石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(6)続・ファイターズの深さ
僕は、自分でも驚くほどの活字中毒である。毎日、どんな状況にあっても活字に触れていないと落ち着かない。朝起きるとまず、新聞に目を通す。昼間は活字に触れるのが仕事の大半である。自分で原稿を書いたり、若い人の原稿に手を入れたりする。新聞記事の編集作業もあるし、校閲作業もする。夜、寝る前には何があっても本を読む。休みの日こそ、原稿を書いたり読んだりはしないけれども、外に出掛けない限りは、朝から寝ころんで本を読んでいる。
そんなこんなで、年間に読む本は、雑誌類を除いてざっと200冊。このペースは10年前、20年前とほとんど変わらない。
先日も関西学院大学で仕事中、たまたま手が空いたので、手近にあった「研修紀要2008年度判」を手にとって読み始めた。大学の人事課が発行した冊子で、大学職員が1年間に研修をした成果をレポートにまとめている。森下理事長の巻頭言から始まり、編集委員のあとがきまで155ページの報告書である。多分、実際にレポートを書いた人も含めて、大半の人が途中で放り投げるような堅苦しい内容である。
僕も「難しそう。でも、ひまつぶしくらいにはなるだろう」という程度の、不遜な考えで読み始めたが、どっこい、読んで驚いた。報告の中に、コーチの大寺将史氏のレポートがあり、それが非常に示唆に富む内容だったからである。それは、スポーツ・文化活動を支援する指定強化クラブ制度について論じた次のようなレポートだった。
報告書はまず?2006年度から開始されたこの制度によって、指定強化クラブの活動成績は向上している?ラグビー部の51年ぶりの関西リーグ制覇がメディアに再三取り上げられ、大学の知名度向上に貢献している?スポーツ活動が大学への帰属意識や母校愛の醸成に有益である事を示す日本総研の調査データがある――などの理由を挙げて、とその意義を説く。続いて、カレッジスポーツがチケットやグッズ販売による「一時的な収益」と寄付金による「継続的な収益」をもたらし、大学の貴重な収入源となっているアメリカの例を引いて、大学のブランド価値向上につなげる方策として有効な手段であると結論づける。
その上で、今後の課題として「活動支援費を関西4私大(いわゆる関関同立)並みの水準まで引き上げること」「構成員の共通理解のもとに実施される制度とするため、指定強化クラブの選考・評価基準を公表すること」を挙げる。そして、2010年度に迎える学院創立125周年事業と連動して「指定強化クラブの活躍→愛校心の醸成→寄付金の獲得→大学の活性化」へとつなげていくことを結びとしているのである。
堂々たるレポートである。大学間の生き残り競争が激化していく中で、関西学院のブランド力を向上させるための一つの切り口としてすぐにも実施に移すべき内容がしっかりと盛り込まれている。これはまた「高い教養と専門的能力を有する優れた人材を育成する」「深く真理を探究し、新たな知見を創造・蓄積する」という、大学の役割を補完する方策として、早急に取り組むべき課題であるともいえよう。
ことは、大学当局だけにとどまらない。「愛校心の醸成」→「寄付金の獲得」という観点から言えば、関西学院につながるすべての人間に呼びかけた提言でもある。
この「紀要」には、他にもアシスタントディレクターの宮本敬士氏がレポートを寄せているし、職員交流研修に来日した中国・蘇州大学の研修団を前に、関学の国際教育交流事業について説明する伊角富三ディレクターの写真も掲載されていた。巻末の職員研修の講師陣の顔ぶれを見ていけば、関西学院の新基本構想策定の中心を担った小野宏コーチの名前が最初に載っている。
多士済々とはこのことである。ファイターズのコーチやスタッフは、グラウンドでファイターズを指導し、部員を育て、チームを強くしているだけではない。本業の学院職員としても、その屋台骨を支えて、それぞれがめざましい活躍をしている。ここに名前を挙げなかったコーチやスタッフも含め、ファイターズの指導者は、本業の方でも大いに頼りになる存在として認められているのである。
