石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(20)イチローさんの言葉
日米通算で4367安打を記録したイチローさん(45)がマリナーズから「球団に貢献し、大きな功績を残した人」に贈られる「フランチャイズ・アチーブメント賞」(特別功労賞)を贈られた。マリナーズの本拠地Tモバイルパークで行われた授与式での挨拶がめちゃくちゃかっこいい。
原文は英語だが、ネットでそのニュースを伝える「full Count」の翻訳を引用して、そのさわりの部分を紹介したい。
冒頭、シアトルのファンに対し「みなさんからの何年にもわたるサポートに対して感謝の気持ちを表したい」とあいさつ。「2001年に私がシアトルに来た時、それまで日本から来た野手は一人もいませんでした。みなさんが見たのは27歳の、小柄で、細い、無名の選手でした。みなさんが私を受け入れない理由は多くありました。しかし、大きな心で私を受け入れてくれました。そしてそれは、私がここを離れても、そして戻ってきたときも、決して止むことはありませんでした。2018年にここへ戻ってくるチャンスを与えて頂き、本当にありがたく思っています。その理由はみなさん、ファンの方々です」と続ける。
そのうえで「野球をこよなく愛し、リスペクトしてやまない人たちの前でプレーすることは、私にとっても幸せなことでした」「私が知っている最も素晴らしい選手たちと共に、またはそのような選手を相手にプレーできたことは、大きな誇りです」と続ける。
最後に、キャリアを振り返って「私が誇りに思うことが少しでもあるとすれば、毎日、困難を乗り越え、毎日、同じような情熱を持って2001年の最初の日から2019年の最後の日まで臨むことができたことです」「選手たちに思い出してほしいのは、プロフェッショナルであると言うことの意味です。シーズンが終わりに近づいた日々は、シーズンの初めの日々、そしてその間の日々と同じように重要です。毎日、同じ情熱を持って仕事に臨んでいかなければなりません。それが自身のパフォーマンスに与える、そしてこの特別な試合を楽しんでいるファンに与える最高のギフトとなります」と結ぶ。
自らの人生をかけて野球に生きたプロフェッショナルならではの言葉である。日本で比類なき実績を挙げてきた選手であっても、メジャーリーグでは「27歳の、小柄で、細い、無名の選手」が、「毎日、困難を乗り越え、毎日、同じような情熱を持って、2001年の最初の日から2019年の最後の日まで、臨むことができたことを誇りに思う」と言い切る、その長い歳月とたゆまぬ努力に思いを馳せたとき、僕には言いしれぬ感動が押し寄せてきた。そして、この感動をファイターズの諸君にも共有してもらい、自己研鑽の道標にしてもらいたいと思った。
イチローさんの言葉は、競技種目は異なり、プロとアマとの違いはあっても、日々、向上心を持ってフットボールに取り組んでいるファイターズの諸君の胸にも、きっと響くに違いない。というより、こういう言葉にインスパイアされないようでは、フットボールのレベルも人間としての感受性も養われるはずがないとまで思う。
イチローさんはファイターズにとっても、縁の深い選手だった。毎年、シーズンが始まる前には、オリックスの選手時代からなじみのある球場で自主トレーニングをされるのが習慣になっていたが、そのトレーニングを共にする機会を与えられた選手が何人もいる。特別サービスで、打席に立たせてもらい、氏の投げるボールを打たせてもらった選手もいる。
氏の取材を都合19年間にわたって取材し「イチローの流儀」(新潮社)という読み応えのある著書もある小西慶三氏(1988年度卒)から、イチロー選手の野球に対する取り組みについて講義を受けた学年もある。
そうした体験が選手にどんな影響を及ぼしたかは僕の知るところではない。しかし、少なくとも僕は今春、ほんの短時間だったが、イチロー選手が自主トレーニングされている場に同席させていただき、大きな刺激を受けた。今回の授与式でのイチローさんの言葉もまた、僕の胸に突き刺さる。ファイターズの諸君の胸にもきっと強い影響を与えると思って、たまたまネットで見つけた話を紹介させていただいた(full Countさん、ありがとうございます)。
