石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(31)努力は裏切らない
つれづれなるままに、タッチダウン誌別冊の選手名鑑を眺めていて驚いた。名鑑が編集されたシーズン前の時点で予想された先発メンバーが全員、シーズン最終戦にも先発候補として顔を揃えているのである。
こんなことは、少なくともこの10年間、記憶にない。けがで戦列離脱を余儀なくされる選手、思い通りに成長できず、控えのメンバーにポジションを奪われる選手が必ず何人かはいた。逆にいえば、シーズンの深まりとともに、めきめきと力を付けて、先発メンバーに割り込んでくる控えのメンバーが少なくなかったということでもある。
しかし今季は、攻守とも先発メンバーに拮抗するだけの力を付けた控え選手がいるにも関わらず、開幕当初に予想されたメンバー全員が、誰一人欠けることなく、元気にプレーしているのである。
アメフットは格闘技である。試合だけではなく、日ごろから努力して鍛錬しなければ、その能力は開発できない。しかし、ファイターズは平郡君の悲しい事故をきっかけに、練習に対する考え方を一新。安全を最優先し、より合理的、効果的な練習法を追求してきた。パートごとの練習は別として、全体練習の時間も、初めて見た人が驚くほど短くなった。
ところが、2、3年前からその内容が素人目に見ても充実してきた。冬季の基礎体力を強化する練習やジムでの鍛錬を重視し、専門知識を持ったトレーニングコーチや理学療法士の力も借りて練習メニューも工夫してきた。栄養が偏らないように食事にも気を配り、学生トレーナーの指導と大学生協の強力で、合同朝食会も始めた。
そうした流れの中で、チーム練習やパート練習では、時間は短くても、しっかり当たるメニューを取り入れた。
それでも、けがをする選手は出る。実際、僕が練習を見ている目の前で、チームメートとの気合いの入った勝負で捻挫したり、体を強打して退場を余儀なくされた選手が何人もいる。今季も、練習中のけがで1試合か2試合を欠場した選手が何人かいる。
さらに、主力選手は軒並み、昨シーズン終盤のハードな戦いで、あちこちに故障を抱えていた。春のシーズンは、主将梶原をはじめ副将金本、エースQB畑、DLの柱である岸、前川、池永、OLのリーダー和田らは、リハビリと鍛錬だけで、ほとんど試合に出場することがなかった。
そうした選手が全員、グラウンドに復帰し、スタートメンバーに名前を連ねているのである。
こう書けば、それは控えの選手が成長していないということの裏返しではないか、と心配される方があるかもしれない。
決してそんなことはない。実際、試合の途中から、あるいは先発メンバーに代わって出場している選手たちの多くは、交代出場していることに観客が気付かないほどがんばっている。先日の関大戦で2本のインターセプトを決めたDB国吉、畑と交代して攻撃を率いるQB斎藤、1年生離れしたプレーでセンスを感じさせるWR木下、DB菊山。DLの2年生コンビ、梶原弟や岡部らも、他のチームなら堂々の先発メンバーだろう。春にはけがで練習もままならなかったキッカー三輪も、シーズンの深まりとともにキックの飛距離が伸びてきた。
こうした選手が全員、元気に最終の立命戦を迎えることができる。時間は短くても、厳しい練習をしながら、なおかつ体にメスを入れて長期離脱を余儀なくされている選手以外は全員、立命戦に顔を揃えることができたのである。うれしいではないか。めでたいではないか。
その陰には、プロのトレーニングコーチや理学療法士、そして学生トレーナーたちの献身的な努力がある。監督やコーチの配慮も行き届いている。けが人の回復状況を見ながら、栄養と休養とリハビリとを段階的に進め、決して無理させず、かといって手を抜くこともさせないで、選手に体調管理を徹底させてきた彼、彼女らの努力に心から敬意を表したい。もちろん、けがにもめげず、立命戦を照準に、懸命に回復のための過程を踏んできた選手の努力には頭が下がる。
その努力の一端は、先日、ファイターズのホームページで公開された「ユーチューブ」の映像からもうかがえる。
それは、学内のトレージングルームで黙々と努力する選手たちを捉えた映像だった。DLの岸、中前、WR小山、木戸、LB小野、TE金本、OL油谷、DB大森、そしてQB畑。苦しさに顔をゆがめ、息も絶え絶えになりながら、決められた課題に挑戦する彼らの表情をみていれば、今季、主力選手の大半がけがなく、戦線を離脱することなく、立命戦を迎えることのできた本当の理由が理解できるはずだ。
「努力に勝る天才なし」という。「努力は裏切らない」という言葉も、代々、チームに受け継がれてきた。そういう努力と鍛錬があって初めて、シーズン開幕前の予想先発メンバー全員が最終戦に顔を揃えることが可能になったのである。ファンとしては、ありがたい、と選手やスタッフの努力に感謝するしかない。
