石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(4)新星登場
意外に思われる方が多いかも知れないが、鳥内監督は「言葉の達人」である。
試合中、グラウンドで仁王立ちになっている姿だけを見ている人には、なんだか近寄りがたい雰囲気があるかもしれないが、近くで接していると、短いけれどもずばりと核心を突いた言葉に出くわすことが少なくない。折々に部員に問い掛ける「どんな男になんねん」という言葉は、ファイターズに籍を置いた人間なら誰もが聞かされた言葉だろう。「君らが日本1になる言うから、僕らが手伝ってんねん。主役は君らや。勘違いしたらあかんで」という言葉も何度も聞いた。
そんな語録のなかで、僕が一番好きなのは「君らは(下級生に)助けてもらう立場やで」。これは、経験値の高い上級生がミスをした下級生を怒鳴りつけたり、威張ったりするような場面を見たときに発せられる。チームの運営は、その年の4年生に任せ、その指導力、リーダーシップに期待する。しかし、上級生がその立場を背景に、下級生を頭ごなしに叱ったりすることは許さない。チームに属する全員が日本1という目標に向かって互いに高め合うこと、そういう部活動であってこそ下級生も成長する。下級生の成長があってこそ、上級生ももう一段上の段階を目指して精進し、全体のレベルが上がっていく。そういう活動こそがファイターズの目指す部活動であるという信念に基づいた言葉であろう。
そうした視点でファイターズの試合を観戦すれば、楽しみは一段と深くなる。2019年春の初戦。法政大学との試合は、その意味では見所が満載だった。
まず新しく2年生になったばかりの新星が次々に登場し、それぞれがきらりと光るところを見せてくれた。先発メンバーに名前を連ねた2年生は7人。OLの福田、牧野、WRの鏡味、DLの青木、DBの北川、和泉、竹原である。先発ではなかったが、LB赤倉、都賀、DB前田、DL小林、OL二木、田中、RB前田、齋藤、安西、WR遠藤らも交代メンバーとして活躍。経験豊富な3、4年生とも対抗出来るような動きみせてくれた。
昨秋の試合にも出場した北川や青木、赤倉のことを知っているファンは多いだろうが、残る2年生にはほとんど公式戦の出場経験がない。高校時代は別のスポーツをやっていたメンバーさえいる。
それが1年間の雌伏期間を経て、開幕戦でしっかり存在感を見せてくれた。RBの前田弟や齋藤は互いに何度もボールを託され、そのたびにパワフルな走りを見せた。上級生を押しのけて先発したOLの牧野と福田は、強烈なパワーで相手ラインを押し込み、ライン戦の主導権をもたらせた。同様、ディフェンスの青木や北川、竹原らも物怖じせずに動き回り、今季の期待値をふくらませてくれた。
昨秋の厳しい試合で経験を積んだ3年生も昨季より一回り成長した姿を見せてくれた。投じられた9回のパスをすべてキャッチし、都合137ヤードを稼いだWR鈴木は、この試合のMVPといってもよいほどのできばえだったし、先発したQB奥野も前半だけの出場だったが、終始、沈着冷静なプレーを見せてくれた。初戦の緊張した雰囲気の中で、16回パスを投げて13回成功。パスだけで154ヤードを稼いでいるのだから文句の付けようがない。同じ3年生ではRB三宅がチームトップの69ヤードを走り、前半だけで2本のTDを挙げた。高校時代はバスケットボール選手だったTE亀井も、未経験者とは思えないほどの強い当たりとパスキャッチで、今季の期待値を大いに高めた。
昨シーズンからチームを背負ってきた4年生に加えて、この日はこうした下級生が次々に登場し、存分に活躍してくれた。今季に期待される新星の見本市といってもいい。
結果は42-0。相手側の攻撃がシンプルで、守りやすかったこと、前半にファイターズがペースをつかみ、終始、落ち着いてプレーできたことなどを割り引いても、今季の初戦としては上々の滑り出しである。
冒頭の話に戻ると、期待の新星が力を発揮すれば、それに負けじと上級生が頑張る。頑張る上級生の活動を見て、下級生がさらに熱心に練習に取り組む。そういうサイクルを定着させていくために、今度は4年生が踏ん張る番だ。次戦、5月5日の慶応戦は、そういう視点で4年生の動きに注目したい。
