石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(24)「しょうもない」反則
2日の神戸大戦は、今季初めての晴天。多少雲はあったが、気温も下がってさわやかな一日だった。
絶好の気候に調子を合わせたように、試合は立ち上がりからファイターズペース。ファイターズのキック、神戸大のレシーブで始まった試合は、相手ゴール前8ヤードから神戸大の攻撃。その最初のプレーで相手が反則、ゴール前4ヤードまで下がる。ここでDB村上がQBサックを決め、いきなりセーフティー。2点を先取し、攻撃権ももぎ取った。
ファイターズの最初の攻撃は、自陣48ヤードから。最初のプレーでQB畑が右サイドに切れ上がったWR和田に35ヤードのロングパスを通してダウンを更新。続いてWR木戸に9ヤードのパス。残る8ヤードをRB松岡兄が駆け抜けてTD。K大西のキックも決まってわずか3プレーで9ー0とリードを広げる。
驚いたのは、次のプレー。相手守備陣が深く位置しているのを見た大西が10ヤードほどの短いキックを転がし、そのまま自分で押さえて攻撃権を確保してしまったのである。開始早々、という場面で、相手にはまさかという油断があったのだろう。ギャンブルというよりも、そこを機敏についた頭脳的なプレー選択だった。
自陣42ヤードの好位置で始まった次のシリーズ。今度は畑からのややオーバースロー気味のパスをWR梅本が俊足を生かしてスーパーキャッチ。38ヤードを稼いで一気にゴール前19ヤードに迫る。RB鷺野のドロープレーで1ヤードを進めた後、またも松岡兄が18ヤードを駆け上がってTD。これまでの2戦、ゴール前に迫ってからなかなか決められなかったのが嘘のようなテンポの好い試合運びで16-0。試合が始まって5分にもならないうちの速攻だった。
次の神戸大の攻撃シリーズをDL池永のQBサックなどで簡単にパントに追いやったファイターズの攻撃は自陣33ヤードから。松岡のランと畑からWR小山への短いパスで1回ダウンを更新し、今度は鷺野が58ヤードの独走TD。左サイドライン際を一気に駆け上がったスピードに、目を見張らされた。
これらを含めて、驚くのはこの日の攻撃陣。第1Qにつかんだ攻撃機会をことごとくTDに結びつけ、相手につけいる隙を与えない。第2Qに入っても、WR南本、梅本、小山らへのパスが面白いように決まり、相手守備陣を翻弄する。「こんな試合、初めて見た」と観戦仲間と話していたが、好事魔多し。ファイターズは交代違反の反則で自らリズムを崩してしまう。TDのチャンスを逃がし、FGを大西のキックも外れてしまった。せっかくリズムよく攻め込みながら、不用意な反則で、相手にチャンスを与えてしまったのである。
このいやな流れを今度はキッキングチームがカバーする。相手パントをLB片桐がブロック、それをDB山本が拾って相手ゴール前23ヤード付近で攻撃権を確保。このチャンスをRB望月の突進と鷺野の小気味よい走りでTDに結びつけた。
だが、テンポよく進んだのはここまで。後はクリッピングや交代違反、フォルスタートなどの反則でリズムを崩し、なかなか攻撃の糸口がつかめない。攻守とも、メンバーを次々交代させたこともあって、第3Qでは相手にTDを奪われてしまった。
終わって見れば49-7。得点だけを見れば圧勝だが、それは立ち上がりにたたみかけた23点と2本のセーフティー、3本のQBサック、2本のインターセプトに代表される守備陣の踏ん張りがあったからこそ。反則でリズムを崩し、メンバー交代でちぐはぐなプレーを続けた後半だけを見れば、とても優勝を争うチームとは思えなかった。
試合後、記者団に囲まれた鳥内監督の言葉がその惨状を的確に表現している。「しょうもない反則ばっかり。それでリズムが崩れてしまう」「罰退は5ヤードやけど、5ヤード下がるだけではない。反則で攻撃のリズムが崩れてしまうということの深刻さを、もっと真剣に受け止めなあきません。5ヤードの反則やと思っている限り、あきませんわ」
その通りである。今季の3戦、ファイターズはすべて相手より多くの反則を記録している。普段から、細心の注意を払って練習しているにも関わらず、プレー開始時の反則や交代違反という「しょうもない」反則が続出するのはどういうことか。下級生が多いとか、交代で出場するメンバーが多いのでプレーをあわせにくい、というようなことは言い訳にはならない。
神は細部に宿る。もっともっと細部を詰めて、自滅を防ぐ手立てを考えなければならない。チームを挙げた取り組みと、試合に出る全員の「気持ち」が必要だ。「All Grit」を目標ではなく、形に表すことである。
