石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(14)躍動するKGブルー
遅くなったが、4日夕、雨の降りしきる王子スタジアムで行われた「NEW ERA BOWL」の報告をする。
一言で言えばファイターズの選手たちが存分に活躍し、その力量を見せつけた試合だった。
もちろん、ファイターズが所属する「BLUE STARS」の主力となったUCLAの4人は別格の動きを見せた。強くてスピードがあり、リズム感がある。何よりも体幹のバランスがよいから、少々のタックルはふりほどいてしまう。立ち上がり、いきなり61ヤードのキックオフ・リターンを決め、QB伊豆から2本のTDパスをキャッチしたWRリッキー・マーヴレイ。最初の攻撃で左サイドを駆け上がって19ヤードを獲得したRBジョーダン・ジェームス。彼は第1Q終了間際に70ヤードを独走してTDを挙げた選手だが、余裕がありすぎてゴール直前で宙返りをしたために反則をとられた選手でもある。さらにヘルメットをKGブルーに塗って登場したDBトニー・ダイは攻守両面で活躍したし、191センチのWRテイラー・エンブリーは、相手DBにとって、とてもやっかいな選手だった。
こういう強力な援軍がチームに溶け込んで活躍したから、試合は終始、ブルーチームが主導権を握って展開した。その中心になったのがKGブルーのヘルメットを着けたファイターズのメンバーである。主将の橋本を中心に松井や清村らが活躍したOL陣。彼らに守られて雨の中、重くなった皮のボールを自在に投げ分けた伊豆。記録は17回投げて7回の成功に終わっているが、失敗の多くは初めて顔を合わせた他チームのレシーバーと呼吸が合わなかっただけで、急所では正確なパスを投じ、終始、試合を有利に進めた。
守備陣の活躍はさらにすごかった。LBの山本祐輝は立ち上がり、相手が勢いに乗りかかった途端に相手パスをインターセプト。約50ヤードをリターンしてゴール前4ヤードに迫った。同じくDB小池は鋭い出足でロスタックルを奪ったかと思えば相手パスを自在にカットする。当然のようにインターセプトも奪った。1年生の時から大きな試合で活躍してきた選手だが、この日はもう一段階上のゾーンに入ったような活躍ぶりだった。試合後、優秀選手に贈られるギャツビー賞を受賞したが、UCLAの選手がいなければMVPに選ばれても不思議ではないほどだった。
ほかにも突き刺すようなタックルを見舞ったDB岡本、インターセプトを奪ったDB菊山、守備陣の中心としてチームを指揮したLB山岸。DLでは真ん中から再三鋭い突進を見せた浜、鋭い動きでボールキャリアに襲いかかった安田。この日活躍したファイターズの選手の名前を挙げて行けばきりがない。
それはつまり、彼らがブルースターズの勝利に大きく貢献したということ。秋のリーグ戦で戦う他のチームにとっては、混成チームでありながら、まるでファイターズの単独チームであるかのように躍動する面々は脅威に写ったに違いない。
しかし、これがファイターズの本当の力ではない。実は、けがなどが原因で出場できなかったメンバーがほかに何人もいる。中心選手では、副将のLB作道、DB田中、WR木下が出場していないし、DLの柱となる松本も小川も出ていない。2年生でレギュラーとして活躍しているDB小椋、WR亀山、OL井若も出場していない。ランアタックの中心になるRB橋本、池永、山本もメンバー表になかった。
こうした選手たちが夏の合宿で鍛え、秋になれば戦列に復帰してくる。もちろん、この日の試合で自信をつけた面々が簡単にスタメンの座を譲るとも思えない。当然チーム内の競争は激化する。その競争の中から、さらにもう一段階上の舞台に上がってくる選手も出てくるだろう。第2、第3の小池選手の登場である。
もちろん、ライバルチームの中にも、秋にはやっかいな相手になりそうな選手が何人もいた。この日の試合で、まるでアメリカからの招待選手のような走りを見せた龍谷大のRB藤本、岩崎、関大ではQB石内、立命ではLB浦野、長谷川選手らである。ブルースターズの仲間として活躍した近大の塚本、神戸大の岡本選手らも、それぞれ特別の対策が必要な選手である。
上には上がある。それはこの日、アメリカからの招待選手や上記選手らの活躍で思い知った。いつまでも喜んでいる場合ではない。試合後のインタビューで橋本主将が発言した通り、この日の収穫、教訓を自分のものにすることが大切である。そこから道が開ける。
17日からは前期試験。まずその難関をクリアし、暑さに耐える体を取り戻した上で、8月からの鍛錬、合宿、そして秋のシーズンへと駒をすすめてほしい。
