石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(23)2年生に注目
10月号のタッチダウン誌に興味深い記事があった。「いますぐ世界大学選手権があるとして」という仮定の下に、関西大学カイザーズのヘッドコーチ、板井征人氏が「2014 カレッジ・オールジャパン」を選んでいたのである。
他チームのことは知らず、ファイターズに限って言えば、その人選は一部を除き、妥当であり、新鮮だった。ライバルチームのコーチの目に、ファイターズの選手がどのように写り、どのような点が評価されているのか、という意味でも興味深かった。
まずは、その記事を未読の方のために、攻守蹴24人の中に、ファイターズから選ばれた選手の名前を列挙してみる。
オフェンスからはC松井(2年)、WR木戸(4年)、QB斎藤(4年)、RB橋本(2年)。ディフェンスでは、NG松本(2年)、LB小野(4年)、CB田中(3年)。合計7人である。
もっとも、該当者なしとしているKについて、板井氏はLBにも使えるマルチな選手として「山岸あたりがふさわしい」といっているので、LBと兼務で彼の名前を加えると8人。そしてRBの部門で「普通に考えればKGの鷺野に異論はないであろう」という表現があり、チームを統括するリーダーシップまで考えれば、主将枠として鷺野が選ばれてもなんら不思議ではないので、合計9人と考えても不自然ではないだろう。
こうした板井氏の人選で、僕が注目したのは、ファイターズから2年生3人(山岸を入れると4人)がノミネートされた点である。上級生の4人は、実績は十分。これまでの活躍ぶりから見て、選ばれて当然、と僕も思っている。でも、2年生がここまで注目されているのは少々、意外だった。
ともあれ、2年生の評価をタッチダウン誌の記事から要点を引用すると、C松井は「賢い、強い、センスがある、テクニックもある。こんな1年生がいるのか…。少しため息が出た」。RB橋本については「KGの先輩RB望月をきっと超える逸材だ。強豪チームとの試合数を重ねればもっと伸びていく気配が満載である」。NG松本は「昨年はどちらかといえば狙い目だったが、今年はそうはいかないであろう。KGのシステムにも慣れ、ヒット力自体も怪力分を乗せられる技術を磨いてくるに違いない」。
そして22人の中には選ばれていないが、LB山岸については「DEもILBもさらにはTEもこなせる逸材。なによりあの過酷なU19の大会のMLBをほぼ一人でけがなしで乗り切ったタフネスは評価できる。サイズも将来性もあるので、NFLを本気で目指してほしい」とベタ褒めである。
成長途上の2年生をここまで褒められると、なんだか「褒め殺し」のような気もしてくるが、ともかくライバルチームのヘッドコーチの観察眼に、彼らの動きが焼き付けられていることは、よく分かった。
たしかに練習を見ていても、彼らは人目を惹きつける取り組みをしている。毎日「半歩でも強くなって練習を終える。一歩でも賢くなって家路につく」という気持ちが、その行動に現れている。山岸はU19の世界大会に出発する前に会ったとき「毎週7回筋トレをやっています」と元気に話していた。チームの練習を続けながら、おまけとして週に7回の筋トレを全力で続けるのは容易なことではあるまい。しかし彼は「海外勢との試合でけがして帰ってきました、なんてしゃれにもなりませんから」と、厳しく自分と向き合っていたのである。
ベンチプレス175キロ、スクワット280キロという怪力を誇る松本は、ある日の練習で、アシスタントコーチの上沢君にこてんぱんにされていた。多分、10回ぐらい連続で1対1で当たりあったが、そのたびに一方的に押し込まれ、何度も首をひねっていた。「自分の当たりの方が絶対に強い。でも、押し返される。どこに問題があるのか」。それを確かめるために、押し戻されては当たり、当たっては押し戻される練習を、延々と続けていた。
一区切りがついたとき、上沢君に聞くと「受ける方が本気で受けないと、相手は強くなりません。本気で受けてやるのが僕や友國の役割です」と答えてくれた。
同じような場面は、RBの練習でも見られた。RB同士が当たり合うのだが、そこに4年生TEの松島が加わっている。公称187センチ98キロ。OLと比べても遜色のない松島に向かって、走るのが専門のRB陣が次々にヒットするのだが、大抵は簡単に跳ね返される。それでも、もう一丁、もう一丁とチャレンジする。その先頭にいたのが橋本であり、3年生の三好だった。
思い返せば、板井氏の論評にも名前の出ていたRBの先輩望月君も、LBからコンバートされた当時、似たような練習を同期のLB川端君を相手に、延々と繰り返していた。そこで鍛え、甲子園ボウルやライスボウルで大活躍をしたのである。
練習は裏切らない。まだ2年生とはいえ、杉山も含めた「オールジャパン」のメンバーは、日々、上級生やアシスタントコーチを相手に、強豪との試合を想定した厳しい取り組みを続けて来たからこそ、ライバルチームのヘッドコーチの目に、その将来性を期待されるようになったのである。
