石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」

(9)苦しい戦い

投稿日時:2023/09/23(土) 22:53rss

 甲南大との対戦の数日前、上ヶ原のでグラウンドで、厄介な話を聞いた。試合前だというのに、部員の間にインフルエンザの感染者が急増しているという。
 その時、「コロナ禍が落ち着いたと思ったら、次はインフルエンザか。厄介なことだ。なんとか食い止めて欲しい」と、思わず天を仰いだ。
 試合が始まる前、グラウンドで軽く練習するメンバーの背番号に目をこらす。人数が多いから、遠くスタンドから欠場者を確定するのは難しい作業だったが、レギュラークラスで姿の見えない選手が何人もいる。やばい。彼らの欠場が試合に影響しなければよいが、と祈るような気持ちでキックオフを待つ。
 結果は35-3でファイターズの勝利。前半だけで28-0とリードし、控えのメンバーを次々と投入した後半も相手の反撃をフィールドゴール1本に抑えた。
 スタンドから応援している方々には、順当な勝利と思えたかもしれないが、僕にとっては、不用意な反則の多さを含め、今ひとつ物足りない結果であり、反省点の多い試合だった。
 しかし、それは部外者がとやかくいうことではない。まずは試合の流れを見たままに追っていこう。
 ファイターズのレシーブで試合開始。第1シリーズはRB前島へのスイングパス、RB澤井のドロープレーでダウンを更新。次はQB星野からWR小段への短いパスで陣地を進める。しかし、相手陣に入ったところから攻めが続かず、攻守交代。
 相手陣奥深くから始まった甲南の攻撃は進まず、逆に第3ダウンで相手QBが投じたパスをDB東田がインターセプト。相手陣19ヤードという好位置からファイターズの攻撃。まずはRB澤井が中央を突いてダウンを更新。ゴールまでの距離が短くなったところで突破力のあるRB大槻が登場。その第1プレーで中央を突進してTD。初戦の龍谷大戦、同じような状況で中央を突破しながら、相手DBにボールをはじき出されて悔しい思いをした彼が、今度は見事に先制点を奪った。
 得点が入れば、チームは落ち着き、相手には焦る気持ちが芽生える。相手陣25ヤードから始まった甲南大の攻撃は進まず、あげくに第4ダウン、パントといういう状況で痛恨のスナップミス。そのボールをファイターズが押さえ、ゴール前1ヤードで攻守交代。
 この好機にRB澤井が中央を突いてTD。相手にプレゼントしてもらったような得点で14-0とリードを広げる。
 第2Qに入っても、ファイターズのリズムは崩れない。自陣21ヤードから始まった攻撃ではRB前島の10ヤードランから始まり、WR五十嵐、衣笠へのパスを立て続けに決めて敵陣深く迫る。仕上げも五十嵐へのパスでTD。大西のキックも決まって21-0。
 それでも相手は、WRのランなど工夫をこらした攻めで活路を開こうとする。しかし、DB東田のセンスあふれるプレーやDL林のQBサックなどで相手を押し込む。逆にファイターズは前半終了間際にRB澤井へのパス、伊丹のラン、WR百田へのパスなどで陣地を進め、仕上げはQB星野からWR五十嵐へ45ヤードのTDパス。大西のキックも決まって28-0。大きくリードを広げて前半終了。
 しかし後半になり、好守とも控えのメンバーが次々と登場するようになると、徐々に攻撃のリズムが崩れてくる。交代メンバーが限られていることもあったのだろうが、後半の得点は第3Q終了間際にQB星野からWR百田へパスを通し、ランプレーのシリーズを一つ挟んで、WR衣笠に26ヤードのパスを通して挙げた7点だけ。前節の龍谷大戦で84点を挙げて大勝したチームと同じチームとは思えないほどの苦しい戦いだった。
 もちろん、インフルエンザの感染者が急増した影響もあってのことだろう。しかし、チームにとっては、これからが本番。まずは神戸大との対戦が迫っている。先週、能力の高いQBと、それを支える強力なラインを擁する京大を相手に、一歩も引かず、真っ向から渡り合っていたチームである。その力はあなどれない。
 フィールドに立つメンバーはもちろん、控えのメンバーも一丸となって闘ってもらいたい。病床で苦しむ仲間の分まで頑張ってこそ「ファイター」である。
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