石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(19)「強さの源」
関西学院大学ファイターズの強さの源はどこにあるか……。それを問い掛けた記事が甲子園ボウルの前日、朝日新聞阪神版に掲載された。日頃、私が考えていることと全く同じ考え方であり、それをフットボール専門記者が分かりやすく紹介されていることに、心から感動した。
朝日新聞のネットでも配信されたので、読まれた方は少なくないだろう。けれども、阪神版という地域限定の記事であり、未読の方もおられると思うので、記事の大筋を補足の説明も加えて紹介しよう。
アメフットは1プレーごとに次の作戦を決める。攻撃陣は練り上げたプレーを次々に繰り出し、守備陣はそれに対応し、時には仕掛けていく。選手は無制限に交代できるので、誰を起用して追う攻めるか(守るか)という戦略がカギを握る。
当然、相手のデータを集めるスタッフ、戦略を組み立てるコーチ陣、選手の能力を伸ばす練習やトレーニング施設が必要であり、そのための資金も含めた総合力が問われる。そうした問題意識を持って(ファイターズは)「指導者体制の質量の拡大、リクルート網の強化、トレーニングセンターなど施設・財政面の拡充、OB会との連携協力体制の構築」などを挙げ、それを細部まで詰めて実行してきた。
その姿を、指導者としてチームに戻った頃の大村監督の感想として「めちゃくちゃ細かい所まで突き詰めてやってて、これがほかのどのチームにもない関学の強みやなと実感した」と紹介。「めんどくさくても、それと向き合うことで身体能力で負けていてもチームとして勝負できる可能性が出てくる。突き詰めていく文化は非常に大事で、それは社会に出ても生きてくる」と続けている。
続けて筆者は、東京から関学に進学した3年生OL、近藤剣之助選手の言葉を引いて、ファイターズの活動の一端を説明する。
彼は「ボールを持った選手以外の10人の役割分担(アサイメント)が、一つのプレーに対して何通りもあることに驚かされた」「関学では、何でこうなっているか、を大事にする。すると、無限に考え方が膨らむ。強い理由を実感した」という。
巧みな戦術であっても、選手が体現できなければ意味がない。だから関学では1年を通じて各ポジションで基本技術を徹底して積み上げ、戦うための土台を作る。
毎年のように日本1を目指せる環境が整っているから高校の優秀な選手がやってくる。そしてまた、いいチームが出来るという好循環が生まれている、と結ぶ。
筆者は朝日新聞の篠原大輔記者。全盛期の京大ギャングスターズでラインメンの一人として活躍。卒業後は朝日新聞に入社し、アメフットの専門記者として活躍。長くスポーツ部で務め、いまは別の部署に移っているが、土曜と日曜は全てアメフットの取材に捧げるというアメフット愛にあふれた記者である。朝日新聞の読者なら「関学大 最多6連覇」「61得点圧倒 精度高めた攻撃」という大見出しで9面に掲載された甲子園ボウルの記事と見開きになった関西学院大学の全ページカラー広告をご覧になったと思うが、そのコピーを書いた記者でもある、と紹介すれば、その見識の深さが想像できるはずだ。
(この広告は関西学院広報室が大阪本社管内の近畿地区に限定して出稿・掲載したものだが、反響が非常に大きく、東京本社管内(関東地区)の24日付け朝刊に改めて掲載することが急きょ決まったという)
実は、私もこのコラムでこうしたファイターズの魅力を存分に書きたかった。とりわけ長年のライバル校の不祥事が連日のように新聞紙上を賑わせ、大学の課外活動の在り方そのものに社会の関心が集まっているいま、「ちょっと待って。不祥事を起こした大学の例だけで、部活動全体を語らないでほしい。学生を主役にして毎年人材を育て、全国の頂点を極め続けてる部活動もありますよ」「その内容を詳しく紹介しましょうか。学生はもちろん、指導者にとっても目からうろこというような事例がいくらでもありますよ」とこのコラムで声を上げたかった。
けれども、私がこの文章を書いているのはファイターズのホームページ。自画自賛と受け取られがちでもあり、あえて避けてきた。
