石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」

(1)さあ、シーズンイン

投稿日時:2010/03/31(水) 08:30rss

 4月。新しい学年が始まる。1日と2日は関西学院大学の入学式。同時にファイターズも待ちに待ったシーズンの開幕である。昨年の立命戦の報告を最後に長い眠りについていたこのコラムも、今日から再開である。
 2日には例年通り、第3フィールドを見下ろす平郡君のヤマモモの木の前に選手、スタッフ全員が集まって礼拝をし、前島先生の司式でシーズンの安全を祈り、日本1に向かって本気で戦うことを誓うはずだ。
 もちろん、チームはそんなスケジュールとは関係なく、昨年のシーズンが終わった直後から新しい体制を整え、新4年生以下全員で練習に取り組んできた。「主務のブログ」で柚木君が書いている通り、2月から3月にかけては2度の学内合宿を行い、体力づくりやミーティングに励んできた。甲山を走る「走りモノ」も存分に取り入れ、くたくたになるまで走り込んだ。
 僕も週末を中心に、何度も冬場の練習を見学させてもらったが、今年の練習は密度が濃い。1昨年より昨年、昨年より今年と、年々密度が濃くなっているように見える。それも試合を意識するというより、体力づくりに主眼を置いた練習。新しいプレーに取り組むというより、基礎的な動作にじっくり取り組んでいるのが印象的だった。
 もちろん、この時期には秋学期の試験もあるし、4年生にとってはいまが就職活動まっただ中。フットボール漬けの生活なんて、望むべくもない。練習の日程をやりくりして会社説明会に走り、エントリーシートを書かなければならない。練習が休みの日にはOB訪問もしなければならないし、時には会社から個人面談の呼び出しがかかる。
 多くの企業が採用枠をしぼり、就職氷河期を超える厳しい就職戦線とあって、ファイターズの面々にとっても戦いは厳しい。一般学生に比較すると、ファイターズの諸君はその活動が高く評価されているとはいうものの、それでも内定にまでたどり着くのは容易ではない。
 先日の合宿でも、夜間、新4年生を対象に、就職活動に詳しいOBやコーチが手分けして個人面談とアドバイスの時間を持った。僕も、朝日新聞社で小論文の採点委員や面接を担当した経験を買われて参加し、3日間、計10人ほどの学生に参考になりそうな話をさせてもらった。
 打ち明けると、僕はこの10年近く「マスコミ志望者の小論文講座」というのを大学で開講。就職活動を控えた学生に小論文の書き方やエントリーシートの書き方を指導し、面接でいかに自分をアピールするかということを助言している。朝日、毎日、読売、中日、中国新聞など大手の新聞社や日刊スポーツ、NHK、関西テレビなどに送り込んだ教え子は都合30余人。「就職指導のカリスマ」と自称している(だれもそんな風に呼んでくれないのがさびしい)のです。
 余談はさておき、4年生にとっては、いまが学生として一番忙しい時期、勝負の時でもある。少なくとも向こう1カ月は、全力で就職活動に取り組む時間であり、アメフット三昧とはいかないのである。
 けれども、新しいチームにとっては、4年生のリーダーシップが問われる。主将、副将も、パートリーダーもすべてが4年生。昨年、1昨年と優勝できなかった悔しさを一番知っているのも4年生。シーズンにかける気持ちが一番強いのも4年生である。
 その気持ちを練習でどのように具体化していくか。シーズンが始まれば秋のリーグ戦まではあっという間である。就職活動と両立させるのは苦しいだろうが、これも学生として必要な苦労であり、これからの人生にとって極めて大切な時間である。日々密度の濃い生活を送り、練習内容を工夫して、秋に備えてほしい。
      ◇      ◇
 4カ月間休載していた「スタンドから」を再開します。今年は、大学生の課外活動としてのアメリカンフットボールに焦点を当てながら、書きすすめたいと考えています。ご愛読下さい。
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