石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(34)いざ聖地へ
「キラー・コンテンツ」という言葉がある。広告業界発祥の用語で、決定的な、極めつきの、という意味を持たせて使われる。
例えていえば、水戸黄門なら「葵の印籠」、阪神タイガースなら「六甲おろし」、巨人なら「王、長嶋」。いま風なら、ユニクロの「ヒートテック」というところか。
この季節の関西学院でいえば、クリスマスと甲子園ボウルがそれに相当する。関学を売り出すキラー・コンテンツ。それはいま、上ヶ原のキャンパスを訪れてみれば、即座に理解できる。正門を入り、中央芝生の正面には「聖地・甲子園へ集結せよ!!」と大書した巨大な横断幕が張られ、時計台にはまばゆいばかりのクリスマスツリー。その光に吸い寄せられるように、時計台の前には三々五々、下校途中の学生が集まり、カメラのシャッターを押している。その光景を見るたびに、彼、彼女らは生涯、この輝きを胸に刻み、ここを母なる大学と思って卒業していくに違いない、なるほどこれが「キラーのキラーたるゆえんか」と妙に納得する。
甲子園ボウルも、そしてファイターズの諸君の活躍も、それに劣らぬ感動を刻んでくれるに違いない。だが、それは甲子園に足を運び、青と赤の決戦を自分の目で見た人と、見なかった人では決定的に異なるはずだ。テレビ放送の中継で見ても、翌日の新聞で見ても、それなりの感慨はあるだろう。だが、冬でも緑の甲子園の芝生を舞台に躍動する「生のファイターズ」「気高く戦うファイターズ」を目のあたりにするとしないとでは、天と地ほどの違いがある。
青一色に染まったスタンドで思いっきり校歌を歌い、拍手と声援を送る。両軍の選手が激突する音はスタンドにまで響く。味方の好プレーにわき、相手の素晴らしいプレーに沈黙する。その繰り返し。いつしかスタンドとグラウンドは一体となり、選手の一挙一動にわがことのように反応する。その醍醐味。
試合終了の笛が鳴るまで、両軍とも一歩も譲らない戦いは、過去の歴史が証明している。4年前、長居スタジアムでの関学と日大の決戦は、試合終了3秒前のタッチダウンでファイターズが逆転勝ち。1984年の甲子園ボウルでは、ファイターズが残り4秒で8点差を追いつく粘りを見せ、両校優勝にこぎ着けた。こんな試合を目の前にすれば、それはその場にいた人すべてが生涯語り続ける伝説となる。そういう伝説を胸に刻んだ人が数多く存在することによって、ファイターズの活動がスクールスポーツとして敬意を払われ、キラーコンテンツとしての地位を獲得できたのである。
そういう舞台を数多くの同窓に見ていただきたい。学生諸君に味わってもらいたい。
僕は昨日、社会学部で担当している授業の中で、受講している学生諸君に「甲子園ボウルに行こう」「ファイターズを応援しよう」と呼び掛けた。本当は「甲子園ボウルに行った人には単位をあげます」といいたいところだったが、さすがにそういうことをいえば、ほかの先生方から叱られる。学生からも「何をバカなことを」といわれるかもしれない。
そこで少々遠慮して、黒板の片隅に「甲子園ボウル18日午後1時10分キックオフ」「1番LB池田、14番DB大森、72番OL田淵、スタメン出場予定。マネジャー野瀬」と書き、乞う応援!と書き添えた。
そして、同じ授業を受講している彼らが必ず活躍するから、是非、甲子園に足を運び、応援してくれ、と訴えた。
残念ながら、反応は鈍かった。でも、少なくとも同じ教室で席を並べている彼らが甲子園ボウルに出場すること、僕がいう通りに彼らが活躍してくれることに関心を持ってくれたことは間違いない。そして、ファイターズが甲子園ボウルに勝利すれば、生涯、彼、彼女らは「僕の、私の同級生が甲子園ボウルで勝った。あのとき活躍した選手らは僕の、私のゼミで一緒やったんや」と語り継いでくれるに違いない。
そういう仲間を増やしてほしい。そしてファイターズ伝説の「語り部」を増殖させてほしい。それが横断幕に書かれた「聖地・甲子園に集結せよ!!」の意味である。そういう大勢のファンの前で、ファイターズの諸君が思い切り躍動してくれたとき、ファイターズ、そして甲子園ボウルは、関西学院の「キラー・コンテンツ」として、さらに輝きを増すに違いない。
ファイターズの諸君の健闘、気高い戦いを心から祈っている。
付記
ファイターズは「スタンドをKGブルーに!」というキャンペーンを広報室の協力も得て進めている。
関学側の一塁側・ライト側のスタンドをスクールカラーのブルー一色で染めて、オール関西学院一体となった大声援で選手たちを後押ししようという狙いだ。クラブでは、青を着てきた人には「甲子園ボウル限定オリジナルステッカー」を用意して先着4,500人に提供するとのこと。ぜひ、ファイターズファミリーだけでなく、関西学院全体が「青」に結集しよう!
