石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(6)萌芽
4日は上ヶ原のグラウンドで、龍谷大との一戦。穏やかな日曜日、母校での無料試合とあって、続々とファンがつめかけた。大学の試合前には、高等部の試合もあったため、会場は文字通り立錐の余地がないほど。僕が知る限りでは、2006年に第3フィールドが完成して以来、最高の人出となった。
ファイターズは、この日も主力メンバーの多くがベントスタート。先発メンバーに名を連ねた4年生は、オフェンスの月山、油谷、松島、樋之本、ディフェンスの岡部、国安、吉原、国吉のそれぞれ4人ずつだった。
逆に2年生はオフェンスに5人、ディフェンスに3人が名を連ねた。C松井、WR高田、水野、QB伊豆、RB橋本、DL安田、LB松尾、DB小池という期待のメンバーである。間をつなぐ3年生もOL鈴木、大谷、K千葉、DL濵、LB山野、DB伊藤と、昨年まではほとんど試合に出ていない選手が顔をそろえた。
こうした顔ぶれの中から、一人でも二人でもスタメンで活躍する選手が出てきてほしい。彼らの成長なしにはシーズンは戦い切れない、という監督やコーチの悲鳴と願いがこもった先発メンバーだったといってもよい。
当然、ファンの目も彼らに注がれる。今季の慶応と日大戦、その前の紅白戦からの戦いぶりを追っている中で、すでに伊豆や橋本のように脚光を浴びる選手が出てきている。その力は関西の1部リーグのチームにも通用するのか。次はだれがヒーローになるのか。この日スタンドに足を運んだ人たちの期待は、監督やコーチの胸中と同様だったに違いない。
期待は裏切られなかった。OL陣は相手守備陣をなぎ倒すような勢いで走路を開き、QBを守った。ランで226ヤード、パスで270ヤード、計496ヤードを獲得した数字がその力強い攻撃を裏付けている。得点こそ31点にとどまったが、内容的には圧倒していた。
とくに目についたのが伊豆の成長。正確なパスを樋之本、水野、荻原らのWR陣に次々にヒットさせ、要所要所では自らのラッシュで陣地を進める。「気持ちは熱く、頭は冷静に」という言葉を絵にかいたようなプレーぶりでゲームを支配した。
パスを受ける水野、荻原、高田、藤原の2年生4人組もよく奮闘した。ほんの3週間前の紅白戦では、パスを落としてばかりだったが、この日は違った。とりわけ水野と荻原は難しいTDパスを見事にキャッチし、今後の成長に期待を持たせてくれた。
RBでは橋本が紅白戦以来、試合経験を積むごとに成長しているし、LBから転向してきた4年生の西山が力強い走りを見せてくれた。同じくLBから移ってきたばかりの3年生山崎とともに、強い当たりで自ら走路を切り開くランナーとして、今後の成長が大いに期待できる。これに鷺野や飯田といったスピードとカットに非凡な才能を持つメンバーを組み合わせたらと考えると、期待に胸がわくわくする。
守備陣もよく踏ん張った。弱いと言い続けられたDL陣は相手ラインに圧力をかけ続け、2列目、3列目の選手も決定的なチャンスを作らせなかった。まだ、春の試合とあって、監督やコーチも次々にメンバーを入れ替えてその可能性を試している段階だと思うが、それでもこれまでほとんど目につかなかった山野や松尾、安田といったメンバーが元気なプレーを見せている。DB陣は、この日は出場しなかった3年生の田中以外は全員、顔ぶれが変わったが、小池や山本などフレッシュなメンバーがはつらつとした動きを見せている。
要するに、秋のシーズンに向けて、攻守とも新戦力の萌芽が見えてきたというのが、この日の試合から得られた収穫である。
ただし、それはまだ萌芽であって、チームを支える木に成長するまでには、時間がかかる。いまはまだ、仲間の足を引っ張らないようにするのが精一杯というところで、いざというときに「俺に任せろ」といえるプレーヤーになるまでには、まだまだ長い時間が必要だろう。それはこのゲームでも相次いだつまらない反則が象徴している。相手もだチーム作りの途上で、込み入ったプレーを見せなかった試合だったということも考慮に入れる必要がある。
