石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(21)強いチームと並のチーム
関西リーグ第4戦。甲南大との試合は、ファイターズの二つの側面を浮き彫りにした。攻守ともに勢いのあるメンバーを並べた前半のチームと、交代メンバーが次々と登場した後半のチームでは、その試合振りがまるで別のチームのように見えた。名付けてみれば、強いチームと並のチームである。
試合経過を見れば、このことは即座に理解できる。
ファイターズのレシーブで試合開始。自陣25ヤードから始まった第1プレーでは、RB中村が中央をついて4ヤード前進。続いてQB奥野からWR阿部へのパスでダウンを更新。続く第3プレーでRB渡邊が中央を突破。そのまま61ヤードを独走してタッチダウン。K安藤のキックも決まって7-0とリード。キックオフからわずか3プレー、消費時間でいえば1分ほどで試合の主導権を握った。
守備陣もこのリズムを崩さない。わずか3プレーで相手をパントに追いやり、相手陣33ヤードから再び攻撃権を手にする。
これに呼応して攻撃陣も勢いよく攻め込む。奥野から阿部やWR鈴木へのミドルパスが続けさまにヒット。ゴール前3ヤードに迫ると、今度はRB三宅が左サイドを駆け上がってタッチダウン。
続く相手の攻撃では、相手がファンブルしたボールをファイターズ守備陣が素早くカバーし、相手陣48ヤード付近で攻守交代。即座に奥野からWR小田へ45ヤードのパスがヒットしてゴール前5ヤード。今度はRB中村が中央を抜けてTD。思わぬターンオーバーで相手守備陣が混乱している隙をついたリズミカルな攻撃でリードを広げる。
ファイターズ4度目の攻撃も、奥野から阿部へのパスから始まり、RB陣のパワープレー、奥野のキープなどで簡単に陣地を進める。ラインがしっかり相手を押し込んでいるからこそであろう。仕上げはWR鈴木へのパスで4本目のTD。第2クオーターが始まったばかりというのに28-0とリードを広げた。
この間、守備陣は相手の攻撃をことごとく押さえ、即座に攻撃権を奪回。オフェンスもまた4回の攻撃シリーズをすべてTDで締めくくった。理想の展開であり、強いファイターズという形容がぴったりだった。
ところが第2Qの途中から、徐々に交代メンバーが出場し、QBも西野に交代したあたりから様子が一変する。パスは通らず、ランも進まない。守備陣も、二人のQBを交互に入れて攻め込んでくる相手に振り回されるようになる。強いチームが並のチームになってしまったのである。
結局、後半のTDは第4Qに渡邊とRB富永のランで挙げた2本だけ。立ち上がりの勢いのある攻撃はどこへ行ったのか。パスの成功率が一気に下落してしまったのはどうしてか。僕の頭の中には、消化不良のままの疑問がいまも残っている。同時に、こうした並のチームで、無敗で前半戦を切り抜けてきた立命や関大のタレント軍団に対抗出来るのか。そんな疑問が次々と噴出してきた。
そこで試合後、新聞記者のインタビューの隙を見て鳥内監督に質問。試合の感想と、今後の練習への取り組みなどについて聞いた。
次のような断片的な言葉が返ってきた。
「攻守とも、4年生にどれだけの危機意識があるかとうことですね。もっと危機感を持って練習せなあきません」「練習はしているようだけど、それが勝つための練習になっているのかどうか。4年生はいつもそう問い掛け、工夫をしていかなあきません」
毎年、新たな人材を発掘し、その人材が大事な試合を任せられるかどうかを常に気にかけている監督ならではの言葉だった。
光藤主将が率いる今季のファイターズは強いチームなのか、それとも本当に強い相手から見たら並のチームなのか。
僕にはまだ、答えは出せない。分かっているのは、アメフットは先発メンバーだけでは戦いきれないということ。まずは交代メンバーの底上げを図らなければならないこと。そのためには、グラウンドに立つ全員が高い意識と目的を持った練習を徹底すること。日々の練習から本番を想定し、それに向かって全力を出し切ること。そうした点に注目するしかない。
そう考えた上で、今週末は上ヶ原のグラウンドでの部員の動きをしっかり目に焼き付けてみたい。けがから回復途上にあるメンバーを励ますことも忘れないようにしよう。
次節から始まる3試合は、チームに属するすべての人間の本気度をあぶり出す戦いである。言い訳は通用しない。やるか、やられるか。そういう戦いである。それに向かって、部員全員がどこまで集中できるか。
