石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(24)スタメンに互して
9月28日は、関西学院の創立記念日。124年前、学院が産声を上げた「原田の森」に近い王子スタジアムで近畿大学との試合が組まれた。
天気は秋晴れ。突き抜けるような青い空、爽やかな風。秋の日差しを浴びて六甲の山並みがすぐ近くに見える。台風の大雨に見舞われた前節の龍谷大戦とは、打って変わって絶好のフットボール日和である。
ファイターズは第1Q最初の攻撃シリーズこそ相手守備陣の魂のこもったプレーで、簡単にパントに追いやられたが、2度目のシリーズでは、同じ轍を踏むわけにはいかない。自陣38ヤード付近から、RB梶原と飯田の立て続けのランで相手陣45ヤード付近に進む。次のプレーはQB斎藤からRB鷺野へのハンドオフ。ボールを手にした鷺野が絶妙の身のこなしで相手守備陣を交わし、そのまま45ヤードを走り切ってTD。K三輪のキックも決まって7-0。
次の近大の攻撃もDB大森や鳥内の強烈なタックルで簡単に封じ、自陣22ヤードから再びファイターズの攻撃。いきなりOLの反則で5ヤードを罰退させられたが、斎藤がWR大園に9ヤードのパス。続けて鷺野にショベルパスを決め、鷺野が49ヤードを独走。スタンドからの歓声が消えないうちに、今度は斎藤がWR横山へ30ヤードのパスを決めてTD。
次の近大の攻撃は、LB小野が立て続けに強烈なタックルを決めて完封。当然、オフェンスも勢い付く。斎藤がWR木下への短いパスを決め、自身のドロープレーやRB野々垣、鷺野のラッシュであっという間に陣地を進める。残った1ヤードを鷺野が飛び込んでTD。21-0として試合の主導権を握った。
次のファイターズの攻撃シリーズでも、鷺野が信じられないような身のこなしで相手タックルをふりほどき、33ヤードを前進する離れ業を見せ、斎藤の18ヤードランもあって、あっという間に相手ゴール前13ヤード。だが、ここから突然、快調なリズムが崩れてしまう。スクリーンパスの失敗、反則、そして仕上げは28ヤードのFG失敗。
確実に点を取れる場面を逃がすと、相手は勢い付く。ここからは攻守とも完全に相手のペース。逆に、ファイターズはけが人が出たり、スペシャルプレーのパスがインターセプトされたり。4Qに入ってQBをはじめ、次々と交代メンバーを出場させたこともあって、インターセプトはされる、反則はする、FGは失敗する、と失敗のオンパレード。あげくに、相手パントをゴール前で押さえられる場面があったのに、それを逃してタッチバックにするという信じられないミスまで飛び出した。
爽やかな秋晴れが、突然、梅雨空に変わったような試合。しかし、それは秋のリーグ戦が始まって以来、ずっと続いている「空模様」である。先発メンバーが出ているときは、爽快なゲーム運びをする。だが、ひとたび交代メンバーが出てくると、別のチームのようになってしまう。それに引きずられて、スタメンで出ていた選手のプレーまでがおかしくなってくる。この3試合、リプレーを見るように、そんな試合運びを繰り返している。
試合後のインタビューで、鳥内監督は冗談とも本音ともとれる口調で「ぼろくそに書いといて下さい」と発言されていた。毎試合のように繰り返される成長の見えない試合運びに我慢がならなかったからではないか。
社会人王者を倒して日本1を目指す、というのなら、まずは関西リーグを勝ち上がり、甲子園ボウルにも勝たなければならない。そのためには、先発メンバーの力に加えて、交代メンバーの底上げが不可欠だ。だからこそ、リーグ戦では次々に新しいメンバーを登用し、いくつものプレーを試している。なのに、なかなか成長の跡が見えない。梅雨空としか言いようのない試合である。
もちろん、交代メンバーや先発した新戦力で目を見張るプレーをした選手はいる。この日はスタメンで登場し、新人離れしたプレーを見せ続けたLB山岸、狙いすませたインターセプトを決めたDB伊藤、そして結果はインターセプトとなったが、QB顔負けの遠投力を見せ、どんなプレーにも対応出来る器用さを見せつけたWR横山らである。
こういう選手が続々出てくる試合を見たいのである。先発メンバーに互して、一歩も引かないプレーを見せる交代メンバーがどれだけ出てくるか。これからの厳しい戦いを勝ち抜くためには、グラウンドに立つ全員がさらに自らを鍛え、チームに貢献できる技量を磨くしかない。
