石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(32)集中する心
強い立命に勝った。とてつもなく強力なメンバーを揃えたパンサーズに、ファイターズは堂々と勝った。この1年、ずっとチームに寄り添って、その成長の軌跡を追ってきたが、今日ほどファイターズの諸君が頼もしく、また誇らしく思えたことはない。本当に素晴らしい試合を見せてくれた。ありがとう。
この前の関大戦、その前の京大戦と同様、立ち上がりは苦しい場面の連続だった。ファイターズのレシーブで試合が始まったが、第1プレーでQB畑からWR小山にパスを通してダウンを更新しただけで、あとは全く攻撃が進まない。4回続けてダウンを更新できず、苦しいパントを蹴る展開が続いた。
その間、相手はランとパスを織り交ぜた切れのよい攻撃を続けてきた。完璧なディフェンスと相まって、完全にファイターズを飲んでいたのだろう。最初の攻撃シリーズでは、第1ダウンを一度更新した後、52ヤードの位置からフィールドゴールを蹴るという大胆な攻撃を仕掛けてきた。ここは梶原がキッカーの正面に割り込んで圧力をかけ失敗に追い込んだが、前途の厳しさを見せつけるような場面だった。
突破口を開いたのは守備陣だった。それまでも、DB大森や鳥内弟のパスカット、LB池田のブロッカーごと倒す強烈なタックル、DL池永のパスカットと、3年生が次々とビッグプレーで窮地を救ってきたが、その仕上げがパントチャージチーム。第2Qも半ば、相手陣33ヤードからのパントをDB藤田がブロック、それを鳥内弟が拾ってリターン。あっという間にゴール前7ヤードまで攻め込んだ。
守備陣にここまでお膳立てをしてもらえば、オフェンスも元気が出る。相手の強力な壁をこじ開けるようにRB望月とQB畑がランで陣地を進め、第4ダウン1ヤードを望月が押し込んで待望のタッチダウン(TD)。K堀本のキックも決まって7点を先制した。
守備陣のがんばりは続く。次の立命の攻撃シリーズでは、相手がファンブルしたボールをLB小野がカバー。相手陣35ヤードという絶好の位置で攻撃陣にボールを託す。ここは畑の決め打ちののランで陣地を進め、仕上げは堀本のFG。第2Qの後半にあっという間に10点を獲得して前半を折り返す。
後半になっても守備陣の奮闘は続く。立ち上がりの立命の攻撃をLB陣の素早い動きで封じ、たまらず相手がファンブルしたボールを、今度は池永が確保して攻撃権を奪回。ゴール前26ヤードの好位置で攻撃陣にバトンを渡す。
当然のように攻撃陣も奮起。望月のラン、WR木戸へのパス、そして畑のキーププレーでゴール前5ヤードに迫り、最後は畑から望月へのショベルパスが決まってTD。勢いに乗ったオフェンスはさらに畑から小山へのTDパスを決めて24-0。立ち上がり、相手に押されまくっていた攻撃からは想像もつかないほどのリードを奪って第4Qに。
その第4Qでは、次々に下級生や控えのメンバーを登場させたが、彼らも踏ん張って相手を零封。主将梶原が相手QBからボールをもぎ取るようにして攻撃権をつかみ、その好機を堀本のFGに結び付けて結局は27-0で試合終了。強力な立命のオフェンスにも、デフェンスにも十分にその力を発揮させないまま勝利をもぎ取った。
スタンドから見ていても、前評判通り立命は強かった。グラウンドで戦った選手や監督、コーチの印象はそれ以上だったろう。実際、獲得ヤード数は関学212ヤード、立命259ヤードで立命が上回っている。これで27-0の試合になったことが、いまも信じられない。
このような結果は、なぜ生じたのか。ファイターズのどこが相手を上回っていたのだろうか。僕は、ファイターズの方が集中する心と、仲間を信じる気持ちが相手より強かったと思っている。
攻守とも、一瞬、一瞬に集中し、すべてのプレーに全員が心を一つにして取り組んでいた。攻撃陣は守備陣を信頼し、守備陣は攻撃陣を信頼して、互いに自らの役割を完璧に全うした。上級生はチームの仲間であり強力な援軍として下級生を慈しみ、下級生はすべてにおいて自分たちを教え導いてくれる上級生を慕う。この信頼関係。キッキングチームもまた、十分に計算し尽くされたカバーとキックで、優秀なリターナーを擁する相手を完全にカバー。相手のリターナーにほとんど仕事をさせなかった。さらには、先日の関大戦で見事なFGブロックを披露したチャージチームは、この日もパントブロックを成功させ、試合の流れを変えた。
この集大成がこの日の試合だった。攻守蹴、それぞれの歯車がかみ合い、互いにリスペクトしあって戦うことができたところに、本当に強い立命に勝てた理由があったと僕は思っている。
