石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(17)真夏の勉強会
暑い!今日も朝から気温は30度を超し、すぐにも35度を超えそうな勢いだ。
家にエアコンは備えているが、あの原発事故以来、自分一人の時は、冷房も暖房も使わない(ついでにいえばテレビも見ない。紀州・田辺の家ではテレビそのものを放逐してしまった)。だから、頼りは窓から入って来る風だけ。今も短パンとシャツ一枚でパソコンに向かっている。
しかし、さすがに暑い。ムキになって熱いコーヒーを飲み、自分にむち打ちながらこのコラムを書いている。
そんな暑さの中で、学生諸君はいま、前期試験の終盤戦。彼らもムキになって試験の準備をし、日々難しい試験と格闘している。グラウンドに出掛けても、大学生の姿はほとんど見掛けない。大半の単位を取り終わっている4年生がミーティングをしているぐらいだ。8月1日から始まる真夏のトレーニングを控えて、いまはひたすら勉強に専念しているようだ。
勉強といえば、スポーツ推薦でファイターズにチャレンジしてくれる高校生にとっても、今が追い込みの時期だ。推薦入試には小論文試験があるので、リクルート担当マネジャーの西村君やアシスタントディレクターの宮本さんが世話をして、その勉強会を毎週、続けているのである。
夕方、それぞれの学校の練習が終わった後で西宮市に集まり、これは冷房の効いた教室で毎回、800字の小論文を書く。
講師は不肖、私が務めている。小論文とはどういうものか、採点する人はどういうところに注目して点を付けるのか、自分の思ったこと、考えたことをどのようにして文章にすればいいのか、というようなことについて、分かりやすく説明する。書きあげた小論文を添削し、それぞれに講評を書き込む。大学の授業でやっていることを、そのまま高校生に向けてやっているようなものだ。
問題は、勉強会の回数である。高校生はあちこちから集まって来るので、週に何回も開催できない。それに、夏休みには長期の合宿もある。願書の締め切りが早いので、志望理由書を書くなどの出願手続きも並行して進めなければならない。何より、彼らのにはすぐに秋の大会が控えている。それぞれがチームの主力選手なので、勉強会だからといって、そうたびたびチームを離れるわけにはいかない。だから、短期集中で教えるしかない。
だが、小論文の指導も、フットボールの指導と同じで、二つ三つポイントをアドバイスすれば、それで完了、という性格のものではない。もの考え方、社会に対する関心の持ち方、さらにいえば、人生観とか、哲学とか、そういうもろもろがあって、そこからにじみ出してくること、噴出してくることを掬い上げるのが文章を書くということ。そういう奥行きのあることを「ハウツー」で教えようというのだから、はなから無理がある。
大学生の場合、前期、後期とも、10数回の授業があるので、いろんな課題が出せるし、授業を通じた交流も進む。その結果、授業が終わる頃には、学生たちもある程度の自信というか、手応えを持てるようになる。
それを半分以下の時間で手にしてもらおうというのだから、結構難しいミッションである。しかし、高校生たちには「ファイターズでアメフットをしたい」という強い動機がある。これがエネルギーになっているから、勉強会には全員が集中して取り組んでくれる。その気持ちがあるから、たとえ回数は少なく、時間も短くても、勉強会の効果は決して小さくない、と僕は思っている。
この勉強会は、平郡君と池谷君が高校3年生の時からスタートしたので、今季でもう16年目になる。その間、少ない年でも5人、多い年には10人以上、合計すると100人以上の高校生と接してきたが、時代が移っても彼らの「ファイターズでフットボールをしたい」という気持ちには、少しの変化もない。それどころか、最近は関東方面の高校生を含め、自ら志願してファイターズの門を叩いてくれる高校生が増えているので、学習意欲という点では、全く問題ない。その意欲をより高めるために、少しばかり油を差すのが、僕の仕事である。そう思うと、暑さの中、勉強会に向かうのも苦にならない。
さあ、今日も夕方から勉強会だ。早めに行って、冷房の効いた教室で本を読みながら、高校生が集まるのを待つことにしようかい。
