石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(6)「イチロー実録」
先日、ファイターズOB(1988年度卒)の小西慶三さんから『イチロー実録』(文藝春秋)を贈っていただいた。
オリックスで、日本の球史に残る数々の記録を達成してメジャーリーグに挑戦。2001年から19年までメジャーリーガーとして活躍されてきたイチロー選手を最も長く取材してきた記者だからこそ書けた「イチロー語録」である。
詳しくは、この本を読んでいただくしかないが、イチローという日米の球史に残る名選手の発言と行動、野球に取り組む「哲学」を一番身近に取材してきた記者ならではの文章で紹介されている。
例えば、プロローグにこんな言葉がある。「自分で決めたことを継続する。常識を疑う。成功体験をぶっ壊してまで自らの感性を大切にする。信念を貫く」
「他人に笑われようが、ケチを付けられようが、そこに可能性がある限り、最善を尽くすのが彼の生き方だった」
「彼が一番伝えたかったこととは、自分に与えられた条件下で後悔なく生きることではなかったか。だから、やれることはすべてやる」
こんな言葉も紹介している。「できる限りの準備をして、それでも結果が出ないときがある。だから野球は面白い」
本文にも、こんな言葉がある。「負けているチームだから、とモチベーションが下がる選手がいる。でも、そういう選手は状況に言い訳を求めて逃げている」
「5万ドルをもらったら、5万1千ドルの仕事を心掛けないといけない。もらっているもの以上の仕事を心掛ければ、その仕事は長続きする」
2016年8月7日、ロッキーズ戦で、メジャーリーグ3000本安打を記録した時には「僕にとっては3000という数字よりも、僕が何かをすることによって僕以外の人たちが喜んでくれる。そのことがなによりも大事でした。それを再認識した瞬間でした」と言った、と紹介している。
そして、エピローグには、彼のこんな言葉が記されている。「できる限りの準備をしたとしても、良い結果が出るかどうかは分からない。だから、野球は面白いんですよ」
オリックスの担当記者としてイチロー選手の取材を始めて以来、20年以上この選手を追いかけ、食いついて取材を重ね、今もアメリカに住み着いてその姿を追い続けている小西記者の「記者魂」が乗り移ったような「実録」である。興味を持たれた方は、是非とも本屋に走り、我が手に取ってお読みいただきたい。決して損はさせません。
と、ファイターズのホームページで小西記者の本を紹介させて頂いたのは、ほかでもない。実は、ファイターズの選手の中にも、イチロー選手の自主トレーニングを見学し、一緒に身体を動かしたメンバーが何人か存在するからである。
あれは、現在の4年生が1年生の冬、成人式の日だった。イチロー選手が神戸で自主トレをされている場面を少数のファイターズのメンバーと一緒に見学させてもらう機会があった。僕は見学だけだが、イチロー選手からの特別の計らいで、選手らは一緒にダイヤモンドを走り、打撃投手を務めるイチロー選手の球を打つ機会を作っていただいた。
ファイターズからは、今は攻守のリーダーとして活躍している副将の前田君やDB北川君らが参加し、イチローさんと一緒に走ったが、驚いたのは、その瞬発力がまるで別次元だったこと。ファイターズのスピードスターたちが、40歳を超えたイチローさんに全く歯が立たなかった。
その後、打席に立って「投手・イチロー」の球を打つ機会も作ってもらったが、そこでもバットに当てるのが精一杯。中にはすべて空振り、というメンバーもいた。
練習に参加させてもらったメンバーにとっては、こうした出会いを与えていただき、今も記憶に残っているはずのイチロー選手が、実はこうした「考え方」「野球哲学」を持って精進されてきたことを知るのは、意味深いことであろう。そう考えて、チームの先輩でもある小西氏の著書を紹介させてもらった。
目の前に立命との決戦が迫っている。そんな時だからこそ、自分を見つめ直し、覚悟を決めるためにも、こうした本を手に取るのは意義深いことであろう。
「できる限りの準備をしても、良い結果が出るとは限らない。だから野球は面白いんですよ」というイチロー選手の言葉を、ファイターズの全員に贈りたい。