一言で言えばファイターズの選手たちが存分に活躍し、その力量を見せつけた試合だった。
もちろん、ファイターズが所属する「BLUE STARS」の主力となったUCLAの4人は別格の動きを見せた。強くてスピードがあり、リズム感がある。何よりも体幹のバランスがよいから、少々のタックルはふりほどいてしまう。立ち上がり、いきなり61ヤードのキックオフ・リターンを決め、QB伊豆から2本のTDパスをキャッチしたWRリッキー・マーヴレイ。最初の攻撃で左サイドを駆け上がって19ヤードを獲得したRBジョーダン・ジェームス。彼は第1Q終了間際に70ヤードを独走してTDを挙げた選手だが、余裕がありすぎてゴール直前で宙返りをしたために反則をとられた選手でもある。さらにヘルメットをKGブルーに塗って登場したDBトニー・ダイは攻守両面で活躍したし、191センチのWRテイラー・エンブリーは、相手DBにとって、とてもやっかいな選手だった。
こういう強力な援軍がチームに溶け込んで活躍したから、試合は終始、ブルーチームが主導権を握って展開した。その中心になったのがKGブルーのヘルメットを着けたファイターズのメンバーである。主将の橋本を中心に松井や清村らが活躍したOL陣。彼らに守られて雨の中、重くなった皮のボールを自在に投げ分けた伊豆。記録は17回投げて7回の成功に終わっているが、失敗の多くは初めて顔を合わせた他チームのレシーバーと呼吸が合わなかっただけで、急所では正確なパスを投じ、終始、試合を有利に進めた。
守備陣の活躍はさらにすごかった。LBの山本祐輝は立ち上がり、相手が勢いに乗りかかった途端に相手パスをインターセプト。約50ヤードをリターンしてゴール前4ヤードに迫った。同じくDB小池は鋭い出足でロスタックルを奪ったかと思えば相手パスを自在にカットする。当然のようにインターセプトも奪った。1年生の時から大きな試合で活躍してきた選手だが、この日はもう一段階上のゾーンに入ったような活躍ぶりだった。試合後、優秀選手に贈られるギャツビー賞を受賞したが、UCLAの選手がいなければMVPに選ばれても不思議ではないほどだった。
ほかにも突き刺すようなタックルを見舞ったDB岡本、インターセプトを奪ったDB菊山、守備陣の中心としてチームを指揮したLB山岸。DLでは真ん中から再三鋭い突進を見せた浜、鋭い動きでボールキャリアに襲いかかった安田。この日活躍したファイターズの選手の名前を挙げて行けばきりがない。
それはつまり、彼らがブルースターズの勝利に大きく貢献したということ。秋のリーグ戦で戦う他のチームにとっては、混成チームでありながら、まるでファイターズの単独チームであるかのように躍動する面々は脅威に写ったに違いない。
しかし、これがファイターズの本当の力ではない。実は、けがなどが原因で出場できなかったメンバーがほかに何人もいる。中心選手では、副将のLB作道、DB田中、WR木下が出場していないし、DLの柱となる松本も小川も出ていない。2年生でレギュラーとして活躍しているDB小椋、WR亀山、OL井若も出場していない。ランアタックの中心になるRB橋本、池永、山本もメンバー表になかった。
こうした選手たちが夏の合宿で鍛え、秋になれば戦列に復帰してくる。もちろん、この日の試合で自信をつけた面々が簡単にスタメンの座を譲るとも思えない。当然チーム内の競争は激化する。その競争の中から、さらにもう一段階上の舞台に上がってくる選手も出てくるだろう。第2、第3の小池選手の登場である。
もちろん、ライバルチームの中にも、秋にはやっかいな相手になりそうな選手が何人もいた。この日の試合で、まるでアメリカからの招待選手のような走りを見せた龍谷大のRB藤本、岩崎、関大ではQB石内、立命ではLB浦野、長谷川選手らである。ブルースターズの仲間として活躍した近大の塚本、神戸大の岡本選手らも、それぞれ特別の対策が必要な選手である。
上には上がある。それはこの日、アメリカからの招待選手や上記選手らの活躍で思い知った。いつまでも喜んでいる場合ではない。試合後のインタビューで橋本主将が発言した通り、この日の収穫、教訓を自分のものにすることが大切である。そこから道が開ける。
17日からは前期試験。まずその難関をクリアし、暑さに耐える体を取り戻した上で、8月からの鍛錬、合宿、そして秋のシーズンへと駒をすすめてほしい。
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