石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(21)多士済々
待ちに待ったシーズンが始まった。
初戦は王子スタジアム。昼間の雨こそ上がったが、人工芝の上には水が浮いている。足下は悪いし、相手は2部から昇格したばかりで手の内の知れない大阪教育大学。初戦は、どんなに試合経験のある選手でも緊張するから、ひとつ間違えば、ややこしい試合になる可能性がある。
そんな心配はしかし、ファイターズのレシーブで始まった最初の攻撃で杞憂となった。相手のキックしたボールをキャッチしたRB鷺野がいきなり敵陣43ヤードまでリターン。そこからの第一プレーはRB飯田の40ヤードラッシュ。あわやTDかと思わせる快走でチームを勢いづける。残った3ヤードを鷺野と飯田のランでTDに結び付け、K三輪のキックも決まって、あっという間に7点を先制。チーム全体を落ち着かせた。
次の大教大の攻撃はディフェンスが完封。ファイターズの2回目の攻撃シリーズは、パスインターセプトで不発に終わったが、守備陣が踏ん張って、相手に攻撃のきっかけをつかませない。すぐさま攻撃権を取り戻し、ファイターズ3度目の攻撃シリーズは自陣20ヤードから。ここでQB斎藤が鷺野、TE樋之本、松島に立て続けにパスを通し、仕上げも樋之本へ9ヤードのTDパス。相手守備の意表を突いた2点コンバージョンも決まって15-0。
続く大教大の攻撃も、DB足立のインターセプトで断ち切り、迎えたファイターズの攻撃は相手陣43ヤードから。ここでは一転、鷺野と飯田の切れのよいランで立て続けにダウンを更新。仕上げは斎藤からWR梅本へ21ヤードのTDパス。三輪のキックも決まって22-0。
第2Qに入っても勢いは止まらない。守備陣が相手にダウンの更新を許さず、完封してくれるから攻撃のリズムもよい。2Q早々には飯田のドロープレーで一気に相手ゴール前まで陣地を進め、仕上げは斎藤から樋之本へのTDパス。ここでも松島へのパスを決めて2点を獲得。相手が対応出来ないのを見澄ました積極的な攻撃だった。
LB小野のインターセプトで得た相手陣25ヤードからの攻撃シリーズもRB野々垣のランで陣地を進め、残った14ヤードを1年生RB池永弟が走り切ってTD。相手陣37ヤードから始まった次の攻撃シリーズでは斎藤からWR木戸へのパスが決まり、一発でTD。その直後には1年生DB小池が相手のパスをインターセプト。そのまま約35ヤードを走り切ってTD。続くシリーズでは木戸の絶妙のパントリターンで残り4ヤードから攻め込み、鷺野が中央に走り込んでTD。前半だけで58-0という大差を付けた。
数えて見れば、先発メンバー中心で戦ったファイターズの前半の攻撃シリーズは8回。そのうち1度はインターセプトで攻撃権を失っているが、残りの7回はすべてTDに仕上げた。おまけに小池のインターセプトTDが加わって都合8TD58点。インターセプトされた攻撃も含め、わずか24回のプレーでこれだけの得点を挙げている。パスにランに、すさまじい破壊力を持ったチームといってよいだろう。
破壊力と言えば、攻撃陣だけではない。守備は前半、一度もダウン更新を許さず、3回もインターセプトを奪った。主将池永兄、1年生松本、4年生吉田で固めた1列目は破壊力抜群だし、LB陣には強力なタックルとスピードを持ち、プレーの読みも抜群の池田と小野、それに動きのよい森岡と作道がいる。副将鳥内が率いるDB陣には、安定した4年生足立に加え、進境著しい田中、小池というスピードスターがいる。これだけのメンバーがほとんど交代せず、チーム内で互いに競争しながら本気で戦ったのだから、相手は本当に苦しかったと思う。
しかし、これだけが今年のファイターズではない。後半になるとQBが松岡に代わり、ほかのポジションにも交代メンバーが次々に登場した。全部を紹介することはできないので、1年生を順不同で挙げていく。
攻撃では2本のTDを挙げたRB池永弟(同志社国際)、同じく41ヤードを巧妙なステップで走り切った小柄なRB松本(啓明学院)、OL期待の星、堀川(大阪学芸)。同じく松井、清村(ともに高等部)。最終盤に巧妙なスクリーンパスを池永弟に投じ、43ヤードのTDを挙げて試合を締めくくったQB伊豆(箕面)。突進力に魅力がある大型RBパング(横浜栄)、WRの藤原(高等部)と水野(池田)、そしてこの日はキッカーとして登場した西岡(足立学園)。
守備では、期待の大型LB山岸(中大付)と西田(啓明学院)。先発した松本と肩を並べるほど当たりの強いDL安田(高等部)、DBでは、小柄だが切れのよい動きをする岡本(高等部)が登場した。初戦からスタメンに名前を連ねて活躍したDL松本(高等部)、DB小池(箕面自由)の名前も再掲しておこう。
ほかにも出場した1年生がいると思うが、なんせ薄暗いナイターの試合。遠く離れたスタンドからでは、全員を確認するのは難しかった。名前の漏れた1年生はこれからの試合で頑張って存在感を見せて欲しい。
ともあれ、多士済々。近年にない1年生の充実ぶりである。この日は書くゆとりはなかったが、もちろん2年生や3年生にも期待できる選手は一杯いる。こうしたタレントたちが今後、どのように成長し、どれくらい上級生を脅かしてそのポジションを奪取するか。
面白いほどリズムよくゲームを進めた先発メンバーの活躍とともに、今年は下級生の「下克上」に注目したい。期待で胸がわくわくする初戦だった。
