石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」

(6)本当の魅力

投稿日時:2022/07/19(火) 06:52rss

 コロナ禍がぶり返し、前期試験もあって第3フィールドから、すっかり人影が消えた。週末は、自転車をこいで仁川からの坂道を上り、ファイターズの練習を見学するのが日課だった僕も、練習がないのではなすすべがない。家にこもって昔読んだ藤沢周平や辻原登、それに山田風太郎らの本を次々に引っ張り出し、読んでは眠り、起きては読むことの繰り返しで日を送っている。
 そんな怠惰な週末、待ちかねていた小野宏ディレクターの講演会のニュースが届いた。「アメリカンフットボールの本当の魅力」。主催する朝日カルチャーセンター川西の案内によると、8月26日18時半、川西駅前のアステホール(アステ川西6階)、オンライン講座も併設とある。
 これはファイターズの保護者やファンの方々にとびきり人気のある講座。毎回、100人、200人単位でファイターズファンが詰めかけ、小野ディレクターの理詰めの解説を聞く。要所要所にビデオの映像を交え、ファイターズの戦術やプレーについて詳細に解説し、なぜそのプレーが企画され、どうした仕組みで成功したのか(あるいは防がれたのか)といったことを分かりやすく解説してもらえる。
 現役の頃からファイターズの頭脳と呼ばれ、卒業後は朝日新聞に就職。記者として将来を期待されていたのに、大学職員に転職してコーチとしてチームに戻り、ずっとファイターズを育ててこられた人の解説である。いまは幹部職員として忙しく、第3フィールドで顔を会わせる機会もほとんどないが、それでも試合のたびに場内だけのFM放送で試合の解説を担当されている。それを隣で聞きながら、なるほど、なるほどとうなずくのが僕の楽しみである。
 今年の講座では、昨年秋、関西リーグと甲子園出場校決定戦の2度にわたって死闘を繰り広げた立命館との試合を中心に解説。なぜ、ファイターズが勝てたのか、その戦術やプレーについて、映像を交えて話してもらえる。現場で応援していた人はもちろん、テレビの解説者らも見逃していた場面を取り上げ、なぜ、そのプレーが選択されたのか、そのプレーを成功させるためにどんな工夫があったのかといった点について説明してもらえる。
 そこからフットボールの持つ奥行きの深さや、現場を預かる監督やコーチの役割の大きさ、向上心を持った選手を育てることの重要性などを説明し、フットボールという競技の持つ独特の魅力について語られる。
 同じボールゲームでありながら、野球やサッカーなどとは異なり、フットボールは1プレーごとに試合が中断し、選手が交代できる。代わりに競技時間は厳格に管理され、決められた時間の中で勝敗が決まる。そういう他の競技にない特徴を片方は生かそうとし、もう片方のチームはそれを無効化させるために知恵を絞る。その駆け引きと奥の深さが理解できるようになれば、応援する側の楽しさもより深まる。
 チーム作りから実際の試合まで、それぞれの場面に秘められている「フットボールの本当の魅力」。それを昨年の2度にわたる立命館との戦いを中心にビデオで振り返り、解説しましょうという講座である。ファイターズファンなら、何があっても見逃せない。
 オンライン講座を含め、申し込みは朝日カルチャーセンターのホームページから。参加費は3190円(会員は2750円)。

※編集者注:講座の詳細は以下からご参照ください。
http://www.kgfighters.com/topics_detail2/id=1458
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