最後にひとこと。小西氏とイチローさんとの関わりは、今年のイヤーブックの巻末にある「社会で輝く青い星」でも紹介されている。示唆に富む内容であり、選手諸君にはぜひとも熟読してもらいたい。
原文は英語だが、ネットでそのニュースを伝える「full Count」の翻訳を引用して、そのさわりの部分を紹介したい。
冒頭、シアトルのファンに対し「みなさんからの何年にもわたるサポートに対して感謝の気持ちを表したい」とあいさつ。「2001年に私がシアトルに来た時、それまで日本から来た野手は一人もいませんでした。みなさんが見たのは27歳の、小柄で、細い、無名の選手でした。みなさんが私を受け入れない理由は多くありました。しかし、大きな心で私を受け入れてくれました。そしてそれは、私がここを離れても、そして戻ってきたときも、決して止むことはありませんでした。2018年にここへ戻ってくるチャンスを与えて頂き、本当にありがたく思っています。その理由はみなさん、ファンの方々です」と続ける。
そのうえで「野球をこよなく愛し、リスペクトしてやまない人たちの前でプレーすることは、私にとっても幸せなことでした」「私が知っている最も素晴らしい選手たちと共に、またはそのような選手を相手にプレーできたことは、大きな誇りです」と続ける。
最後に、キャリアを振り返って「私が誇りに思うことが少しでもあるとすれば、毎日、困難を乗り越え、毎日、同じような情熱を持って2001年の最初の日から2019年の最後の日まで臨むことができたことです」「選手たちに思い出してほしいのは、プロフェッショナルであると言うことの意味です。シーズンが終わりに近づいた日々は、シーズンの初めの日々、そしてその間の日々と同じように重要です。毎日、同じ情熱を持って仕事に臨んでいかなければなりません。それが自身のパフォーマンスに与える、そしてこの特別な試合を楽しんでいるファンに与える最高のギフトとなります」と結ぶ。
自らの人生をかけて野球に生きたプロフェッショナルならではの言葉である。日本で比類なき実績を挙げてきた選手であっても、メジャーリーグでは「27歳の、小柄で、細い、無名の選手」が、「毎日、困難を乗り越え、毎日、同じような情熱を持って、2001年の最初の日から2019年の最後の日まで、臨むことができたことを誇りに思う」と言い切る、その長い歳月とたゆまぬ努力に思いを馳せたとき、僕には言いしれぬ感動が押し寄せてきた。そして、この感動をファイターズの諸君にも共有してもらい、自己研鑽の道標にしてもらいたいと思った。
イチローさんの言葉は、競技種目は異なり、プロとアマとの違いはあっても、日々、向上心を持ってフットボールに取り組んでいるファイターズの諸君の胸にも、きっと響くに違いない。というより、こういう言葉にインスパイアされないようでは、フットボールのレベルも人間としての感受性も養われるはずがないとまで思う。
イチローさんはファイターズにとっても、縁の深い選手だった。毎年、シーズンが始まる前には、オリックスの選手時代からなじみのある球場で自主トレーニングをされるのが習慣になっていたが、そのトレーニングを共にする機会を与えられた選手が何人もいる。特別サービスで、打席に立たせてもらい、氏の投げるボールを打たせてもらった選手もいる。
氏の取材を都合19年間にわたって取材し「イチローの流儀」(新潮社)という読み応えのある著書もある小西慶三氏(1988年度卒)から、イチロー選手の野球に対する取り組みについて講義を受けた学年もある。
そうした体験が選手にどんな影響を及ぼしたかは僕の知るところではない。しかし、少なくとも僕は今春、ほんの短時間だったが、イチロー選手が自主トレーニングされている場に同席させていただき、大きな刺激を受けた。今回の授与式でのイチローさんの言葉もまた、僕の胸に突き刺さる。ファイターズの諸君の胸にもきっと強い影響を与えると思って、たまたまネットで見つけた話を紹介させていただいた(full Countさん、ありがとうございます)。
最後にひとこと。小西氏とイチローさんとの関わりは、今年のイヤーブックの巻末にある「社会で輝く青い星」でも紹介されている。示唆に富む内容であり、選手諸君にはぜひとも熟読してもらいたい。
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