石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(7)卒業記念文集を紹介する
今春、卒業したメンバーの卒業記念文集を読ませていただいた。選手、マネジャー(MGR)、トレーナー(TR)、アナライジングスタッフ(AS)、中学・高校のコーチなどをしていた35人と、5年生コーチだった前年の主将、早川君がそれぞれ800字から1600字ほどの文章を寄せている。
いただいたその日に読み終えた。それぞれに気持ちのこもった文章だった。けれども、取り上げる機会がなく、すっかり遅くなってしまった。春のシーズンたけなわなのに、いまごろ何を寝ぼけたことをと叱られるのを覚悟で、紹介しておきたい。
「私たちを立命に勝たしていただいてありがとうございます」と、最初に後輩やコーチ、応援していただいた方々に感謝の言葉を述べたのはQB浅海君。3年生の時は、みんなと同じ気持ちで練習することができず、チームを負けさせてしまったことが申し訳ないと告白し、「立命戦では少し恩を返せたと思います」と書いている。
「後輩たちへ」というタイトルでLB池田君は「チームを良くも悪くもするのは4回生次第」と書いた上で「チームが強くなるには絶対に下級生の力が必要。特に3回生には4回生と同じ気持ちでやってもらいたいし、自分たちがチームを引っ張るという気持ちを持ってもらいたい」と言い残している。
ASの遠藤君は、選手からASに転向したときの悔しい気持ちを振り返りながら「努力をしてかなわないことと、努力をせずにかなわなかったことでは、全然違う。なぜ入部してきたのか、なぜハードな大学生活をわざわざ選んでいるのかを、いま一度よく考え直してほしい」と後輩に伝言している。
WRの勝本君は「振り返って見ると、ろくな4回生ではなかったと思う。ただ最後に伝えたいことがある。今回、本当にチームが一つにならないと勝てないことが分かった。だから、もっといろんなことをお互いに本音で話してほしい。相手を理解するには話すことが一番重要だ」とこれまた、後輩に言い残している。
副将のOL亀井君は「私はこのチームで、大きな目標、そして最大のライバルの存在によっても自分の限界を超えることができるということを知った」と断言。「自分はどこを目指したいのか、何を目指したいのか、このことをまず考える必要がある」と、自分との対話の必要性を説く。
「先の見えないその先」と書いたのはRB河原君。関大に敗れ、日本1への希望が限りなく小さくなっても「先の見えないものに全力を注ぎ続けた」苦しい時間を振り返りながら「目の前のことに全力で取り組んだその先に、何かがあるということを信じてファイターズの生活を充実させてほしい」という言葉を贈っている。
WR柴田君は「本気」という題で、自らの「取り返しのつかない過ち」を告白。その苦い体験を基に「人は本当に追い込まれた時、とてつもないプレッシャーに襲われた時、どれだけ真面目に練習してきたかという事実ではなく、どれだけ本気で取り組んだかという気持ちを持って、初めて腹をくくれる。その気持ちが迷いを振り切る。真面目に練習することが悪いのではなく、その練習に気持ちがこもっていなければ意味がないということだ」とまとめている。
主将の新谷君は「リーグ戦途中でやっと本気になり出した私を、4回生たちを、下級生が支え続けてくれた。もっと早く本気のチーム作りをしていれば結果は変わっていたかもしれない。引退して少し時間がたったいまではそういう思いがこみ上げてくる」と後悔の気持ちを綴っている。
同じようにWRの萬代君は「負けに不思議の負けなし」という題で、自分の取り組みの甘さを悔やんでいる。「私に足りなかったのは、オレがチームを勝たせるんだ、という確固たる決意だった」と書き、後輩たちに「ファイターズは勝たせてくれない、監督コーチも勝たせてくれない。結局は、自分がやらないと勝てないのである。このチームは『お前ら』のそして『お前』のチームなのだ」と檄を飛ばしている。
チームのまとめ役を務めたMGRの三井君は「私は最後まで学年を一つにまとめることができなかった。仲間同士で腹を割って話す時間が極端に少なかったからである」と書き、「本音で対話することでしか、真の仲間関係を構築することはできない。衝突を恐れてはいけない。我々は仲間であり、家族である。衝突しても必ず、衝突前以上の関係を築けるに違いない」とまとめた。
それぞれ、気持ちのこもった文章である。新聞記者の仕事を40年以上続け、いまも大学で文章論を講義している「専門家」の立場で読んでも、ファイターズという集団で、何かを学び、何かをつかんだ人間だからこそ書ける内容だと断言できる。