家にエアコンは備えているが、あの原発事故以来、自分一人の時は、冷房も暖房も使わない(ついでにいえばテレビも見ない。紀州・田辺の家ではテレビそのものを放逐してしまった)。だから、頼りは窓から入って来る風だけ。今も短パンとシャツ一枚でパソコンに向かっている。
しかし、さすがに暑い。ムキになって熱いコーヒーを飲み、自分にむち打ちながらこのコラムを書いている。
そんな暑さの中で、学生諸君はいま、前期試験の終盤戦。彼らもムキになって試験の準備をし、日々難しい試験と格闘している。グラウンドに出掛けても、大学生の姿はほとんど見掛けない。大半の単位を取り終わっている4年生がミーティングをしているぐらいだ。8月1日から始まる真夏のトレーニングを控えて、いまはひたすら勉強に専念しているようだ。
勉強といえば、スポーツ推薦でファイターズにチャレンジしてくれる高校生にとっても、今が追い込みの時期だ。推薦入試には小論文試験があるので、リクルート担当マネジャーの西村君やアシスタントディレクターの宮本さんが世話をして、その勉強会を毎週、続けているのである。
夕方、それぞれの学校の練習が終わった後で西宮市に集まり、これは冷房の効いた教室で毎回、800字の小論文を書く。
講師は不肖、私が務めている。小論文とはどういうものか、採点する人はどういうところに注目して点を付けるのか、自分の思ったこと、考えたことをどのようにして文章にすればいいのか、というようなことについて、分かりやすく説明する。書きあげた小論文を添削し、それぞれに講評を書き込む。大学の授業でやっていることを、そのまま高校生に向けてやっているようなものだ。
問題は、勉強会の回数である。高校生はあちこちから集まって来るので、週に何回も開催できない。それに、夏休みには長期の合宿もある。願書の締め切りが早いので、志望理由書を書くなどの出願手続きも並行して進めなければならない。何より、彼らのにはすぐに秋の大会が控えている。それぞれがチームの主力選手なので、勉強会だからといって、そうたびたびチームを離れるわけにはいかない。だから、短期集中で教えるしかない。
だが、小論文の指導も、フットボールの指導と同じで、二つ三つポイントをアドバイスすれば、それで完了、という性格のものではない。もの考え方、社会に対する関心の持ち方、さらにいえば、人生観とか、哲学とか、そういうもろもろがあって、そこからにじみ出してくること、噴出してくることを掬い上げるのが文章を書くということ。そういう奥行きのあることを「ハウツー」で教えようというのだから、はなから無理がある。
大学生の場合、前期、後期とも、10数回の授業があるので、いろんな課題が出せるし、授業を通じた交流も進む。その結果、授業が終わる頃には、学生たちもある程度の自信というか、手応えを持てるようになる。
それを半分以下の時間で手にしてもらおうというのだから、結構難しいミッションである。しかし、高校生たちには「ファイターズでアメフットをしたい」という強い動機がある。これがエネルギーになっているから、勉強会には全員が集中して取り組んでくれる。その気持ちがあるから、たとえ回数は少なく、時間も短くても、勉強会の効果は決して小さくない、と僕は思っている。
この勉強会は、平郡君と池谷君が高校3年生の時からスタートしたので、今季でもう16年目になる。その間、少ない年でも5人、多い年には10人以上、合計すると100人以上の高校生と接してきたが、時代が移っても彼らの「ファイターズでフットボールをしたい」という気持ちには、少しの変化もない。それどころか、最近は関東方面の高校生を含め、自ら志願してファイターズの門を叩いてくれる高校生が増えているので、学習意欲という点では、全く問題ない。その意欲をより高めるために、少しばかり油を差すのが、僕の仕事である。そう思うと、暑さの中、勉強会に向かうのも苦にならない。
さあ、今日も夕方から勉強会だ。早めに行って、冷房の効いた教室で本を読みながら、高校生が集まるのを待つことにしようかい。
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