成長の兆しは見えてきた。けれどもまだまだ試合のなかで学ぶべきことはたくさんあるのだ。その意味で、今週末の明治大学、それに続く関西大学との試合で、今回名前を挙げた選手らがどんな活躍をするか、括目して待ちたい。
ファイターズは、この日も主力メンバーの多くがベントスタート。先発メンバーに名を連ねた4年生は、オフェンスの月山、油谷、松島、樋之本、ディフェンスの岡部、国安、吉原、国吉のそれぞれ4人ずつだった。
逆に2年生はオフェンスに5人、ディフェンスに3人が名を連ねた。C松井、WR高田、水野、QB伊豆、RB橋本、DL安田、LB松尾、DB小池という期待のメンバーである。間をつなぐ3年生もOL鈴木、大谷、K千葉、DL濵、LB山野、DB伊藤と、昨年まではほとんど試合に出ていない選手が顔をそろえた。
こうした顔ぶれの中から、一人でも二人でもスタメンで活躍する選手が出てきてほしい。彼らの成長なしにはシーズンは戦い切れない、という監督やコーチの悲鳴と願いがこもった先発メンバーだったといってもよい。
当然、ファンの目も彼らに注がれる。今季の慶応と日大戦、その前の紅白戦からの戦いぶりを追っている中で、すでに伊豆や橋本のように脚光を浴びる選手が出てきている。その力は関西の1部リーグのチームにも通用するのか。次はだれがヒーローになるのか。この日スタンドに足を運んだ人たちの期待は、監督やコーチの胸中と同様だったに違いない。
期待は裏切られなかった。OL陣は相手守備陣をなぎ倒すような勢いで走路を開き、QBを守った。ランで226ヤード、パスで270ヤード、計496ヤードを獲得した数字がその力強い攻撃を裏付けている。得点こそ31点にとどまったが、内容的には圧倒していた。
とくに目についたのが伊豆の成長。正確なパスを樋之本、水野、荻原らのWR陣に次々にヒットさせ、要所要所では自らのラッシュで陣地を進める。「気持ちは熱く、頭は冷静に」という言葉を絵にかいたようなプレーぶりでゲームを支配した。
パスを受ける水野、荻原、高田、藤原の2年生4人組もよく奮闘した。ほんの3週間前の紅白戦では、パスを落としてばかりだったが、この日は違った。とりわけ水野と荻原は難しいTDパスを見事にキャッチし、今後の成長に期待を持たせてくれた。
RBでは橋本が紅白戦以来、試合経験を積むごとに成長しているし、LBから転向してきた4年生の西山が力強い走りを見せてくれた。同じくLBから移ってきたばかりの3年生山崎とともに、強い当たりで自ら走路を切り開くランナーとして、今後の成長が大いに期待できる。これに鷺野や飯田といったスピードとカットに非凡な才能を持つメンバーを組み合わせたらと考えると、期待に胸がわくわくする。
守備陣もよく踏ん張った。弱いと言い続けられたDL陣は相手ラインに圧力をかけ続け、2列目、3列目の選手も決定的なチャンスを作らせなかった。まだ、春の試合とあって、監督やコーチも次々にメンバーを入れ替えてその可能性を試している段階だと思うが、それでもこれまでほとんど目につかなかった山野や松尾、安田といったメンバーが元気なプレーを見せている。DB陣は、この日は出場しなかった3年生の田中以外は全員、顔ぶれが変わったが、小池や山本などフレッシュなメンバーがはつらつとした動きを見せている。
要するに、秋のシーズンに向けて、攻守とも新戦力の萌芽が見えてきたというのが、この日の試合から得られた収穫である。
ただし、それはまだ萌芽であって、チームを支える木に成長するまでには、時間がかかる。いまはまだ、仲間の足を引っ張らないようにするのが精一杯というところで、いざというときに「俺に任せろ」といえるプレーヤーになるまでには、まだまだ長い時間が必要だろう。それはこのゲームでも相次いだつまらない反則が象徴している。相手もだチーム作りの途上で、込み入ったプレーを見せなかった試合だったということも考慮に入れる必要がある。
成長の兆しは見えてきた。けれどもまだまだ試合のなかで学ぶべきことはたくさんあるのだ。その意味で、今週末の明治大学、それに続く関西大学との試合で、今回名前を挙げた選手らがどんな活躍をするか、括目して待ちたい。
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