石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(23)心配の種は尽きず
10月2日は、リーグ戦3試合目。甲南大学との戦いである。同時にこの日は、近所に住む孫ふたりが通う小学校の運動会の日であり、3男坊にとっては幼稚園の面接試験日でもある。
スポーツ推薦で関西学院大学を受験する高校生のお手伝いはできても、幼稚園の面接試験では、じいちゃんは無力である。何の助けもできない。ならば、運動会に出掛けて上の二人の応援でもしてやろうか、というところだが、試合と重なれば、当然のことながらファイターズが優先。
「運動会は午前中だけ見て、昼からは帰るよ」と今春、1年生になったばかりの次男坊にいうと、口の達者な孫は「そんなん、行かなくてもいいやん。孫の運動会があるから、試合は行けませんと断ればええねん」と知恵を付けてくれる。
「ありがたい助言」を振り切って、早々に運動会の観戦を切り上げ、一路王子スタジアムへ。僕の気持ちの中では、この日の試合は「リーグ前半戦の締めくくりであり、2週間後に控えた京大戦、その次の立命戦に向けてチームを整える」大切な一戦。ディフェンスはともかく、これまでもう一つピリッとしなかったオフェンスを仕上げるための大事な試合。孫の相手をしている場合ではなかった。
結果はどうだったか。まずはファイターズの得点経過を見ていこう。
1Q5分10秒 RB稲村1ヤードラン、K大西キック成功
10分43秒 RB尾嶋78ヤードラン、大西キック成功
2Q0分11秒 RB尾嶋2ヤードラン、大西キック成功
11分14秒 QB畑13ヤードラン、大西キック成功
3Q7分39秒 畑からRB久司へ31ヤードパス、大西キック成功
4Q1分53秒 WR松原からWR小山へ23ヤードパス、大西キック成功
10分37秒 RB野々垣25ヤードラン、大西キック成功
11分57秒 大西39ヤードフィールドゴール成功
この経過だけを見れば、ファイターズの圧勝である。クオーターごとに満遍なく得点を重ね、パスとランのバランスもとれている。今季から試合に出始めたばかりの2年生、尾嶋が78ヤードを独走したし、1年生RB野々垣の25ヤード独走TDもあった。QBからピッチを受けた松原が思い切った縦パスを小山に投げ、TDを奪うという意表をついたプレーもあったし、ブロック力と走力に秀でたRB久司をレシーバーの外に置き、そこにミドルパスを投げ込んで一気にゴールラインまで走らせるというスペシャルプレーも成功した。その結果が52-7である。
けれども、スタンドで見ている限り、その得点差ほどの力の差は感じられなかった。とくに前半は、オフェンスが力でもぎ取った得点という印象が薄かった。
なるほど、稲村の中央ダイブ、尾嶋の独走、尾嶋の中央ダイブ、畑のQBドローと、前半の得点経過を見ると、ことごとくランプレーで仕上げている。しかし、この内の2本は、LB善元とLB望月がそれぞれ相手パスをインターセプトし、相手ゴール前の好位置で攻撃権を奪ったことが伏線にあり、もう一本は尾嶋の独走である。残りの1本も、攻撃が手詰まりになった場面でQB糟谷が3度、自ら走って獲得した52ヤードがベースになっている。
つまり前半は、ファイターズが得意とする多彩なパスとランによるバランスのとれた攻撃で獲得した得点シーンは一度もなかったのである。
後半もしかり。都合3本のTDを奪っているが、その内の2本はさきにいった通りRB久司へのパスと、WR松原からWR小山へのパスという「相手の目をくらます」プレーで挙げた得点。パスとランを組み合わせて陣地を進める「いかにもファイターズ」という攻撃は、最後まで目にすることができなかった。
それが不安である。攻撃のベーシックな姿が仕上がらないままで京大、立命という強敵を相手にどう戦うのか、心配でならない。初戦から守備陣が活躍し、ゆっくりとファイターズペースで試合が進められるはずなのに、なぜか攻撃が手詰まりになってしまう。パスがオーバースローになる場面は再三だし、きれいなパスが投じられても、レシーバーがしっかり走り込んでいない場面がある。見事なパスが通ったのに、関係のない場所での反則でそれが取り消されるということも続いている。
これで、京大や立命、そして関大という強力なオフェンス陣を持つチームに守備陣の動きが封じられたらどうなるのか。それだけでも心配なのに、今季はやたらとけが人が出ている。それもチームの主力を構成する選手やスーパーサブたちだ。これもまた心配の種である。
