石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(14)アメフト探検会
先日のことである。「アメフト探検会」という「秘密クラブ」の集まりに招待された。ずっと以前、このコラムに書いた記憶もあるが、ファイターズを熱狂的に支援して下さっている関西学院の先生方の集まりである。
甲東園の居酒屋を借り切って開かれた今年度の集まりには、残念ながら会長が欠席(世話役をされている学会と重なったため)となったが、それでも前会長や前学長ら「とびきりのファイターズファン」が出席され、チームから参加した鳥内監督、大村コーチ、野原コーチらと杯を重ねた。
「秘密結社」ゆえ、あえて名前は挙げないが、先生方はみな「ファイターズ命」の方々ばかり。甲子園ボウル勝利のビデオを自身で「50回は見た」と豪語し、ゼミの授業で観戦させている人がいるし、毎年のようにファイターズのメンバーをゼミ生として引き受けていただいている人もいる。遠く三田キャンパスから参加して下さった総合政策学部の先生もいる。
「高等部時代の大村コーチの後輩」という国際学部の先生が「大村さんははあこがれであり、また怖かった」と打ち明けたり、ゼミで野原コーチを指導した商学部の先生が「彼はゼミでも特別にできがよかった」と紹介したり、KGファミリーならではの和気あいあいという雰囲気。アルコールのピッチが上がるにつれて、ファイターズへの注文も熱を帯び、コーチ陣もたじたじの様子だった。
そんな賑やかな席で、僕は「ファイターズはなんと幸せなチームだろう」と、あれこれ考えていた。先生方がその職務を離れ、職場の壁を越えててわざわざ応援の会を設けてくれる。ゼミの学生にファイターズの魅力を伝え「応援に行くように」と薦めてくれる。文化系、体育会系、課外活動はいくつもあるが、その中で先生方にこのように支援してもらえるクラブはどれほどあるだろうか、と思いを巡らせていた。
先生方だけではない。ファンの数が圧倒的に多いのもファイターズだ。ホーム、ビジター関係なく、どんな試合でもいち早く関西学院サイドから観客席が埋まっていく。収容人数の多い関西リーグ終盤の試合や甲子園ボウルになると、応援に来る人の数は相手チームの2倍にも5倍にもふくれあがる。それだけ熱心に応援してくださる方々がいるということだ。
この凄さは、いつも数少ない応援の元で戦わなければならない相手チームと立場を変えて考えると、よくよく理解されるはずだ。ファイターズの好機には怒濤のような歓声が上がるのに、自らのチームの好プレーには反応がない。そんな進行では、士気を高めるのも容易ではない。
このコラムへの読者の反応を見ても、ファイターズは幅広い方々に支援されていることが実感できる。先日、JV戦で活躍した下級生のことを取り上げたコラムに感想を寄せて下さった「高濱先生」もその一人である。その感想には「選手を遠方に送り出し、元気にやっているか? チームになじんでいるか? などといつも気にかけています」という言葉があったが、これもまた、形を変えた支援だろう。つまり、東京から遠く離れたファイターズに「手塩にかけた選手たちを送り出す」という形の支援である。チームに対する信頼がなければできないことである。
しかし、ファンの方々からの応援も、高校指導者からの信頼も、それは一朝一夕に獲得したものではない。戦後、一貫して大学トップの座を争い、チームのモラルを高めてきた歴代の指導者と選手が築き上げてきた財産である。どんなに苦しい時でも弱音を吐かず、努力を怠らず、ファイターズ・スピリッツを体現してきた部員全員が分かち合うべき果実である。
伝統という言葉で呼ぶしかない。
最近は、どこのチームも試合が終わった後ライン沿いに整列し、観客席に向かって深々とお辞儀をする。そして「応援ありがとうございました」とキャプテンがお礼の言葉を述べる。それを指して、形式的だという人もいるが、僕はそうは思わない。これは支援する者と支援される者をつなぐ欠かせない儀式であり、この儀式を通して選手たちの感謝の気持ちと、支援する側の思いやりの気持ちが結び付けられるのだと思っている。