いまはただ、この「努力は裏切らない」という言葉を、25日の決戦で証明してくれることを切に願っている。
こんなことは、少なくともこの10年間、記憶にない。けがで戦列離脱を余儀なくされる選手、思い通りに成長できず、控えのメンバーにポジションを奪われる選手が必ず何人かはいた。逆にいえば、シーズンの深まりとともに、めきめきと力を付けて、先発メンバーに割り込んでくる控えのメンバーが少なくなかったということでもある。
しかし今季は、攻守とも先発メンバーに拮抗するだけの力を付けた控え選手がいるにも関わらず、開幕当初に予想されたメンバー全員が、誰一人欠けることなく、元気にプレーしているのである。
アメフットは格闘技である。試合だけではなく、日ごろから努力して鍛錬しなければ、その能力は開発できない。しかし、ファイターズは平郡君の悲しい事故をきっかけに、練習に対する考え方を一新。安全を最優先し、より合理的、効果的な練習法を追求してきた。パートごとの練習は別として、全体練習の時間も、初めて見た人が驚くほど短くなった。
ところが、2、3年前からその内容が素人目に見ても充実してきた。冬季の基礎体力を強化する練習やジムでの鍛錬を重視し、専門知識を持ったトレーニングコーチや理学療法士の力も借りて練習メニューも工夫してきた。栄養が偏らないように食事にも気を配り、学生トレーナーの指導と大学生協の強力で、合同朝食会も始めた。
そうした流れの中で、チーム練習やパート練習では、時間は短くても、しっかり当たるメニューを取り入れた。
それでも、けがをする選手は出る。実際、僕が練習を見ている目の前で、チームメートとの気合いの入った勝負で捻挫したり、体を強打して退場を余儀なくされた選手が何人もいる。今季も、練習中のけがで1試合か2試合を欠場した選手が何人かいる。
さらに、主力選手は軒並み、昨シーズン終盤のハードな戦いで、あちこちに故障を抱えていた。春のシーズンは、主将梶原をはじめ副将金本、エースQB畑、DLの柱である岸、前川、池永、OLのリーダー和田らは、リハビリと鍛錬だけで、ほとんど試合に出場することがなかった。
そうした選手が全員、グラウンドに復帰し、スタートメンバーに名前を連ねているのである。
こう書けば、それは控えの選手が成長していないということの裏返しではないか、と心配される方があるかもしれない。
決してそんなことはない。実際、試合の途中から、あるいは先発メンバーに代わって出場している選手たちの多くは、交代出場していることに観客が気付かないほどがんばっている。先日の関大戦で2本のインターセプトを決めたDB国吉、畑と交代して攻撃を率いるQB斎藤、1年生離れしたプレーでセンスを感じさせるWR木下、DB菊山。DLの2年生コンビ、梶原弟や岡部らも、他のチームなら堂々の先発メンバーだろう。春にはけがで練習もままならなかったキッカー三輪も、シーズンの深まりとともにキックの飛距離が伸びてきた。
こうした選手が全員、元気に最終の立命戦を迎えることができる。時間は短くても、厳しい練習をしながら、なおかつ体にメスを入れて長期離脱を余儀なくされている選手以外は全員、立命戦に顔を揃えることができたのである。うれしいではないか。めでたいではないか。
その陰には、プロのトレーニングコーチや理学療法士、そして学生トレーナーたちの献身的な努力がある。監督やコーチの配慮も行き届いている。けが人の回復状況を見ながら、栄養と休養とリハビリとを段階的に進め、決して無理させず、かといって手を抜くこともさせないで、選手に体調管理を徹底させてきた彼、彼女らの努力に心から敬意を表したい。もちろん、けがにもめげず、立命戦を照準に、懸命に回復のための過程を踏んできた選手の努力には頭が下がる。
その努力の一端は、先日、ファイターズのホームページで公開された「ユーチューブ」の映像からもうかがえる。
それは、学内のトレージングルームで黙々と努力する選手たちを捉えた映像だった。DLの岸、中前、WR小山、木戸、LB小野、TE金本、OL油谷、DB大森、そしてQB畑。苦しさに顔をゆがめ、息も絶え絶えになりながら、決められた課題に挑戦する彼らの表情をみていれば、今季、主力選手の大半がけがなく、戦線を離脱することなく、立命戦を迎えることのできた本当の理由が理解できるはずだ。
「努力に勝る天才なし」という。「努力は裏切らない」という言葉も、代々、チームに受け継がれてきた。そういう努力と鍛錬があって初めて、シーズン開幕前の予想先発メンバー全員が最終戦に顔を揃えることが可能になったのである。ファンとしては、ありがたい、と選手やスタッフの努力に感謝するしかない。
いまはただ、この「努力は裏切らない」という言葉を、25日の決戦で証明してくれることを切に願っている。
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