石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(17)「戦うのは俺だ!」
9月である。Septemberである。竹内まりやが明るく「そして9月はさよならの国」「めぐる季節の彩りの中で一番さみしい月」と歌うのである。
といっても、大昔の歌。いまの選手諸君はよほどのファンでない限りご存じないだろう。多分、親ごさんの世代が若いころに歌っていた歌である。
余談はさておき、9月といえば、シーズンの開幕である。タッチダウン誌特別号の発行を待ちかねて購入し、選手名鑑を眺めてワクワクされているファンの方もどっさりおられるだろう。「今年はこういうメンバーで戦うのか」「それにしても立命には、ヤバイ選手がそろっているよな」と、僕の頭の中でも次々と連想が広がる。
開幕を待ちかねて、この前の日曜日、練習を見に上ケ原のグラウンドに出掛けたら、同じように激励に来られた何人ものOBの方と顔を合わせた。車椅子で駆けつけられた猿木唯資さん、その同期で小学生のタッチフットボールチーム「上ケ原ブルーナイツ」の指導をされている岡本浩治さん。試合前にいつも、選手たちを集めてお祈りをされる顧問の前島宗甫先生の姿も見える。
久々の晴天で、人工芝のグラウンドはぎらぎらに光っている。真夏のような日差しに、立っているだけで汗が噴き出す。日陰を求めてうろうろしていると、グラウンドの片隅で武田建先生が1年生のレシーバーたちに懸命に声をかけておられる姿が見えた。僕より一回りも年上の先生が炎天下で走り回っておられるのに、と変な対抗心を燃やして炎天下に出たら、真っ黒に日焼けしてしまった。
選手たちはみんな、本番間近という練習ぶりである。例えば「練習開始10分前」というマネジャーの指示が飛べば、5分前にはみんながハドルを組んでいる。ぎりぎりの時間にあたふたと走り込んでくるような選手は一人もいない。キビキビしたその集散ぶりを見ているだけで、いよいよ近づいてきた、と実感するのである。開幕戦では、この選手たちが存分に活躍してくれるはずだ、と期待が高まるのである。
もちろん、シーズンは長い。開幕戦だけが試合ではない。一つひとつの試合に全力を尽くし、確実に勝ち星を挙げると同時に、リーグの最終戦で戦う立命に勝てるチームを作り上げていかなければならない。そこを突破して初めて関東の覇者と戦う道が開けるのだし、社会人の王者に挑戦する資格が手にできるのである。
戦いながら仕上げていく、といっても、事は容易ではない。関西リーグに参加しているチームの力が上がっているのは、タッチダウンが奪えなかった春の関大戦やニューエラボウルにおける各チームの主力選手の活躍ぶりを見ただけでも明らかだ。小手先の作戦で勝てるようなチームは一つもない、と心してかからなければならないだろう。
先日の朝日新聞のスポーツ面に、リーグ戦の開幕をアピールする記者会見で、鳥内監督と立命の古橋監督が「舌戦」を繰り広げた話が掲載されていた。その中で鳥内監督は「仕上がりはまだ3、4割ですよ」と話しておられたが、それは謙遜が半分、本音が半分の談話だと受け止めた。
それぞれの部員が自分のリミットを超えて、新しい力を獲得できるかどうか。個々の選手がここが限界だと思っているレベルを超えて新たな境地に到達できるかどうか。すべては、早川主将のいう今年のスローガン「Over The Limit」をチームとして、個人として、どこまで実行できるかにかかっている。
北京五輪の平泳ぎで2冠を達成した北島康介選手は「泳ぐのは僕だ!」というTシャツを着て、自分を鼓舞した。水着騒動をめぐる周囲の雑音に抗して、自ら退路を断ったこの言葉はしかし、ひとり北島選手だけのものではない。
ファイターズの選手諸君にとっても「戦うのは僕だ」であり、「限界を超えるのは僕だ」である。