その隙間を埋めてくれたのが16日付朝日新聞の篠原記者の記事であり、18日付の関西学院大学の全面広告である。ライターの一人として心から感謝します。
(今回を持って今季のコラムは終了します)
朝日新聞のネットでも配信されたので、読まれた方は少なくないだろう。けれども、阪神版という地域限定の記事であり、未読の方もおられると思うので、記事の大筋を補足の説明も加えて紹介しよう。
アメフットは1プレーごとに次の作戦を決める。攻撃陣は練り上げたプレーを次々に繰り出し、守備陣はそれに対応し、時には仕掛けていく。選手は無制限に交代できるので、誰を起用して追う攻めるか(守るか)という戦略がカギを握る。
当然、相手のデータを集めるスタッフ、戦略を組み立てるコーチ陣、選手の能力を伸ばす練習やトレーニング施設が必要であり、そのための資金も含めた総合力が問われる。そうした問題意識を持って(ファイターズは)「指導者体制の質量の拡大、リクルート網の強化、トレーニングセンターなど施設・財政面の拡充、OB会との連携協力体制の構築」などを挙げ、それを細部まで詰めて実行してきた。
その姿を、指導者としてチームに戻った頃の大村監督の感想として「めちゃくちゃ細かい所まで突き詰めてやってて、これがほかのどのチームにもない関学の強みやなと実感した」と紹介。「めんどくさくても、それと向き合うことで身体能力で負けていてもチームとして勝負できる可能性が出てくる。突き詰めていく文化は非常に大事で、それは社会に出ても生きてくる」と続けている。
続けて筆者は、東京から関学に進学した3年生OL、近藤剣之助選手の言葉を引いて、ファイターズの活動の一端を説明する。
彼は「ボールを持った選手以外の10人の役割分担(アサイメント)が、一つのプレーに対して何通りもあることに驚かされた」「関学では、何でこうなっているか、を大事にする。すると、無限に考え方が膨らむ。強い理由を実感した」という。
巧みな戦術であっても、選手が体現できなければ意味がない。だから関学では1年を通じて各ポジションで基本技術を徹底して積み上げ、戦うための土台を作る。
毎年のように日本1を目指せる環境が整っているから高校の優秀な選手がやってくる。そしてまた、いいチームが出来るという好循環が生まれている、と結ぶ。
筆者は朝日新聞の篠原大輔記者。全盛期の京大ギャングスターズでラインメンの一人として活躍。卒業後は朝日新聞に入社し、アメフットの専門記者として活躍。長くスポーツ部で務め、いまは別の部署に移っているが、土曜と日曜は全てアメフットの取材に捧げるというアメフット愛にあふれた記者である。朝日新聞の読者なら「関学大 最多6連覇」「61得点圧倒 精度高めた攻撃」という大見出しで9面に掲載された甲子園ボウルの記事と見開きになった関西学院大学の全ページカラー広告をご覧になったと思うが、そのコピーを書いた記者でもある、と紹介すれば、その見識の深さが想像できるはずだ。
(この広告は関西学院広報室が大阪本社管内の近畿地区に限定して出稿・掲載したものだが、反響が非常に大きく、東京本社管内(関東地区)の24日付け朝刊に改めて掲載することが急きょ決まったという)
実は、私もこのコラムでこうしたファイターズの魅力を存分に書きたかった。とりわけ長年のライバル校の不祥事が連日のように新聞紙上を賑わせ、大学の課外活動の在り方そのものに社会の関心が集まっているいま、「ちょっと待って。不祥事を起こした大学の例だけで、部活動全体を語らないでほしい。学生を主役にして毎年人材を育て、全国の頂点を極め続けてる部活動もありますよ」「その内容を詳しく紹介しましょうか。学生はもちろん、指導者にとっても目からうろこというような事例がいくらでもありますよ」とこのコラムで声を上げたかった。
けれども、私がこの文章を書いているのはファイターズのホームページ。自画自賛と受け取られがちでもあり、あえて避けてきた。
その隙間を埋めてくれたのが16日付朝日新聞の篠原記者の記事であり、18日付の関西学院大学の全面広告である。ライターの一人として心から感謝します。
(今回を持って今季のコラムは終了します)
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