文集に掲載されている文章のごく一部しか紹介できないのは残念だが、こうした断片的な引用文を見ても、ファイターズというチームの素顔が見えてくる。この組織が「人を育てる集団である」ということが納得できる。どうしても、みなさまに紹介したかった由縁である。
いただいたその日に読み終えた。それぞれに気持ちのこもった文章だった。けれども、取り上げる機会がなく、すっかり遅くなってしまった。春のシーズンたけなわなのに、いまごろ何を寝ぼけたことをと叱られるのを覚悟で、紹介しておきたい。
「私たちを立命に勝たしていただいてありがとうございます」と、最初に後輩やコーチ、応援していただいた方々に感謝の言葉を述べたのはQB浅海君。3年生の時は、みんなと同じ気持ちで練習することができず、チームを負けさせてしまったことが申し訳ないと告白し、「立命戦では少し恩を返せたと思います」と書いている。
「後輩たちへ」というタイトルでLB池田君は「チームを良くも悪くもするのは4回生次第」と書いた上で「チームが強くなるには絶対に下級生の力が必要。特に3回生には4回生と同じ気持ちでやってもらいたいし、自分たちがチームを引っ張るという気持ちを持ってもらいたい」と言い残している。
ASの遠藤君は、選手からASに転向したときの悔しい気持ちを振り返りながら「努力をしてかなわないことと、努力をせずにかなわなかったことでは、全然違う。なぜ入部してきたのか、なぜハードな大学生活をわざわざ選んでいるのかを、いま一度よく考え直してほしい」と後輩に伝言している。
WRの勝本君は「振り返って見ると、ろくな4回生ではなかったと思う。ただ最後に伝えたいことがある。今回、本当にチームが一つにならないと勝てないことが分かった。だから、もっといろんなことをお互いに本音で話してほしい。相手を理解するには話すことが一番重要だ」とこれまた、後輩に言い残している。
副将のOL亀井君は「私はこのチームで、大きな目標、そして最大のライバルの存在によっても自分の限界を超えることができるということを知った」と断言。「自分はどこを目指したいのか、何を目指したいのか、このことをまず考える必要がある」と、自分との対話の必要性を説く。
「先の見えないその先」と書いたのはRB河原君。関大に敗れ、日本1への希望が限りなく小さくなっても「先の見えないものに全力を注ぎ続けた」苦しい時間を振り返りながら「目の前のことに全力で取り組んだその先に、何かがあるということを信じてファイターズの生活を充実させてほしい」という言葉を贈っている。
WR柴田君は「本気」という題で、自らの「取り返しのつかない過ち」を告白。その苦い体験を基に「人は本当に追い込まれた時、とてつもないプレッシャーに襲われた時、どれだけ真面目に練習してきたかという事実ではなく、どれだけ本気で取り組んだかという気持ちを持って、初めて腹をくくれる。その気持ちが迷いを振り切る。真面目に練習することが悪いのではなく、その練習に気持ちがこもっていなければ意味がないということだ」とまとめている。
主将の新谷君は「リーグ戦途中でやっと本気になり出した私を、4回生たちを、下級生が支え続けてくれた。もっと早く本気のチーム作りをしていれば結果は変わっていたかもしれない。引退して少し時間がたったいまではそういう思いがこみ上げてくる」と後悔の気持ちを綴っている。
同じようにWRの萬代君は「負けに不思議の負けなし」という題で、自分の取り組みの甘さを悔やんでいる。「私に足りなかったのは、オレがチームを勝たせるんだ、という確固たる決意だった」と書き、後輩たちに「ファイターズは勝たせてくれない、監督コーチも勝たせてくれない。結局は、自分がやらないと勝てないのである。このチームは『お前ら』のそして『お前』のチームなのだ」と檄を飛ばしている。
チームのまとめ役を務めたMGRの三井君は「私は最後まで学年を一つにまとめることができなかった。仲間同士で腹を割って話す時間が極端に少なかったからである」と書き、「本音で対話することでしか、真の仲間関係を構築することはできない。衝突を恐れてはいけない。我々は仲間であり、家族である。衝突しても必ず、衝突前以上の関係を築けるに違いない」とまとめた。
それぞれ、気持ちのこもった文章である。新聞記者の仕事を40年以上続け、いまも大学で文章論を講義している「専門家」の立場で読んでも、ファイターズという集団で、何かを学び、何かをつかんだ人間だからこそ書ける内容だと断言できる。
文集に掲載されている文章のごく一部しか紹介できないのは残念だが、こうした断片的な引用文を見ても、ファイターズというチームの素顔が見えてくる。この組織が「人を育てる集団である」ということが納得できる。どうしても、みなさまに紹介したかった由縁である。
この記事は外部ブログを参照しています。すべて見るには下のリンクをクリックしてください。
