石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(21)予測された失敗と成功
8月29日午後6時40分、小雨のぱらつくエキスポフィールドに、2014年のファイターズが登場した。待ちに待った関西学生リーグの開幕。初戦の相手は2部から昇格した同志社大学である。
この日の午前中、僕は上ヶ原の第3フィールドに向かっい、グラウンドを見下ろすヤマモモの木の下にある「平郡君へ」の碑に向き合った。まず一礼し、今年もチームが無事に開幕を迎えられたことを報告するとともに、その元気な戦いぶりを天上から見守って下さいとお願いしてきた。帰りに上ヶ原の八幡神社にも立ち寄り、お賽銭を上げ、鈴を鳴らして、戦いの勝利を祈願。ついでに、時計台やランバス礼拝堂にも向き合って、チームを見守って下さいとお願いしてきた。
こちらはお賽銭はなし。代わりに財務課の窓口に立ち寄り、財布をはたいて、ファイターズのためにわずかばかりの寄付をしてきた。一連の行動は、毎年、シーズンがスタートする前に、自分に課した習慣であり、これを済ませないと落ち着かない。
試合はコイントスに勝ったファイターズがレシーブを選択、同志社のキックオフで始まった。先発QBは斎藤。雨の中とあって、まずはRB鷺野、橋本、三好のランで陣地を稼ぐ。途中、TE藏野への短いパスを挟んで、あっという間に相手ゴール前12ヤードまで進む。そこから鷺野が左サイドを駆け上がってTD、という場面だったが、ここはオフェンスラインのスタートが合わず、反則を取られて、せっかくの先制TDが幻に。それどころか、次のプレーでは相手ブリッツを受けた斎藤がニーダウンしようとしてボールをファンブル、相手に攻撃権を奪われてしまった。
「これはややこしい試合になるかも」と危惧したが、心配は無用。次のシリーズですぐさまDB小池が相手のパスをインターセプトして攻撃権を奪い返す。
こうなると、チームも落ち着く。自陣41ヤードから始まったファイターズの攻撃は、鷺野のラン、WR樋之本へのパスであっという間にゴール前10ヤード。すかさず斎藤が藏野へのパスを決めて先制のTD。トライフォーポイントは、ロンリーセンター体型からスナップを受けたWR森岡がそのまま左隅に走り込んで2点を獲得。8点をリードして主導権を握った。
なにかと固くなりがちな初戦だが、リードするとチームは落ち着く。次の相手の攻撃をDL小川やDB小池の鋭い突っ込みで簡単に抑えた後、ファイターズは森岡と木戸へのパスを折り込みながら、鷺野、橋本、三好が確実に陣地を進め、仕上げはゴール前1ヤードから三好の中央ダイブ。続くファイターズ4回目の攻撃シリーズも、斎藤から1年生WR前田、藏野、樋之本、木戸へのパスを次々とヒットさせ、ゴール前1ヤードから今度は橋本が中央のダイブ。相手守備陣を根こそぎなぎ倒すように押し込んで余裕のTDだった。 次のシリーズも斎藤から前田へのロングパス、1年生RB高松へのスイングパス、そしてWR横山へのTDパスとわずか3プレーでTD。ここで再び森岡が2点コンバージョンを成功させ、30-0として前半終了。
後半はQBが2年生の伊豆に交代。攻守のメンバーも次々と交代する。だが、ファイターズの勢いは止まらない。相手陣37ヤードから始まった後半最初の攻撃は、伊豆が藏野への短いパスを決めたあと、高松が30ヤードを独走してTD。わずか2プレーで追加点を挙げた。
次の相手攻撃は簡単にパントに追い込みながら、リターナーがファンブルして、相手に攻撃権を渡してしまう。その失態を交代で出場していた1年生DL藤木、2年生DL安田の強烈なタックルと、1年生DB小椋の的確なパスカバーで防ぎ、得点は許さない。
逆にファイターズは自陣ゴール前「インチ」というぎりぎりの場面からスタートした次の攻撃シリーズも、伊豆が冷静な判断でパスとランを使い分けて陣地を進め、11プレー目にTE杉山にパスを通してTD。DB杉本のインターセプトでつかんだ次の攻撃シリーズも高松のラン、けがから復帰した飯田の独走、そしてWR水野へのパスでTDに結び付けた。最後の攻撃シリーズもK三輪が42ヤードのフィールドゴールを決め、終わって見れば、54-0の完勝だった。
しかし、試合後の鳥内監督も、鷺野主将も、ともに渋い表情。「4年生がミスをしとってはあきませんわ」「4年生が練習失敗を犯している。練習の時から、もっともっと厳しい取り組みをしないとダメ」と、異口同音に厳しい言葉が出た。
その通りである。これはまた次回のコラムで書くが、甘い取り組みは必ず悪い結果をもたらす。真剣な取り組みは、いつかは報われる。そのことを痛いほど見せつけられた開幕戦だった。
