石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(2)英会話の特訓
ファイターズの面々はこの2月、後期試験が終わった直後から英会話の特別授業に取り組んだ。21日に開く「LEGACY BOWL」プリンストン大学との日米大学交流戦に向けての特訓である。
1年生から3年生までの現役学生は3回、コーチたちは4回、Xリーグで活躍しているアメリカ人選手とその家族を講師に招き、英語による日常会話の実戦的な講義を受けた。
たった3~4回の勉強で、日常会話のノウハウを身に付けようなんて考え方が甘い、と言われるかも知れない。どれほど上達するのかと疑問を持たれる方も多いだろう。
けれども、部員もコーチも「特別授業料」という身銭を切って本気で取り組んだ。取り組むための強い動機があったからだ。
どういうことか。主務の西村君やコーチに聞くとこんな話だった?アメリカのトップに位置する名門大学の選手たちと、それもフットボールという共通の話題がある選手やスタッフと交流の機会が持てるのに、会話も出来ないというのではもったいない。ただ握手だけしてグッバイでは、日米交流の成果が上がらない?せっかくチームと大学が少なからぬ資金を投入して今回の交流戦を企画、主催してくれたのだ。ゲームを本気で戦うだけででなく、学生同士、スタッフ同士が互いに胸襟を開いて交流してこそ「日米大学交流戦」の名に値する、ということだった。
授業を受けた選手やスタッフに聞くと「ぼろぼろでした」というスタッフもいたし「積極的に話しかけていけば何とか通じる。それが分かっただけでも自信になりました」という部員もいた。
この特訓を企画した大村コーチは「3回や4回の授業で英会話が身につくはずがない。けれども、講師が同じフットボールに取り組む在留アメリカ人選手ということで、部員たちもすんなり授業に入れたようだ。相手に話しかけてみよう、話しかけてみたいというきっかけを作れたことが何よりです。せっかくの日米交流戦ですから、歓迎パーティーや食事会の席で積極的に相手に話しかけ、貪欲に吸収してもらいたい」と話していた。
こういうエピソード一つをとっても、ファイターズというチームの特徴というか魅力がうかがえる。
これだけでもすごいのに、さらにすごいのは、日米の大学フットボール界の歴史と伝統を受け継ぐプリンストン大学と関西学院大学の交流戦をチーム単独で発案し、学院の創立125周年記念事業に位置づけて開催することである。アンダーアーマー社の製品を日本で独占的に販売するドーム社の協賛、往復の飛行機を飛ばす全日空の協力などを取り付けて、資金的な負担を軽くする。OB会や後援会からも全面的な協力をいただく。支援者からの寄付集めにも全力を尽くしている。
相手チームの往復航空運賃や宿泊費を大半を負担し、宿舎の手配から練習会場の確保まで、すべてファイターズが責任を持つ。休養日には相手選手団の京都見学が盛り込まれているが、その案内役を国際学部の学生たちに引き受けてもらう段取りを整えたのもファイターズだ。
なんといっても、学院からの財政支援を受けているとはいえ、総事業費の半分以上を部が自力で集めなければならない。その多くは募金と企業協賛、そして何より入場料収入による。有料入場者が1万人以上集まって初めて収支が合う計算という。そのリスクを背負ってのファイターズの大きな挑戦でもある。
もう一つ重要なことがある。今回の交流戦のために来日したプリンストン大学の幹部を講師に迎えて「プリンストン大学と考える グローバル人材の育て方」というシンポジウムを19日に開催することである。学生生活部体育局のアリソン・リッチ氏の講演「グローバルリーダーを育てる課外活動の価値」と両校のヘッドコーチらが参加するパネルディスカッション「グローバル人材の育て方」で構成。正課のカリキュラムとスポーツ・社会貢献活動などの課外活動を組み合わせたグローバル人材の育成について意見を交わす。
これもまた、日本が世界に打って出ようとしているいま、関西学院大学が文部科学省から「スーパーグローバル大学創生支援」事業に採択されたこの時期に、深い意味を持つ交流事業である。
交流は試合だけではない。試合をきっかけに大学としては課外活動の在り方や世界に通用する人材の育成について考え、選手は身近な英会話を学び、人と人との交流の機会をつかもうとチャレンジする。グリコのCMをもじっていえば、一粒で2度、3度とおいしい企画である。
それをファイターズという組織が単独で立案し、実行する。すごいというしかない。
是が非でも成功させて、日本、いやアメリカにまで「関西学院」と「ファイターズ」の底力を見せつけようではないか。あとは、これを読んで「いいね!」を押していただいた方々に、友人知人を引き連れて21日午後1時、大阪・長居のキンチョウスタジアムに足を運んでいただくだけである。観戦することでぜひファイターズの挑戦を支援していただきたい。期待しています。
