石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(24)4年生の役割
29日は王子スタジアムで、地元中の地元、神戸大学と対戦。台風17号の前触れか、試合が始まる頃から雨がシトシトと降るあいにくの空模様だったが、ファイターズは攻守蹴とも元気一杯。守備陣は前半、相手に1度もファーストダウンを与えずに完封。攻めてもQB畑からWR大園へのTDで先制。その後も畑からWR木戸への2本のTDパス、RB望月の中央ダイブなどで圧倒、31-0で前半を折り返した。
後半は、ファイターズのレシーブで試合再開。第1プレーは反則で自陣21ヤードからの攻撃となったが、ここでいきなりRB鷺野が左オープンを駆け上がり、79ヤードを走り切ってTD。俊足を利して鷺野の走路を確保した大園のブロックも効果的だった。守備陣の活躍で相手陣25ヤードからの攻撃となった次のシリーズもQB松岡のスクランブルで一気にゴール前に迫り、仕上げはQB斎藤から大園へのTDパス。点差は開くばかりだった。
試合を観戦しながら、僕はいつもノートに試合の経過や気になったことを簡略にメモしている。記録というよりも原稿を書くための手控えである。
これを手掛かりに試合を振り返っていると、観戦中には気付かなかったことが見えて来る。例えば、今回のタイトルに掲げた「4年生の役割」というようなことである。
どういうことか。この試合のTDシーンを中心に説明したい。
この試合ではパスで5本、ランで3本、そしてWR小山の38ヤードパントリターンTDの計9本のTDを記録した。そのうち小山のTDとゴール前1ヤードから飛び込んだ望月のTDを除く7本を2年生が記録している。先に挙げたように木戸と大園が各2本、鷺野が1本。そして試合の終盤にQB斎藤からTE松島への5ヤードTDパスと、残り37秒でQBドローを決め、21ヤードを走り切った斎藤のTDである。
この結果だけを知れば、2年生の活躍がすべてのようにみえるだろう。ところが、実際はそんなに単純なものではない。4年生、あるいは3年生の活躍があってこそ、2年生の力が発揮できたのである。説明しよう。
立ち上がり、ファイターズ守備陣は神戸大の攻撃を簡単に封じた。1本目はLB川端の素早いタックルでマイナス1ヤード、2本目は相手の短いパスが通ったがDB保宗が強烈なタックルでそれ以上は進ませない。3本目もDL朝倉の素早いタックルでダウン更新を許さない。
このように4年生3人が気合いのこもったタックルでリズムをつくって迎えたファイターズの攻撃。今度は4年生QB畑がWR梅本、小山への2本のパスでダウンを更新。さらには望月のランを挟みながら大園、金本、樋之本へのパスを続けて相手ゴールに迫り、最後を大園へのパスで締めくくっている。
2度目の神戸大の攻撃シリーズでもLB池田、DL前川が鋭いタックルで相手を釘付けにし、仕上げは主将DL梶原のQBサック。これでは相手のリズムは崩れ、逆に味方の士気は上がる。その勢いに乗って畑が小山へのパスを成功させた直後に、畑から木戸への35ヤードTDパスがヒットした。
つまり、守備であれ、攻撃であれ、4年生や3年生がしっかりその役割を果たしたことによって、その後の2年生の華やかなTDを呼び込んだのである。4年生守備陣の活躍によってつかんだ試合の流れを、畑や小山、望月らの4年生が堅実なプレーでつなぎ、彼らのお膳立てに乗って2年生が華々しい活躍をしたのである。
逆に言えば、畑や小山、南本らの堅実なプレーが続かなかったら、せっかくファイターズにもたらされた試合の流れを断ち切ってしまう危険性もあったということだ。実際、後半、次々と控えのメンバーが登場すると、一気に試合の流れは悪くなった。下級生の力不足という面が大きかったが、それをカバーする立場の上級生にも問題なしとは思えなかった。上級生が全員「下級生を育てる」という強い目的意識を持って行動しないと、いつまでたっても層は厚くならない。
試合後、梶原主将から「これからは本気でパスキャッチの練習に取り組みます」という言葉を聞いた。彼が後半、あわやインターセプトという場面でボールをキャッチ仕切れなかったことに対する反省だった。
彼は常々、試合ではどんなチャンスも逃がしてはならない、いつも今の自分を乗り越えるプレーをしよう、とチームの全員に呼び掛けている。その立場から考えると、せっかく巡ってきたインターセプトのチャンスを、自らの捕球ミスで逃がしたことが我慢ならなかったそうだ。