タッチダウン誌と板井ヘッドコーチが選んだ「オールジャパン」には漏れているが、同じ2年生にはQBの伊豆、DBの小池など、傑出した才能を発揮しつつある選手が何人もいる。15日の近大戦では、そんな点に注目して応援するのも楽しいことだろう。
他チームのことは知らず、ファイターズに限って言えば、その人選は一部を除き、妥当であり、新鮮だった。ライバルチームのコーチの目に、ファイターズの選手がどのように写り、どのような点が評価されているのか、という意味でも興味深かった。
まずは、その記事を未読の方のために、攻守蹴24人の中に、ファイターズから選ばれた選手の名前を列挙してみる。
オフェンスからはC松井(2年)、WR木戸(4年)、QB斎藤(4年)、RB橋本(2年)。ディフェンスでは、NG松本(2年)、LB小野(4年)、CB田中(3年)。合計7人である。
もっとも、該当者なしとしているKについて、板井氏はLBにも使えるマルチな選手として「山岸あたりがふさわしい」といっているので、LBと兼務で彼の名前を加えると8人。そしてRBの部門で「普通に考えればKGの鷺野に異論はないであろう」という表現があり、チームを統括するリーダーシップまで考えれば、主将枠として鷺野が選ばれてもなんら不思議ではないので、合計9人と考えても不自然ではないだろう。
こうした板井氏の人選で、僕が注目したのは、ファイターズから2年生3人(山岸を入れると4人)がノミネートされた点である。上級生の4人は、実績は十分。これまでの活躍ぶりから見て、選ばれて当然、と僕も思っている。でも、2年生がここまで注目されているのは少々、意外だった。
ともあれ、2年生の評価をタッチダウン誌の記事から要点を引用すると、C松井は「賢い、強い、センスがある、テクニックもある。こんな1年生がいるのか…。少しため息が出た」。RB橋本については「KGの先輩RB望月をきっと超える逸材だ。強豪チームとの試合数を重ねればもっと伸びていく気配が満載である」。NG松本は「昨年はどちらかといえば狙い目だったが、今年はそうはいかないであろう。KGのシステムにも慣れ、ヒット力自体も怪力分を乗せられる技術を磨いてくるに違いない」。
そして22人の中には選ばれていないが、LB山岸については「DEもILBもさらにはTEもこなせる逸材。なによりあの過酷なU19の大会のMLBをほぼ一人でけがなしで乗り切ったタフネスは評価できる。サイズも将来性もあるので、NFLを本気で目指してほしい」とベタ褒めである。
成長途上の2年生をここまで褒められると、なんだか「褒め殺し」のような気もしてくるが、ともかくライバルチームのヘッドコーチの観察眼に、彼らの動きが焼き付けられていることは、よく分かった。
たしかに練習を見ていても、彼らは人目を惹きつける取り組みをしている。毎日「半歩でも強くなって練習を終える。一歩でも賢くなって家路につく」という気持ちが、その行動に現れている。山岸はU19の世界大会に出発する前に会ったとき「毎週7回筋トレをやっています」と元気に話していた。チームの練習を続けながら、おまけとして週に7回の筋トレを全力で続けるのは容易なことではあるまい。しかし彼は「海外勢との試合でけがして帰ってきました、なんてしゃれにもなりませんから」と、厳しく自分と向き合っていたのである。
ベンチプレス175キロ、スクワット280キロという怪力を誇る松本は、ある日の練習で、アシスタントコーチの上沢君にこてんぱんにされていた。多分、10回ぐらい連続で1対1で当たりあったが、そのたびに一方的に押し込まれ、何度も首をひねっていた。「自分の当たりの方が絶対に強い。でも、押し返される。どこに問題があるのか」。それを確かめるために、押し戻されては当たり、当たっては押し戻される練習を、延々と続けていた。
一区切りがついたとき、上沢君に聞くと「受ける方が本気で受けないと、相手は強くなりません。本気で受けてやるのが僕や友國の役割です」と答えてくれた。
同じような場面は、RBの練習でも見られた。RB同士が当たり合うのだが、そこに4年生TEの松島が加わっている。公称187センチ98キロ。OLと比べても遜色のない松島に向かって、走るのが専門のRB陣が次々にヒットするのだが、大抵は簡単に跳ね返される。それでも、もう一丁、もう一丁とチャレンジする。その先頭にいたのが橋本であり、3年生の三好だった。
思い返せば、板井氏の論評にも名前の出ていたRBの先輩望月君も、LBからコンバートされた当時、似たような練習を同期のLB川端君を相手に、延々と繰り返していた。そこで鍛え、甲子園ボウルやライスボウルで大活躍をしたのである。
練習は裏切らない。まだ2年生とはいえ、杉山も含めた「オールジャパン」のメンバーは、日々、上級生やアシスタントコーチを相手に、強豪との試合を想定した厳しい取り組みを続けて来たからこそ、ライバルチームのヘッドコーチの目に、その将来性を期待されるようになったのである。
タッチダウン誌と板井ヘッドコーチが選んだ「オールジャパン」には漏れているが、同じ2年生にはQBの伊豆、DBの小池など、傑出した才能を発揮しつつある選手が何人もいる。15日の近大戦では、そんな点に注目して応援するのも楽しいことだろう。
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