記事タイトル:(7)卒業記念文集を紹介する
(ブログタイトル:石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」)
アーカイブ
- 2024年11月(3)
- 2024年10月(3)
- 2024年9月(3)
- 2024年6月(2)
- 2024年5月(3)
- 2024年4月(1)
- 2023年12月(3)
- 2023年11月(3)
- 2023年10月(4)
- 2023年9月(3)
- 2023年7月(1)
- 2023年6月(1)
- 2023年5月(3)
- 2023年4月(1)
- 2022年12月(2)
- 2022年11月(3)
- 2022年10月(3)
- 2022年9月(2)
- 2022年8月(1)
- 2022年7月(1)
- 2022年6月(2)
- 2022年5月(3)
- 2021年12月(3)
- 2021年11月(3)
- 2021年10月(4)
- 2021年1月(2)
- 2020年12月(3)
- 2020年11月(4)
- 2020年10月(4)
- 2020年9月(2)
- 2020年1月(3)
- 2019年12月(3)
- 2019年11月(3)
- 2019年10月(5)
- 2019年9月(4)
- 2019年8月(3)
- 2019年7月(2)
- 2019年6月(4)
- 2019年5月(4)
- 2019年4月(4)
- 2019年1月(1)
- 2018年12月(4)
- 2018年11月(4)
- 2018年10月(5)
- 2018年9月(3)
- 2018年8月(4)
- 2018年7月(2)
- 2018年6月(3)
- 2018年5月(4)
- 2018年4月(3)
- 2017年12月(3)
- 2017年11月(4)
- 2017年10月(3)
- 2017年9月(4)
- 2017年8月(4)
- 2017年7月(3)
- 2017年6月(4)
- 2017年5月(4)
- 2017年4月(4)
- 2017年1月(2)
- 2016年12月(4)
- 2016年11月(5)
- 2016年10月(3)
- 2016年9月(4)
- 2016年8月(4)
- 2016年7月(3)
- 2016年6月(2)
- 2016年5月(4)
- 2016年4月(4)
- 2015年12月(1)
- 2015年11月(4)
- 2015年10月(3)
- 2015年9月(5)
- 2015年8月(3)
- 2015年7月(5)
- 2015年6月(4)
- 2015年5月(2)
- 2015年4月(3)
- 2015年3月(3)
- 2015年1月(2)
- 2014年12月(4)
- 2014年11月(4)
- 2014年10月(4)
- 2014年9月(4)
- 2014年8月(4)
- 2014年7月(4)
- 2014年6月(4)
- 2014年5月(5)
- 2014年4月(4)
- 2014年1月(1)
- 2013年12月(5)
- 2013年11月(4)
- 2013年10月(5)
- 2013年9月(3)
- 2013年8月(3)
- 2013年7月(4)
- 2013年6月(4)
- 2013年5月(5)
- 2013年4月(4)
- 2013年1月(1)
- 2012年12月(4)
- 2012年11月(5)
- 2012年10月(4)
- 2012年9月(5)
- 2012年8月(4)
- 2012年7月(3)
- 2012年6月(3)
- 2012年5月(5)
- 2012年4月(4)
- 2012年1月(1)
- 2011年12月(5)
- 2011年11月(5)
- 2011年10月(4)
- 2011年9月(4)
- 2011年8月(3)
- 2011年7月(3)
- 2011年6月(4)
- 2011年5月(5)
- 2011年4月(4)
- 2010年12月(1)
- 2010年11月(4)
- 2010年10月(4)
- 2010年9月(4)
- 2010年8月(3)
- 2010年7月(2)
- 2010年6月(5)
- 2010年5月(3)
- 2010年4月(4)
- 2010年3月(1)
- 2009年11月(4)
- 2009年10月(4)
- 2009年9月(3)
- 2009年8月(4)
- 2009年7月(3)
- 2009年6月(4)
- 2009年5月(3)
- 2009年4月(4)
- 2009年3月(1)
- 2008年12月(1)
- 2008年11月(4)
- 2008年10月(3)
- 2008年9月(5)
- 2008年8月(2)
- 2008年4月(1)