石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(15)スタッフの力
春の試合がすべて終わり、ファイターズの諸君はいま、前期試験に向けて追い込みをかけている。もちろん、その間も「走りモノ」と呼ばれるしんどい練習や筋力トレーニングのメニューがパートごと、個人ごとに与えられている。チームとしての練習がないだけで、試験期間中も体の手入れは怠れない。8月からの厳しい練習に耐えるため、暑さに慣れる取り組みも必要だ。
だが、とにもかくにも大学は来週から試験期間。ファイターズの諸君には十分な対策を練って、単位を獲得してもらいたい。
という次第で、今回は春の総括。一番印象に残ったことを書きたい。
それは、チームのマネジメント能力の高さということである。今春は、上ヶ原の第3フィールドでの試合が多かった関係で、ビジターチームのベンチの動きを目の前で見る機会が多かった。以前は、ビジターチームのベンチは観客席から離れたサイド、ファイターズのベンチは観客席の前と決まっていたのだが、遠来のチームを応援に来て下さる方々の便宜を図って、2年ほど前からビジターチームが観客席の前に陣取るようになったのである。
日ごろの試合はファイターズのベンチばかりを見ているが、視点を変えて相手チームのベンチの動き、具体的にはコーチや控え選手、マネジャーらの動きを見ていると、また気付くことがいくつかある。それをあれこれ言うと、相手チームの批判にもなりかねないので、詳細は控えさせていただくが、あえて一つだけ気付いたことを書きたい。マネジャーを中心にした学生スタッフの動きである。
ファイターズの主役は学生。監督やコーチをはじめ、チームに関わる大人たちは、その学生たちが「日本1になりたい」という目的を達成するためのお手伝いをしている、と僕は思っている。もちろん、監督やコーチ、ディレクターやディレクター補佐など、チームの運営に直接、間接、関わっている人たちは、それぞれに経験と知識、そして学生たちを指導するための哲学と教授力を持った有能な指導者である。こうした大人たちがチームの実情を見据えた上で、適切な方針を示し、必要な手助けをしていかなくては、とうてい「日本1」なんて達成出来るはずはない。
それでも、実際にチームを動かしているのは主将、副将、パートリーダー、そしてマネジャーやトレーナー、アナライジングスタッフらである。彼らの献身的な活動なしには、チームはたちまち立ち往生してしまうのもまた事実である。
だからこそ、大人たちは学生に大幅な権限を与え、チーム運営にも責任を持たせているのである。つまり、学生たちは文字通りチームをマネジメントする人であり、トレーナーであり、アナライジングスタッフである。単なるお茶くみや声援係、担架運び要員ではない。ビデオを撮るだけが仕事でもない。
アナライジングスタッフは、試合のビデオを撮影、編集し、それを基に相手チームの長所、短所を丸裸にする。チームの練習ビデオを基に、自分たちの弱点についても徹底的に分析する。それを基に作戦の立案や戦術の提案をし、実際の練習で、その有効性を確かめていく。昨年のキッキングチームが日本フットボール史に残る見事なキッキングゲームを披露した陰に、担当の小野コーチの手足となって働いた分析スタッフの藤原君の活躍があったことは、記憶に新しい。
マネジャーも同様だ。主務を中心に練習のスケジュールを管理し、試合の細かい準備もすべて担当する。有望な高校生のリクルート活動にも励むし、チームのイヤーブックも作成する。最近では、勉強が苦手で単位取得に苦労する部員を対象にした勉強会まで組織し、その指導も担当する。昨年、この勉強会を担当した木戸マネジャーが壮行会で特別賞を受賞したが、これもまたチームに対する献身的な功績として認められたからである。
トレーナーの仕事も多岐にわたる。トレーニング担当コーチに協力してトレーニングメニューの作成からその指導、監督、さらには理学療法士の指導を受けながらテーピングやアイシングも担当する。近年はチームが学生会館の食堂と契約して、下宿生を中心に毎朝、朝食会を開催。選手を栄養面から支えているが、その実務を取り仕切るのもトレーナーの役割だ。
こうした「芝生の上に立たない」スタッフたちがチームをマネジメントし、戦術を分析し、選手を鍛え、健康管理を徹底しているのがファイターズである。専門的な技術と知識を持った「大人」たちの指導、手助けを受けながら、あくまでも学生たちが主体的に行動しているのが僕たちのチームである。
