石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(34)1年生の見本市
2日、王子スタジアムで「全日本大学選手権西日本地区代表決定戦」が行われた。絶対に落とせない重要な試合であり、ファイターズにとっては、この試合にたどり着くまでが険しい道のりだったが、正直に言って、僕の興味は「どんな新戦力が登場するか」「先発メンバーが退いた後、交代メンバーがどれだけ活躍してくれるか」という点にあった。
なんせ、ファイターズのメンバー表には、欠番になっているあの平郡君の5番を除いて、1番から99番までの番号と名前がびっしりと並んでいる。つまりこの日、出場可能な選手は98人。いくら大所帯のチームといえども、近年では記憶にないほど多くの選手が登録されていたのである。
けがをして、今季はほとんど出場機会のなかった4年生、2番手、3番手の控えメンバーとして、これまたサイドラインから出場機会をアピールするのが主な役割だった3年生や2年生。そして、恵まれた才能を持ちながら、今季はもっぱら体力作りに明け暮れていた1年生。それぞれ固有の事情を抱えていた控えのメンバーが競うように出場してくれるというのだから、勝敗の行方よりも、誰がどんな場面で登場し、どんな役割を果たすのか、という方に興味が向かった。
実際、勝敗としての興味は、第1Qまでだった。立ち上がり、WR大園の好リターンで敵陣39ヤードから始まったファイターズの最初の攻撃では、RB鷺野が左オフタックルを抜けると、そのまま加速して一気にTD。たった1プレーで先制点をもぎ取った。
次の攻撃シリーズも、QB斎藤がTE金本、WR南本にポンポンとパスを決め、最後はK三輪が34ヤードのFG。続く攻撃シリーズも相手陣38ヤードの地点から、オプションピッチを受けた鷺野が再び38ヤードを駆け抜けてTD。さらに4度目のシリーズは大園の45ヤードパントリターンで相手ゴール前6ヤードからの攻撃。ここでも第1プレーでRB野々垣が右オフタックルを駆け上がってTD。4度の攻撃機会をすべて得点に結びつけ23-0。
それでも攻撃の手はゆるめない。第1Q残り14秒で、キッキングチームが仕掛ける。三輪の蹴ったオンサイドキックをWR田中が確保してハーフライン付近から攻撃開始。ここでも斎藤がWR梅本への49ヤードのパスを決め、相手ゴール前3ヤード。RB後藤が確実に中央のダイブを決めてTD。第2Qが始まった早々の時点で得点は30-0に開く。
これだけ点差が開けば、安心して控えの戦力、新しいメンバーをつぎ込める。僕の期待していた「新戦力見本市」の始まりだ。
どんな1年生が登場したのか。チェックできただけの名前を並べてみよう。巨漢のOL橋本、DL岡村、小川、WR田中、木下、RB三好、リターナー宮原、DB奥田、菊山、高、LB作道。TE山本、OL鈴木も出ていたように思うが、自分の目では確認できていない。
この中で、一番目立ったのが田中。オンサイドキックのカバーから始まり、第2Q終了間際には斎藤からの34ヤードTDパスをキャッチ。第3Q残り6分10秒には、自陣4ヤードから斎藤が投じた短いパスを受け、そのまま相手DBを置き去りにしてTD。なんと96ヤードのTDパスキャッチという離れ業を演じた。
三好も負けてはいない。田中のような派手さはなかったが、当たりに強いタフな走りで確実にゲインを重ねた。これに秋のリーグ戦に何度も出場し活躍している木下を加えると、今年も攻撃のスキルポジションには人材が豊富だ。
守備では、ラインの小川が堅実なプレーを見せた。DBでは、才能を感じさせる菊山、高、奥田がそろって登場。菊山は失敗もあったが、見事なインターセプトも決めた。高校時代、ラグビー部で活躍した奥田は、未経験者とは思えないほどの冴えた動きを見せ、将来に期待を抱かせた。
1年生だけではない。2年生にも期待の星がいる。けがから回復したRB飯田は、再三スピードに乗った走りを見せたし、春から活躍しているDL陣も健在だ。何よりも、QB斎藤が落ち着いて試合をリードできたのがこの日の収穫。同じ2年生QBの前田も、終盤に少しだけ登場し、的確なパスを決めた。
このように見ていくと「見本市」に登場した控えの下級生には、将来のファイターズを担っていく選手が何人もいる。心強い。この中から、一人でも二人でも、これからの甲子園ボウル、ライスボウルと続く厳しい試合で活躍してくれるようになれば、ファイターズの選手層は厚くなる。彼らがバックアップに回れるようになれば、いま先発メンバーとして活躍している選手たちのプレーも、なお一層思い切りがよくなるなるはずだ。期待している。