初戦は王子スタジアム。昼間の雨こそ上がったが、人工芝の上には水が浮いている。足下は悪いし、相手は2部から昇格したばかりで手の内の知れない大阪教育大学。初戦は、どんなに試合経験のある選手でも緊張するから、ひとつ間違えば、ややこしい試合になる可能性がある。
そんな心配はしかし、ファイターズのレシーブで始まった最初の攻撃で杞憂となった。相手のキックしたボールをキャッチしたRB鷺野がいきなり敵陣43ヤードまでリターン。そこからの第一プレーはRB飯田の40ヤードラッシュ。あわやTDかと思わせる快走でチームを勢いづける。残った3ヤードを鷺野と飯田のランでTDに結び付け、K三輪のキックも決まって、あっという間に7点を先制。チーム全体を落ち着かせた。
次の大教大の攻撃はディフェンスが完封。ファイターズの2回目の攻撃シリーズは、パスインターセプトで不発に終わったが、守備陣が踏ん張って、相手に攻撃のきっかけをつかませない。すぐさま攻撃権を取り戻し、ファイターズ3度目の攻撃シリーズは自陣20ヤードから。ここでQB斎藤が鷺野、TE樋之本、松島に立て続けにパスを通し、仕上げも樋之本へ9ヤードのTDパス。相手守備の意表を突いた2点コンバージョンも決まって15-0。
続く大教大の攻撃も、DB足立のインターセプトで断ち切り、迎えたファイターズの攻撃は相手陣43ヤードから。ここでは一転、鷺野と飯田の切れのよいランで立て続けにダウンを更新。仕上げは斎藤からWR梅本へ21ヤードのTDパス。三輪のキックも決まって22-0。
第2Qに入っても勢いは止まらない。守備陣が相手にダウンの更新を許さず、完封してくれるから攻撃のリズムもよい。2Q早々には飯田のドロープレーで一気に相手ゴール前まで陣地を進め、仕上げは斎藤から樋之本へのTDパス。ここでも松島へのパスを決めて2点を獲得。相手が対応出来ないのを見澄ました積極的な攻撃だった。
LB小野のインターセプトで得た相手陣25ヤードからの攻撃シリーズもRB野々垣のランで陣地を進め、残った14ヤードを1年生RB池永弟が走り切ってTD。相手陣37ヤードから始まった次の攻撃シリーズでは斎藤からWR木戸へのパスが決まり、一発でTD。その直後には1年生DB小池が相手のパスをインターセプト。そのまま約35ヤードを走り切ってTD。続くシリーズでは木戸の絶妙のパントリターンで残り4ヤードから攻め込み、鷺野が中央に走り込んでTD。前半だけで58-0という大差を付けた。
数えて見れば、先発メンバー中心で戦ったファイターズの前半の攻撃シリーズは8回。そのうち1度はインターセプトで攻撃権を失っているが、残りの7回はすべてTDに仕上げた。おまけに小池のインターセプトTDが加わって都合8TD58点。インターセプトされた攻撃も含め、わずか24回のプレーでこれだけの得点を挙げている。パスにランに、すさまじい破壊力を持ったチームといってよいだろう。
破壊力と言えば、攻撃陣だけではない。守備は前半、一度もダウン更新を許さず、3回もインターセプトを奪った。主将池永兄、1年生松本、4年生吉田で固めた1列目は破壊力抜群だし、LB陣には強力なタックルとスピードを持ち、プレーの読みも抜群の池田と小野、それに動きのよい森岡と作道がいる。副将鳥内が率いるDB陣には、安定した4年生足立に加え、進境著しい田中、小池というスピードスターがいる。これだけのメンバーがほとんど交代せず、チーム内で互いに競争しながら本気で戦ったのだから、相手は本当に苦しかったと思う。
しかし、これだけが今年のファイターズではない。後半になるとQBが松岡に代わり、ほかのポジションにも交代メンバーが次々に登場した。全部を紹介することはできないので、1年生を順不同で挙げていく。
攻撃では2本のTDを挙げたRB池永弟(同志社国際)、同じく41ヤードを巧妙なステップで走り切った小柄なRB松本(啓明学院)、OL期待の星、堀川(大阪学芸)。同じく松井、清村(ともに高等部)。最終盤に巧妙なスクリーンパスを池永弟に投じ、43ヤードのTDを挙げて試合を締めくくったQB伊豆(箕面)。突進力に魅力がある大型RBパング(横浜栄)、WRの藤原(高等部)と水野(池田)、そしてこの日はキッカーとして登場した西岡(足立学園)。
守備では、期待の大型LB山岸(中大付)と西田(啓明学院)。先発した松本と肩を並べるほど当たりの強いDL安田(高等部)、DBでは、小柄だが切れのよい動きをする岡本(高等部)が登場した。初戦からスタメンに名前を連ねて活躍したDL松本(高等部)、DB小池(箕面自由)の名前も再掲しておこう。
ほかにも出場した1年生がいると思うが、なんせ薄暗いナイターの試合。遠く離れたスタンドからでは、全員を確認するのは難しかった。名前の漏れた1年生はこれからの試合で頑張って存在感を見せて欲しい。
ともあれ、多士済々。近年にない1年生の充実ぶりである。この日は書くゆとりはなかったが、もちろん2年生や3年生にも期待できる選手は一杯いる。こうしたタレントたちが今後、どのように成長し、どれくらい上級生を脅かしてそのポジションを奪取するか。
面白いほどリズムよくゲームを進めた先発メンバーの活躍とともに、今年は下級生の「下克上」に注目したい。期待で胸がわくわくする初戦だった。
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