石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(21)ジョブズ氏からの檄
先日の休みに、たまたま自宅のテレビを見ていたら、アップル社の創業者、スティーブ・ジョブズ氏が学生たちに檄を飛ばしている場面を放映していた。ほんの一瞬、番組に挿入された場面だが、その言葉があの有名な「Stay Hungry, Stay Foolish」だった。
彼がスタンフォード大学の卒業式にゲストとして呼ばれ、学生たちを前にスピーチしたときの締めくくりの言葉である。彼が若い頃に読んだ本の裏表紙に記されていた言葉であり、彼が「自分も常々そうありたいと思っている」言葉という。最近は英語の教材としても使用されるほど有名になっているそうだ。
ファイターズの選手や卒業生、ファンや関係者にとっては、2009年度のチーム・スローガンとして、よく知られている。
あの小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクト・マネジャーだった川口淳一郎氏は、その著「閃く脳の作り方」(飛鳥新社)で、この言葉について「自分の心の声に忠実に生きると、世間からは変人扱いされるかもしれない。それでも、それを貫いて生きていけということでしょう」と解釈。「ステイ・フーリッシュ」を「最初は異端であった、今後とも異端であれ」という意味に受け止めている。そして、それは「ナンバーワンを目指せ、ではなくオンリーワンを目指す道です」と書いている。
ついでに言うと、彼が理解する「ナンバーワン」とは「同じことをしている人がたくさんいて、その競争に勝つこと。やっていることは同じで、その同じことに1番、2番という順位がつく」。それに対して「オンリーワン」とは「異端でもかまわないから自分の信じた道を行くこと。そこでは常にオリジナリティーが発揮でき、自動的に1番になれる」ことだ。
話を分かりやすくしようとして、逆にがごちゃごちゃしてきた。結論をジョブズ氏の言葉でいうと「他人の雑音で心の声をかき消されないように。最も大切なのは自分の直感に従う勇気を持つこと」「世の中を変えるような生き方をしよう」ということである。
前置きが長くなった。本題に入る。
ジョブズ氏の言葉に僕が反応したのは、彼のいう「ステイ・ハングリー」「ステイ・フーリッシュ」、つまり「異端でもかまわない。世の中を変えるような生き方をしよう」というところにある。
ファイターズに即していえば「チームを変革する存在になろう」「多少の軋轢(あつれき)があってもかまわない。チームを一段上の次元に引き上げるためには、なれ合うのではなく、互いに求め合い、挑発しあおう。それをハングリー、どん欲に追求しよう」ということである。
秋の関西リーグ、チームは鮮やかなスタートを切った。しかしライバルたちは、もっともっとすごい境地に到達している。それは先日、ライバルチームの開幕戦のビデオを見た鳥内監督から聞いた「やばいですわ。うちが30-0で負けてもおかしくないくらい相手はできあがっています。本気で取り組まないと、戦術や作戦では手に負えませんよ」という話からもうかがえる。
そういう現実からのスタートである。初戦の快勝で浮かれている(僕のことです。選手はコーチはまったく浮かれていません。念のため)場合ではないのである。
では、どうするか。そこでジョブズ氏の言葉である。練習のための練習、昨日と同じことの繰り返し、あるいはその延長上の練習では、術という名に値するほどの飛躍は生まれない。そうではなくて、それぞれの選手がオンリーワンのプレー、誰にも負けないプレーを極めることで新しい境地が開ける。
走ること、当たること、ボールを投げること、キャッチすること、そしてボールを思った場所に思ったスピードと回転で蹴ること。走ること、当たることだけでも、100通りや200通りの状況があるだろう。それを選手全員が徹底的に極めるのである。ライバルの動きを想定し、それをさらに上回る動きを身につけ、当たり負けしないように、体を鍛え、体の使い方を工夫するのである。
しんどい作業である。よほどの覚悟で臨まないと、間に合わないかもしれない。けれども、その厳しい練習に耐え、内容を工夫し、自分を飛躍的に向上させることでしか道は開けない。チームの力を1段階も2段階も飛躍させないと、勝ち目はないのである。「ステイ・ハングリー」「ステイ・フーリッシュ」を実現するのは、いましかない。
