石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(9)心に刻む試合
毎年のことだが、京大との試合は見応えがある。日曜日に王子スタジアムで行われた試合も、本当に面白かった。
まず、得点経過だけを追ってみよう。
ファイターズのレシーブで始まったこの試合、第1プレーはQB加藤からピッチを受けたRB松岡が左オープンを駆け上がって7ヤード。続いて加藤からWR春日へのパスがヒットしてダウン更新。次は、第3ダウンロングの場面で再び加藤から春日へ35ヤードのパスが通ってゴール前5ヤード。そこで松岡がスピード豊かに駆け上がりTD。大西のキックも決まって7点を先制。
次の京大の攻撃を守備陣が完封して、再び自陣49ヤードからファイターズの攻撃。いきなり加藤からWR松原に34ヤードのパスが通ってゴール前17ヤード。しかし、ここからが押し切れない。フィールドゴールもブロックされて得点ならず。意気上がる京大はここでQB今村からエースレシーバーの坂田にミドルパス。坂田が80ヤードを独走して一気にTD。同点である。
次のファイターズの攻撃。加藤のスクランブル、松岡やRB今村、久司のランで、たちまちゴール前に詰め寄る。しかし、ここでも最後の詰めが決まらず、大西の30ヤードFGで3点を獲得しただけに終わった。
続く京大の攻撃シリーズ。第2ダウンで相手の投げたパスをDB吉井がインターセプト。ファイターズは相手陣27ヤードからの攻撃権を獲得した。その第1プレーで相手がパスインターフェアーの反則。ゴール前14ヤードの好位置からの攻撃が始まる。しかし、ここでファイターズのOLが2度続けてホールディングを犯し、計20ヤードの罰退。結局このシリーズも大西の39ヤードFGに終わった。攻めても攻めても、TDにつながらないもどかしさが募る。
すかっとしたのは、京大の次の攻撃をディフェンスが完封してつかんだ次の攻撃シリーズ。いきなり加藤から松原への40ヤードパスがヒット。続けて春日へのパスも通って相手ゴール前24ヤード。仕上げは松岡。持ち前の快足で中央を駆け抜けTD。ファイターズの武器である加藤のパス、WR陣の高さとスピード、そして松岡のスピードがかみ合った鮮やかな攻めだった。
これで落ち着いたのか、ファイターズは第2Q終了直前、相手パントを確保した稲村が70ヤードをリターンしてTD。京大を突き放した。
後半は京大のレシーブで試合再開。しかし第2プレーで相手QBがファンブルしたボールをLB川端が確保して、ファイターズの攻撃。ここでQBは3年生の糟谷に交代。相手陣42ヤードからいきなり松原にロングパスを投げた。これは惜しくも相手守備陣にカットされたが、次は自らキープして右オープンを駆け上がりTD。42ヤードを一気に走りきった目の覚めるようなプレーだった。
これで落ち着いたのか、糟谷はWR和田への21ヤードTDパスを決めるなど大活躍。セーフティーを呼び込むDL朝倉のQBサックや久司の80ヤードキックオフリターンTDなどのビッグプレーも飛び出し、試合は決まった。
このように得点経過だけを追っていくと、ファイターズがいいところばかりを見せた試合だと思われそうだ。しかし、実際に試合を見ていると、京大はそんなに甘い相手ではなかった。
まず守備ラインの当たりが強い。中央のランプレーがほとんど出ていなかったのがその証拠である。もちろんRBが独走する場面は何度もあったが、それは松岡、久司、稲村という昨年から試合経験を積んだスピードランナーたちの、個人の能力によるところが大きい。松原や春日へのパスが要所で決まったが、これまた加藤という極め付けのQBがいるからである。ラインが押し勝って走路を開き、そこをランナーが駆け上がるという形はほとんどできていなかった。
守備にも不安が残った。ラインは相手を支配していたが、エースレシーバー坂田へのパスが防げない。ごりごり中央を突いてくる相手のランにも手を焼いていた。この試合ではタイトエンドへのパスやQBのランプレーをほとんど見せなかったが、そこは京大。秋には様々な工夫をして臨んでくるはずだ。投げて来ると分かっているパスを防げず、中央を突いてくると分かっているランに苦しめられているようでは、相手が戦術を工夫してくると、昨年秋のリーグで苦戦した構図がそのまま再現される恐れがある。
そういう意味では、秋に向けてファイターズが取り組むべき課題を明確にしてもらった試合だった。反則の多さを克服することも、大きな宿題である。