対戦相手のベンチの動きを見ながら、そのことを再確認できたことが、選手一人一人の成長を確かめたことと同様、僕にとっては、この春、最大の収穫だった。
だが、とにもかくにも大学は来週から試験期間。ファイターズの諸君には十分な対策を練って、単位を獲得してもらいたい。
という次第で、今回は春の総括。一番印象に残ったことを書きたい。
それは、チームのマネジメント能力の高さということである。今春は、上ヶ原の第3フィールドでの試合が多かった関係で、ビジターチームのベンチの動きを目の前で見る機会が多かった。以前は、ビジターチームのベンチは観客席から離れたサイド、ファイターズのベンチは観客席の前と決まっていたのだが、遠来のチームを応援に来て下さる方々の便宜を図って、2年ほど前からビジターチームが観客席の前に陣取るようになったのである。
日ごろの試合はファイターズのベンチばかりを見ているが、視点を変えて相手チームのベンチの動き、具体的にはコーチや控え選手、マネジャーらの動きを見ていると、また気付くことがいくつかある。それをあれこれ言うと、相手チームの批判にもなりかねないので、詳細は控えさせていただくが、あえて一つだけ気付いたことを書きたい。マネジャーを中心にした学生スタッフの動きである。
ファイターズの主役は学生。監督やコーチをはじめ、チームに関わる大人たちは、その学生たちが「日本1になりたい」という目的を達成するためのお手伝いをしている、と僕は思っている。もちろん、監督やコーチ、ディレクターやディレクター補佐など、チームの運営に直接、間接、関わっている人たちは、それぞれに経験と知識、そして学生たちを指導するための哲学と教授力を持った有能な指導者である。こうした大人たちがチームの実情を見据えた上で、適切な方針を示し、必要な手助けをしていかなくては、とうてい「日本1」なんて達成出来るはずはない。
それでも、実際にチームを動かしているのは主将、副将、パートリーダー、そしてマネジャーやトレーナー、アナライジングスタッフらである。彼らの献身的な活動なしには、チームはたちまち立ち往生してしまうのもまた事実である。
だからこそ、大人たちは学生に大幅な権限を与え、チーム運営にも責任を持たせているのである。つまり、学生たちは文字通りチームをマネジメントする人であり、トレーナーであり、アナライジングスタッフである。単なるお茶くみや声援係、担架運び要員ではない。ビデオを撮るだけが仕事でもない。
アナライジングスタッフは、試合のビデオを撮影、編集し、それを基に相手チームの長所、短所を丸裸にする。チームの練習ビデオを基に、自分たちの弱点についても徹底的に分析する。それを基に作戦の立案や戦術の提案をし、実際の練習で、その有効性を確かめていく。昨年のキッキングチームが日本フットボール史に残る見事なキッキングゲームを披露した陰に、担当の小野コーチの手足となって働いた分析スタッフの藤原君の活躍があったことは、記憶に新しい。
マネジャーも同様だ。主務を中心に練習のスケジュールを管理し、試合の細かい準備もすべて担当する。有望な高校生のリクルート活動にも励むし、チームのイヤーブックも作成する。最近では、勉強が苦手で単位取得に苦労する部員を対象にした勉強会まで組織し、その指導も担当する。昨年、この勉強会を担当した木戸マネジャーが壮行会で特別賞を受賞したが、これもまたチームに対する献身的な功績として認められたからである。
トレーナーの仕事も多岐にわたる。トレーニング担当コーチに協力してトレーニングメニューの作成からその指導、監督、さらには理学療法士の指導を受けながらテーピングやアイシングも担当する。近年はチームが学生会館の食堂と契約して、下宿生を中心に毎朝、朝食会を開催。選手を栄養面から支えているが、その実務を取り仕切るのもトレーナーの役割だ。
こうした「芝生の上に立たない」スタッフたちがチームをマネジメントし、戦術を分析し、選手を鍛え、健康管理を徹底しているのがファイターズである。専門的な技術と知識を持った「大人」たちの指導、手助けを受けながら、あくまでも学生たちが主体的に行動しているのが僕たちのチームである。
対戦相手のベンチの動きを見ながら、そのことを再確認できたことが、選手一人一人の成長を確かめたことと同様、僕にとっては、この春、最大の収穫だった。
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