静。第2ダウン13ヤードからWR亀山にヒッチパス。それを確保した亀山が右サイドを駆け上がり、23ヤードのゲイン。続いて左サイドのWR前田泰に9ヤードのパス。残る14ヤードをRB高松が走り抜けてTD。わずか4プレー、1分少々の鮮やかな攻撃だった。西岡のKも決まって7-0。試合の主導権をがっちり確保する。
攻撃にリズムが出ると、守備も集中する。相手陣17ヤードから始まった近大の3プレー目のパスをLB松本和がインターセプトし、14ヤードを走って攻守交代。ゴール前12ヤードからの攻撃を野々垣のランで2ヤード。次は伊豆がゴール左隅に浮かせたパスを長身のWR松井がキャッチしたが、わずかにラインを超えて失敗。しかし、残る8ヤードを伊豆のキープと高松のランであっさりTDに結び付け14-0。試合開始から4分も経たない間の速攻だった。
こうなると守備陣も調子づく。DL小川のQBサックなどでまたも相手を完封。自陣46ヤードからファイターズの攻撃につなげる。
ファイターズ3回目のオフェンスは、パス、パス、パス。亀山、松井、TE山本に短いパスを3本続けて通し、ゴール前17ヤード。仕上げは野々垣が中央を走り抜けてTD。近大陣46ヤードから始まった4回目のオフェンスも伊豆からWR藤原へのパス、RB山口のランの2プレーでゴール前6ヤードに迫る。ここでホールディングの反則があったが、高松が委細構わず15ヤードを走り切って4本目のTD。
この間、時間にして11分少々。まだ第1Qも終わっていないのに得点は28-0。グラウンドはファイターズ祭りの様相である。
第2Qに入ってもファイターズの攻守はかみ合う。近大陣36ヤードから始まったファイターズの第5シリーズは、いきなり伊豆から松井に35ヤードのパスが決まり、ゴール前1ヤード。ここは山口が簡単に走り込み、わずか2回の攻撃でTD。ここでQBを控えの中根に交代させたが、その中根も自陣34ヤードからWR水野にスクリーンパスをヒットさせる。ボールを確保した水野が抜群のスピードで左サイドを走りきってまたまたTD。
試合開始から15分少々。オフェンスのプレー数は合計22回。わずかそれだけのプレーで6本のTDを奪取。西岡もキックをことごとく決めて42-0。守備もその間、一度も相手にファーストダウンを与えない健闘だった。
長い歳月、ファイターズの試合を見ているが、攻守ともここまで完璧な試合は見たことがない。試合開始の第1プレー。練りに練ったオンサイドキックが不成功になって、一瞬動揺した相手の隙を突いてたたみかけたとはいえ、6回の攻撃シリーズを短い時間でことごとくTDに結び付けたオフェンス。1列目と2列目、そして3列目が有機的に連携し、アリ一匹通さないような守備を続けたデフェンス。ともに素晴らしい内容だった。ベンチも選手も、次に控える関大、立命戦を前に「手応え有り」と確信したのではないか。
しかし、この試合の前日に戦われた立命と関大の試合を見た人によると、立命の守備陣がすごいそうだ。攻撃でも「異次元」のRBが縦横に走っており、とてもとてもやっかいな相手らしい。
その前に戦わなければならない関大も、立命相手には攻撃がちぐはぐだったというが、捲土重来、ファイターズ相手には何を仕掛けてくるか分からない。元々力のあるタレントが揃っているうえ、ファイターズを破れば優勝の可能性が残る。当然、死にものぐるいの戦いになるのは目に見えている。
そんな二つの強敵にどう挑むか。これからの1分、1秒が勝負である。近大との戦いでつかんだ「手応え」に、さらに磨きをかけ、存分に戦ってもらいたい。これからの試合に焦点を当て、長いリハビリ生活を続けてきた選手たちを含め、まだまだ、時間は残されている。
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