こういう話は、内輪褒めのようで、あまり書きたくはないのだが、こういう人材を擁しているのもまた、ファイターズというチームの奥行きの深さである。そのことを知ってもらいたくて、あえて紹介した。
そんなこんなで、年間に読む本は、雑誌類を除いてざっと200冊。このペースは10年前、20年前とほとんど変わらない。
先日も関西学院大学で仕事中、たまたま手が空いたので、手近にあった「研修紀要2008年度判」を手にとって読み始めた。大学の人事課が発行した冊子で、大学職員が1年間に研修をした成果をレポートにまとめている。森下理事長の巻頭言から始まり、編集委員のあとがきまで155ページの報告書である。多分、実際にレポートを書いた人も含めて、大半の人が途中で放り投げるような堅苦しい内容である。
僕も「難しそう。でも、ひまつぶしくらいにはなるだろう」という程度の、不遜な考えで読み始めたが、どっこい、読んで驚いた。報告の中に、コーチの大寺将史氏のレポートがあり、それが非常に示唆に富む内容だったからである。それは、スポーツ・文化活動を支援する指定強化クラブ制度について論じた次のようなレポートだった。
報告書はまず?2006年度から開始されたこの制度によって、指定強化クラブの活動成績は向上している?ラグビー部の51年ぶりの関西リーグ制覇がメディアに再三取り上げられ、大学の知名度向上に貢献している?スポーツ活動が大学への帰属意識や母校愛の醸成に有益である事を示す日本総研の調査データがある――などの理由を挙げて、とその意義を説く。続いて、カレッジスポーツがチケットやグッズ販売による「一時的な収益」と寄付金による「継続的な収益」をもたらし、大学の貴重な収入源となっているアメリカの例を引いて、大学のブランド価値向上につなげる方策として有効な手段であると結論づける。
その上で、今後の課題として「活動支援費を関西4私大(いわゆる関関同立)並みの水準まで引き上げること」「構成員の共通理解のもとに実施される制度とするため、指定強化クラブの選考・評価基準を公表すること」を挙げる。そして、2010年度に迎える学院創立125周年事業と連動して「指定強化クラブの活躍→愛校心の醸成→寄付金の獲得→大学の活性化」へとつなげていくことを結びとしているのである。
堂々たるレポートである。大学間の生き残り競争が激化していく中で、関西学院のブランド力を向上させるための一つの切り口としてすぐにも実施に移すべき内容がしっかりと盛り込まれている。これはまた「高い教養と専門的能力を有する優れた人材を育成する」「深く真理を探究し、新たな知見を創造・蓄積する」という、大学の役割を補完する方策として、早急に取り組むべき課題であるともいえよう。
ことは、大学当局だけにとどまらない。「愛校心の醸成」→「寄付金の獲得」という観点から言えば、関西学院につながるすべての人間に呼びかけた提言でもある。
この「紀要」には、他にもアシスタントディレクターの宮本敬士氏がレポートを寄せているし、職員交流研修に来日した中国・蘇州大学の研修団を前に、関学の国際教育交流事業について説明する伊角富三ディレクターの写真も掲載されていた。巻末の職員研修の講師陣の顔ぶれを見ていけば、関西学院の新基本構想策定の中心を担った小野宏コーチの名前が最初に載っている。
多士済々とはこのことである。ファイターズのコーチやスタッフは、グラウンドでファイターズを指導し、部員を育て、チームを強くしているだけではない。本業の学院職員としても、その屋台骨を支えて、それぞれがめざましい活躍をしている。ここに名前を挙げなかったコーチやスタッフも含め、ファイターズの指導者は、本業の方でも大いに頼りになる存在として認められているのである。
こういう話は、内輪褒めのようで、あまり書きたくはないのだが、こういう人材を擁しているのもまた、ファイターズというチームの奥行きの深さである。そのことを知ってもらいたくて、あえて紹介した。
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