石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」

(20)お願いが一つ

投稿日時:2011/09/01(木) 17:23rss

 自分でいうのもなんだが、今年の夏はよく働いた。
 新聞社では、夏休みもとらずに働き、週末はスポーツ推薦でファイターズを志望してくれる高校生を相手に勉強会。その合間を縫って、ファイターズの歴史を勉強し、古いOBの方々にもお会いして貴重な話を聞かせていただいた。東鉢伏の合宿にも、泊まりがけでお邪魔したし、練習を見るためにグラウンドにも足を運んだ。
 仕上げがこの秋、関西学院がアエラと組んで発行する「アエラムック」の原稿執筆。これが難物だった。なんせ、分量が多い。関西学院の宣伝媒体として作成するという目的から考えても、不細工なことは書けない。もちろん、ファイターズのことは目一杯宣伝しなければならない。結構、プレッシャーを感じる仕事だったが、小野コーチをはじめ、ディレクターの伊角さん、ディレクター補佐の宮本さん、石割さんらの全面的な支援によって何とか仕上げることができた。
 いまは、子どもの頃、夏休みの最後、ぎりぎりになって宿題を仕上げた時のような開放感に浸っている、といいたいところだが、気がつけばシーズン直前。コラムの更新を急がなければならない。夏の間に読もうと、山本周五郎の本をため込んでいたが、のんびり読書を楽しんでいる場合ではないのである。
 チームの仕上がり具合については、外野の僕がとやかくいうことはない。百聞は一見に如かず。4日の同志社戦を観戦していただければ、たいていのことは分かる。あえて結論だけをいえば「今年は期待できる」。もっとも、振り返ってみれば毎年、この時期にはこんな台詞を吐いている。ファンとしての願望のこもった結論である。
 下級生の成長で、オフェンスもディフェンスも層が厚くなり、1本目のメンバーが充実しているだけでなく、2本目との力の差が従来に比べ相当縮まっている。松岡主将を中心とした4年生が指導力を発揮し、チームの士気も高い。だから「今年は期待できる」と断言するのである。
 答えが出るのはシーズンが押し詰まり、もっともっと寒くなってからのことであるが、シーズンの開幕にあたり、このコラムをお読みいただいている皆さんに、お願いがある。それは、もっとスタジアムに足を運んでいただきたいということである。友人や知人を誘って、一緒に観戦していただければ、もっとありがたい。若い人、それも女性を誘って、一緒に観戦していただければ、もっともっとありがたい。
 近年、関西学生リーグは力が拮抗し、内容的に非常に充実した試合が続いている。僕が観戦するのはファイターズが中心だが、試合を見るたびに満足し、本当に面白いスポーツだと感動する。もちろん10年前、20年前にも素晴らしい試合があったが、それは極端にいえば関学と京大の試合や立命館との試合に限られていた。
 ところがいまは、下位に位置するチームとの対戦でも、見所はいっぱいある。それぞれのチームが戦力を充実させ、作戦を練って試合に臨んでいるからだろう。
 にもかかわらず、スタジアムに足を運ぶファンは、年々減少している。もちろん、古くからのファンや選手の保護者らは、開門前から列を作るほど熱心だが、20数年前、関学と京大が覇権を争っていたころに比べると、明らかに客足は落ちている。
 もったいない。試合内容は年々充実し、観戦した人は毎回、満足してスタジアムを後にしているのに、その試合を見る人が減っていくというのは、あまりにもったいない。
 何とかして、より多くの方に競技場に足を運んでいただきたい。とにかく若いファンを増やしたい。そのためには、選手の友人、知人に来てもらうこと、そして僕たちもとにかく誰かを一緒に連れてくること、これしかないと考える。
 登山、山歩きの世界ではいま「山ガール」がのし歩いている。従来の登山家、という常識では考えられないようなおしゃれなファッション、若々しく颯爽とした身ごなし。そんな若い女性が北アルプスや八ヶ岳、近くでは六甲山界隈に急激に増殖、登山イコール苦行、という印象を一変させてしまった。おしゃれな若い女性が集まれば、当然、男の子がついてくる。かくしていま、各地の山は若者であふれている。ほんの数年前まで、登山といえば、じいちゃん、ばあちゃんの健康づくり、という感覚だったのとは様変わりである。
 このブームをアメフット界にも巻き起こしたい。僕は宣伝の専門家ではないから、気の利いたことはいえないけど、とりあえずは一人ずつでもいいから、若い女性をスタジアムに誘うことから始めたい。ファンの皆さんにも、ぜひご協力をお願いしたい。
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