目の前の一つひとつの試合を全力で戦うことで自らを鍛え、限界を超え、最後に笑えるシーズンにしてもらいたい。健闘を祈る。
といっても、大昔の歌。いまの選手諸君はよほどのファンでない限りご存じないだろう。多分、親ごさんの世代が若いころに歌っていた歌である。
余談はさておき、9月といえば、シーズンの開幕である。タッチダウン誌特別号の発行を待ちかねて購入し、選手名鑑を眺めてワクワクされているファンの方もどっさりおられるだろう。「今年はこういうメンバーで戦うのか」「それにしても立命には、ヤバイ選手がそろっているよな」と、僕の頭の中でも次々と連想が広がる。
開幕を待ちかねて、この前の日曜日、練習を見に上ケ原のグラウンドに出掛けたら、同じように激励に来られた何人ものOBの方と顔を合わせた。車椅子で駆けつけられた猿木唯資さん、その同期で小学生のタッチフットボールチーム「上ケ原ブルーナイツ」の指導をされている岡本浩治さん。試合前にいつも、選手たちを集めてお祈りをされる顧問の前島宗甫先生の姿も見える。
久々の晴天で、人工芝のグラウンドはぎらぎらに光っている。真夏のような日差しに、立っているだけで汗が噴き出す。日陰を求めてうろうろしていると、グラウンドの片隅で武田建先生が1年生のレシーバーたちに懸命に声をかけておられる姿が見えた。僕より一回りも年上の先生が炎天下で走り回っておられるのに、と変な対抗心を燃やして炎天下に出たら、真っ黒に日焼けしてしまった。
選手たちはみんな、本番間近という練習ぶりである。例えば「練習開始10分前」というマネジャーの指示が飛べば、5分前にはみんながハドルを組んでいる。ぎりぎりの時間にあたふたと走り込んでくるような選手は一人もいない。キビキビしたその集散ぶりを見ているだけで、いよいよ近づいてきた、と実感するのである。開幕戦では、この選手たちが存分に活躍してくれるはずだ、と期待が高まるのである。
もちろん、シーズンは長い。開幕戦だけが試合ではない。一つひとつの試合に全力を尽くし、確実に勝ち星を挙げると同時に、リーグの最終戦で戦う立命に勝てるチームを作り上げていかなければならない。そこを突破して初めて関東の覇者と戦う道が開けるのだし、社会人の王者に挑戦する資格が手にできるのである。
戦いながら仕上げていく、といっても、事は容易ではない。関西リーグに参加しているチームの力が上がっているのは、タッチダウンが奪えなかった春の関大戦やニューエラボウルにおける各チームの主力選手の活躍ぶりを見ただけでも明らかだ。小手先の作戦で勝てるようなチームは一つもない、と心してかからなければならないだろう。
先日の朝日新聞のスポーツ面に、リーグ戦の開幕をアピールする記者会見で、鳥内監督と立命の古橋監督が「舌戦」を繰り広げた話が掲載されていた。その中で鳥内監督は「仕上がりはまだ3、4割ですよ」と話しておられたが、それは謙遜が半分、本音が半分の談話だと受け止めた。
それぞれの部員が自分のリミットを超えて、新しい力を獲得できるかどうか。個々の選手がここが限界だと思っているレベルを超えて新たな境地に到達できるかどうか。すべては、早川主将のいう今年のスローガン「Over The Limit」をチームとして、個人として、どこまで実行できるかにかかっている。
北京五輪の平泳ぎで2冠を達成した北島康介選手は「泳ぐのは僕だ!」というTシャツを着て、自分を鼓舞した。水着騒動をめぐる周囲の雑音に抗して、自ら退路を断ったこの言葉はしかし、ひとり北島選手だけのものではない。
ファイターズの選手諸君にとっても「戦うのは僕だ」であり、「限界を超えるのは僕だ」である。
目の前の一つひとつの試合を全力で戦うことで自らを鍛え、限界を超え、最後に笑えるシーズンにしてもらいたい。健闘を祈る。
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