石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(13)見所満載の近大戦
3日は文化の日。この休みに近大戦を振り返ろうと考えていた。だが、肝心の「観戦メモ」がない。勤務先の和歌山県田辺市の住まいに持ち込んだまま、西宮の自宅に持ち帰るのを忘れたようだ。
さあ、困った。試合の流れは記憶しているが、メモ帳がなければ試合を振り返るのは難しい。かといって、今から田辺まで往復することは無理だ。思い切って、書くのを諦めようかとも考えたが、それも無責任だ。
それでなくとも、今季は京大戦を「紀伊半島に台風接近」という情報で急きょ、前日に田辺に戻り、欠席したばかりだ。シーズン6試合(今季は同志社大には不戦勝)のうち、2試合も「欠席」とは、いくら何でもひどすぎる。
幸い、チームのホームページに先日の試合結果がアップされている。それを頼りにいくつかの場面を振り返り、私的な感想を綴ってみたい。
立ち上がり、ファイターズは遠投力のあるQB鎌田と強力なレシーバー陣を生かして陣地を進め、相手陣に迫る。しかし、中央左よりから右手ゴール前に投じたパスが深めに守っていた相手DBの胸に入り、インターセプト。
先制の好機が瞬時に暗転。相手陣は一気に勢いづく。守備陣の心の準備が間に合わないのを見越したようにパスを投げ続け、ぐいぐいとファイターズ陣地に迫る。ここはなんとかFGによる3点に食い止めたが、それでも先制点を取れば、相手の気持ちはほぐれる。勢いもつく。
2Qに入ると、ファイターズが短いパスとラン攻撃で相手陣に迫り、仕上げはRB澤井が7ヤードを走り込んでTD。K福井のキックも決まって7-3。
ようやくチームは落ち着く。鎌田からのパスが決まり始め、ラン攻撃も進むようになって仕上げはWR河原林への4ヤードTDパス。相手との競り合いに強い河原林の持ち味を遺憾なく発揮したプレーで14-3。
守備陣が完封して迎えた次の攻撃も、RB伊丹の中央突破でTD。第2Qは攻守ともファイターズペースで進み、前半は21-3で終了。
後半になると、ファイターズは1年生QB星野を起用。「投げてよし、走ってよし、まるで奥野君のようですね」「鎌田君とはタイプが異なるから、双方を想定して準備をしなければならない相手にとっては厄介でしょうね」と場内限定でファイターズが流しているFM放送で、小野ディレクターが解説。「まだ1年生ですからね」と解説の片山OBも相づちを打たれる。
その間にも試合は進行。近大攻撃陣がパスを投げ、QBのランも織り込んで果敢に攻撃する。仕上げはQBランでTD。21-10と追い上げる。
4Qに入るとファイターズは星野がゴール左隅に走り込んだWR鈴木にドンピシャのパスを通してTD。さらに次のシリーズではRB前島や伊丹の走力を生かして相手陣深く迫り、仕上げは伊丹が3ヤードを突破してTD。2週間前の神戸大戦では相手の守備陣に幻惑されいたオフェンスラインも、ようやく落ち着いてきたようだ。
一方、守備陣の動きは1列目、2列目、3列目の動きが試合を重ねるごとにかみ合ってきた。1列目の両翼を守るトゥロター・ショーン礼と亀井は共に動きが素早いし、2列目の海崎、浦野の対応も早い。それに加えて強烈なタックルが持ち味のDB永井が臨機応変の対応をするから、相手にしてみれば厄介な守備陣だろう。DBにはこの日も1、2年生を多く起用しており、彼らが実戦に慣れてくれば、さらに安定してくるはずだ。これから控える関大、立命という強力な攻撃陣を相手に、より攻撃的な守りを期待したい。
最後に個人的な感想を一つ。この試合、残り時間1秒という状況で、星野からWR林へ投じられたパスのことである。ゴールライン左端へのパスを林がキャッチしたのだが、僕はその瞬間、思わず立ち上がり、歓声を挙げた。彼らが上ヶ原の第3フィールドで黙々とそのパスを投じ、キャッチする場面を何度も何度も見てきたからである。
以前にも書いたことだが、ファイターズのレシーバー陣には素晴らしいタレントがそろっている。4年生には糸川、河原林、梅津がおり、3年生には1年時から活躍している鈴木に加え、成長著しい衣笠がいる。TEの小林もここ一番のプレーに強い。
そういう中で、高校時代は野球部だった彼が全く未経験のアメフットに挑戦。黙々と練習を重ね、最終学年の秋になって、ようやく1軍メンバーに上がってきた。主としてキッキングゲームのリターナーとして出場しているが、レシーバーとしてタッチダウンパスを受けるような場面では、ほとんど起用されていなかった。
それが秋本番。勝敗の行方は見えた場面とはいえ、与えられた一度のチャンスを見事TDパスキャッチという形で締めくくってくれた。高校時代から脚光を浴びてきたメンバーに負けじと、必死に努力している姿を見てきただけに、ここに特筆しておきたい。彼に絶妙のパスを投じた1年生、星野の勝負強さと共に。