校訓にいう「マスタリー・フォー・サービス」とは、そういう「強い人」になるために自らを鍛えることである。
天気は秋晴れ。突き抜けるような青い空、爽やかな風。秋の日差しを浴びて六甲の山並みがすぐ近くに見える。台風の大雨に見舞われた前節の龍谷大戦とは、打って変わって絶好のフットボール日和である。
ファイターズは第1Q最初の攻撃シリーズこそ相手守備陣の魂のこもったプレーで、簡単にパントに追いやられたが、2度目のシリーズでは、同じ轍を踏むわけにはいかない。自陣38ヤード付近から、RB梶原と飯田の立て続けのランで相手陣45ヤード付近に進む。次のプレーはQB斎藤からRB鷺野へのハンドオフ。ボールを手にした鷺野が絶妙の身のこなしで相手守備陣を交わし、そのまま45ヤードを走り切ってTD。K三輪のキックも決まって7-0。
次の近大の攻撃もDB大森や鳥内の強烈なタックルで簡単に封じ、自陣22ヤードから再びファイターズの攻撃。いきなりOLの反則で5ヤードを罰退させられたが、斎藤がWR大園に9ヤードのパス。続けて鷺野にショベルパスを決め、鷺野が49ヤードを独走。スタンドからの歓声が消えないうちに、今度は斎藤がWR横山へ30ヤードのパスを決めてTD。
次の近大の攻撃は、LB小野が立て続けに強烈なタックルを決めて完封。当然、オフェンスも勢い付く。斎藤がWR木下への短いパスを決め、自身のドロープレーやRB野々垣、鷺野のラッシュであっという間に陣地を進める。残った1ヤードを鷺野が飛び込んでTD。21-0として試合の主導権を握った。
次のファイターズの攻撃シリーズでも、鷺野が信じられないような身のこなしで相手タックルをふりほどき、33ヤードを前進する離れ業を見せ、斎藤の18ヤードランもあって、あっという間に相手ゴール前13ヤード。だが、ここから突然、快調なリズムが崩れてしまう。スクリーンパスの失敗、反則、そして仕上げは28ヤードのFG失敗。
確実に点を取れる場面を逃がすと、相手は勢い付く。ここからは攻守とも完全に相手のペース。逆に、ファイターズはけが人が出たり、スペシャルプレーのパスがインターセプトされたり。4Qに入ってQBをはじめ、次々と交代メンバーを出場させたこともあって、インターセプトはされる、反則はする、FGは失敗する、と失敗のオンパレード。あげくに、相手パントをゴール前で押さえられる場面があったのに、それを逃してタッチバックにするという信じられないミスまで飛び出した。
爽やかな秋晴れが、突然、梅雨空に変わったような試合。しかし、それは秋のリーグ戦が始まって以来、ずっと続いている「空模様」である。先発メンバーが出ているときは、爽快なゲーム運びをする。だが、ひとたび交代メンバーが出てくると、別のチームのようになってしまう。それに引きずられて、スタメンで出ていた選手のプレーまでがおかしくなってくる。この3試合、リプレーを見るように、そんな試合運びを繰り返している。
試合後のインタビューで、鳥内監督は冗談とも本音ともとれる口調で「ぼろくそに書いといて下さい」と発言されていた。毎試合のように繰り返される成長の見えない試合運びに我慢がならなかったからではないか。
社会人王者を倒して日本1を目指す、というのなら、まずは関西リーグを勝ち上がり、甲子園ボウルにも勝たなければならない。そのためには、先発メンバーの力に加えて、交代メンバーの底上げが不可欠だ。だからこそ、リーグ戦では次々に新しいメンバーを登用し、いくつものプレーを試している。なのに、なかなか成長の跡が見えない。梅雨空としか言いようのない試合である。
もちろん、交代メンバーや先発した新戦力で目を見張るプレーをした選手はいる。この日はスタメンで登場し、新人離れしたプレーを見せ続けたLB山岸、狙いすませたインターセプトを決めたDB伊藤、そして結果はインターセプトとなったが、QB顔負けの遠投力を見せ、どんなプレーにも対応出来る器用さを見せつけたWR横山らである。
こういう選手が続々出てくる試合を見たいのである。先発メンバーに互して、一歩も引かないプレーを見せる交代メンバーがどれだけ出てくるか。これからの厳しい戦いを勝ち抜くためには、グラウンドに立つ全員がさらに自らを鍛え、チームに貢献できる技量を磨くしかない。
校訓にいう「マスタリー・フォー・サービス」とは、そういう「強い人」になるために自らを鍛えることである。
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