では、そういうチームはどのようにして育成されたのか。その話は次回に書かせていただく。今夜は、厳しい戦いに勝ち抜いた選手とチームの関係者をねぎらうだけにしておきたい。優勝、本当におめでとう。
この前の関大戦、その前の京大戦と同様、立ち上がりは苦しい場面の連続だった。ファイターズのレシーブで試合が始まったが、第1プレーでQB畑からWR小山にパスを通してダウンを更新しただけで、あとは全く攻撃が進まない。4回続けてダウンを更新できず、苦しいパントを蹴る展開が続いた。
その間、相手はランとパスを織り交ぜた切れのよい攻撃を続けてきた。完璧なディフェンスと相まって、完全にファイターズを飲んでいたのだろう。最初の攻撃シリーズでは、第1ダウンを一度更新した後、52ヤードの位置からフィールドゴールを蹴るという大胆な攻撃を仕掛けてきた。ここは梶原がキッカーの正面に割り込んで圧力をかけ失敗に追い込んだが、前途の厳しさを見せつけるような場面だった。
突破口を開いたのは守備陣だった。それまでも、DB大森や鳥内弟のパスカット、LB池田のブロッカーごと倒す強烈なタックル、DL池永のパスカットと、3年生が次々とビッグプレーで窮地を救ってきたが、その仕上げがパントチャージチーム。第2Qも半ば、相手陣33ヤードからのパントをDB藤田がブロック、それを鳥内弟が拾ってリターン。あっという間にゴール前7ヤードまで攻め込んだ。
守備陣にここまでお膳立てをしてもらえば、オフェンスも元気が出る。相手の強力な壁をこじ開けるようにRB望月とQB畑がランで陣地を進め、第4ダウン1ヤードを望月が押し込んで待望のタッチダウン(TD)。K堀本のキックも決まって7点を先制した。
守備陣のがんばりは続く。次の立命の攻撃シリーズでは、相手がファンブルしたボールをLB小野がカバー。相手陣35ヤードという絶好の位置で攻撃陣にボールを託す。ここは畑の決め打ちののランで陣地を進め、仕上げは堀本のFG。第2Qの後半にあっという間に10点を獲得して前半を折り返す。
後半になっても守備陣の奮闘は続く。立ち上がりの立命の攻撃をLB陣の素早い動きで封じ、たまらず相手がファンブルしたボールを、今度は池永が確保して攻撃権を奪回。ゴール前26ヤードの好位置で攻撃陣にバトンを渡す。
当然のように攻撃陣も奮起。望月のラン、WR木戸へのパス、そして畑のキーププレーでゴール前5ヤードに迫り、最後は畑から望月へのショベルパスが決まってTD。勢いに乗ったオフェンスはさらに畑から小山へのTDパスを決めて24-0。立ち上がり、相手に押されまくっていた攻撃からは想像もつかないほどのリードを奪って第4Qに。
その第4Qでは、次々に下級生や控えのメンバーを登場させたが、彼らも踏ん張って相手を零封。主将梶原が相手QBからボールをもぎ取るようにして攻撃権をつかみ、その好機を堀本のFGに結び付けて結局は27-0で試合終了。強力な立命のオフェンスにも、デフェンスにも十分にその力を発揮させないまま勝利をもぎ取った。
スタンドから見ていても、前評判通り立命は強かった。グラウンドで戦った選手や監督、コーチの印象はそれ以上だったろう。実際、獲得ヤード数は関学212ヤード、立命259ヤードで立命が上回っている。これで27-0の試合になったことが、いまも信じられない。
このような結果は、なぜ生じたのか。ファイターズのどこが相手を上回っていたのだろうか。僕は、ファイターズの方が集中する心と、仲間を信じる気持ちが相手より強かったと思っている。
攻守とも、一瞬、一瞬に集中し、すべてのプレーに全員が心を一つにして取り組んでいた。攻撃陣は守備陣を信頼し、守備陣は攻撃陣を信頼して、互いに自らの役割を完璧に全うした。上級生はチームの仲間であり強力な援軍として下級生を慈しみ、下級生はすべてにおいて自分たちを教え導いてくれる上級生を慕う。この信頼関係。キッキングチームもまた、十分に計算し尽くされたカバーとキックで、優秀なリターナーを擁する相手を完全にカバー。相手のリターナーにほとんど仕事をさせなかった。さらには、先日の関大戦で見事なFGブロックを披露したチャージチームは、この日もパントブロックを成功させ、試合の流れを変えた。
この集大成がこの日の試合だった。攻守蹴、それぞれの歯車がかみ合い、互いにリスペクトしあって戦うことができたところに、本当に強い立命に勝てた理由があったと僕は思っている。
では、そういうチームはどのようにして育成されたのか。その話は次回に書かせていただく。今夜は、厳しい戦いに勝ち抜いた選手とチームの関係者をねぎらうだけにしておきたい。優勝、本当におめでとう。
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