なんせ、ファイターズのメンバー表には、欠番になっているあの平郡君の5番を除いて、1番から99番までの番号と名前がびっしりと並んでいる。つまりこの日、出場可能な選手は98人。いくら大所帯のチームといえども、近年では記憶にないほど多くの選手が登録されていたのである。
けがをして、今季はほとんど出場機会のなかった4年生、2番手、3番手の控えメンバーとして、これまたサイドラインから出場機会をアピールするのが主な役割だった3年生や2年生。そして、恵まれた才能を持ちながら、今季はもっぱら体力作りに明け暮れていた1年生。それぞれ固有の事情を抱えていた控えのメンバーが競うように出場してくれるというのだから、勝敗の行方よりも、誰がどんな場面で登場し、どんな役割を果たすのか、という方に興味が向かった。
実際、勝敗としての興味は、第1Qまでだった。立ち上がり、WR大園の好リターンで敵陣39ヤードから始まったファイターズの最初の攻撃では、RB鷺野が左オフタックルを抜けると、そのまま加速して一気にTD。たった1プレーで先制点をもぎ取った。
次の攻撃シリーズも、QB斎藤がTE金本、WR南本にポンポンとパスを決め、最後はK三輪が34ヤードのFG。続く攻撃シリーズも相手陣38ヤードの地点から、オプションピッチを受けた鷺野が再び38ヤードを駆け抜けてTD。さらに4度目のシリーズは大園の45ヤードパントリターンで相手ゴール前6ヤードからの攻撃。ここでも第1プレーでRB野々垣が右オフタックルを駆け上がってTD。4度の攻撃機会をすべて得点に結びつけ23-0。
それでも攻撃の手はゆるめない。第1Q残り14秒で、キッキングチームが仕掛ける。三輪の蹴ったオンサイドキックをWR田中が確保してハーフライン付近から攻撃開始。ここでも斎藤がWR梅本への49ヤードのパスを決め、相手ゴール前3ヤード。RB後藤が確実に中央のダイブを決めてTD。第2Qが始まった早々の時点で得点は30-0に開く。
これだけ点差が開けば、安心して控えの戦力、新しいメンバーをつぎ込める。僕の期待していた「新戦力見本市」の始まりだ。
どんな1年生が登場したのか。チェックできただけの名前を並べてみよう。巨漢のOL橋本、DL岡村、小川、WR田中、木下、RB三好、リターナー宮原、DB奥田、菊山、高、LB作道。TE山本、OL鈴木も出ていたように思うが、自分の目では確認できていない。
この中で、一番目立ったのが田中。オンサイドキックのカバーから始まり、第2Q終了間際には斎藤からの34ヤードTDパスをキャッチ。第3Q残り6分10秒には、自陣4ヤードから斎藤が投じた短いパスを受け、そのまま相手DBを置き去りにしてTD。なんと96ヤードのTDパスキャッチという離れ業を演じた。
三好も負けてはいない。田中のような派手さはなかったが、当たりに強いタフな走りで確実にゲインを重ねた。これに秋のリーグ戦に何度も出場し活躍している木下を加えると、今年も攻撃のスキルポジションには人材が豊富だ。
守備では、ラインの小川が堅実なプレーを見せた。DBでは、才能を感じさせる菊山、高、奥田がそろって登場。菊山は失敗もあったが、見事なインターセプトも決めた。高校時代、ラグビー部で活躍した奥田は、未経験者とは思えないほどの冴えた動きを見せ、将来に期待を抱かせた。
1年生だけではない。2年生にも期待の星がいる。けがから回復したRB飯田は、再三スピードに乗った走りを見せたし、春から活躍しているDL陣も健在だ。何よりも、QB斎藤が落ち着いて試合をリードできたのがこの日の収穫。同じ2年生QBの前田も、終盤に少しだけ登場し、的確なパスを決めた。
このように見ていくと「見本市」に登場した控えの下級生には、将来のファイターズを担っていく選手が何人もいる。心強い。この中から、一人でも二人でも、これからの甲子園ボウル、ライスボウルと続く厳しい試合で活躍してくれるようになれば、ファイターズの選手層は厚くなる。彼らがバックアップに回れるようになれば、いま先発メンバーとして活躍している選手たちのプレーも、なお一層思い切りがよくなるなるはずだ。期待している。
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