石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(9)「コップの水」
28日の日体大との試合は雨中の戦い。降り続く雨と同様、内容も湿っぽかった。
前半、ファイターズはQB畑からWR梅本への36ヤードのパスで一気にゴール前14ヤード。ここでRB榎本が11ヤードを走り切ってTD。K大西のキックも決まって7点を先制したが、試合が動いたのはここまで。後は互いにパントを蹴りあう展開で前半終了。
後半に入ると、いきなりRB望月が26ヤードを独走、榎本のドロープレーも決まってゴール前16ヤード。さらに望月と榎本がたて続けにランプレーを決めてTD。その後は、フレッシュな顔ぶれが次々と登場したため、試合の展開より、彼らの動きを追うのに忙しくなった。
結局、終わってみれば37-0。圧勝だったが、当日観戦していた人で、それを素直に喜んだ人はどれほどいただろうか。それほど緊迫感の薄い試合だった。
あのような試合を観戦するたびに、僕はコップの水の例えを思い浮かべる。半分だけ水のたまったコップを見て「もう、半分しかない」と思うか、それとも「まだ半分もある」と思うか、という話である。
ものの見方、考え方は人さまざま。もう、半分しかないと見ても、まだ半分も残っていると見ても、それはどちらが正しいとは決めつけられない。どちらも正解という言い方もある。同じ人間が同じコップの水を見て、昨日は「もう半分しかない」といっていたのに、今日は「まだ半分もある」といったりもする。それもまた「あり」だと僕は思う。
例えば、ファイターズの仕上がり状況である。理想形を100として、現状は30%だったとして考えてみればよい。「まだ、30%しか仕上がっていない」と見るか、それとも「もう30%も仕上がった」と見るか。人それぞれである。人生観や物事に対する感覚が異なるのだから、受け止め方も異なるのが自然である。
日体大との試合を見ながら、「さてこのチームは、30%まで仕上がったのか」それとも「まだ30%しか成長していないのか」と判断が揺れ動いた。
まだまだ、という判断は、例えばQBの成長具合である。先日までの試合では、成長の跡がくっきりと見えていたのに、この日は雨の中、ゴムのボールに手こずっていた。まだまだ練習が必要、ということだろう。あるいは、タイトエンドを含めたレシーバー陣。難しいパスは捕れるのに、簡単なパスをこぼしている姿を見ると、まだまだ先は長い、前途多難だなあ、と思ってしまう。
反則の多さにも、不満が残る。ラインは相変わらずフォルスタートの反則が多いし、ホールディングもあった。2度のパーソナルファールは論外だ。都合6回の反則で、罰退は55ヤード。この数字を見ただけでも、チームとしての熟成度が低いことがわかる。
逆に、もう30%も仕上がった、という見方にも一理はある。例年以上に下級生の活躍が目立つからだ。ディフェンスではLBの池田、坂本が鋭い動きを見せ、DBでは保宗、大森、青木の3人がインターセプトを連発している。オフェンスではラインの友国、木村がスタメンで活躍しているし、交代要員で出場している田淵や油谷も楽しみだ。RBの望月、野々垣、雑賀、榎本は競うように走っているし、TEの金本やWRの梅本も成長が著しい。もちろん、QB畑も試合経験を重ねるたびに成長の跡がうかがえる。
加えて、今年は1年生が楽しみだ。試合経験を重ねるたびに、非凡なところを見せている。日体大戦で活躍が目立った選手だけを並べてみても、QB斉藤、RB鷺野(高等部)、米田(箕面)、WR大園(箕面自由)、木戸(高等部)がいる。ラインでは松島(池田)や梶原弟(高等部)が元気な動きを見せていた。
とりわけ大園は、この日が初めての出場だったが、難しい状況で2本のパスをキャッチ(1本はTDパス)し、勝負強いところを見せた。
彼らの活躍ぶりを見ていると、今年は選手層が厚くなったことを実感する。これで、現在、けがなどで戦列を離れている選手たちが復帰してくれば、チーム内の競争は激化するに違いない。互いに刺激しあって練習を重ね、試合経験を積んで、30%を50%に、50%を80%、そして100%に近づけてほしい。「コップの水がどんどんたまっている」と実感してほしいのである。
さて、来週からは慶応、明治戦。関東のチームとの対戦が続く。「コップの水」がどれだけたまったのか。それを確認するのに絶好の対戦相手だと思っている。
