石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(5)初戦の感想
今日、20日は穀雨。24節季の一つで、穀物の成長に欠かせない雨が降る時季をいう。紀州・田辺も朝から雨。それも風雨とも強烈な雨だった。
ほんの短時間でも、外に出るとびしょ濡れ。農家には恵みの雨でも、当方は気が滅入るだけ。仕方がないから、先日の慶応戦の報告でも、というのは嘘で、今日は一日中仕事に追われていた。
やっと一息ついたので、原稿にかかろう。
とはいうものの、気分は弾まない。チームにけが人があまりにも多いからだ。主力選手を含め、先日の試合の出場を見送った選手だけでもざっと40人。それに慶応戦でも、今季の活躍が期待されている選手が次々に倒れた。これで社会人に勝つためのチーム作りが出来るのだろうかと考えると、本当に目の前が暗くなる。
昨シーズンだけでなく、このところ毎年のように1月3日まで、一瞬たりとも気の抜けない過酷なシーズンが続いている。その後、1月中旬からの試験期間を挟んで、2月からは冬季のトレーニングが始まる。加えて今年は3月にプリンストン大学との交流試合があり、デカイ体と強力なパワー、そして抜群のフットボールセンスを持つアメリカ人選手と真っ向からぶつかった。
シーズン後半の負けられない試合の中で消耗した選手たちが十分な休養をとれていなかったせいかもしれない。あるいは「今年こそ社会人を倒して日本1」という目標を達成するために休んでなんかおれるか、という強い気持ちが災いしたのかもしれない。本当にけが人が多い。
こうした事態を受けて迎えた慶応戦。先発メンバーを見ても、昨年とはがらりと変わっている。これで、どこまで戦えるのか、と心配していたが、ふたを開けてみると杞憂(きゆう)だった。オフェンスラインは終始相手守備陣を押し込み、彼らがこじ開けた穴をスピードのある2年生RB山本と高松が走り抜ける。山本は先制の53ヤードTDを含め5TD。獲得ヤードはランで164ヤード、パスキャッチで21ヤード。
高松も負けずに1回、17ヤードを走り切った。これに、現在は休んでいるエースランナーの橋本が復帰してくると、今季は「ランのファイターズ」が期待できるのではないか。強力なラインに守られて落ち着いたプレーを見せたQB伊豆の存在も心強い。
守備はどうだったか。こちらも故障者が相次ぎ、先発のラインは濵、柴田、岩田。昨シーズンは2枚目、3枚目の役割に甘んじていたメンバーだった。これで関東1ともいわれる相手RBを止められるだろうかと危ぶんだが、どっこい彼らは強かった。とくにノーズガードに入った濵は公称119キロの体重を存分に生かして相手オフェンスを崩し、2列目、3列目のメンバーの動きを助けた。
2列目では作道、3列目では田中と岡本が際立った動きを見せた。精妙なパスと強力なランを組み合わせて攻め込んでくる相手と存分に渡り合い、突き刺さるようなタックルを見舞う。今季も頼りになるメンバーたちだということをファンの目に焼き付けた。
終わって見れば49-26。球技場の得点掲示板を見れば両チームとも、各クオーターに万遍なく得点が記録されている。学生相手には珍しいほどの失点だったが、それは相手に力があったからだ。実際、巧妙にパスを投じるQBとそれを確実にキャッチするレシーバー陣。加えて突破力のあるRBのいる慶応は、なかなか地力のあるチームに思えた。しかし、つい先日、プリンストン大の大型ラインと渡り合った攻守のラインにとっては、思いの外、相手が軽く感じられたのかも知れない。
このように振り返っていくと、今季もファイターズは大いに期待が持てそうだ。そう受け取られる方が大半だろう。
しかし、この試合で見えた未完成な部分も少なくない。とりわけキッキングチームは未完成であり、リターナーは何度もキックされたボールを受け損なった。レシーバー陣の成長にも期待したが、この日はそれほどでもなかった。昨年まで出場機会の少なかった選手が数多く出場し、それなりに活躍したが、昨シーズン、QB斎藤と安定したレシーバー陣が展開した華麗なパス攻撃を見てきた目からいうと、少々物足りなかった。
もちろん、春のシーズンは始まったばかりである。これからの試合で経験を積み、夏の合宿で鍛えていけば、この日は顔を見せただけの選手も含め、まだまだ成長していく余地がある。その意味で、直近の試合、つまり今週末の日体大戦で、今季から新たに登場するメンバーたちがどんな活躍を見せてくれるか、大いに注目している。