絶好の気候に調子を合わせたように、試合は立ち上がりからファイターズペース。ファイターズのキック、神戸大のレシーブで始まった試合は、相手ゴール前8ヤードから神戸大の攻撃。その最初のプレーで相手が反則、ゴール前4ヤードまで下がる。ここでDB村上がQBサックを決め、いきなりセーフティー。2点を先取し、攻撃権ももぎ取った。
ファイターズの最初の攻撃は、自陣48ヤードから。最初のプレーでQB畑が右サイドに切れ上がったWR和田に35ヤードのロングパスを通してダウンを更新。続いてWR木戸に9ヤードのパス。残る8ヤードをRB松岡兄が駆け抜けてTD。K大西のキックも決まってわずか3プレーで9ー0とリードを広げる。
驚いたのは、次のプレー。相手守備陣が深く位置しているのを見た大西が10ヤードほどの短いキックを転がし、そのまま自分で押さえて攻撃権を確保してしまったのである。開始早々、という場面で、相手にはまさかという油断があったのだろう。ギャンブルというよりも、そこを機敏についた頭脳的なプレー選択だった。
自陣42ヤードの好位置で始まった次のシリーズ。今度は畑からのややオーバースロー気味のパスをWR梅本が俊足を生かしてスーパーキャッチ。38ヤードを稼いで一気にゴール前19ヤードに迫る。RB鷺野のドロープレーで1ヤードを進めた後、またも松岡兄が18ヤードを駆け上がってTD。これまでの2戦、ゴール前に迫ってからなかなか決められなかったのが嘘のようなテンポの好い試合運びで16-0。試合が始まって5分にもならないうちの速攻だった。
次の神戸大の攻撃シリーズをDL池永のQBサックなどで簡単にパントに追いやったファイターズの攻撃は自陣33ヤードから。松岡のランと畑からWR小山への短いパスで1回ダウンを更新し、今度は鷺野が58ヤードの独走TD。左サイドライン際を一気に駆け上がったスピードに、目を見張らされた。
これらを含めて、驚くのはこの日の攻撃陣。第1Qにつかんだ攻撃機会をことごとくTDに結びつけ、相手につけいる隙を与えない。第2Qに入っても、WR南本、梅本、小山らへのパスが面白いように決まり、相手守備陣を翻弄する。「こんな試合、初めて見た」と観戦仲間と話していたが、好事魔多し。ファイターズは交代違反の反則で自らリズムを崩してしまう。TDのチャンスを逃がし、FGを大西のキックも外れてしまった。せっかくリズムよく攻め込みながら、不用意な反則で、相手にチャンスを与えてしまったのである。
このいやな流れを今度はキッキングチームがカバーする。相手パントをLB片桐がブロック、それをDB山本が拾って相手ゴール前23ヤード付近で攻撃権を確保。このチャンスをRB望月の突進と鷺野の小気味よい走りでTDに結びつけた。
だが、テンポよく進んだのはここまで。後はクリッピングや交代違反、フォルスタートなどの反則でリズムを崩し、なかなか攻撃の糸口がつかめない。攻守とも、メンバーを次々交代させたこともあって、第3Qでは相手にTDを奪われてしまった。
終わって見れば49-7。得点だけを見れば圧勝だが、それは立ち上がりにたたみかけた23点と2本のセーフティー、3本のQBサック、2本のインターセプトに代表される守備陣の踏ん張りがあったからこそ。反則でリズムを崩し、メンバー交代でちぐはぐなプレーを続けた後半だけを見れば、とても優勝を争うチームとは思えなかった。
試合後、記者団に囲まれた鳥内監督の言葉がその惨状を的確に表現している。「しょうもない反則ばっかり。それでリズムが崩れてしまう」「罰退は5ヤードやけど、5ヤード下がるだけではない。反則で攻撃のリズムが崩れてしまうということの深刻さを、もっと真剣に受け止めなあきません。5ヤードの反則やと思っている限り、あきませんわ」
その通りである。今季の3戦、ファイターズはすべて相手より多くの反則を記録している。普段から、細心の注意を払って練習しているにも関わらず、プレー開始時の反則や交代違反という「しょうもない」反則が続出するのはどういうことか。下級生が多いとか、交代で出場するメンバーが多いのでプレーをあわせにくい、というようなことは言い訳にはならない。
神は細部に宿る。もっともっと細部を詰めて、自滅を防ぐ手立てを考えなければならない。チームを挙げた取り組みと、試合に出る全員の「気持ち」が必要だ。「All Grit」を目標ではなく、形に表すことである。
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