ファイターズの諸君。より多くの人々に「支援したい」「応援してよかった」と思われるチームを目指してほしい。そのために、この夏、存分に鍛えてもらいたい。
甲東園の居酒屋を借り切って開かれた今年度の集まりには、残念ながら会長が欠席(世話役をされている学会と重なったため)となったが、それでも前会長や前学長ら「とびきりのファイターズファン」が出席され、チームから参加した鳥内監督、大村コーチ、野原コーチらと杯を重ねた。
「秘密結社」ゆえ、あえて名前は挙げないが、先生方はみな「ファイターズ命」の方々ばかり。甲子園ボウル勝利のビデオを自身で「50回は見た」と豪語し、ゼミの授業で観戦させている人がいるし、毎年のようにファイターズのメンバーをゼミ生として引き受けていただいている人もいる。遠く三田キャンパスから参加して下さった総合政策学部の先生もいる。
「高等部時代の大村コーチの後輩」という国際学部の先生が「大村さんははあこがれであり、また怖かった」と打ち明けたり、ゼミで野原コーチを指導した商学部の先生が「彼はゼミでも特別にできがよかった」と紹介したり、KGファミリーならではの和気あいあいという雰囲気。アルコールのピッチが上がるにつれて、ファイターズへの注文も熱を帯び、コーチ陣もたじたじの様子だった。
そんな賑やかな席で、僕は「ファイターズはなんと幸せなチームだろう」と、あれこれ考えていた。先生方がその職務を離れ、職場の壁を越えててわざわざ応援の会を設けてくれる。ゼミの学生にファイターズの魅力を伝え「応援に行くように」と薦めてくれる。文化系、体育会系、課外活動はいくつもあるが、その中で先生方にこのように支援してもらえるクラブはどれほどあるだろうか、と思いを巡らせていた。
先生方だけではない。ファンの数が圧倒的に多いのもファイターズだ。ホーム、ビジター関係なく、どんな試合でもいち早く関西学院サイドから観客席が埋まっていく。収容人数の多い関西リーグ終盤の試合や甲子園ボウルになると、応援に来る人の数は相手チームの2倍にも5倍にもふくれあがる。それだけ熱心に応援してくださる方々がいるということだ。
この凄さは、いつも数少ない応援の元で戦わなければならない相手チームと立場を変えて考えると、よくよく理解されるはずだ。ファイターズの好機には怒濤のような歓声が上がるのに、自らのチームの好プレーには反応がない。そんな進行では、士気を高めるのも容易ではない。
このコラムへの読者の反応を見ても、ファイターズは幅広い方々に支援されていることが実感できる。先日、JV戦で活躍した下級生のことを取り上げたコラムに感想を寄せて下さった「高濱先生」もその一人である。その感想には「選手を遠方に送り出し、元気にやっているか? チームになじんでいるか? などといつも気にかけています」という言葉があったが、これもまた、形を変えた支援だろう。つまり、東京から遠く離れたファイターズに「手塩にかけた選手たちを送り出す」という形の支援である。チームに対する信頼がなければできないことである。
しかし、ファンの方々からの応援も、高校指導者からの信頼も、それは一朝一夕に獲得したものではない。戦後、一貫して大学トップの座を争い、チームのモラルを高めてきた歴代の指導者と選手が築き上げてきた財産である。どんなに苦しい時でも弱音を吐かず、努力を怠らず、ファイターズ・スピリッツを体現してきた部員全員が分かち合うべき果実である。
伝統という言葉で呼ぶしかない。
最近は、どこのチームも試合が終わった後ライン沿いに整列し、観客席に向かって深々とお辞儀をする。そして「応援ありがとうございました」とキャプテンがお礼の言葉を述べる。それを指して、形式的だという人もいるが、僕はそうは思わない。これは支援する者と支援される者をつなぐ欠かせない儀式であり、この儀式を通して選手たちの感謝の気持ちと、支援する側の思いやりの気持ちが結び付けられるのだと思っている。
ファイターズの諸君。より多くの人々に「支援したい」「応援してよかった」と思われるチームを目指してほしい。そのために、この夏、存分に鍛えてもらいたい。
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