先発メンバーはもちろん、交代メンバーたちの動向から目が離せない。
試合経過を見れば、このことは即座に理解できる。
ファイターズのレシーブで試合開始。自陣25ヤードから始まった第1プレーでは、RB中村が中央をついて4ヤード前進。続いてQB奥野からWR阿部へのパスでダウンを更新。続く第3プレーでRB渡邊が中央を突破。そのまま61ヤードを独走してタッチダウン。K安藤のキックも決まって7-0とリード。キックオフからわずか3プレー、消費時間でいえば1分ほどで試合の主導権を握った。
守備陣もこのリズムを崩さない。わずか3プレーで相手をパントに追いやり、相手陣33ヤードから再び攻撃権を手にする。
これに呼応して攻撃陣も勢いよく攻め込む。奥野から阿部やWR鈴木へのミドルパスが続けさまにヒット。ゴール前3ヤードに迫ると、今度はRB三宅が左サイドを駆け上がってタッチダウン。
続く相手の攻撃では、相手がファンブルしたボールをファイターズ守備陣が素早くカバーし、相手陣48ヤード付近で攻守交代。即座に奥野からWR小田へ45ヤードのパスがヒットしてゴール前5ヤード。今度はRB中村が中央を抜けてTD。思わぬターンオーバーで相手守備陣が混乱している隙をついたリズミカルな攻撃でリードを広げる。
ファイターズ4度目の攻撃も、奥野から阿部へのパスから始まり、RB陣のパワープレー、奥野のキープなどで簡単に陣地を進める。ラインがしっかり相手を押し込んでいるからこそであろう。仕上げはWR鈴木へのパスで4本目のTD。第2クオーターが始まったばかりというのに28-0とリードを広げた。
この間、守備陣は相手の攻撃をことごとく押さえ、即座に攻撃権を奪回。オフェンスもまた4回の攻撃シリーズをすべてTDで締めくくった。理想の展開であり、強いファイターズという形容がぴったりだった。
ところが第2Qの途中から、徐々に交代メンバーが出場し、QBも西野に交代したあたりから様子が一変する。パスは通らず、ランも進まない。守備陣も、二人のQBを交互に入れて攻め込んでくる相手に振り回されるようになる。強いチームが並のチームになってしまったのである。
結局、後半のTDは第4Qに渡邊とRB富永のランで挙げた2本だけ。立ち上がりの勢いのある攻撃はどこへ行ったのか。パスの成功率が一気に下落してしまったのはどうしてか。僕の頭の中には、消化不良のままの疑問がいまも残っている。同時に、こうした並のチームで、無敗で前半戦を切り抜けてきた立命や関大のタレント軍団に対抗出来るのか。そんな疑問が次々と噴出してきた。
そこで試合後、新聞記者のインタビューの隙を見て鳥内監督に質問。試合の感想と、今後の練習への取り組みなどについて聞いた。
次のような断片的な言葉が返ってきた。
「攻守とも、4年生にどれだけの危機意識があるかとうことですね。もっと危機感を持って練習せなあきません」「練習はしているようだけど、それが勝つための練習になっているのかどうか。4年生はいつもそう問い掛け、工夫をしていかなあきません」
毎年、新たな人材を発掘し、その人材が大事な試合を任せられるかどうかを常に気にかけている監督ならではの言葉だった。
光藤主将が率いる今季のファイターズは強いチームなのか、それとも本当に強い相手から見たら並のチームなのか。
僕にはまだ、答えは出せない。分かっているのは、アメフットは先発メンバーだけでは戦いきれないということ。まずは交代メンバーの底上げを図らなければならないこと。そのためには、グラウンドに立つ全員が高い意識と目的を持った練習を徹底すること。日々の練習から本番を想定し、それに向かって全力を出し切ること。そうした点に注目するしかない。
そう考えた上で、今週末は上ヶ原のグラウンドでの部員の動きをしっかり目に焼き付けてみたい。けがから回復途上にあるメンバーを励ますことも忘れないようにしよう。
次節から始まる3試合は、チームに属するすべての人間の本気度をあぶり出す戦いである。言い訳は通用しない。やるか、やられるか。そういう戦いである。それに向かって、部員全員がどこまで集中できるか。
先発メンバーはもちろん、交代メンバーたちの動向から目が離せない。
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