1年生から3年生までの現役学生は3回、コーチたちは4回、Xリーグで活躍しているアメリカ人選手とその家族を講師に招き、英語による日常会話の実戦的な講義を受けた。
たった3~4回の勉強で、日常会話のノウハウを身に付けようなんて考え方が甘い、と言われるかも知れない。どれほど上達するのかと疑問を持たれる方も多いだろう。
けれども、部員もコーチも「特別授業料」という身銭を切って本気で取り組んだ。取り組むための強い動機があったからだ。
どういうことか。主務の西村君やコーチに聞くとこんな話だった?アメリカのトップに位置する名門大学の選手たちと、それもフットボールという共通の話題がある選手やスタッフと交流の機会が持てるのに、会話も出来ないというのではもったいない。ただ握手だけしてグッバイでは、日米交流の成果が上がらない?せっかくチームと大学が少なからぬ資金を投入して今回の交流戦を企画、主催してくれたのだ。ゲームを本気で戦うだけででなく、学生同士、スタッフ同士が互いに胸襟を開いて交流してこそ「日米大学交流戦」の名に値する、ということだった。
授業を受けた選手やスタッフに聞くと「ぼろぼろでした」というスタッフもいたし「積極的に話しかけていけば何とか通じる。それが分かっただけでも自信になりました」という部員もいた。
この特訓を企画した大村コーチは「3回や4回の授業で英会話が身につくはずがない。けれども、講師が同じフットボールに取り組む在留アメリカ人選手ということで、部員たちもすんなり授業に入れたようだ。相手に話しかけてみよう、話しかけてみたいというきっかけを作れたことが何よりです。せっかくの日米交流戦ですから、歓迎パーティーや食事会の席で積極的に相手に話しかけ、貪欲に吸収してもらいたい」と話していた。
こういうエピソード一つをとっても、ファイターズというチームの特徴というか魅力がうかがえる。
これだけでもすごいのに、さらにすごいのは、日米の大学フットボール界の歴史と伝統を受け継ぐプリンストン大学と関西学院大学の交流戦をチーム単独で発案し、学院の創立125周年記念事業に位置づけて開催することである。アンダーアーマー社の製品を日本で独占的に販売するドーム社の協賛、往復の飛行機を飛ばす全日空の協力などを取り付けて、資金的な負担を軽くする。OB会や後援会からも全面的な協力をいただく。支援者からの寄付集めにも全力を尽くしている。
相手チームの往復航空運賃や宿泊費を大半を負担し、宿舎の手配から練習会場の確保まで、すべてファイターズが責任を持つ。休養日には相手選手団の京都見学が盛り込まれているが、その案内役を国際学部の学生たちに引き受けてもらう段取りを整えたのもファイターズだ。
なんといっても、学院からの財政支援を受けているとはいえ、総事業費の半分以上を部が自力で集めなければならない。その多くは募金と企業協賛、そして何より入場料収入による。有料入場者が1万人以上集まって初めて収支が合う計算という。そのリスクを背負ってのファイターズの大きな挑戦でもある。
もう一つ重要なことがある。今回の交流戦のために来日したプリンストン大学の幹部を講師に迎えて「プリンストン大学と考える グローバル人材の育て方」というシンポジウムを19日に開催することである。学生生活部体育局のアリソン・リッチ氏の講演「グローバルリーダーを育てる課外活動の価値」と両校のヘッドコーチらが参加するパネルディスカッション「グローバル人材の育て方」で構成。正課のカリキュラムとスポーツ・社会貢献活動などの課外活動を組み合わせたグローバル人材の育成について意見を交わす。
これもまた、日本が世界に打って出ようとしているいま、関西学院大学が文部科学省から「スーパーグローバル大学創生支援」事業に採択されたこの時期に、深い意味を持つ交流事業である。
交流は試合だけではない。試合をきっかけに大学としては課外活動の在り方や世界に通用する人材の育成について考え、選手は身近な英会話を学び、人と人との交流の機会をつかもうとチャレンジする。グリコのCMをもじっていえば、一粒で2度、3度とおいしい企画である。
それをファイターズという組織が単独で立案し、実行する。すごいというしかない。
是が非でも成功させて、日本、いやアメリカにまで「関西学院」と「ファイターズ」の底力を見せつけようではないか。あとは、これを読んで「いいね!」を押していただいた方々に、友人知人を引き連れて21日午後1時、大阪・長居のキンチョウスタジアムに足を運んでいただくだけである。観戦することでぜひファイターズの挑戦を支援していただきたい。期待しています。
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