(↓詳しくはこちら↓)
http://www.kwansei.ac.jp/pr/pr_003691.html#01
例えていえば、水戸黄門なら「葵の印籠」、阪神タイガースなら「六甲おろし」、巨人なら「王、長嶋」。いま風なら、ユニクロの「ヒートテック」というところか。
この季節の関西学院でいえば、クリスマスと甲子園ボウルがそれに相当する。関学を売り出すキラー・コンテンツ。それはいま、上ヶ原のキャンパスを訪れてみれば、即座に理解できる。正門を入り、中央芝生の正面には「聖地・甲子園へ集結せよ!!」と大書した巨大な横断幕が張られ、時計台にはまばゆいばかりのクリスマスツリー。その光に吸い寄せられるように、時計台の前には三々五々、下校途中の学生が集まり、カメラのシャッターを押している。その光景を見るたびに、彼、彼女らは生涯、この輝きを胸に刻み、ここを母なる大学と思って卒業していくに違いない、なるほどこれが「キラーのキラーたるゆえんか」と妙に納得する。
甲子園ボウルも、そしてファイターズの諸君の活躍も、それに劣らぬ感動を刻んでくれるに違いない。だが、それは甲子園に足を運び、青と赤の決戦を自分の目で見た人と、見なかった人では決定的に異なるはずだ。テレビ放送の中継で見ても、翌日の新聞で見ても、それなりの感慨はあるだろう。だが、冬でも緑の甲子園の芝生を舞台に躍動する「生のファイターズ」「気高く戦うファイターズ」を目のあたりにするとしないとでは、天と地ほどの違いがある。
青一色に染まったスタンドで思いっきり校歌を歌い、拍手と声援を送る。両軍の選手が激突する音はスタンドにまで響く。味方の好プレーにわき、相手の素晴らしいプレーに沈黙する。その繰り返し。いつしかスタンドとグラウンドは一体となり、選手の一挙一動にわがことのように反応する。その醍醐味。
試合終了の笛が鳴るまで、両軍とも一歩も譲らない戦いは、過去の歴史が証明している。4年前、長居スタジアムでの関学と日大の決戦は、試合終了3秒前のタッチダウンでファイターズが逆転勝ち。1984年の甲子園ボウルでは、ファイターズが残り4秒で8点差を追いつく粘りを見せ、両校優勝にこぎ着けた。こんな試合を目の前にすれば、それはその場にいた人すべてが生涯語り続ける伝説となる。そういう伝説を胸に刻んだ人が数多く存在することによって、ファイターズの活動がスクールスポーツとして敬意を払われ、キラーコンテンツとしての地位を獲得できたのである。
そういう舞台を数多くの同窓に見ていただきたい。学生諸君に味わってもらいたい。
僕は昨日、社会学部で担当している授業の中で、受講している学生諸君に「甲子園ボウルに行こう」「ファイターズを応援しよう」と呼び掛けた。本当は「甲子園ボウルに行った人には単位をあげます」といいたいところだったが、さすがにそういうことをいえば、ほかの先生方から叱られる。学生からも「何をバカなことを」といわれるかもしれない。
そこで少々遠慮して、黒板の片隅に「甲子園ボウル18日午後1時10分キックオフ」「1番LB池田、14番DB大森、72番OL田淵、スタメン出場予定。マネジャー野瀬」と書き、乞う応援!と書き添えた。
そして、同じ授業を受講している彼らが必ず活躍するから、是非、甲子園に足を運び、応援してくれ、と訴えた。
残念ながら、反応は鈍かった。でも、少なくとも同じ教室で席を並べている彼らが甲子園ボウルに出場すること、僕がいう通りに彼らが活躍してくれることに関心を持ってくれたことは間違いない。そして、ファイターズが甲子園ボウルに勝利すれば、生涯、彼、彼女らは「僕の、私の同級生が甲子園ボウルで勝った。あのとき活躍した選手らは僕の、私のゼミで一緒やったんや」と語り継いでくれるに違いない。
そういう仲間を増やしてほしい。そしてファイターズ伝説の「語り部」を増殖させてほしい。それが横断幕に書かれた「聖地・甲子園に集結せよ!!」の意味である。そういう大勢のファンの前で、ファイターズの諸君が思い切り躍動してくれたとき、ファイターズ、そして甲子園ボウルは、関西学院の「キラー・コンテンツ」として、さらに輝きを増すに違いない。
ファイターズの諸君の健闘、気高い戦いを心から祈っている。
付記
ファイターズは「スタンドをKGブルーに!」というキャンペーンを広報室の協力も得て進めている。
関学側の一塁側・ライト側のスタンドをスクールカラーのブルー一色で染めて、オール関西学院一体となった大声援で選手たちを後押ししようという狙いだ。クラブでは、青を着てきた人には「甲子園ボウル限定オリジナルステッカー」を用意して先着4,500人に提供するとのこと。ぜひ、ファイターズファミリーだけでなく、関西学院全体が「青」に結集しよう!
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