石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」

(20)さあ、開幕だ

投稿日時:2010/09/07(火) 08:51rss

 9月5日午後5時、王子スタジアム。神戸大学のキックオフで、2010年のファイターズのシーズンが始まった。
 天気は晴れ。例年にない残暑の中である。日は西に落ちかかっているとはいえ、日差しは厳しい。選手にとっても観客にとっても、熱中症を警戒し、暑さとも戦わなければならない試合開始となった。
 キックオフされたボールをRB松岡が31ヤードのリターン。自陣41ヤードの好位置から攻撃が始まる。まず松岡が7ヤード、続いてRB久司が5ヤードを走り、早々にダウン更新。続いてTE垣内へのパスやランプレーで敵陣35ヤード。ここからQB加藤がスクランブルで30ヤード前進、ゴール前5ヤードまで漕ぎ着ける。
 順調、順調。今年はランだけでも攻撃できる、これに安定感のある加藤のパスと強力なレシーバー陣が加わるのだから、攻撃力は心配ない、と勝手に思いこんでいたところが、いきなりアクシデント発生。最初のプレーで引っ込んだ松岡に続いて久司までがベンチに下がってしまったのだ。
 幸い二人とも歩いてベンチに下がっていたから、シーズン途中に復帰するのは間違いなかろうが、それにしてもショックだった。開幕してほんの数プレーで、いきなり飛車と角が相手に取られたようなことになった。選手にもベンチにもショックがあったのか、この残り5ヤードがとれず、第4ダウンでフィールドゴールに。それをこともあろうに名手、大西が外して得点ならず。前途に暗雲が立ちこめる。
 このピンチを救ったのが主将平澤を中心とした守備陣。いきなりQBサックを決めたDL長島やロスタックルを決めた1年生DL池永の活躍で神大攻撃陣に前進を許さない。ファイターズの攻撃が手詰まりになっても、すぐに攻撃権を奪い取ってくれる。
 これで攻撃陣も落ち着き、2Qに入ると加藤からWR春日へのパス、RB稲村のカウンター攻撃などで一気に陣地を進め、仕上げは稲村が中央にダイブしてTD。大西のキックも決まって7点。ようやく一息つく。
 次のファイターズの攻撃シリーズは大西のフィールドゴールで3点にとどまったが、次の神大の攻撃シリーズで守備陣が再びビッグプレー。LB前川が相手の中途半端なパスを奪い取って一気に41ヤードを走り切り、インターセプトTD。前半を17-0で折り返した。
 後半は神大のレシーブで試合が始まったが、その最初のシリーズも守備陣がしっかり抑え、パントに追い込む。そこで守備陣がまたまたビッグプレー。相手陣15ヤード付近から蹴られたボールを守備選手がブロックし、相手ゴールに転がり込んだ所を出足よく突っ込んだLB辻本が押さえてTD。この2度にわたる守備陣のTDで試合は完全にファイターズペース。
 相手パントを確保した尾崎が45ヤードをリターンして始まった相手陣25ヤードからの攻撃は、稲村のランと加藤からWR松原への17ヤードTDパスで得点に結びつけ、点差は31点。この辺りから、攻守ともに次々と新しいメンバーが登場。QBも糟谷に交代し、豪快なスクランブルを立て続けに決める。仕上げは意表をついたRB兵田へのパスでTD。続くシリーズも糟谷のキーププレーで陣地を進め、仕上げは1年生WR松下への24ヤードTDパス。あっという間に14点を獲得して試合を締めくくった。
 こうして得点経過を追っていくと、初戦ならではのぎこちなさ、いきなりのエースランナー二人の退場というアクシデントはあったが、チームとして着実に攻撃力が上がっていることは見て取れた。松原のパスをキャッチからのランは力強かったし、加藤も糟谷も走る能力をアップさせている。これでOLのメンバーがそろってくれば、そこそこの得点力は計算できるだろう。
 それ以上に目を引いたのが、安定した守備陣だ。2本のQBサックを決めた平澤の動きはさすが「オールジャパン」。さらに鋭さを増しているし、この日はLBに入った副将、善元のタックルにも威力がある。1年生ながら先発メンバーに名を連ねたDLの池永やDBの池田も先輩の足を引っ張ることなく、溌剌としたプレーを展開していた。
 これに、攻守とも後半から登場した新しい戦力が試合経験を積んでくれば、相当層の厚い布陣ができるだろう。不満や心配事を並べ立てればきりはないが、ともあれ、初戦を乗り切ったことで、2戦目以降のさらなる活躍に期待したい。あとは飛車と角の元気な復帰を祈るだけだ。
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