さあ、困った。試合の流れは記憶しているが、メモ帳がなければ試合を振り返るのは難しい。かといって、今から田辺まで往復することは無理だ。思い切って、書くのを諦めようかとも考えたが、それも無責任だ。
それでなくとも、今季は京大戦を「紀伊半島に台風接近」という情報で急きょ、前日に田辺に戻り、欠席したばかりだ。シーズン6試合(今季は同志社大には不戦勝)のうち、2試合も「欠席」とは、いくら何でもひどすぎる。
幸い、チームのホームページに先日の試合結果がアップされている。それを頼りにいくつかの場面を振り返り、私的な感想を綴ってみたい。
立ち上がり、ファイターズは遠投力のあるQB鎌田と強力なレシーバー陣を生かして陣地を進め、相手陣に迫る。しかし、中央左よりから右手ゴール前に投じたパスが深めに守っていた相手DBの胸に入り、インターセプト。
先制の好機が瞬時に暗転。相手陣は一気に勢いづく。守備陣の心の準備が間に合わないのを見越したようにパスを投げ続け、ぐいぐいとファイターズ陣地に迫る。ここはなんとかFGによる3点に食い止めたが、それでも先制点を取れば、相手の気持ちはほぐれる。勢いもつく。
2Qに入ると、ファイターズが短いパスとラン攻撃で相手陣に迫り、仕上げはRB澤井が7ヤードを走り込んでTD。K福井のキックも決まって7-3。
ようやくチームは落ち着く。鎌田からのパスが決まり始め、ラン攻撃も進むようになって仕上げはWR河原林への4ヤードTDパス。相手との競り合いに強い河原林の持ち味を遺憾なく発揮したプレーで14-3。
守備陣が完封して迎えた次の攻撃も、RB伊丹の中央突破でTD。第2Qは攻守ともファイターズペースで進み、前半は21-3で終了。
後半になると、ファイターズは1年生QB星野を起用。「投げてよし、走ってよし、まるで奥野君のようですね」「鎌田君とはタイプが異なるから、双方を想定して準備をしなければならない相手にとっては厄介でしょうね」と場内限定でファイターズが流しているFM放送で、小野ディレクターが解説。「まだ1年生ですからね」と解説の片山OBも相づちを打たれる。
その間にも試合は進行。近大攻撃陣がパスを投げ、QBのランも織り込んで果敢に攻撃する。仕上げはQBランでTD。21-10と追い上げる。
4Qに入るとファイターズは星野がゴール左隅に走り込んだWR鈴木にドンピシャのパスを通してTD。さらに次のシリーズではRB前島や伊丹の走力を生かして相手陣深く迫り、仕上げは伊丹が3ヤードを突破してTD。2週間前の神戸大戦では相手の守備陣に幻惑されいたオフェンスラインも、ようやく落ち着いてきたようだ。
一方、守備陣の動きは1列目、2列目、3列目の動きが試合を重ねるごとにかみ合ってきた。1列目の両翼を守るトゥロター・ショーン礼と亀井は共に動きが素早いし、2列目の海崎、浦野の対応も早い。それに加えて強烈なタックルが持ち味のDB永井が臨機応変の対応をするから、相手にしてみれば厄介な守備陣だろう。DBにはこの日も1、2年生を多く起用しており、彼らが実戦に慣れてくれば、さらに安定してくるはずだ。これから控える関大、立命という強力な攻撃陣を相手に、より攻撃的な守りを期待したい。
最後に個人的な感想を一つ。この試合、残り時間1秒という状況で、星野からWR林へ投じられたパスのことである。ゴールライン左端へのパスを林がキャッチしたのだが、僕はその瞬間、思わず立ち上がり、歓声を挙げた。彼らが上ヶ原の第3フィールドで黙々とそのパスを投じ、キャッチする場面を何度も何度も見てきたからである。
以前にも書いたことだが、ファイターズのレシーバー陣には素晴らしいタレントがそろっている。4年生には糸川、河原林、梅津がおり、3年生には1年時から活躍している鈴木に加え、成長著しい衣笠がいる。TEの小林もここ一番のプレーに強い。
そういう中で、高校時代は野球部だった彼が全く未経験のアメフットに挑戦。黙々と練習を重ね、最終学年の秋になって、ようやく1軍メンバーに上がってきた。主としてキッキングゲームのリターナーとして出場しているが、レシーバーとしてタッチダウンパスを受けるような場面では、ほとんど起用されていなかった。
それが秋本番。勝敗の行方は見えた場面とはいえ、与えられた一度のチャンスを見事TDパスキャッチという形で締めくくってくれた。高校時代から脚光を浴びてきたメンバーに負けじと、必死に努力している姿を見てきただけに、ここに特筆しておきたい。彼に絶妙のパスを投じた1年生、星野の勝負強さと共に。
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