オリックスで、日本の球史に残る数々の記録を達成してメジャーリーグに挑戦。2001年から19年までメジャーリーガーとして活躍されてきたイチロー選手を最も長く取材してきた記者だからこそ書けた「イチロー語録」である。
詳しくは、この本を読んでいただくしかないが、イチローという日米の球史に残る名選手の発言と行動、野球に取り組む「哲学」を一番身近に取材してきた記者ならではの文章で紹介されている。
例えば、プロローグにこんな言葉がある。「自分で決めたことを継続する。常識を疑う。成功体験をぶっ壊してまで自らの感性を大切にする。信念を貫く」
「他人に笑われようが、ケチを付けられようが、そこに可能性がある限り、最善を尽くすのが彼の生き方だった」
「彼が一番伝えたかったこととは、自分に与えられた条件下で後悔なく生きることではなかったか。だから、やれることはすべてやる」
こんな言葉も紹介している。「できる限りの準備をして、それでも結果が出ないときがある。だから野球は面白い」
本文にも、こんな言葉がある。「負けているチームだから、とモチベーションが下がる選手がいる。でも、そういう選手は状況に言い訳を求めて逃げている」
「5万ドルをもらったら、5万1千ドルの仕事を心掛けないといけない。もらっているもの以上の仕事を心掛ければ、その仕事は長続きする」
2016年8月7日、ロッキーズ戦で、メジャーリーグ3000本安打を記録した時には「僕にとっては3000という数字よりも、僕が何かをすることによって僕以外の人たちが喜んでくれる。そのことがなによりも大事でした。それを再認識した瞬間でした」と言った、と紹介している。
そして、エピローグには、彼のこんな言葉が記されている。「できる限りの準備をしたとしても、良い結果が出るかどうかは分からない。だから、野球は面白いんですよ」
オリックスの担当記者としてイチロー選手の取材を始めて以来、20年以上この選手を追いかけ、食いついて取材を重ね、今もアメリカに住み着いてその姿を追い続けている小西記者の「記者魂」が乗り移ったような「実録」である。興味を持たれた方は、是非とも本屋に走り、我が手に取ってお読みいただきたい。決して損はさせません。
と、ファイターズのホームページで小西記者の本を紹介させて頂いたのは、ほかでもない。実は、ファイターズの選手の中にも、イチロー選手の自主トレーニングを見学し、一緒に身体を動かしたメンバーが何人か存在するからである。
あれは、現在の4年生が1年生の冬、成人式の日だった。イチロー選手が神戸で自主トレをされている場面を少数のファイターズのメンバーと一緒に見学させてもらう機会があった。僕は見学だけだが、イチロー選手からの特別の計らいで、選手らは一緒にダイヤモンドを走り、打撃投手を務めるイチロー選手の球を打つ機会を作っていただいた。
ファイターズからは、今は攻守のリーダーとして活躍している副将の前田君やDB北川君らが参加し、イチローさんと一緒に走ったが、驚いたのは、その瞬発力がまるで別次元だったこと。ファイターズのスピードスターたちが、40歳を超えたイチローさんに全く歯が立たなかった。
その後、打席に立って「投手・イチロー」の球を打つ機会も作ってもらったが、そこでもバットに当てるのが精一杯。中にはすべて空振り、というメンバーもいた。
練習に参加させてもらったメンバーにとっては、こうした出会いを与えていただき、今も記憶に残っているはずのイチロー選手が、実はこうした「考え方」「野球哲学」を持って精進されてきたことを知るのは、意味深いことであろう。そう考えて、チームの先輩でもある小西氏の著書を紹介させてもらった。
目の前に立命との決戦が迫っている。そんな時だからこそ、自分を見つめ直し、覚悟を決めるためにも、こうした本を手に取るのは意義深いことであろう。
「できる限りの準備をしても、良い結果が出るとは限らない。だから野球は面白いんですよ」というイチロー選手の言葉を、ファイターズの全員に贈りたい。
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