試合中、グラウンドで仁王立ちになっている姿だけを見ている人には、なんだか近寄りがたい雰囲気があるかもしれないが、近くで接していると、短いけれどもずばりと核心を突いた言葉に出くわすことが少なくない。折々に部員に問い掛ける「どんな男になんねん」という言葉は、ファイターズに籍を置いた人間なら誰もが聞かされた言葉だろう。「君らが日本1になる言うから、僕らが手伝ってんねん。主役は君らや。勘違いしたらあかんで」という言葉も何度も聞いた。
そんな語録のなかで、僕が一番好きなのは「君らは(下級生に)助けてもらう立場やで」。これは、経験値の高い上級生がミスをした下級生を怒鳴りつけたり、威張ったりするような場面を見たときに発せられる。チームの運営は、その年の4年生に任せ、その指導力、リーダーシップに期待する。しかし、上級生がその立場を背景に、下級生を頭ごなしに叱ったりすることは許さない。チームに属する全員が日本1という目標に向かって互いに高め合うこと、そういう部活動であってこそ下級生も成長する。下級生の成長があってこそ、上級生ももう一段上の段階を目指して精進し、全体のレベルが上がっていく。そういう活動こそがファイターズの目指す部活動であるという信念に基づいた言葉であろう。
そうした視点でファイターズの試合を観戦すれば、楽しみは一段と深くなる。2019年春の初戦。法政大学との試合は、その意味では見所が満載だった。
まず新しく2年生になったばかりの新星が次々に登場し、それぞれがきらりと光るところを見せてくれた。先発メンバーに名前を連ねた2年生は7人。OLの福田、牧野、WRの鏡味、DLの青木、DBの北川、和泉、竹原である。先発ではなかったが、LB赤倉、都賀、DB前田、DL小林、OL二木、田中、RB前田、齋藤、安西、WR遠藤らも交代メンバーとして活躍。経験豊富な3、4年生とも対抗出来るような動きみせてくれた。
昨秋の試合にも出場した北川や青木、赤倉のことを知っているファンは多いだろうが、残る2年生にはほとんど公式戦の出場経験がない。高校時代は別のスポーツをやっていたメンバーさえいる。
それが1年間の雌伏期間を経て、開幕戦でしっかり存在感を見せてくれた。RBの前田弟や齋藤は互いに何度もボールを託され、そのたびにパワフルな走りを見せた。上級生を押しのけて先発したOLの牧野と福田は、強烈なパワーで相手ラインを押し込み、ライン戦の主導権をもたらせた。同様、ディフェンスの青木や北川、竹原らも物怖じせずに動き回り、今季の期待値をふくらませてくれた。
昨秋の厳しい試合で経験を積んだ3年生も昨季より一回り成長した姿を見せてくれた。投じられた9回のパスをすべてキャッチし、都合137ヤードを稼いだWR鈴木は、この試合のMVPといってもよいほどのできばえだったし、先発したQB奥野も前半だけの出場だったが、終始、沈着冷静なプレーを見せてくれた。初戦の緊張した雰囲気の中で、16回パスを投げて13回成功。パスだけで154ヤードを稼いでいるのだから文句の付けようがない。同じ3年生ではRB三宅がチームトップの69ヤードを走り、前半だけで2本のTDを挙げた。高校時代はバスケットボール選手だったTE亀井も、未経験者とは思えないほどの強い当たりとパスキャッチで、今季の期待値を大いに高めた。
昨シーズンからチームを背負ってきた4年生に加えて、この日はこうした下級生が次々に登場し、存分に活躍してくれた。今季に期待される新星の見本市といってもいい。
結果は42-0。相手側の攻撃がシンプルで、守りやすかったこと、前半にファイターズがペースをつかみ、終始、落ち着いてプレーできたことなどを割り引いても、今季の初戦としては上々の滑り出しである。
冒頭の話に戻ると、期待の新星が力を発揮すれば、それに負けじと上級生が頑張る。頑張る上級生の活動を見て、下級生がさらに熱心に練習に取り組む。そういうサイクルを定着させていくために、今度は4年生が踏ん張る番だ。次戦、5月5日の慶応戦は、そういう視点で4年生の動きに注目したい。
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