おまけに今週末は、運動会の観戦を途中ですっぽかしたことで、孫からの苦情(?)も覚悟しなければならない。かくしてまた、僕の髪は白くなるのである。
スポーツ推薦で関西学院大学を受験する高校生のお手伝いはできても、幼稚園の面接試験では、じいちゃんは無力である。何の助けもできない。ならば、運動会に出掛けて上の二人の応援でもしてやろうか、というところだが、試合と重なれば、当然のことながらファイターズが優先。
「運動会は午前中だけ見て、昼からは帰るよ」と今春、1年生になったばかりの次男坊にいうと、口の達者な孫は「そんなん、行かなくてもいいやん。孫の運動会があるから、試合は行けませんと断ればええねん」と知恵を付けてくれる。
「ありがたい助言」を振り切って、早々に運動会の観戦を切り上げ、一路王子スタジアムへ。僕の気持ちの中では、この日の試合は「リーグ前半戦の締めくくりであり、2週間後に控えた京大戦、その次の立命戦に向けてチームを整える」大切な一戦。ディフェンスはともかく、これまでもう一つピリッとしなかったオフェンスを仕上げるための大事な試合。孫の相手をしている場合ではなかった。
結果はどうだったか。まずはファイターズの得点経過を見ていこう。
1Q5分10秒 RB稲村1ヤードラン、K大西キック成功
10分43秒 RB尾嶋78ヤードラン、大西キック成功
2Q0分11秒 RB尾嶋2ヤードラン、大西キック成功
11分14秒 QB畑13ヤードラン、大西キック成功
3Q7分39秒 畑からRB久司へ31ヤードパス、大西キック成功
4Q1分53秒 WR松原からWR小山へ23ヤードパス、大西キック成功
10分37秒 RB野々垣25ヤードラン、大西キック成功
11分57秒 大西39ヤードフィールドゴール成功
この経過だけを見れば、ファイターズの圧勝である。クオーターごとに満遍なく得点を重ね、パスとランのバランスもとれている。今季から試合に出始めたばかりの2年生、尾嶋が78ヤードを独走したし、1年生RB野々垣の25ヤード独走TDもあった。QBからピッチを受けた松原が思い切った縦パスを小山に投げ、TDを奪うという意表をついたプレーもあったし、ブロック力と走力に秀でたRB久司をレシーバーの外に置き、そこにミドルパスを投げ込んで一気にゴールラインまで走らせるというスペシャルプレーも成功した。その結果が52-7である。
けれども、スタンドで見ている限り、その得点差ほどの力の差は感じられなかった。とくに前半は、オフェンスが力でもぎ取った得点という印象が薄かった。
なるほど、稲村の中央ダイブ、尾嶋の独走、尾嶋の中央ダイブ、畑のQBドローと、前半の得点経過を見ると、ことごとくランプレーで仕上げている。しかし、この内の2本は、LB善元とLB望月がそれぞれ相手パスをインターセプトし、相手ゴール前の好位置で攻撃権を奪ったことが伏線にあり、もう一本は尾嶋の独走である。残りの1本も、攻撃が手詰まりになった場面でQB糟谷が3度、自ら走って獲得した52ヤードがベースになっている。
つまり前半は、ファイターズが得意とする多彩なパスとランによるバランスのとれた攻撃で獲得した得点シーンは一度もなかったのである。
後半もしかり。都合3本のTDを奪っているが、その内の2本はさきにいった通りRB久司へのパスと、WR松原からWR小山へのパスという「相手の目をくらます」プレーで挙げた得点。パスとランを組み合わせて陣地を進める「いかにもファイターズ」という攻撃は、最後まで目にすることができなかった。
それが不安である。攻撃のベーシックな姿が仕上がらないままで京大、立命という強敵を相手にどう戦うのか、心配でならない。初戦から守備陣が活躍し、ゆっくりとファイターズペースで試合が進められるはずなのに、なぜか攻撃が手詰まりになってしまう。パスがオーバースローになる場面は再三だし、きれいなパスが投じられても、レシーバーがしっかり走り込んでいない場面がある。見事なパスが通ったのに、関係のない場所での反則でそれが取り消されるということも続いている。
これで、京大や立命、そして関大という強力なオフェンス陣を持つチームに守備陣の動きが封じられたらどうなるのか。それだけでも心配なのに、今季はやたらとけが人が出ている。それもチームの主力を構成する選手やスーパーサブたちだ。これもまた心配の種である。
おまけに今週末は、運動会の観戦を途中ですっぽかしたことで、孫からの苦情(?)も覚悟しなければならない。かくしてまた、僕の髪は白くなるのである。
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