彼がスタンフォード大学の卒業式にゲストとして呼ばれ、学生たちを前にスピーチしたときの締めくくりの言葉である。彼が若い頃に読んだ本の裏表紙に記されていた言葉であり、彼が「自分も常々そうありたいと思っている」言葉という。最近は英語の教材としても使用されるほど有名になっているそうだ。
ファイターズの選手や卒業生、ファンや関係者にとっては、2009年度のチーム・スローガンとして、よく知られている。
あの小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクト・マネジャーだった川口淳一郎氏は、その著「閃く脳の作り方」(飛鳥新社)で、この言葉について「自分の心の声に忠実に生きると、世間からは変人扱いされるかもしれない。それでも、それを貫いて生きていけということでしょう」と解釈。「ステイ・フーリッシュ」を「最初は異端であった、今後とも異端であれ」という意味に受け止めている。そして、それは「ナンバーワンを目指せ、ではなくオンリーワンを目指す道です」と書いている。
ついでに言うと、彼が理解する「ナンバーワン」とは「同じことをしている人がたくさんいて、その競争に勝つこと。やっていることは同じで、その同じことに1番、2番という順位がつく」。それに対して「オンリーワン」とは「異端でもかまわないから自分の信じた道を行くこと。そこでは常にオリジナリティーが発揮でき、自動的に1番になれる」ことだ。
話を分かりやすくしようとして、逆にがごちゃごちゃしてきた。結論をジョブズ氏の言葉でいうと「他人の雑音で心の声をかき消されないように。最も大切なのは自分の直感に従う勇気を持つこと」「世の中を変えるような生き方をしよう」ということである。
前置きが長くなった。本題に入る。
ジョブズ氏の言葉に僕が反応したのは、彼のいう「ステイ・ハングリー」「ステイ・フーリッシュ」、つまり「異端でもかまわない。世の中を変えるような生き方をしよう」というところにある。
ファイターズに即していえば「チームを変革する存在になろう」「多少の軋轢(あつれき)があってもかまわない。チームを一段上の次元に引き上げるためには、なれ合うのではなく、互いに求め合い、挑発しあおう。それをハングリー、どん欲に追求しよう」ということである。
秋の関西リーグ、チームは鮮やかなスタートを切った。しかしライバルたちは、もっともっとすごい境地に到達している。それは先日、ライバルチームの開幕戦のビデオを見た鳥内監督から聞いた「やばいですわ。うちが30-0で負けてもおかしくないくらい相手はできあがっています。本気で取り組まないと、戦術や作戦では手に負えませんよ」という話からもうかがえる。
そういう現実からのスタートである。初戦の快勝で浮かれている(僕のことです。選手はコーチはまったく浮かれていません。念のため)場合ではないのである。
では、どうするか。そこでジョブズ氏の言葉である。練習のための練習、昨日と同じことの繰り返し、あるいはその延長上の練習では、術という名に値するほどの飛躍は生まれない。そうではなくて、それぞれの選手がオンリーワンのプレー、誰にも負けないプレーを極めることで新しい境地が開ける。
走ること、当たること、ボールを投げること、キャッチすること、そしてボールを思った場所に思ったスピードと回転で蹴ること。走ること、当たることだけでも、100通りや200通りの状況があるだろう。それを選手全員が徹底的に極めるのである。ライバルの動きを想定し、それをさらに上回る動きを身につけ、当たり負けしないように、体を鍛え、体の使い方を工夫するのである。
しんどい作業である。よほどの覚悟で臨まないと、間に合わないかもしれない。けれども、その厳しい練習に耐え、内容を工夫し、自分を飛躍的に向上させることでしか道は開けない。チームの力を1段階も2段階も飛躍させないと、勝ち目はないのである。「ステイ・ハングリー」「ステイ・フーリッシュ」を実現するのは、いましかない。
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