こういう気持ちを大事にしてほしい。4年生がいつも「今の自分を乗り越える」気持ちでプレーする。それぞれのプレーを通じて「下級生を育てる」役割を果たす。そういう姿勢を常時見せ続けてほしい。それをグラウンドで表現し続けていけば、道は開ける。
後半は、ファイターズのレシーブで試合再開。第1プレーは反則で自陣21ヤードからの攻撃となったが、ここでいきなりRB鷺野が左オープンを駆け上がり、79ヤードを走り切ってTD。俊足を利して鷺野の走路を確保した大園のブロックも効果的だった。守備陣の活躍で相手陣25ヤードからの攻撃となった次のシリーズもQB松岡のスクランブルで一気にゴール前に迫り、仕上げはQB斎藤から大園へのTDパス。点差は開くばかりだった。
試合を観戦しながら、僕はいつもノートに試合の経過や気になったことを簡略にメモしている。記録というよりも原稿を書くための手控えである。
これを手掛かりに試合を振り返っていると、観戦中には気付かなかったことが見えて来る。例えば、今回のタイトルに掲げた「4年生の役割」というようなことである。
どういうことか。この試合のTDシーンを中心に説明したい。
この試合ではパスで5本、ランで3本、そしてWR小山の38ヤードパントリターンTDの計9本のTDを記録した。そのうち小山のTDとゴール前1ヤードから飛び込んだ望月のTDを除く7本を2年生が記録している。先に挙げたように木戸と大園が各2本、鷺野が1本。そして試合の終盤にQB斎藤からTE松島への5ヤードTDパスと、残り37秒でQBドローを決め、21ヤードを走り切った斎藤のTDである。
この結果だけを知れば、2年生の活躍がすべてのようにみえるだろう。ところが、実際はそんなに単純なものではない。4年生、あるいは3年生の活躍があってこそ、2年生の力が発揮できたのである。説明しよう。
立ち上がり、ファイターズ守備陣は神戸大の攻撃を簡単に封じた。1本目はLB川端の素早いタックルでマイナス1ヤード、2本目は相手の短いパスが通ったがDB保宗が強烈なタックルでそれ以上は進ませない。3本目もDL朝倉の素早いタックルでダウン更新を許さない。
このように4年生3人が気合いのこもったタックルでリズムをつくって迎えたファイターズの攻撃。今度は4年生QB畑がWR梅本、小山への2本のパスでダウンを更新。さらには望月のランを挟みながら大園、金本、樋之本へのパスを続けて相手ゴールに迫り、最後を大園へのパスで締めくくっている。
2度目の神戸大の攻撃シリーズでもLB池田、DL前川が鋭いタックルで相手を釘付けにし、仕上げは主将DL梶原のQBサック。これでは相手のリズムは崩れ、逆に味方の士気は上がる。その勢いに乗って畑が小山へのパスを成功させた直後に、畑から木戸への35ヤードTDパスがヒットした。
つまり、守備であれ、攻撃であれ、4年生や3年生がしっかりその役割を果たしたことによって、その後の2年生の華やかなTDを呼び込んだのである。4年生守備陣の活躍によってつかんだ試合の流れを、畑や小山、望月らの4年生が堅実なプレーでつなぎ、彼らのお膳立てに乗って2年生が華々しい活躍をしたのである。
逆に言えば、畑や小山、南本らの堅実なプレーが続かなかったら、せっかくファイターズにもたらされた試合の流れを断ち切ってしまう危険性もあったということだ。実際、後半、次々と控えのメンバーが登場すると、一気に試合の流れは悪くなった。下級生の力不足という面が大きかったが、それをカバーする立場の上級生にも問題なしとは思えなかった。上級生が全員「下級生を育てる」という強い目的意識を持って行動しないと、いつまでたっても層は厚くならない。
試合後、梶原主将から「これからは本気でパスキャッチの練習に取り組みます」という言葉を聞いた。彼が後半、あわやインターセプトという場面でボールをキャッチ仕切れなかったことに対する反省だった。
彼は常々、試合ではどんなチャンスも逃がしてはならない、いつも今の自分を乗り越えるプレーをしよう、とチームの全員に呼び掛けている。その立場から考えると、せっかく巡ってきたインターセプトのチャンスを、自らの捕球ミスで逃がしたことが我慢ならなかったそうだ。
こういう気持ちを大事にしてほしい。4年生がいつも「今の自分を乗り越える」気持ちでプレーする。それぞれのプレーを通じて「下級生を育てる」役割を果たす。そういう姿勢を常時見せ続けてほしい。それをグラウンドで表現し続けていけば、道は開ける。
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記事タイトル:(24)4年生の役割
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