一人ひとり、固有名詞を挙げる余裕はなかったが、2番手で登場した控えメンバーたちの活躍とともに、心に刻んでおきたい試合だった。
まず、得点経過だけを追ってみよう。
ファイターズのレシーブで始まったこの試合、第1プレーはQB加藤からピッチを受けたRB松岡が左オープンを駆け上がって7ヤード。続いて加藤からWR春日へのパスがヒットしてダウン更新。次は、第3ダウンロングの場面で再び加藤から春日へ35ヤードのパスが通ってゴール前5ヤード。そこで松岡がスピード豊かに駆け上がりTD。大西のキックも決まって7点を先制。
次の京大の攻撃を守備陣が完封して、再び自陣49ヤードからファイターズの攻撃。いきなり加藤からWR松原に34ヤードのパスが通ってゴール前17ヤード。しかし、ここからが押し切れない。フィールドゴールもブロックされて得点ならず。意気上がる京大はここでQB今村からエースレシーバーの坂田にミドルパス。坂田が80ヤードを独走して一気にTD。同点である。
次のファイターズの攻撃。加藤のスクランブル、松岡やRB今村、久司のランで、たちまちゴール前に詰め寄る。しかし、ここでも最後の詰めが決まらず、大西の30ヤードFGで3点を獲得しただけに終わった。
続く京大の攻撃シリーズ。第2ダウンで相手の投げたパスをDB吉井がインターセプト。ファイターズは相手陣27ヤードからの攻撃権を獲得した。その第1プレーで相手がパスインターフェアーの反則。ゴール前14ヤードの好位置からの攻撃が始まる。しかし、ここでファイターズのOLが2度続けてホールディングを犯し、計20ヤードの罰退。結局このシリーズも大西の39ヤードFGに終わった。攻めても攻めても、TDにつながらないもどかしさが募る。
すかっとしたのは、京大の次の攻撃をディフェンスが完封してつかんだ次の攻撃シリーズ。いきなり加藤から松原への40ヤードパスがヒット。続けて春日へのパスも通って相手ゴール前24ヤード。仕上げは松岡。持ち前の快足で中央を駆け抜けTD。ファイターズの武器である加藤のパス、WR陣の高さとスピード、そして松岡のスピードがかみ合った鮮やかな攻めだった。
これで落ち着いたのか、ファイターズは第2Q終了直前、相手パントを確保した稲村が70ヤードをリターンしてTD。京大を突き放した。
後半は京大のレシーブで試合再開。しかし第2プレーで相手QBがファンブルしたボールをLB川端が確保して、ファイターズの攻撃。ここでQBは3年生の糟谷に交代。相手陣42ヤードからいきなり松原にロングパスを投げた。これは惜しくも相手守備陣にカットされたが、次は自らキープして右オープンを駆け上がりTD。42ヤードを一気に走りきった目の覚めるようなプレーだった。
これで落ち着いたのか、糟谷はWR和田への21ヤードTDパスを決めるなど大活躍。セーフティーを呼び込むDL朝倉のQBサックや久司の80ヤードキックオフリターンTDなどのビッグプレーも飛び出し、試合は決まった。
このように得点経過だけを追っていくと、ファイターズがいいところばかりを見せた試合だと思われそうだ。しかし、実際に試合を見ていると、京大はそんなに甘い相手ではなかった。
まず守備ラインの当たりが強い。中央のランプレーがほとんど出ていなかったのがその証拠である。もちろんRBが独走する場面は何度もあったが、それは松岡、久司、稲村という昨年から試合経験を積んだスピードランナーたちの、個人の能力によるところが大きい。松原や春日へのパスが要所で決まったが、これまた加藤という極め付けのQBがいるからである。ラインが押し勝って走路を開き、そこをランナーが駆け上がるという形はほとんどできていなかった。
守備にも不安が残った。ラインは相手を支配していたが、エースレシーバー坂田へのパスが防げない。ごりごり中央を突いてくる相手のランにも手を焼いていた。この試合ではタイトエンドへのパスやQBのランプレーをほとんど見せなかったが、そこは京大。秋には様々な工夫をして臨んでくるはずだ。投げて来ると分かっているパスを防げず、中央を突いてくると分かっているランに苦しめられているようでは、相手が戦術を工夫してくると、昨年秋のリーグで苦戦した構図がそのまま再現される恐れがある。
そういう意味では、秋に向けてファイターズが取り組むべき課題を明確にしてもらった試合だった。反則の多さを克服することも、大きな宿題である。
一人ひとり、固有名詞を挙げる余裕はなかったが、2番手で登場した控えメンバーたちの活躍とともに、心に刻んでおきたい試合だった。
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