石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」

(12)練習の成果

投稿日時:2023/10/17(火) 12:41rss

 先週日曜日は、近畿大学との戦い。10月も半ばとあって暑さは和らぎ、雨の心配もない快適な環境で試合が始まった。
 先攻はファイターズ。自陣36ヤードから始まった最初の攻撃シリーズこそ反則で陣地を進められなかったが、自陣32ヤードから始まった2度目の攻撃はRB伊丹と前島を交互に起用。個人技に優れた2人の多彩な攻撃で確実に陣地を進めていく。
 最初にボールを託されたのは伊丹。短いスイングパスを受けて走ったかと思えば、次はドロープレーから一気に中央を抜け出す。一瞬、相手守備陣に捕まりそうな場面でも、独特のステップで身をかわして陣地を稼ぐ。
 仕上げは前島。相手ゴールまで29ヤードを一気に走ってTD。相手守備陣が迫ると、急ブレーキをかけて相手をかわし、その瞬間、ギアをトップスピードに上げて走る彼ならではの先制点である。K大西のキックも決まって7-0。
 先制すると、守備陣は落ち着く。相手は、レベルの高いQBを中心に多彩な攻撃を仕掛けてくるが、浅浦を中心とした守備のフロントと、LB海崎、永井、DB波田という経験豊富なメンバーが核になったバックスが互いに助け合って攻撃を食い止める。
 第2Qに入っても一進一退の攻防が続く中、均衡を破ったのはファイターズ。DBのリーダー波田が相手QBがセンターライン付近から投じたパスを確保すると、そのままゴールまで駆け込んでTD。大西のキックも決まって14-0。
 ビッグプレーが出ると、チーム全体が盛り上がる。相手陣23ヤードから始まった次の攻撃シリーズでは、QB鎌田からTE安藤への8ヤードのパス、RB前島のオフタックルを抜けた鋭い走りでTD。21-0とリードを広げる。
 後半になってもファイターズの勢いは止まらない。自陣45ヤードから始まった第3Q最初の攻撃ではQB鎌田がWR衣笠、五十嵐、小段へのパスを立て続けに通し、相手ゴール前11ヤード。そこからは一転、RB伊丹のランを2本。残り2ヤードはRB大槻の中央ダイブでTD。堅実なプレーでリードを広げていく。
 こうした攻撃の中で光ったのは、QB鎌田のパス。レシーバー陣のリーダー鈴木へのミドルパスを立て続けに通し、合間には衣笠や小段へのパスを交えて変化を付ける。この日のトータルスコアを見ると、WR鈴木に6回101、小段に3回42、衣笠に3回39、TE安藤に2回25、五十嵐に1回6ヤードを通している。思い通りにパスが通らずに苦しんでいた前節とは異なり、調子が上がってきたようだ。
 QBといえば、けがで戦列を離れていた2年生の星野もこの試合、ほんの数プレーだったが出番があり、元気な姿を見せてくれた。これまた心強い。
 リーグ戦も前半の4試合を終わり、佳境に入ってきた。これから立ち塞がる京大、立命、関大は好守ともにそれぞれの特徴を持った強敵である。ファイターズの一員として闘うメンバー全員が、この日までの4試合でつかんだ自身の特徴を生かし、足らずを補って全力で相手にぶつかる態勢を構築してもらいたい。
 幸い、けがやインフルエンザなどで戦列を離れていたメンバーも徐々に復帰している。この日の試合で、久しぶりに元気な姿を見せ、いい動きを見せてくれたメンバーもいるし、シーズン当初から起用されている1年生も試合ごとに力を発揮している。
 もちろん、2年生や3年生にもチームの主力と言ってよい人材が何人もいる。この日の先発メンバーを見ても、守備ではDL村田、山本、LB永井、DB東田らが名を連ね、1年生からはDB藤田が起用された。
 オフェンスでもLT近藤、C巽、RT森永、RB伊丹、スナッパー柴原は3年生、2年生にはLG紅本、TE川口、K大西が起用され、WR小段に至っては1年生である。
 こうしたメンバーが4年生を支え、チームを盛り上げていくことで、チーム力は上がっていく。強力なメンバーをそろえている立命や関大とも対抗出来るはずだ。若いメンバーが試合ごとに力を付け、急激な成長曲線を描いていくのを見られるのも、学生スポーツの大きな魅力である。
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