前半、ファイターズはQB畑からWR梅本への36ヤードのパスで一気にゴール前14ヤード。ここでRB榎本が11ヤードを走り切ってTD。K大西のキックも決まって7点を先制したが、試合が動いたのはここまで。後は互いにパントを蹴りあう展開で前半終了。
後半に入ると、いきなりRB望月が26ヤードを独走、榎本のドロープレーも決まってゴール前16ヤード。さらに望月と榎本がたて続けにランプレーを決めてTD。その後は、フレッシュな顔ぶれが次々と登場したため、試合の展開より、彼らの動きを追うのに忙しくなった。
結局、終わってみれば37-0。圧勝だったが、当日観戦していた人で、それを素直に喜んだ人はどれほどいただろうか。それほど緊迫感の薄い試合だった。
あのような試合を観戦するたびに、僕はコップの水の例えを思い浮かべる。半分だけ水のたまったコップを見て「もう、半分しかない」と思うか、それとも「まだ半分もある」と思うか、という話である。
ものの見方、考え方は人さまざま。もう、半分しかないと見ても、まだ半分も残っていると見ても、それはどちらが正しいとは決めつけられない。どちらも正解という言い方もある。同じ人間が同じコップの水を見て、昨日は「もう半分しかない」といっていたのに、今日は「まだ半分もある」といったりもする。それもまた「あり」だと僕は思う。
例えば、ファイターズの仕上がり状況である。理想形を100として、現状は30%だったとして考えてみればよい。「まだ、30%しか仕上がっていない」と見るか、それとも「もう30%も仕上がった」と見るか。人それぞれである。人生観や物事に対する感覚が異なるのだから、受け止め方も異なるのが自然である。
日体大との試合を見ながら、「さてこのチームは、30%まで仕上がったのか」それとも「まだ30%しか成長していないのか」と判断が揺れ動いた。
まだまだ、という判断は、例えばQBの成長具合である。先日までの試合では、成長の跡がくっきりと見えていたのに、この日は雨の中、ゴムのボールに手こずっていた。まだまだ練習が必要、ということだろう。あるいは、タイトエンドを含めたレシーバー陣。難しいパスは捕れるのに、簡単なパスをこぼしている姿を見ると、まだまだ先は長い、前途多難だなあ、と思ってしまう。
反則の多さにも、不満が残る。ラインは相変わらずフォルスタートの反則が多いし、ホールディングもあった。2度のパーソナルファールは論外だ。都合6回の反則で、罰退は55ヤード。この数字を見ただけでも、チームとしての熟成度が低いことがわかる。
逆に、もう30%も仕上がった、という見方にも一理はある。例年以上に下級生の活躍が目立つからだ。ディフェンスではLBの池田、坂本が鋭い動きを見せ、DBでは保宗、大森、青木の3人がインターセプトを連発している。オフェンスではラインの友国、木村がスタメンで活躍しているし、交代要員で出場している田淵や油谷も楽しみだ。RBの望月、野々垣、雑賀、榎本は競うように走っているし、TEの金本やWRの梅本も成長が著しい。もちろん、QB畑も試合経験を重ねるたびに成長の跡がうかがえる。
加えて、今年は1年生が楽しみだ。試合経験を重ねるたびに、非凡なところを見せている。日体大戦で活躍が目立った選手だけを並べてみても、QB斉藤、RB鷺野(高等部)、米田(箕面)、WR大園(箕面自由)、木戸(高等部)がいる。ラインでは松島(池田)や梶原弟(高等部)が元気な動きを見せていた。
とりわけ大園は、この日が初めての出場だったが、難しい状況で2本のパスをキャッチ(1本はTDパス)し、勝負強いところを見せた。
彼らの活躍ぶりを見ていると、今年は選手層が厚くなったことを実感する。これで、現在、けがなどで戦列を離れている選手たちが復帰してくれば、チーム内の競争は激化するに違いない。互いに刺激しあって練習を重ね、試合経験を積んで、30%を50%に、50%を80%、そして100%に近づけてほしい。「コップの水がどんどんたまっている」と実感してほしいのである。
さて、来週からは慶応、明治戦。関東のチームとの対戦が続く。「コップの水」がどれだけたまったのか。それを確認するのに絶好の対戦相手だと思っている。
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