そんな中、個人的には期待していた2年生や1年生が存分に活躍してくれた。それがこの日の何よりの収穫だった。その話は、またの機会に詳しくお伝えしたい。
この日の午前中、僕は上ヶ原の第3フィールドに向かっい、グラウンドを見下ろすヤマモモの木の下にある「平郡君へ」の碑に向き合った。まず一礼し、今年もチームが無事に開幕を迎えられたことを報告するとともに、その元気な戦いぶりを天上から見守って下さいとお願いしてきた。帰りに上ヶ原の八幡神社にも立ち寄り、お賽銭を上げ、鈴を鳴らして、戦いの勝利を祈願。ついでに、時計台やランバス礼拝堂にも向き合って、チームを見守って下さいとお願いしてきた。
こちらはお賽銭はなし。代わりに財務課の窓口に立ち寄り、財布をはたいて、ファイターズのためにわずかばかりの寄付をしてきた。一連の行動は、毎年、シーズンがスタートする前に、自分に課した習慣であり、これを済ませないと落ち着かない。
試合はコイントスに勝ったファイターズがレシーブを選択、同志社のキックオフで始まった。先発QBは斎藤。雨の中とあって、まずはRB鷺野、橋本、三好のランで陣地を稼ぐ。途中、TE藏野への短いパスを挟んで、あっという間に相手ゴール前12ヤードまで進む。そこから鷺野が左サイドを駆け上がってTD、という場面だったが、ここはオフェンスラインのスタートが合わず、反則を取られて、せっかくの先制TDが幻に。それどころか、次のプレーでは相手ブリッツを受けた斎藤がニーダウンしようとしてボールをファンブル、相手に攻撃権を奪われてしまった。
「これはややこしい試合になるかも」と危惧したが、心配は無用。次のシリーズですぐさまDB小池が相手のパスをインターセプトして攻撃権を奪い返す。
こうなると、チームも落ち着く。自陣41ヤードから始まったファイターズの攻撃は、鷺野のラン、WR樋之本へのパスであっという間にゴール前10ヤード。すかさず斎藤が藏野へのパスを決めて先制のTD。トライフォーポイントは、ロンリーセンター体型からスナップを受けたWR森岡がそのまま左隅に走り込んで2点を獲得。8点をリードして主導権を握った。
なにかと固くなりがちな初戦だが、リードするとチームは落ち着く。次の相手の攻撃をDL小川やDB小池の鋭い突っ込みで簡単に抑えた後、ファイターズは森岡と木戸へのパスを折り込みながら、鷺野、橋本、三好が確実に陣地を進め、仕上げはゴール前1ヤードから三好の中央ダイブ。続くファイターズ4回目の攻撃シリーズも、斎藤から1年生WR前田、藏野、樋之本、木戸へのパスを次々とヒットさせ、ゴール前1ヤードから今度は橋本が中央のダイブ。相手守備陣を根こそぎなぎ倒すように押し込んで余裕のTDだった。 次のシリーズも斎藤から前田へのロングパス、1年生RB高松へのスイングパス、そしてWR横山へのTDパスとわずか3プレーでTD。ここで再び森岡が2点コンバージョンを成功させ、30-0として前半終了。
後半はQBが2年生の伊豆に交代。攻守のメンバーも次々と交代する。だが、ファイターズの勢いは止まらない。相手陣37ヤードから始まった後半最初の攻撃は、伊豆が藏野への短いパスを決めたあと、高松が30ヤードを独走してTD。わずか2プレーで追加点を挙げた。
次の相手攻撃は簡単にパントに追い込みながら、リターナーがファンブルして、相手に攻撃権を渡してしまう。その失態を交代で出場していた1年生DL藤木、2年生DL安田の強烈なタックルと、1年生DB小椋の的確なパスカバーで防ぎ、得点は許さない。
逆にファイターズは自陣ゴール前「インチ」というぎりぎりの場面からスタートした次の攻撃シリーズも、伊豆が冷静な判断でパスとランを使い分けて陣地を進め、11プレー目にTE杉山にパスを通してTD。DB杉本のインターセプトでつかんだ次の攻撃シリーズも高松のラン、けがから復帰した飯田の独走、そしてWR水野へのパスでTDに結び付けた。最後の攻撃シリーズもK三輪が42ヤードのフィールドゴールを決め、終わって見れば、54-0の完勝だった。
しかし、試合後の鳥内監督も、鷺野主将も、ともに渋い表情。「4年生がミスをしとってはあきませんわ」「4年生が練習失敗を犯している。練習の時から、もっともっと厳しい取り組みをしないとダメ」と、異口同音に厳しい言葉が出た。
その通りである。これはまた次回のコラムで書くが、甘い取り組みは必ず悪い結果をもたらす。真剣な取り組みは、いつかは報われる。そのことを痛いほど見せつけられた開幕戦だった。
そんな中、個人的には期待していた2年生や1年生が存分に活躍してくれた。それがこの日の何よりの収穫だった。その話は、またの機会に詳しくお伝えしたい。
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