ほんの短時間でも、外に出るとびしょ濡れ。農家には恵みの雨でも、当方は気が滅入るだけ。仕方がないから、先日の慶応戦の報告でも、というのは嘘で、今日は一日中仕事に追われていた。
やっと一息ついたので、原稿にかかろう。
とはいうものの、気分は弾まない。チームにけが人があまりにも多いからだ。主力選手を含め、先日の試合の出場を見送った選手だけでもざっと40人。それに慶応戦でも、今季の活躍が期待されている選手が次々に倒れた。これで社会人に勝つためのチーム作りが出来るのだろうかと考えると、本当に目の前が暗くなる。
昨シーズンだけでなく、このところ毎年のように1月3日まで、一瞬たりとも気の抜けない過酷なシーズンが続いている。その後、1月中旬からの試験期間を挟んで、2月からは冬季のトレーニングが始まる。加えて今年は3月にプリンストン大学との交流試合があり、デカイ体と強力なパワー、そして抜群のフットボールセンスを持つアメリカ人選手と真っ向からぶつかった。
シーズン後半の負けられない試合の中で消耗した選手たちが十分な休養をとれていなかったせいかもしれない。あるいは「今年こそ社会人を倒して日本1」という目標を達成するために休んでなんかおれるか、という強い気持ちが災いしたのかもしれない。本当にけが人が多い。
こうした事態を受けて迎えた慶応戦。先発メンバーを見ても、昨年とはがらりと変わっている。これで、どこまで戦えるのか、と心配していたが、ふたを開けてみると杞憂(きゆう)だった。オフェンスラインは終始相手守備陣を押し込み、彼らがこじ開けた穴をスピードのある2年生RB山本と高松が走り抜ける。山本は先制の53ヤードTDを含め5TD。獲得ヤードはランで164ヤード、パスキャッチで21ヤード。
高松も負けずに1回、17ヤードを走り切った。これに、現在は休んでいるエースランナーの橋本が復帰してくると、今季は「ランのファイターズ」が期待できるのではないか。強力なラインに守られて落ち着いたプレーを見せたQB伊豆の存在も心強い。
守備はどうだったか。こちらも故障者が相次ぎ、先発のラインは濵、柴田、岩田。昨シーズンは2枚目、3枚目の役割に甘んじていたメンバーだった。これで関東1ともいわれる相手RBを止められるだろうかと危ぶんだが、どっこい彼らは強かった。とくにノーズガードに入った濵は公称119キロの体重を存分に生かして相手オフェンスを崩し、2列目、3列目のメンバーの動きを助けた。
2列目では作道、3列目では田中と岡本が際立った動きを見せた。精妙なパスと強力なランを組み合わせて攻め込んでくる相手と存分に渡り合い、突き刺さるようなタックルを見舞う。今季も頼りになるメンバーたちだということをファンの目に焼き付けた。
終わって見れば49-26。球技場の得点掲示板を見れば両チームとも、各クオーターに万遍なく得点が記録されている。学生相手には珍しいほどの失点だったが、それは相手に力があったからだ。実際、巧妙にパスを投じるQBとそれを確実にキャッチするレシーバー陣。加えて突破力のあるRBのいる慶応は、なかなか地力のあるチームに思えた。しかし、つい先日、プリンストン大の大型ラインと渡り合った攻守のラインにとっては、思いの外、相手が軽く感じられたのかも知れない。
このように振り返っていくと、今季もファイターズは大いに期待が持てそうだ。そう受け取られる方が大半だろう。
しかし、この試合で見えた未完成な部分も少なくない。とりわけキッキングチームは未完成であり、リターナーは何度もキックされたボールを受け損なった。レシーバー陣の成長にも期待したが、この日はそれほどでもなかった。昨年まで出場機会の少なかった選手が数多く出場し、それなりに活躍したが、昨シーズン、QB斎藤と安定したレシーバー陣が展開した華麗なパス攻撃を見てきた目からいうと、少々物足りなかった。
もちろん、春のシーズンは始まったばかりである。これからの試合で経験を積み、夏の合宿で鍛えていけば、この日は顔を見せただけの選手も含め、まだまだ成長していく余地がある。その意味で、直近の試合、つまり今週末の日体大戦で、今季から新たに登場するメンバーたちがどんな活躍を見せてくれるか、大いに注目している。
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